あらすじ
人気駅伝小説シリーズ最新刊、待望の文庫化!
己との闘いは、続いていく・・・・・・・。
箱根駅伝を終えた千早は食品会社に就職。その会社から東京五輪選手村食堂に派遣され、偶然コーチ早馬の初恋の人、都と仕事仲間に。
主将として初出場が叶った4年次の箱根駅伝では、最後の最後で「努力に裏切られた」千早。東京五輪選手村食堂では、裏方として世界のアスリートたちを支えるが、目の回る忙しさの中、自分の仕事への情熱が呼び起こされていく。駅伝では「努力に裏切られた」が、「裏切られた後の景色も悪くない。裏切られた俺は、今、頑張ってます」と言えるまでに成長していく。前半の「祈る者」は臨場感溢れ、読み手の心をつかんで話さないお仕事小説。
一方、眞家春馬はパリ五輪を視野に入れ世界陸上に参戦。兄・早馬との関係や、世界を相手に挑戦を続けるアスリートの心象風景が描かれる、後半の「選ぶ者」。春馬、そして高校時代、大学時代ともにライバル関係だった選手・助川、藤宮らはアスリートとして悩み、葛藤を繰り返しながらも競技生活を続けている。彼らの自分との闘いは、やがて、世界へ・・・・・・。
文庫の巻末解説は、箱根駅伝レジェンド、初代山の神・今井正人氏。
※この作品は過去に単行本版『タスキメシ 五輪』として配信されていた作品の文庫本版です。
(底本 2025年9月発売作品)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
2025/12/23
タスキメシシリーズをようやく五輪まで読むことができました。
当初の主人公は眞家早馬と弟の春馬が中心となっていましたが、五輪のこの本では、タスキメシに今まで登場していた早馬や春馬に近しい人物たちにフォーカスしている内容が多かったと思います。
彼らに焦点を当てながら、競技者としてオリンピックのマラソン競技に参加する選手の気持ちも描写しつつオリンピック競技の大会全般に関わる人たちの関わり方のあり様を描いた話も多く描かれています。
特に日本では東京オリンピックが一年間延期になったことで参加する予定だったアスリート、オリンピックをバックアップする予定だった飲食業者の人たち、オリンピックに照準を合わせて生活していた人たちがどう世の中の変化に対応していくのか、そこにどんな葛藤があるのかと言ったところまでとても丁寧に小説として描写されているなと思いました。何よりあとがきに書かれていた方の文章が「きっと丁寧な取材によってこのタスキメシシリーズが生み出されているんだなぁ」と言うことを強く感じられます。
続編というかスピンオフ的なものがあったらぜひそれも読んでみたいなと思う、とても面白い小説です。