額賀澪のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「競歩」
決して走ってはいけない人間らしい"歩く"という行為を人間らしいルールで凝り固めた競技
長くつらい道のりをゴールを目指して1人で歩く
その中で本当に辛い瞬間があって、応援してくれる人がいて、少しの乱れが自分を苦しめて、やりきってもやりきれない時もあって、それでもゴールテープを切る爽快感は何事にも変え難い
本当にまるで人生みたいな競技だ
そんな競技に結果がふるわずとも真剣に打ち込む八千代と挫折を知った主人公の出会い
お互いの中に負け続ける自分を見てお互いのできることをぶつけ合うことで進んでいく
劇的なことは起きない
この小説はまさに主人公の書いている上手に夢を見れない人への小説だと思った
わたしもわたしを諦めたくない
なんだか無性に歩きたくなった -
Posted by ブクログ
『世代を超えた青春スケートボード小説』
スケートボードの元オリンピック金メダリストと、不祥事で干されたカメラマンの物語。額賀澪さんの得意とする青春小説であり、スポーツ小説であり、バディ小説である。
物語は渋谷の街を中心に様々なトラブルに巻き込まれながらも、スケートボードへの情熱やカメラマンの意地が交錯しながら逆境に立ち向かっていく様子が描かれる。2021年の東京オリンピックより正式競技となったスケートボードの魅力や課題が存分に伝わってきた。
本作の見どころは主役の二人に年齢差があるところ。自由奔放な今どきのスケーターと、バツイチで人情味のあるおじさんカメラマン。この二人の掛け合いが抜群に面白い。世代を超えた対等な友情はなかなか斬新な設定であり、幅広い年代の方が楽しめるだろう。
時間軸もちょうどパリオリンピックを迎える2024年現在の設定となっているため、オリンピック熱の冷めやらぬまさに今読むべき作品。ラストの一文もオシャレで、読後の爽やかさが心地よい。胸アツ! -
匿名
ネタバレ良い
「タスキメシ」は、主人公である高校生の太郎が、料理を通じて人々との絆を深めて成長していく物語です。太郎は、料理の腕前が優れていることに自信を持っており、将来は料理人になることを夢見ています。しかし、太郎の料理は単なる技術のみであり、人の心を動かすことはできませんでした。
そんな中、太郎は料理教室で出会った仲間たちと共に「タスキメシ」という料理クラブを結成します。仲間たちはそれぞれ個性的で、太郎とは異なる料理のスタイルを持っています。最初は意見の衝突もありましたが、徐々にお互いを尊重し合うようになり、絆が深まっていきます。
太郎たちは、タスキメシという料理を作り続ける中で、料理の本質とは何かを見つけていきます。彼らは単に美味しい料理を作るだけでなく、人々の心を伝えることができる料理を追求します。その過程で、彼らは自分自身の成長や悩みを乗り越える力も身に付けていきます。
物語は、太郎たちが料理コンテストに出場することになります。彼らは自分たちのアイデアや技術、そして心を込めた料理で審査員や観客を感動させます。そして、最終的には優勝を果たし、自分たちの料理を通じて多くの人々に喜びや感動を与えることができました。
物語の終盤では、太郎は料理人としての道を選ぶかどうか迷います。彼は自分の料理を通じて人々の心を動かし、幸せを感じることに喜びを見出していたからです。最終的には、太郎は料理人としての道を選び、自分の料理を通じて多くの人々に幸せを届けることを決意します。
「タスキメシ」は、料理を通じて人々との絆を築き、成長する主人公の姿を描いた感動的な物語です。料理の力とは何か、人との繋がりの大切さを教えてくれる作品であり、読んだ人々にも心に深い感銘を与えることでしょう。 -
Posted by ブクログ
不祥事を起こし、仕事のなくなったスポーツカメラマンの与野丈太郎と、東京五輪で金メダルを取りながらもその後、五輪選考会にも出ず、パリ五輪にも出ない天才スケボー少年の大和エイジ。偶然にも二人は出会い、丈太郎はエイジを撮影するフィルマーとなる。
スケボーの如く、疾走感あるストーリー。
夜中の渋谷を走り抜けるエイジを最初は「危ないなー」と思いながらも、読んでいくうちに空き巣窃盗事件、丈太郎の不祥事がらみの事件、児童養護施設出身のエイジの出生についてなど、どんどん物語が展開されていき、あっという間に読み終わった。
ちょうど、パリ五輪が終わった時に読み終えてよかった。
最近、額賀さんはスポーツ青春ものが多いけれど、『ヒトリコ』を読んだ時の衝撃が忘れられない。 -
Posted by ブクログ
2024/07/17
潮見島という小さな島での伝統的なお祭りを舞台にしたその島に住む中高生などをメインとしたお話。
離島の伝統行事が舞台の青春小説って感じだと思うのですが、ジャンルがピンポイントで尚且つ、このジャンルで青春小説として成立しているのが凄すぎるなと思いました。
農家の娘の深冬は附属高校がある大学のゼミに高校生ながら通う人で、その目的はゼミにいる優弥先輩に会うためだった。
ゼミの研究の一環で優弥の故郷でもある潮見島への調査ということで3週間島で暮らして調べることになるのだが、そこで出会う島の人々やその伝統に対する想いに、最初は深冬は嫌悪感で一杯だった。
その様子が徐々に解きほぐされていく過程でさまざまな出会いや葛藤があるのですが、その部分こそがこの本の核心でもあり読み応えのある部分なのではないかと思います。 -
Posted by ブクログ
面白かった!
スケートボードを扱った作品を読んだのは初めて。
渋谷を舞台に、突然姿を消したスケートボード金メダリスト・エイジと仕事を干されたスポーツカメラマン・丈太郎が繰り広げる物語。
年の差コンビが繰り広げる世界を、胸を熱くしながら読み終えました。
爽やかなスポーツ青春小説でありながら、スポーツカメラマンの世界も覗けてお仕事小説っぽくも楽しめました。
臨場感、疾走感のある展開にページをめくる手が止まらない!
エイジとの絆が深まっていく様子もいい。
スケートボードの魅力、いくつもの人間ドラマが詰まっていて面白かったです。
スケートボードへの興味も深まったし、スポーツカメラマンにも興味が湧いてきた。
続編で二人の活躍を見てみたい。
間もなく開幕するパリオリンピックの楽しみが増しました。 -
Posted by ブクログ
第100回箱根駅伝を機会に描かれた作品。
戦時中の箱根駅伝にかける大学生たちの想いを、現代の回想と交互に描く。
日東大に監督に就任したばかりの成竹は、ボストンマラソンで3位に入賞した神原と一緒にいる時に、戦時中に書かれた古い日記を外国人から受け取る。
そこには戦時中に箱根駅伝開催に向けて、必死に戦った人たちの様子が描かれていた。
昭和15年、戦前最後の箱根駅伝が行われていた。
まだ太平洋戦争は始まっていなかったとは言え、中国と戦火を交えていた日本は、駅伝が終わった学生たちを戦地へと送り出していた。
「箱根を走って、戦争へ行く」
それが当時の学生たちの心に決めたことだったが、翌年以降、箱根駅伝が行われることはなかった。
しかし、諦めきれない学生たちの想いを何とか形にしようとした男たちがいた。
関東学連の世良と宮野、そして及川だった。
その世良が遺したのが、成竹の手に渡った日記だった。
物語は世良たちの奔走した姿をメインに描いているが、走り終わった学生たちが、その後戦争に行って、見知らぬ地で亡くなっていくと思うと、序盤から涙なしでは読めなかった。
そして、「幻の箱根駅伝」
靖国神社、箱根神社を結ぶというもの。
繰り上げ出陣などが始まっていた中、人数が足りず、出場出来ない学校の中にも大会運営に何とか関わろうとしている熱い思いも伝わって来て、無事終えた後の靖国神社のシーンはとても印象的。
そこで、自分たちの「箱根駅伝」は幕を閉じたはずだった。
しかし・・・
正直、現代のシーンいらないかなぁ、と思うくらい重厚な話だった。
今年で第100回を迎えた箱根駅伝にそんな時期があったなんて、そこそこの駅伝ファンでも気にしたことがなかった。
駅伝を走れなくて散った命、駅伝を走って国に捧げるはずだった命。
どちらの存在もあったから、ここまで続く大会になったことに感謝をしようと思った。
奇しくも、少し前に池井戸潤の「俺たちの箱根駅伝」を読んだばかり。
どちらも優越つけがたい秀作。 -
Posted by ブクログ
いやあ凄かった。これは映画化しても良いのではないかと思った。難しいか、、?
ただの駅伝のお話ではない。初読みの作家さん。
昭和十五年、真珠湾攻撃前の日本から物語は始まる。
その後開戦。戦火の色が濃くなり、中止になってしまった箱根駅伝。
学生の意地と根性で、昭和十八年、最後の箱根駅伝という思いで復活させる。
多くの学生が自分たちがこれを最後に、直に戦争に動員されることを覚悟していたからだ。
開催に至るまでの奮闘、最後の箱根駅伝の様子を令和五年の現代の箱根駅伝の物語も混ぜながら描かれる。
なぜ箱根駅伝で走りたいのか、なんで観てしまうのか。
走者、補佐、補欠、運営側、記者、いろんな目線で描かれる。
彼らの走りに途中から夢中になってしまった。
箱根駅伝物語が終わって、物語も終わるんだなと思ったら、、、
最後痺れた。
お正月に大手町から箱根を走る箱根駅伝がある。
それは「なんてことなく続いていること」ではないんだな、ということがまざまざとわかった。
とても胸に迫る本だった。
スポーツを見ていっとき憂い事を忘れるように、本を読むことで、いっとき本の世界に夢中になれた。
「タスキとは何なのか」
本の扉に書いてあるけれど、1ページから読んでいってたどり着いた、その文はとても胸に迫るものがあった。
自分はどんなタスキを子どもに見せれているだろうか。
いろんな人におすすめです。 -
Posted by ブクログ
箱根駅伝の歴史に基づくフィクションということで、あの大学この大学を連想させる架空の大学名やチームカラー、大学駅伝好きとしてマニアックな点にいちいち反応しながら読む。
第二次世界大戦によって中止を余儀なくされた箱根駅伝、その代替となる青梅駅伝、第22回としてカウントされながらも異質の箱根駅伝……。戦争が日本の学生に与えた深い傷を描き、読んでいる私も胸が痛くなる。
スポーツを楽しむことが禁じられ、鍛錬や戦技としてのスポーツのみ許される。そんな窮屈な世界で、それでも箱根駅伝を走りたいという学生の強い想いが生み出した第22回箱根駅伝。「走れてよかった、これで後悔なく死ねる」と思いながら走る。そんな悲しい駅伝があったなんて、知らなかった……。
今ある当たり前が、どれだけありがたいものなのか。噛み締めながら読んだ。
また、一方で今年は第100回箱根駅伝が開催された、記念すべき年でもある。物語は昭和と令和を行き来するのだが、令和のエースがまた新しいタイプのエースで、それがなかなかよかった。
駅伝が嫌いで、駅伝を走らない4年生エース。頑なに箱根駅伝を拒むエースなのだ。「えっ、この人どうしたら箱根走るの?物語的にこの人が走らないと終われないけど、走る未来が全く見えない!」と、先の気になる展開に。
そして一番最後のページの、100回大会の総合結果と区間賞一覧を見て、えっ、この人……!?となったのは私だけではないはず。この気持ちだれかと語り合いたい!
後半はいろんなことが繋がっていく。過去があって、現在があるのだ、というように。先人たちの思いを知って、ますます箱根駅伝への思い入れが深まる作品だった。