額賀澪のレビュー一覧
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労働観というものについてのクライアントの気づきと再生を描くヒューマンドラマ連作短編集。
また、サポートする CA を描くお仕事小説としての側面もある。
物語は基本的に、主人公の羊谷千晴と各話のクライアントの視点で交互に語られていくが、最終話のみ魔王様・来栖嵐視点の述懐が挿入されている。シリーズ2作目。
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「内定ですか! ありがとうございます」
千晴は受話器を持ったまま、見えない相手に向かって何度も頭を下げる。そしてうれしさを抑えきれない千晴は、通話を終えても電話機を拝んでいる。
羊谷千晴が転職エージェント会社シェパード・キャリアの CA になって丸1 -
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こちらもまたフォローしている方のレビューを読んでのチョイス。
天才高校生作家という触れ込みでデビューしながら既に行き詰まった大学生小説家が、担当編集者から勧められるままなりゆきで競歩の小説を書くことになり、同じ大学の陸上部の練習を見に行くと、そこには箱根駅伝を走るという夢破れ転向した競技で東京五輪を目指す、ただ一人の競歩選手が黙々と歩いていた、という出だし。
五輪や世界陸上で競歩の中継があると必ず観ており、ルールも概ね頭に入っているが、他の種目からの『転向ありきのスポーツ』だとか「人に見られること」が重要なスポーツなのに一人で練習するしかない選手が多く、だから、『所属とか関係なく集まって合宿 -
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多くの具材がタップリと入った、多国籍料理みたいなストーリー。
和風出汁はしっかりと効いていて、味にブレはない。と言った感じで読み終えた。
第一話*同棲している二人の話。途中で「あれ?」同性か、と気付いた。
第二話*保健室登校の女子中学生。離婚した父親との関係が鬱陶しい。
第三話*広島出身、TV局制作スタッフの過去と現在。
第四話*アメリカ人父と日本人母との間に生まれた高校生の息子。日本の文化祭を巡るあれこれ。東日本大震災の時の牛の話まで入り涙。桜太とレオが担任とバトルする会話は小気味良い。
一貫して一冊の本と戦争で一つにまとまる四話。
心に響く台詞が多く、付箋で本が厚みを増した。
☆は4. -
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戦時中のモノクロ写真を、AIを使ってカラー化した写真集『時をかける色彩』
この本を巡る4つの連作
戦争はいつだってモノクロだと、この本を読んで改めて気が付いた。
戦争体験者の話を聞く機会がほとんどなくなった私達は、当時の写真や映像を見ても、心のどこかで「昔のこと」と遠い存在に感じていたのかもしれない。
しかし色のついた写真となれば、不思議と身近なものに思えてくる。
登場人物のひとり、女子中学生・紫帆の言葉。
『モノクロ写真に色がつくことで、自分が生きる世界と太平洋戦争の時代が繋がる。
教科書で学んだ歴史ではなく、自分が当たり前に持つ「昨日」を積み重ねた先にある過去の出来事として、戦争を見 -
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成田凌、小芝風花主演のドラマの原作になったお仕事小説。転職という、ある意味人生の節目に立った人々の葛藤を描く。
転職の理由は人それぞれ。会社の人間関係に悩んだり、過重労働に苦しんだり、はたまた誰かが転職したから自分もと思ったり。
そんな人たちにキャリアアドバイザー(CA)は、どう接するのか。CAにだってノルマはあるだろうし、時には無理やり転職先にねじ込んでしまうこともあるかもしれない。この話の主人公はそういう感じではなく、一見冷たい印象を受けるが、求職者がしっかり現実と向き合って、自分で考え行動するのを待っている。
結果だけを求めることにも、また自分で考えることを放棄していることにも、 -
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あなたの子供時代の写真は『カラー』ですか?それとも『モノクロ』ですか?
さて、これは声に出すと年齢がバレてしまう極めて危険な質問でもあります。世界初の写真は1826年にフランスの発明家・ニエプスという人が撮ったものとされています。目の前のものを写し取るには精密な絵画に頼る他なかった時代に写真という画期的な技術が使えるようになった当時の人々の驚きが目に浮かびます。
その後、1961年に『カラー写真』が生まれます。私たちの目に見えているそのままに記録されるようになった『カラー写真』。しかし、そんな『カラー写真』が一般化するまでに撮られた写真は全てが『モノクロ』の世界のままです。いかにも昔の時代 -
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テレビドラマ化されていた事には気が付きませんでしたが、たしかにテレビ映えしそうなストーリー展開だなと思います。
パワハラ上司のもと、身を粉にして働き続けて体を壊す、という主人公の境遇は、今でも「ありそう」というリアリティを感じさせます。広告代理店を辞めた彼女が叔母さんの警衛する転職エージェント会社で働き、そこで「魔王様」と呼ばれる上司に出合う、というあたりは小説らしい展開ですが、魔王様もその周囲の同僚たちも親近感を持ちやすいキャラクターとして描かれています。
転職をめぐる人間ドラマは、「働く」ということだけでなく、「どう生きるのか」ということを考えるきっかけにもなります。まだ若い社会人や、