額賀澪のレビュー一覧
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パワハラに関しての対話が凄みがありとても惹きつけられました。
パワハラした側、された側の心理をどちらも丁寧に書いたエンタメ作品は初めて出会いました。
人事の種井とのやりとりも良かったです。人と人とのコミュニケーションなのだから
ルールを作ったから全て解決出来るわけではない。考え続けなければならないという答えに開放感を感じました。
元々ドラマから入り原作を読ませていただいて、ドラマ制作側が原作の世界を壊さないようリスペクトして作られたんだなと感心していたのですが、
逆に3.0では原作者からのドラマへのアンサーというか感謝が感じられて本当に幸運な実写化だったのだろうなと思いました。
来栖と未谷の関係性の変化も見どころです!
想いを伝えた時の会話にはかなりドキドキ&ニヤニヤさせられました。
ロマンスを詳細に描写しているわけではないところが逆に好みです。関係性が変わっても雰囲気は変わらない?2人なので続編もこのままいけるのでは?
転職は人生を選ぶこと、の通り転職者の数だけ人生の物語はあると思うので今後もぜひ続きが読みたい作品です。 -
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地道な仕事だなぁと思った。
青森で起きた漁船の転覆事故。父の行方は3日目の今日もわかっていない。麻海は母を亡くしている。母方の叔父の響介がやってくる。ラーメン屋にいく。まだ就活の最中だ。2日後に父の捜索は打ち切られた。
就職先は決まらない。叔父の響介に引き取ってもらう。響介の仕事を手伝うことになった。SNSの監視だ。海外旅行で高級腕時計を盗まれて、保険金請求中。SNSで友達がしているのをチェックする。
65才の男の買い物を麻海はカメラに収め、真っ黒な証拠を手に入れた。サイクリングの最中の事故で左腕ご全く使えないという申請をしていたのだが、両手普通に使っていたのだ。本人に認めさせるのは嫌な仕事だが慣れるしかない。
80歳の女性が入浴中に死亡した。介護疲れで殺したんじゃないかと調査が入る。
翔子は電柱にぶつかった。これで三度目の保険請求になる。
ホームから転落。自殺やお酒が絡んでいないかどうかの調査に入る。
これまでも段田整形の診断書を見たことがあった。この段田が絡んでいないか調査に入る。 -
Posted by ブクログ
ネタバレラブコメの皮を被った、お仕事系ヒューマンドラマ。
怒れない私も、怒った私の顔も大嫌い!
これは、彼女が正しく怒れるようになるまでの物語。
※※※以下、ネタバレありの感想※※※
・作品全体を通じて
憧れた相手ではなく自分の弱さや醜さを見せられる相手との関係を心地良く思う、という部分に深く共感した。
香子と宮原で「虚栄心が邪魔をして本音を言い合えない男女」を描きつつ、春木を通して一人の青年の精神的・社会的自立を描いており、単なるラブコメに留まないヒューマンドラマになっている点が良い。
物語が進むにつれ登場人物達が抱える生きづらさが見えてきて、特に宮原の悩みは社会人であれば共感間違いなしのリアルなものになっている。
自身が抱えている悩み=呪いを無意識に他人に押し付けているという構図が明かされる終盤の展開は読者自身をも刺してくるのが面白かった。
・プロローグ
主人公のキャラクター性と日常が中心に描かれており、強烈なインパクトを残す章だった。
どんなに嫌な目に遭っても笑顔を崩さず怒らない「仏の塩見」だが、表に出さない怒りを誰もいないオフィスで爆発させる「ブタ鼻の香子」としての二面性が後半で描かれており、人間味のあるギャップに惹かれた。
・第一章
少女漫画のような怒濤の展開に、これからどうなるのだろう? とワクワクが止まらない。
ベタな展開ではあるものの、主人公のツッコミが読者の気持ちを代弁してくれており、しつこさを感じない。
同窓会で再会した宮原との恋愛フラグは大注目なのだが、隣人である菊田春木が香子の職場でバイトとして雇われることとなり、春木との絡みも気になる。
・第二章
宮原も香子同様にやる気のない部下の指導に悩んでおり、上司との板挟みになっている描写があった。香子自身が愚痴をこぼさないと決めているため香子はこの事実を知らないが、愚痴を言い合えば溜飲を下げられるかもしれないと感じたためデート中の二人のすれ違いが切なかった。
香子から見た春木は、コミュニケーション能力に欠け最低限の社会人マナーもなっていない「ぼんくら甥っ子」だが、春木視点では「周囲の会話はテンポが速すぎてついていけない」「悪気はなくても周囲を苛つかせてしまう」との自覚があるようなので、春木がバイトを通じて良い方向へ変わるかもしれないと淡い期待が持てた。
特に章末ではブタ鼻になった香子を見て驚きはすれど、「怒りを感じない人ではないと分かり安心した」と前向きに受け止めているのが印象的だった。今後もバイトで一緒に働くのだから、香子の理解者ポジションになる可能性もあると思うとこれからが楽しみ。
・第三章
春木の精神的成長が見られ、感動した。一方的な誤解で叱られている香子を庇い、目上の人にも臆することなく(単に空気が読めないというのもあるが)言い返したのは読んでいてスカッとする。
以前に趣味が登山と語っていた春木だが、何やらトラウマがありそうな描写が気になった。
おせっかいな母の存在が結果として宮原との距離を縮めるきっかけとなったが、二人の気持ちがすれ違いつつあるのが味わい深い。
香子は怒るとブタ鼻になってしまうマーガレット症候群を隠しつつ、内心では春木が受け入れてくれたように宮原も理解してくれるのではと楽観的な考えが出てきている。
ところが、宮原視点では「感情の制御ができる、自己管理が徹底した女性」と香子が美化されてしまっており、それ故に宮原はしつこく迫ると嫌われてしまうからと紳士的な付き合いに終始している。
二人の恋の行方に波乱の兆しが見えて、いつ宮原にマーガレット症候群を打ち明けるのか、宮原の反応はどうなるのか続きが気になる展開で面白い!
・第四章
デート中の宮原と香子のすれ違いが切ない。二人とも自分をよく見せたいと思っているからこそ本音で語り合えず、表立った衝突はないものの心が離れていく……という大人の恋愛を見せつけられて私のライフポイントはゼロです。
香子の抱える「みんなは『怒らない仏の塩見』が好きなのであって、本当の自分をさらけ出せない」という葛藤が恋愛感情によって怒りの火種となり、ますますマーガレット症候群の件を宮原に打ち明ける訳にはいかなくなる展開はビターすぎてなかなかに痺れる。
一方で、春木との仲に進展が見られたのが面白かった。使えなさ、コミュ力のなさは相変わらずだが、彼なりに懸命に仕事のフォローをしてくれたのは「香子のため」という思いも多少はあったのではないかと感じた。
香子の部屋から出てきた春木が宮原と廊下で鉢合わせる気まずい展開は宮原失恋フラグのように思えた。
・第五章
春木との登山で「ありのままの自分をさらけ出せる心地よさ」を感じた香子と、職場での経験を通じて人それぞれに生きづらさを抱えていると知り人と関わる意思が芽生えつつある春木が帰り際に宮原と鉢合わせしてしまい三人の本音と建前が交差するのが読んでいて面白かった。
香子と宮原は本音を口にしない(香子の場合は「できない」に近いが)ため大人の対応をする点において香子も宮原も似たもの同士であると感じた。
宮原を追いかけて弁明をする春木だが、香子への想いを宮原に指摘され、かつ香子をまた登山に誘うなど初登場時からは想像もつかないほど香子に心を乱されている様子が意外だった。
・第六章
前回は言葉足らずだったためにアオヤマ先生を怒らせてしまった春木が、今度は自分の考えを言葉で伝えてアオヤマ先生を立ち直らせるという春木の成長が描かれた回だった。
香子は宮原に対してはマーガレット症候群を知られることを恐れている夢の描写があるが、春木といると恐怖心が薄れ自然とアオヤマ先生に対して怒れているのが二人の関係性の進展を表していて良き。
しかもアオヤマ先生に対する怒りは仕事への誇りを傷つけられたことに起因するため単なる愚痴とは格が違い、自分の中の譲れない誇りを守るための怒りである。かつて香子が感じた「怒り=悪いこと」という図式を否定してくれた春木が傍にいてくれたからこそ怒れたのではないかと思うと、春木の存在が心の支えになってきているのが伺える。
・第七章
春木の行動力にビックリ。激気まずい登山回だったが、遂に宮原との曖昧な関係に決着がつきお互いの気持ちを伝え合えて良かった。
香子が宮原を好きになった理由が「人当たりの良い宮原だから」であり、自分がされてきたのと同様に宮原を無意識に理想化していたところがブーメランすぎて大人社会の面倒臭さが描かれているのがリアル。
独りが好きだった春木が、母の死や他人と関わってこなかった自分との決別を経て辿り着いた山の上で初めて「一人が寂しい」と感じるシーンは胸アツ。
・第八章~エピローグ
香子が自らにかけた呪いを克服し人前で怒れるようになっており、正しく怒ることで仕事がやりやすくなっているように思えた。
運命の再会シーンは漫画のプロモーションとマーガレット症候群の症状がうまく組み合わさっており、都会の雑踏の中で堂々と怒る主人公の姿にはカタルシスを感じた。 -
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11提灯(p232)が印象的だったので、そこの感想↓
いつか箱根駅伝特集のテレビ番組で見た、暗い中を提灯を灯して応援していたあのシーンを思い出してとても感動した。
この自問自答する感じ、自分がフルマラソンやウルトラマラソンを走っている時の感覚と似ているなと思った。「お金はかかるし苦しいし、大して速いわけではない、むしろ遅い。家族の理解も必要だし、それでも走り続けてしまう意味って何??」みたいな考えが巡ってくる。こんな平々凡々なおばちゃんランナー、順位なんてどうでもいい、ただ走るのが好き。いつか死ぬ時に「こんなに頑張った」と思えるものがあっても良いではないか。これも結局は「自分の生きた証を残したい」と同じことかなと思った。
ただ、この箱根駅伝を走った後に出征したランナー、戦地で亡くなったランナー達は、たとえ最下位でも決して平々凡々なんかではない。こんな困難な時でも箱根駅伝の歴史のタスキを受け継いでくださった事に感謝したい。十区の鷺ノ宮勇一に届くなら、心の底から応援を届けたい。未来のランナーも応援していること、毎年箱根駅伝に感動と元気をもらっていることを伝えたいと思った。
11提灯(p232)のあらすじ↓
陸上競技でさしたる実績もなく、箱根駅伝への参加経験もなく、十人の選手を何とか揃えて出場した青和学院大。一区からずっと最下位、復路もずっと最下位。
十区を走る鷺ノ宮勇一の心のうち。箱根駅伝に初参加した青和学院大のすべての選手が、道中で同じ問いを繰り返したに違いない。「それでも走る意味はあるのだろうか」
暗い中を必死で走っている時、沿道に提灯の明かりがあった。淡い黄色の光は上下左右にゆらゆらと揺れ、「青和がくいーん!」と声援が聞こえた。提灯を持つのは青和学院大の関係者ばかりではなく、関東学連の人間、他大学の選手やOBらしき顔もある。
「君達の頑張りは、後輩達が必ずや引き継ぐさ!」との言葉に、引き継ぐ…一体どこへ。この大会が終わったら、二度と陸上競技なんてやれないだろう。これが最後なのだ。だから自分達は無理を押して参加を決めたのだ。戦争に行ったら、生きては戻れないから。ああ、そうだ。だから最下位でも、みっともなくても、情けなくても、走りたかったのだ。この箱根駅伝に、平々凡々ながらも陸上に励んだ自分の生きた証を、残したかった。
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ネタバレ小学生の時、食育の一環で育てられていた豚のマーガレット。
塩見香子は幼少期とても短気で細かかった。食肉加工のトラックへ送られるマーガレットに対して憐れんでいたら、怒ると何故かリアル豚鼻になるようになり…
マーガレット症候群になってからの香子は、周りから怒らない人だと思われていた。
マンガ編集者となった現在、理不尽な作家のワガママや、事なかれ主義の上司に怒りを感じつつ、耐えていた。そんな時、高校時代の好きだった人・宮原に再会。良い雰囲気になりつつも豚鼻の事は言えず。そして隣に住んでた憧れの漫画家マリーの甥、菊田春木。人と関わるのが苦手な春木にやきもきしてた時、豚鼻を見られてしまう。
豚鼻によって素直に好きだと言えないもどかしい感じはしましたが、鼻を見られたのが春木って時点で、多分春木ルートなのかなとは思ってました。宮原には良い面しか見せないし、春木には素で接してたしなって。
豚鼻に関しても、香子だけしか見えないのかと思ってたら、リアルに他人にも見えてたんですね…
本音で話せる人と出会えて、これから幸せになって欲しいです。 -
Posted by ブクログ
2026/04/26
額賀澪さんのお仕事小説。石けんを販売していたある日突然に日本国内のメーカーである花もり石けんが海外の会社に買収されて、買収先の会社と一緒に業務をしなくてはならなくなり、すったもんだするお話です。
海外の感覚で仕事をする人たちの考えと、ずーっと自分たちの伝統を守って仕事をしてきた人たちの考え方がぶつかるシーンが何度も出てくるのですが「お互いに言ってること分かるなー」とお仕事小説ですが描写がとてもリアルに感じました。
主人公は会社の総務部に勤める真柴ですが、総務部ってそもそもなんなの?とか、仕事をする上でどういうことを気にしなきゃいけないのかと言ったその部署の苦労もリアルに描かれているように思います。
新しい考えを受け入れつつ会社として前に進み、かつ、今までの考えも尊重しながら…という、働いていると必ずと言って良いほど直面する課題を、この小説の中の人たちはどう対応していくのかなというところが自分自身の経験と重ねて読むと、よりリアルさを感じるのではないかと思いました。