あらすじ
就活の最終面接の日、青森で漁師をしている父の船が遭難したという連絡が入った。家族と就職先を一度に失った桐ケ谷麻海は、東京で暮らす叔父・響介のもとに転がり込むことに。
居候としてなにか仕事をさせてほしいという麻海に、響介がかけた言葉は「掃除も洗濯も料理も別にやらなくていいから、俺の仕事をちょっと手伝って」。
響介の職業は、保険調査員。保険会社から依頼を受け、保険金を支払うにあたって不正や問題点がないか調べる仕事だ。
麻海は見習い調査員として詐欺が疑われる事案の調査をするなかで、生と死、お金にまつわる様々な家族の思いにふれていく。
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額賀澪は「不在」を描くのがうまい。
『願わくば海の底で』もどストレートにその話だったけど、今作もそう。
主人公は父を亡くし、その不在を受け入れられないまま物語が進んでいく。保険調査員という仕事、たしかに嫌な仕事かもしれないが、イメージが変わった。誰にだって、魔が刺すことってあるんだ。
生命保険は、唯一、自分以外の誰かのための保険だ。という言葉があって、誰かを思う気持ちのことを考えた。
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物語として過不足のない連作短編集。率直に言っておもしろかった。
もっと読んでいたいという気持ちもなくはなかったが、この主人公の話としてはきれいに片が付いていて満足。叔父を主人公にするとしても、保険絡みでできる話がまだあるのかは不安。
保険金もののドラマは昔NHKで見たことがあるが、本作もいつでもドラマ化できそうだし、しそう。とりあえず同作者の本を読み漁ることは決まった。
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漁師の父が行方不明になった。途方に暮れていると、保険調査員の叔父が現れ、なりゆきでその手伝いをする事になり…
保険調査の8割が黒ってのが嫌な響きですね。叔父の様に淡々と仕事をするには優しすぎる麻海だったけど、父の死を受け入れられない心の闇を見つけてくれた、元調査対象の沙優の存在に救われた部分あった気がします。
生命保険が唯一他人に掛ける保険と言う言葉が重かったです。
続編希望です。
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保険調査員なる職業があるのだ。
関わりたくない人である(笑)
甥を程よい距離感で対峙する叔父の存在がいい感じだ。
保険の不正って、ほんの出来心で起きるものなの?って思わなくはないけれど、でも現実いろいろな状況がそうさせてしまうのかと思わないでもない。
保険調査員に興味が増したし、この先の麻海保険調査員の成長も見てみたい、シリーズ化希望です。
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父親が漁船で行方不明になった主人公の桐ヶ谷朝海はひょんなことから保険調査員の叔父の加瀬響介と同居し「大宮リサーチ」で一緒に働くことになる
○第一話 親不孝者だね
オープニング 父親が行方不明になった朝海に叔父の響介が訪ねてくる
○第二話 風邪みたいなもんだ
響介の部屋で同居することになった朝海は叔父の仕事に手伝いとしてSNSをチェックして海外旅行保険詐欺の証拠を見つける
○第三話 八割が黒だな
障害給付金詐欺を試みた高橋光一の話 平凡な人がふとワンチャンで保険金詐欺を試みる
○第四話 我々は保険調査員ですので
入浴中に溺死した老女の生命保険調査 家族の佐倉清孝、妻の真弓、娘の沙優に聞き取る
○第五話 魔が差した
自動車事故の保険金詐欺を試みる三島翔子の話
○第六話 肩入れするなよ
駅のホームの転落事故で死亡した寿々木舞香の調査 自殺だと保険金が支払われないのが焦点となる 調査しているうちに意外な方向に この間、訪ねた小田急線生田駅が舞台となっていて急に身近に感じた
○第七話 お気をつけください
自損事故・休業損害補償の保険金詐欺を試みた田尾厚志と杉山に通告をするが、段田整形外科の医師、段田誠の存在が明らかになる これまでの話が一気につながる
○最終話 喪失の代償だ
エピローグ 「保険金は喪失の代償」
どの話もよくまとまっていて一気に読めた 登場人物の造形を生き生きとしている
NHKあたりでドラマ化されそうな内容 良作
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海で行方不明となった父親の死について、日常生活を送り続けることで少しずつ気持ちを整理している様子にとても現実味があった。
淡々とそばで見守ってくれる叔父の響介がとても信頼できるし、適度な距離感に愛情を感じる。
よく知らなかった保険調査についてわかりやすいエピソードとともに知ることができて学びにもなったし、やはり額賀さん、とても読みやすかった。
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久しぶりの額賀作品です。
保険調査員という仕事があるのは何となく知っていましたが、具体的にこんな感じ、と明示されるのは初めてでした。
基本、人を疑ってかかる仕事のようなので、その仕事をしている人は結構メンタル的にキツイんじゃないかと想像しました。
けど、そういう仕事があるからこそ、本来正当に保険金を受け取るべき人に正当な保険金が支払われるようになっているんだろうなと思うと、頭の下がる思いがしました。
そう言えば、漫画の『Master Keaton』の主人公も保険調査員だったような。
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まず、保険調査員という仕事を初めて知った。
この仕事は、保険会社へ請求された保険金の支払いの正当性を確認する仕事であった。
扱われるのは、保険金目的の殺人などの
大きな内容は少なく、ごくごく普通人のちょっとした出来心や、一種のライフハック、もらえるものらもらっておこう精神から保険金詐欺に手を染めてしまう内容が多いと書かれていた。
お金を目の前にすると、間違えた判断をしてしまう人たちの様子が書かれ、調査する側の精神の疲労も主人公からうかがえた。
保険金は「喪失の対象」という表現も心に残った。
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保険金の不正請求する人って、そんなにたくさんいるのかな?
自分とは無関係の世界だと思って読み始めたけど、調査員が来たらイヤだなーと思ったし、ちょっと怖いなぁと思った。
小説の内容自体は読みやすいし面白かったけど。
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保険調査員のお仕事小説。
保険調査員という仕事はあまり馴染みがないけど、保険金の支払いの際に不正がないかを調べる仕事のよう。馴染みがなくてよかった。
「これは怪しい」と勘付くのがプロっぽい。
普通の人にちょっと魔が差してしまう感じがリアルで怖いなと思った。
転覆事故で父を亡くした麻海の気持ち、そしてお金の問題と、保険金詐欺の話がうまくリンクして、テンポよく読めた。
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叔父さんと甥っ子のコンビのちょうどいい距離感が良かった。
これまでの章を跨いで話が繋がるところが、実際によくある話だし、パズルのピースがはまるようで鳥肌がたった。
困った時はお互い様「相互扶助」で成り立っている保険だからこそ、ズルしてもらえる方法がライフハックとして世間で語られ、実行に移す人が現れてしまう実情は許せないと思った。
保険事故に遭った人が生活をリスタートさせるためには、できるだけ早い保険金の支払いが必要で、保険会社側も調査依頼するかどうかの見極めが難しいな、と思った。
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「親不孝者だね」
「風邪みたいなもんだ」
「八割が黒だな」
「我々は保険調査員ですので」
「魔が差した」
「肩入れするなよ」
「お気をつけください」
「喪失の代償だ」
8話収録の連作短編集。
遭難事故で父親を亡くした桐ケ谷麻海が叔父とコンビを組み保険調査員として不正と対峙するお仕事小説。
扱う案件は、私達の身近にありそうな事象ばかり。
ふと心によぎった良からぬ考えを実行してしまう人達。
人間が持つ『あわよくば』の心境がリアル。
4話で描かれる祖母の溺死の真相には切実さを感じ辛かった。
6話のぶつかり男は最悪。
どの事例も読み応え十分。
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よく読んでる好きな作家さんでした
ページが少し少ないのもあって、1日で
読み終わりました
主人公の職業のチョイスも
斬新でした
温かくなる話が多かった様な気がします
続きがあれば良いなと思いました
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父親の事故のニュースを見て実家に駆けつけてくれた響介さんの優しさに救われる
保険金詐欺が多い事に苛立ちを感じた
保険調査員しだいな事もありそうだ
今はネット保険が安くて手軽に加入出来るが保険金の支払いについてスムーズに行われるのかはしっかり見極める必要がありそうだ
何かを失うかもしれない未来の自分や大切な人の事を思い描きながら保険に加入するのだと思う
麻海のお父さんが保険を解約していなかったのは、やはり親が子を思って将来への思いがあっての事だと思う
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東京で大学に通う主人公の麻海は、青森の地元で漁師をしている父が突然の遭難事故で行方不明になったと知らせを受け、急遽帰る事となったが、父は発見されないまま捜索は打切りに。
父の事は何も進まないまま、卒業後に叔父の保険調査会社で働き始めた麻海は調査を通じて人の弱さや保険の本当の意味を知る。働き始めて1年が経過した頃に父とのケジメを付けようと決めた矢先に父が生命保険に加入していたことを知る。
両親を失なってしまった麻海。辛い気持ちが心の奥底に留まったまま出てこない。心の整理がつかないのはなんというか言い表せないけど辛いんだろうなと思う。
保険とは遺された者に贈られる代償のようなもの、立て直しに必要なものという捉え方もあると知った。
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漁の途中で船が転覆し、父親が行方不明になってしまった大学卒業間近の浅海。
その後も父親が見つかることなく、日々が流れるが、3月に大学の寮を追い出されると、叔父の響介のマンションで同居を始めると同時に、響介の勤める保険調査会社でも働き始める。
この二人を主人公にした連作短編集。
海外旅行保険金、障害保険金など、さまざまな保険金詐欺の手口が描かれる。
保険金詐欺のと言うと大掛かりなものの話が多いが、今作は身近なものが多い。これくらいなら、バレないだろうって言う人間の心理が絶妙に描かれてる。
保険金調査員と言えども、行方不明の父親の発見を待つ浅海。1年後、やっと自分の心に決着をつける。
保険金は亡くなった人から、生きている人へのプレゼント。
本当にそうならば、詐欺など許してはいけない。
そのコンストラストが絶妙に描かれた一冊だった。
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読みやすい文章で、さらっとストレスなく読めました。
おもしろかったけれど、想像通りのストーリーで感情が特に動かず。しばらくしたら内容忘れそうな感じではあります。
映像化されそう。
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保険調査員といえば、わたしにはマスター・キートンが思いつく。保険調査員をお仕事の題材にした小物語。あまり魅了してくれる中身もなく、登場人物の深掘りもない作品だけど、ま、いっか。
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麻海は、就活の最終面接日に父が海で行方不明になる。家族と就職先を一度になくし、叔父の響介の家に転がり込むことになる。叔父の保険調査員の仕事の手伝いを頼まれ、保険金を支払う際に不正がないか調べるうちに、父の死と少しずつ向き合う麻海。あまり幸せでない調査内容に、楽しい気分では読めなかったが、響介ののほほんとしたように見える人柄や態度と、麻海を心配して話を聞いてくれる調査対象家族の沙優の存在が麻海を掬い上げてくれた。
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額賀作品 2作目
船乗りの父が海で行方不明になった。
主人公の桐ケ谷麻海は東京の大学に通い 就活の最終面接の日に父の遭難を知った
父が発見されないまま 就職も決まらず 卒業となった麻海は
保険調査員の叔父 母の弟 響介の家に居候することになる
同居の条件は「仕事を手伝うこと」
保険会社からの依頼で 保険金申請が正当に支払われるものか否かを調査するのだ
保険の対象者につい肩入れをしてしまう麻海と仕事に対して冷静に調査し対応していく叔父&甥コンビの事件簿
海外旅行の携帯品紛失、事故の後遺症、介護者の事故死、自損事故などなど
多岐にわたる保険の申請が行われ 凸凹ながらもいい相棒具合で話が進んでいく
どこかで聞いたことがあるような保険金問題がテンポよく謎解きされ
真相に近づいていく展開はおもしろい。
深夜枠の30分ドラマになりそうな感じだ
(グッタリするほどの推理サスペンスが好きな方は ちょっと物足りないかも)
1章ずつ話が完結するので 通勤通学におすすめの1冊ですよ
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2025/11/28 20
大学生の桐ケ谷麻海は就職の最終面接前に父が海難事故にあい叔父・響介の勤務先である保険調査会社で働き始める。闇バイト的な小銭稼ぎ感覚で詐欺だと認識せず甘い汁を吸う、案外普通の人でも陥りそうな印象を受けた。アジャスターは事故車の調査だけではない、感情労働にしてしまうと続けられない仕事だな。
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漁師の父親を遭難で失った上、就活にも失敗し叔父の誘いで保険調査員となった桐ヶ谷麻海が遭遇する事案の数々。
厳密には犯罪であるにもかかわらず、少しの欲をかいて保険金の不正請求をする人も、実際に少なくないのだろう。
最終話はちょっとした答え合わせと、麻海の成長ぶり、孤児となった麻海周辺の温かい人間関係が味わえて、少し嬉しい。
Posted by ブクログ
就活最終面接の日に父の乗った漁船が転覆し、行方不明になる。
捜索の進展もなく打ち切りにし、どうにか大学を卒業した麻海は、就職が決まらず東京で暮らす叔父・響介のもとに転がり込んで、叔父の手伝いをすることになる。
響介は、保険会社から依頼を受けて保険金を支払うに際して不正や問題がないかを調べる保険調査員をしている。
麻海は叔父といっしょに調査をすることになっていろんな人の心の中を見ることになる。
事故なのか、自殺なのかと調べていたら実は事件だったという恐ろしいこともあったり、整形外科医が関わっていたことも…。
保険金で人生を狂わせたり、リスタートさせるきっかけになったりと考えさせられる。
ズルはよくないと戒めにもなる話でもある。
叔父の性格がよくわからなかったが、仕事をしている姿を見てクールなだけで愛情はある人だと感じた。
Posted by ブクログ
漁船の転覆により父が行方不明になった、主人公・麻海。 保険調査員の叔父の仕事を手伝い、働くことになる。保険金の請求の正当性を明らかにしていく。率直にあまり面白く感じられなかった。謎解きのロジックが淡泊、真相に至るまでの緊張感が持続しないので、カタルシスが薄い。「あっ、そう来たか!」という快感より、「そういう話ね…」で終わってしまう。「保険」「老い」「死」「家族」と、重くて面白くなり得る素材なのに、ヒューマンドラマとして感情の掘り下げるまでに至らなかった。若干、どちらつかずで、刺さらない印象でした。③