あらすじ
就活の最終面接の日、青森で漁師をしている父の船が遭難したという連絡が入った。家族と就職先を一度に失った桐ケ谷麻海は、東京で暮らす叔父・響介のもとに転がり込むことに。
居候としてなにか仕事をさせてほしいという麻海に、響介がかけた言葉は「掃除も洗濯も料理も別にやらなくていいから、俺の仕事をちょっと手伝って」。
響介の職業は、保険調査員。保険会社から依頼を受け、保険金を支払うにあたって不正や問題点がないか調べる仕事だ。
麻海は見習い調査員として詐欺が疑われる事案の調査をするなかで、生と死、お金にまつわる様々な家族の思いにふれていく。
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Posted by ブクログ
生命保険会社から依頼を受け、被保険者の真偽を調査する麻海と響介が、様々な保険事案をそれぞれに結論を出していく。
手軽く読めて保険調査の仕組みも垣間見える面白い小説だった。
Posted by ブクログ
叔父さんと甥っ子のコンビのちょうどいい距離感が良かった。
これまでの章を跨いで話が繋がるところが、実際によくある話だし、パズルのピースがはまるようで鳥肌がたった。
困った時はお互い様「相互扶助」で成り立っている保険だからこそ、ズルしてもらえる方法がライフハックとして世間で語られ、実行に移す人が現れてしまう実情は許せないと思った。
保険事故に遭った人が生活をリスタートさせるためには、できるだけ早い保険金の支払いが必要で、保険会社側も調査依頼するかどうかの見極めが難しいな、と思った。
Posted by ブクログ
「親不孝者だね」
「風邪みたいなもんだ」
「八割が黒だな」
「我々は保険調査員ですので」
「魔が差した」
「肩入れするなよ」
「お気をつけください」
「喪失の代償だ」
8話収録の連作短編集。
遭難事故で父親を亡くした桐ケ谷麻海が叔父とコンビを組み保険調査員として不正と対峙するお仕事小説。
扱う案件は、私達の身近にありそうな事象ばかり。
ふと心によぎった良からぬ考えを実行してしまう人達。
人間が持つ『あわよくば』の心境がリアル。
4話で描かれる祖母の溺死の真相には切実さを感じ辛かった。
6話のぶつかり男は最悪。
どの事例も読み応え十分。
Posted by ブクログ
よく読んでる好きな作家さんでした
ページが少し少ないのもあって、1日で
読み終わりました
主人公の職業のチョイスも
斬新でした
温かくなる話が多かった様な気がします
続きがあれば良いなと思いました
Posted by ブクログ
父親の事故のニュースを見て実家に駆けつけてくれた響介さんの優しさに救われる
保険金詐欺が多い事に苛立ちを感じた
保険調査員しだいな事もありそうだ
今はネット保険が安くて手軽に加入出来るが保険金の支払いについてスムーズに行われるのかはしっかり見極める必要がありそうだ
何かを失うかもしれない未来の自分や大切な人の事を思い描きながら保険に加入するのだと思う
麻海のお父さんが保険を解約していなかったのは、やはり親が子を思って将来への思いがあっての事だと思う
Posted by ブクログ
保険金って漠然と知ってるつもりだったし、保険金詐欺って事件になるような事ってことしか知らなかった。お仕事小説として面白かったです。叔父さんと甥の関係がベッタリではないけれど思いやりを感じられてすごくよかった。
Posted by ブクログ
父親の死(行方不明)から始まる物語。
暗く暗く、どん底のような場面から始まってもおかしくない。しかし切なさは残しつつも、叔父と甥のコンビは比較的ふつう、どちらかといえば、前向きな日々を過ごしていく。
人が亡くなる物語(ミステリーとホラー以外)って、かなり悲しみの場面が多く、悲しみにどう対処したか、そこからどう立ち直っていったのかが多いと思います。
けれど現実には、たしかに悲しみに浸る時もあるけれど、それ以外の感情がないかというとそんなことはない。優しくされたら嬉しいし、驚くようなことがあればもちろん驚くこともあると思うのです。その中で、やはり死と向き合う時間がある。悲しくもなる。
そんな人間のいろいろな感情が、すごく物語に描かれているように感じました。
暗く悲しみに浸り続けるような作品がダメというわけではもちろんないです。ただ、このいろいろな感情があることがすごく人間らしいく、読んでいて心に響きました。
Posted by ブクログ
普通の人が、ちょっと魔が差してやってしまうのが、保険金詐欺。読んでいると、本当に普通の人が、ちょっと得したいみたいな気持ちで保険金詐欺をしてしまっていて、もし自分も、何かを掛け違えたらやってしまいそうと感じて、恐ろしくなりました。また、生命保険も絡んできて、人の生死を扱った小説を最近多く読んでいますが、保険金を中心においているのは目新しいなと思いました。