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Posted by ブクログ
箱根駅伝の歴史に基づくフィクションということで、あの大学この大学を連想させる架空の大学名やチームカラー、大学駅伝好きとしてマニアックな点にいちいち反応しながら読む。
第二次世界大戦によって中止を余儀なくされた箱根駅伝、その代替となる青梅駅伝、第22回としてカウントされながらも異質の箱根駅伝……。戦争が日本の学生に与えた深い傷を描き、読んでいる私も胸が痛くなる。
スポーツを楽しむことが禁じられ、鍛錬や戦技としてのスポーツのみ許される。そんな窮屈な世界で、それでも箱根駅伝を走りたいという学生の強い想いが生み出した第22回箱根駅伝。「走れてよかった、これで後悔なく死ねる」と思いながら走る。そんな悲しい駅伝があったなんて、知らなかった……。
今ある当たり前が、どれだけありがたいものなのか。噛み締めながら読んだ。
また、一方で今年は第100回箱根駅伝が開催された、記念すべき年でもある。物語は昭和と令和を行き来するのだが、令和のエースがまた新しいタイプのエースで、それがなかなかよかった。
駅伝が嫌いで、駅伝を走らない4年生エース。頑なに箱根駅伝を拒むエースなのだ。「えっ、この人どうしたら箱根走るの?物語的にこの人が走らないと終われないけど、走る未来が全く見えない!」と、先の気になる展開に。
そして一番最後のページの、100回大会の総合結果と区間賞一覧を見て、えっ、この人……!?となったのは私だけではないはず。この気持ちだれかと語り合いたい!
後半はいろんなことが繋がっていく。過去があって、現在があるのだ、というように。先人たちの思いを知って、ますます箱根駅伝への思い入れが深まる作品だった。
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今のところ今年イチ!
読み終わってすぐには言葉にならないくらい。
これで最後、と箱根を走る選手の気持ち、
駅伝開催にむけて奔走する関東学連の仲間の気持ち、
記録員、監督、記者、合宿所の女将、いろんな目線で丁寧に描写されている。
鍛錬と必勝祈願という建前がないと走れなかった時代から、そして戦争に取られて走れなかった選手たちから、時代をこえてタスキが現在に繋がっている。
べつに箱根駅伝でそんなに興味なかったけど、
戦争なんてくだらないもののために途絶えさせてはだめだ。
最後に宮野くんは及川くんに言ったことば。
『あんな大きな戦争がやっと終わったんだ。もう絶対にない』
安直だけど、そう、この思いを無にしてはいけない。
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箱根駅伝。毎年当たり前に見ている。それが当たり前ではなかった数年間。絶対に走る、走らせるんだと出征間近の大学生達が奔走して大会を実現するところに胸が熱くなった。
戦後、大学に戻ってきた肇が生き残ったことに罪悪感から前向きになれない姿にあの戦争による犠牲の大きさに心がぎゅっとなった。
今年の100回大会も無事にあった。彼らのためにも、この先もずっと続いて欲しい。
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額賀さんのこのシリーズ全て読んでます。ランナーなので、共感できる部分が多く大好きです。
そして、箱根駅伝が益々好きになりました。史実に基づいたフィクションで、戦前・戦後・現代とどれだけの人を箱根は魅了してきたのかよくわかりました。どれだけの人が動いて箱根駅伝が開催開催できたのか。今も開催されているのか。
これからも大学生そして国民を魅了する大会として開催されていくんだろうなと思いました。
やっぱり走るのは楽しいですね!
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タスキメシシリーズが大好きな私。こちらももちろん素晴らしく、箱根駅伝の深いところを知ることができた一冊。
あらゆる立場から、あらゆる捉え方で描かれていて、美談ではなく苦しみも悲しみもあり、その当時の息遣いや関東学連の彼らが走り回る熱量がそのまま伝わってくる。あの時があったから今がある。「100回の歴史」と一言で表せてしまうが、そこには一瞬一瞬を必死に向き合ってきた数えきれない人たちがいることを教えてくれた。
後半、昭和と令和が繋がった瞬間には鳥肌が立った!
選手と一緒に走りながら読み進めているこの感覚が大好きで、登場人物との連動感を感じさせてくれる。
シリーズではないけど、タスキメシを読み返したくなるんだなぁ。
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毎年恒例、当たり前のように開かれる箱根駅伝。
戦時中の箱根駅伝の事なんて考えた事もなかったけど、タスキを繋いだ仲間が戦争で亡くなっていく。とても残酷で信じられない話でした。
生き残った人達の辛さややりきれなさも、胸がいっぱいになりました。
箱根駅伝にかける思いがタスキとなって100回まで繋がっていく、これからもずっと続いて欲しいなと思いました。
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昭和18年戦前最後の箱根駅伝は靖国神社がゴール。1区を走った後すぐ出征する選手。ユニホームを下に着込んで飛び立った特攻兵など多くは還らない。令和の世第100回大会と絡めて駅伝競技に青春をかける学生たちを描いた感動作。
軍部に認められず中止、青梅までの駅伝が2大会、これは公式の回数に含まれず。それが昭和18年に一度だけ奇跡の復活。この大会を題材とした本もある。
既出の素材をまとめて、令和編と合わせてフラッシュバックで進む爽快な小説。
学徒動員、特攻、シベリア抑留など選手たちのその後を思うと涙が出る。
箱根駅伝の長い歴史はこれからも続く。
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厚めの本ですが夢中になりました。
令和と昭和の編で語られますが、切り替えがスムーズで、読みやすかったです。
途中、実話・実名なのか気になり後ろを見て後悔しました。ネタバレ注意です。
まさか、そこに繋がりがあったとは。そこからはますます読み応えがあり、オススメの一冊になりました。
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「タスキメシ」シリーズを読んできて本書を見た時「あっ、きた!タスキ」と顔が綻んでしまった。
今度はどんな「タスキ」を描いてくれるのかと楽しみにしていた…ら今作は箱根駅伝の歴史!
そーきたか!やはり唸りますね!
100回大会を迎えた箱根駅伝、今年も勿論テレビに齧り付いて見てました。
意外なドラマを見せてくれた100回大会、ここまで続けられた背景にこんなドラマがあったとは…
時折テレビで昔の映像が流れたり、昔走った事のあるランナーの思い出話を見かける。
なんとなく見ていた人々の中にこんなにも熱く誇らしい歴史があったとは…
走っている本人や家族、監督や仲間との絆をテーマに一人一人のドラマを…背景をクローズアップする番組や箱根駅伝放送中にも紹介がある。
神原八雲君の様にそこに違和感を覚える人もいると思うが自分個人としてはそんな背景を心に様々な人々の生きざまが垣間見える気がして好ましく思って見ている。
そこに力やエネルギーをもらっているのも確かだ。
でもクローズアップされるのは選手関係者だけではないのだ、と、本書にこの箱根駅伝そのものをクローズアップすべきだと思わされた。
生活をするのも…いや、生きる事そのものが困難な中、どんな形であれど箱根駅伝を守り続けてくれた人々がいるから、その想いがあるからこうして今も箱根駅伝は健在し走る人達の生きる目的を、生きがいを、そして沢山の人々に楽しみを勇気をエネルギーを感動を与え続けていてくれる。
そこから選手として生き残れるのはほんの一握り。多くのランナーは箱根がラスト、一般の会社に籍を置くことになる。
でも4年間箱根を目指して走り続けてきた事は必ずその先の人生を生き抜く力をランナー自身に与えてくれていると信じたい。
生きる事もままならない中必死に箱根駅伝を守り続けてくれた人達のおかげで今があるように、あの4年間があったからこその今だ!と思える力をきっと根付かせてくれているはず。
101回大会…今迄の歴史と関わった全ての人達の熱さと誇りを噛みしめながらまたテレビに齧り付くんだろうなぁ〜
今年の箱根を見る前に読みたかった…悔しい^^;
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駅伝関連ということで、最初の期待はあまり高くはなかった。
しかし、戦中、戦後と現代が行ったり来たりする時系列、現代の日東大監督と、戦中の選手との関連など、物語性に惹かれながらスラスラと読み進めることができた。
戦時下において駅伝がどのような存在であったのか、駅伝を繋いできた人たちとのタスキリレーを感じた。
また、広島出身の世良は世羅高校との関連?など自分との関連性をも感じるものだった。
どこまでが史実に基づくものかわからないが、素敵な物語であった。
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今年2024年は箱根駅伝100回という大きな節目の大会でした。100回と言うだけでも歴史を感じるのにその間に戦争もあったということ。毎年なんだかんだ見てしまっている箱根駅伝をますます深い感情を持って見ることになると思います。途中まで読んだ時点で絶対涙腺やばいことになると思って職場の昼休みとかには読まず休日に自宅でじっくり読むことにしたのは正解でした。涙腺が崩壊気味で頭痛すらします。言葉にすると薄っぺらになりますが自分の現在にありがたさを感じています。
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今年2024年に、第100回目を迎えた箱根駅伝。
その軌跡を史実をもとに描いた作品。
本作は駅伝を描いたこれまでの「タスキメシ」シリーズとはまた違い、重厚で感慨深かった。
こんな歴史があったなんて初めて知りました。
こんなに強い思いで、これほどまでに駅伝開催のために尽力し、想いを引き継いできた人がいた事実に胸が熱くなりました。
戦中戦後、駅伝開催の実現に尽力した人たち。
人生最後の駅伝でタスキをつないだ選手たち。
彼らが一体どれほどの思いを抱えていたのか…
ボストンで受け取った古い日記から、少しずつ紐解かれていく箱根駅伝の歴史と関わってきた人々。
過酷な時代を乗り越えて脈々と受け継がれてきた箱根駅伝と、長いときを経て明らかになった奇跡に感動した!
あ~、出来ることなら箱根駅伝をみる前に読みたかったなぁ。
壮大な物語を堪能しました!!
Posted by ブクログ
第100回箱根駅伝が開催されたこの時期に読み終わり、とても感慨深い。
今までのタスキメシシリーズとは一線を画して、別の角度から箱根駅伝を捉えたストーリーで、シリーズの中ではダントツ一番。
箱根駅伝は関東学連の学生たちが運営しているのは知っていたが、戦前、戦中も学生たちが苦労を重ねながら、運営に携わっていたとは。
駅伝を走ったあとに出兵した多くの学生たちがいたこと、戦後の箱根駅伝復活の際にも無事復学できた学生たちがいたことを忘れてはならない。
額賀さんの『モノクロの夏に帰る』もそうだったが、戦時中と現代社会を行き来した作品はみな心に残る。
『タスキメシ箱根』と同様、大学名をわかるようにもじってるのが「額賀さん、一生懸命考えたな」と。
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箱根駅伝の裏には、こんな歴史があったのか。
何であんなに人々が熱狂するのか。
それは、先祖から伝わる平和への希求か。
タスキシリーズ、一番心震えた。
スポーツができる、勉強ができる、
音楽を聴ける、ゲームができる、
当たり前が当たり前であれる世界であってほしい。
死ぬために生きるなんて世界、
二度とあってはならない。
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私は「箱根駅伝」が大好きだ。なので、レビューは甘めになるかもしれないので、ご注意を。
本書は、「箱根駅伝」ファンならムネアツになり、感涙にむせぶこと必至の作品。一冊の手帳が結ぶ昭和と令和のアスリートの想い、そして終盤で明らかになる昭和のアスリートと令和のアスリートの繋がり、実に上手い。昭和18年に復活した第22回箱根駅伝が終わり、類家は「きっと、この大会は遠くまで飛んでいきますよ。僕達が想像できないほど、遠くまで」と言ったが、確かにそうだった。泣いた。
今年の第100回大会は、事前の予想を覆して青学が優勝した。青学は箱根に特化した調整をすることで知られており、今回の立役者となった3区の太田、4区の佐藤は箱根しか見ていない「箱根男」。何故そんなにも「箱根
」に魅入られるのか?本書を読めば納得できる筈。
一つだけケチをつけると、登場人物が多いにもかかわらず、同じ人物が姓で出てくる場面と名で出てくる場面があるので、誰のことだかわからず混乱した。
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読後は箱根駅伝が見たくなった。今年100回大会を終えた箱根駅伝は、戦前、戦後そして現代と大会の規模や参加チームは変わって来ているけど、選手の思いは変わっていないような気がしました。
Posted by ブクログ
よくかけている。面白かった。しかし 過去において登場人物が多すぎる。もっと絞っていた方がストーリーとしてはわかりやすく面白くなったと思う。惜しい。
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箱根駅伝は2024年が100回の記念大会だったのか。
現代と戦時下での箱根駅伝を走る者達の様子が、交互に描かれていて、テンポよく読めた。
タスキに想いを寄せて走るという点では同じだけど、戦時下で箱根にかける想いはまさに命懸けで、ずっしりと重たい。
マラソンランナー神原の心情の変化が、それを物語っているなと思った。
今年の箱根駅伝を観る前に読むべきだったなぁ。
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主に戦中戦後の箱根駅伝を巡る群像劇となっているが、真の主人公は箱根駅伝そのものだ。
他学を含め先輩たちが招集され、戦死の報にも接し、次は自分たちかと覚悟を決める最中、代替大会を実行し、やはり物足りずに箱根駅伝そのものを開催してしまった学生たちのエネルギーがいかに熱かったか。
終戦後、大会再開を説得するにあたり、GHQ高官に駅伝について説明する学連生の「タスキとは自分たち自身である」との言葉は、駅伝競技、特に箱根駅伝の本質を余す所なく表しているように思う。
作者は大学名を架空のものに置き換えているが、当時の大会の記録と照合すると元の大学名が推定できる。
中に1つだけ架空でないものを発見し、驚いた。
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新米駅伝監督の成竹と、学生No.1ランナーの神原は、ボストンマラソンの会場で、ひょんな事から受け取った古い日記。それは、戦時下に箱根駅伝開催に尽力した大学生の日記だった…
戦時下の駅伝の様子が今では考えられない苦難の道だったとは…
スポーツも許されない時代の中、それでも走りたいと願う人達の熱意が伝わってきてジーンとしました。
あれだけ駅伝を拒否していた神原が、昭和の駅伝日記に感化されて走る事になったのが本当に良かったです。
Posted by ブクログ
「2024年1月の第100回箱根駅伝を盛り上げたい」という編集者の思いからの企画
毎年正月に当たり前のように行われている箱根駅伝。
戦時下でも「箱根を走って死にたい」とまでの先人たちの強い思いが1本のタスキとなって、今日まで受け継がれ、100回まで続けてこられたのだろう。
これからも後世の人にタスキをつなげられるような社会であって欲しいとつくづく感じた。
Posted by ブクログ
令和5年の箱根駅伝第100回大会に向けての話と、戦争によって一時中断を余儀なくされた箱根駅伝復活の物語が交錯する。
箱根駅伝ものはいい作品が多いし、史実に基づくフィクションということで期待値が高過ぎたのか。章の中での昭和と令和の短いスパンでの交錯具合が読みづらく、推進力に欠けてそれほど長編でもないのに時間がかかった。
唯一良かったのは「最後の箱根駅伝」を区間ごとに目線を変えて描いた10区間分のレースの描写。そこだけは駅伝小説らしいドキドキを感じた。
終盤の奇跡は出来過ぎな感じだし、神原の選択も予定調和。
結果感涙もなく、作品にも没入できずに終了。
「競歩王」の方が良かったかな〜。
Posted by ブクログ
2024年の今年、箱根駅伝はなんと100回目を迎えました。そんな第100回箱根駅伝を盛り上げたい、との思いから企画され書き上げられたコチラの一冊。
そもそも箱根駅伝って「関東学生陸上競技連盟」という学生たちが運営する団体が主催していたんですね。学生たちの手によって開催されていたとは、知りませんでした。そんな箱根駅伝の100年の歴史の中には「幻の大会」と呼ばれた大会があったそうです。
第二次世界大戦中、中止を余儀なくされた箱根駅伝。しかし戦争へ徴兵される前に、死ぬ前に箱根を走りたい…そう願う陸上部員たち。戦時中にも関わらず、なんとか開催しようと尽力する学生たちの熱い思いが随所にあふれていました。
タスキメシシリーズとはまた一味違った、歴史の重みを感じる駅伝小説でしたね。