額賀澪のレビュー一覧

  • 願わくば海の底で

    Posted by ブクログ

    東北地方沿岸部の高校で過ごした菅原晋也の3年間を彼に関わった上級生や同級生や後輩たちが、彼と過ごした日々を語る。

    美術部に入部した彼は、飄々とした性格だが大切なものほど失くしてしまうという悪癖に悩まされていて、第一話からその発端を窺わせる内容だった。
    第二話は、会食恐怖症を暴く。
    第三話は、彼の才能を羨ましく思う後輩と美術教師。
    第四話は、彼の姿がない大学。
    第五話は、彼がいなくなったあの場所で…。

    菅原晋也ともっと一緒にいたかったのに…と誰もが思っただろう。
    才能のある不思議な彼。
    いなくなったことも認めたくない…と。
    だが彼はいないという現実。
    それでも彼がいたあの頃を誰もが覚えている

    0
    2025年08月23日
  • モノクロの夏に帰る

    Posted by ブクログ

    戦後80年。
    80年という節目を感じながら読もうと思ったが、終戦記念日なんぞとっくに過ぎていた頃に読むことになってしまった…。
    自分がこの世に生まれ成長し今に至るまで、どれだけの戦争・紛争が起きているのだろう?またどれだけの天災も起きているのだろうか?

    5編からなる短編集は軸となるAIで彩られた資料集『時をかける色彩』。
    ここで思い出したのは、地元の資料館(東京大空襲・関東大震災の遺物が遺されたところ)を、小学校の時に授業の一環で行ったこと。第三章の『平和教育の落ちこぼれ』に出てくる守美のように、凄惨であり目をつぶれば瞼に戦禍が蘇るトラウマと恐怖に慄いた記憶が蘇った。
    目をつぶりたくなるよう

    0
    2025年08月19日
  • モノクロの夏に帰る

    Posted by ブクログ

    8月15日で終戦からちょうど80年を迎える。
    殆どの日本人が戦後の生まれとなった今、
    太平洋戦争をはるか遠い昔話と感じる人も少なくない。
    戦時下の写真はモノクロばかりで、灰色がかった光景はどこか「歴史上の出来事」のように感じさせる。

     戦時中のモノクロ写真をカラー化した『時をかける色彩』という写真集をきっかけに様々な立場の人達が戦争を自分に一歩近付けて考えるという5編からなる連作短編集だ。
    どの編も考えさせられるものがあり、特に書店員飛鳥の『時をかける色彩』のポップには心に刺さるものがあり読み応えのある1冊だ。
    登場人物の名前に色が入っていたり、普通からちょっとはみ出したそれぞれの主人公達の

    0
    2025年08月14日
  • モノクロの夏に帰る

    Posted by ブクログ

    戦時中などの写真に色をつけた「時をかける色彩」と言う写真集をめぐる連作短編集。
    年齢も住むところも違う様々な環境の人たちが「時をかける色彩」に触れることにより、戦争とは何だったのかを問いかける。
    戦後80年。
    もう太平洋戦争を直接語れる人は、ほとんどいない。
    それでも数年前に比べて、当時の様子を語る人が増えて来た印象を受ける。
    作られる作品も現実に忠実なものがある一方、ある意味、戦争に意味があるのかと反戦のメッセージが含まれてるものも出て来た。
    どちらも間違いじゃないし、それを比較することで、今作中にもあるが、「戦争を二度と起こしてはいけない」ってしか言えなかった自分が少し恥ずかしくなってくる

    0
    2025年08月14日
  • 読書感想文が終わらない!

    Posted by ブクログ

    夏休みの小学校の図書室。宿題の読書感想文を仕上げたい小学生が訪れます。そこにいたのは、謎の中学生フミちゃん。悩める小学生たちに、本をすすめ、書き方をアドバイスします。
    さまざまな思いをかかえる小学生たちが、フミちゃんのアドバイスを聞いて、原稿用紙に向かいながら、それぞれの自分の気持ちと向かい合っていきます。

    感想文の書き方のハウツー本かと軽い気持ちで読み始めましたが、大間違いでした。
    かつての私も、この物語の一小学生のように、優等生的な結論でまとめておけばいい、という考えで書いていましたが、ここで書かれた感想文は、まさに日記のように気持ちを伝えていて、ホロリとさせられました。
    子どもたちにぜ

    0
    2025年08月14日
  • 天才望遠鏡

    Posted by ブクログ

    5つの短編。どれも良かったけど、好きな順に並べると、物語や主人公の考えに引き込まれたのは『エスペランサの子供たち』。『妖精の引き際』を見守る幼馴染も良い。馬に任せられた問題児、『カケルの蹄音』。かつての天才中学生棋士、『星の盤側』。天才とは何かを語る『星原の観測者』。

    多々良について、もっと知りたい。

    0
    2025年08月13日
  • サリエリはクラスメイトを二度殺す

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    好きになれそうだったキャラクターから死んでいく。苦しい。
    「三度目なんて、ごめんなんだ」 最後の台詞を読んで本を閉じた後に目に入るタイトル。題名付けのセンスが逸脱している……

    0
    2025年08月09日
  • 天才望遠鏡

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    天才になれたらな、なんて、幼い頃はよく思っていた気がする。でも確かに、天才なんて勝手に周りが呼び始めるのだ。周りが囃し立て、才能ある者を天才として作り上げる。本人が天才を背負うことの大変さも考えず、プレッシャーに押し潰されてしまうことだってあるかもしれない。もしそうなったときには簡単に忘れて、次の天才探しを始めてしまう。無責任だと思うけれど、自分もそれに乗っかってしまっている一人だと思う。

    才能が開花したのが遅ければ、それを見つけてもらう機会がない。才能を伸ばす経済力がなければ、それを諦めるしかない。たとえ才能があったとしても、タイミングや環境、誰かとの出会いなど、いろいろなものがうまく重な

    0
    2025年07月31日
  • 夜と跳ぶ Re:東京ゴールデン・エイジ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    またしても事件だらけで、今回こそ丈太郎の生死を心配してしまった。
    お互い家族以上の大切な存在になっていて、
    このご時世他人に拒否されるとあっさり身を退いてしまうけど、それでも丈太郎は側で撮り続けてくれる。その安心感はとてつもないだろう。
    続きがあるのか?第三弾も期待!

    0
    2025年07月31日
  • 光が死んだ夏 2 特装版

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    額賀澪による「光が死んだ夏」の小説版の第2巻。モクモクれんの同名コミックスのノベライズ。2025年にTVアニメが放送されます。佳紀はナニカと入れ替わった親友のヒカルと一緒に行動するが、村の中では次々と奇怪な事件が起こる。小説も謎解き編に突入です。コミックを読んでいるので内容は知っていますが、表現方法が変わると感じ方が変わって楽しいです。絵のインパクトも最高ですが文字のじわじわくる感じがホラーやミステリーには合っている気がします。小冊子の光のお墓の話や田中の話も良かったです。というか田中、やっぱり良い奴…。

    0
    2025年07月29日
  • 願わくば海の底で

    Posted by ブクログ

    菅原晋也という男子高生の日常の出来事について、彼に関わる周囲の人たちからの視点で描かれた作品。
    中心となる菅原晋也について、当人視点で描いていないところが面白かった。この表現の仕方のおかげで、自分も菅原晋也に思いを馳せる1人になれた気がした。

    読んで感じたことは、思いを馳せることの偉大さ。
    大切なものを失った人たちが、そのものを思い出し、祈ることは、できた穴を修復していくように思えた。完全に塞がることはないけれど、自分や相手を少しでも納得させていく行為なのかなと感じた。

    0
    2025年07月27日
  • 夏なんてもういらない

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    いま理解できなくても考え続けること、想い続けること、いつか分かり合える日が来る。
    柑奈がライバルなのかと思いきや、後半では悪態つきながらも友達になっていて微笑ましかった。

    0
    2025年07月25日
  • 読書感想文が終わらない!

    Posted by ブクログ

    私は子供の頃から本を読むのが好き
    でも
    読書感想文を書くのは全くダメ
    上手く書けた事がない(いまだに…)

    本との出会いから
    少しずつ紐解かれて
    それぞれが自分の心の中の声に気付く

    こんな本と当時出会っていたら
    私ももう少しちゃんと感想文が書けたんじゃないかと 今更思う

    大切にしたい1冊となった

    0
    2025年07月23日
  • ほろよい読書

    Posted by ブクログ

    お酒にまつわる5つのドラマ
    主人公の年代や特徴が様々でよき
    私はは最後の「bar きりんぐみ」(柚木麻子さん作)がいちばん楽しく読めました。

    0
    2025年07月19日
  • 夜と跳ぶ

    Posted by ブクログ

    元メダリストのスポーツ少年と、中年カメラマンのスケートボードの話です。
    スケートボードを通して、予想外のいろいろな事件が次から次へと起こり、面白くてサクサク読んでしまいました。
    続きがあるようなので早く読みたいです。

    0
    2025年07月16日
  • 転職の魔王様3.0

    Posted by ブクログ

    年はとってるけど自分も考えさせられることが多いです。「それは組織が個人に甘えているだけです」は刺さりました。ほんとそうって思います。未谷さんのかつての上司が登場したの驚き。来栖さんなんだかんだ考えてくれてる?もうこれで終わりかな…。

    0
    2025年07月13日
  • 転職の魔王様

    Posted by ブクログ

    ちょうど転職活動をしているときに読んだ。自分も転職エージェントを利用していて、エージェントから見れば自分はお客さんじゃないけど、でも少しは私のこと知ろうとしてくれているかなという気持ちになった。自分のことは自分で決めてください。大人なんですから。のセリフが何度も出てきて、その度にあぁそうだよなぁぁぁと思った。知ってるけど誰かにこの道が正しいですって言ってほしい。、何回でも転職していいし、将来を見ていれば目の前の状況の捉え方も軽くなる気がした。
    キャラクターが強いからドラマ化される前に読みたかったなと思う。想像幅がとても減っちゃった。

    0
    2025年07月12日
  • 願わくば海の底で

    Posted by ブクログ

    1人の少年の話しだとは、思っていたけれど、私の思った感じではなくて、読み始めたら、止まらなかった

    辛い経験は、思い出すことに蓋をしないと生きていけないと思う
    どんなことも、時間が解決してくれると、よく言うけど、表面上は、解決したように見えて、心の喪失感は、解決しないんじゃないかな…

    0
    2025年07月04日
  • 願わくば海の底で

    Posted by ブクログ

    一つ一つの話もテンポ感などがよく読みやすかったかし、全体を通してどういう結末にいきつくのか予想しづらく真実が少しずつわかっていく過程が面白かった。

    0
    2025年06月30日
  • 願わくば海の底で

    Posted by ブクログ

    「願わくば海の底で」
    予備情報なしに読みはじめて
    ほのぼのとした青春の物語かと思っていたら。
    月日がたった今。弔いと祈り。安らかに。

    0
    2025年06月28日