額賀澪のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
五人の作家達が、高校生の青春をテーマにしたミステリーです。
初めてアンソロジーという作品を読みましたが、それぞれの作家さんの色が出ていて、面白かったです。今までの作品から出てくる雰囲気や構成が滲みながらも短編に仕上がっていて、1つで5つの味を味わえました。
「その爪先を彩る赤」 武田綾乃
演劇部で使われていた赤い靴が行方不明。果たして何処へいたか?
主に女子高生を中心に描いていて、生き生きとした表現にアニメを見ているような雰囲気や元気さが伝わってきました。
「東雲高校文芸部の崩壊と殺人」 斜線堂有紀
軽度な犯罪かと思いきや、殺人事件が発生。果たして犯人は?
サスペンスを得意としている斜線堂さん。ガッツリと本格的で、短編集ながらもドンデン返しや高校生たちの繊細な心理描写が描かれていて、満腹感がありました。
「黒塗り楽譜と高校生」辻堂ゆめ
合唱の練習中、途中の譜面から黒塗りになっているのを発見。果たして誰がやったのか?
伏線の回収が絶妙な辻堂さん。今回も何気ない行動が、後に大きな意味を持っていることに実力発揮されている印象でした。「負」の状況になりながらも、前に明るく踏み出そうとしている表現や雰囲気が良かったです。
「願わくば海の底で」 額賀澪
東日本大震災から5年後。あの日の祖父の足取りが知りたいという三浦。色んな所で証言を聞いていると、ある隠された事実が見えてきます。
この作品の中では印象深くて、心に刺さり、さらに重い気持ちながらも良かった作品でした。登場人物の心理描写が丁寧で、思いの丈をぶちまけるシーンが読者の心を揺さぶりました。
「あるいは紙の」 青崎有吾
最近何度か見かける高校内での吸殻。誰が吸っているのか、あの探偵が登場します。
「〜の殺人」シリーズの裏染天馬の推理が華麗で、披露する人は異なっていますが、着々と犯人に追い詰めていく過程が面白く、短編では短すぎる。もう少し読みたいと感じてしまいました。
一人一人の作者さんの特色が詰まった作品で、軽いものから重めな話まで面白かったです。 -
Posted by ブクログ
…
粒ぞろい、とはこのこと!
全5編、どれも楽しく読めました。だいたいアンソロジー読むとその中から気に入った作家さんのを見繕って2、3冊買ってしまうんだけど…さて…
「その爪先を彩る赤」武田綾乃
出ました百合ミステリ。あ、百合って部分ネタバレだけどいかにもな疑似餌だからそれくらい大丈夫だよね? 素敵なペアリング、そしてこのテーマもほんとうに放課後にしっくりきていて。開幕にばっちり。
「東雲高校文芸部の崩壊と殺人」斜線堂有紀
念願の斜線堂さん! 思っていたとおりというか、なんというか。文庫が…待てなく…なる…
「黒塗り楽譜と転校生」辻堂ゆめ
片想い探偵のひとね。もう少し上の年代だと思ってた…90年代すごいなー黄金世代か?
気持ちいい、短編。
「願わくば海の底で」額賀澪
いちばん重くて、その分いちばん印象に残った一編。甘酸っぱくて脳天気な放課後から始まる関係性というのが、ずっしりと響いてくる。使いかたである。
「あるいは紙の」青崎有吾
はいはい安定(笑
いやーこの冬は楽しい読書の冬になりそうで。もっと読みたいから☆4。勝手か。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ映画があることを知らずに読みました。
内容的には、若い人が読むものかなとは思いましたが
自分にも問いかけたくなる部分があります。
18歳の夢と希望にあふれた自分が31歳の自分を見て
ガッカリする・・・。
果たして自分はどうだろう?と考えさせられました。
きっと18歳の私もガッカリするんだろうな、と
思ったときに、たとえ理想の大人にはなれていなくても
自分なりに頑張って充実した生活を送っているよと
言えるようにならないとなと思える1冊でした。
久々の読書だったので、次は長編読みたいかな。
薄かったので通勤電車だけでも1週間で読めました。 -
Posted by ブクログ
積読してた本を片っ端から読もうシリーズ34冊目。
久しぶりの額賀澪さんの作品。
テーマが良かった!
とある小さな島で受け継がれていく伝統や文化。
伝統を大事にし古い考え方に囚われがちな世代と、
伝統のこれからの在り方や意味に疑問を持ちながらも
しっかりと向き合い自分たちなりの答えを出そうとする若い世代。
世代間の価値観の違いや
親と子の間で交わされるやり取りは、
きっと本書のテーマになったような特殊な伝統だけではなく
深冬の家業の農家のように様々なところで起きていることだと思う。
けれど、ありきたりなテーマでそれを語られたら
多分印象には残らない話になっていた。
この独特な世界観が良かった。
イメージとして、映画「君の名は」で
三葉の家が代々引き継いでいた神社の家業みたいなカンジだろうか。
エピローグがちょっとだけ長かったけど、
ラストは爽やかな読後感でした。 -
Posted by ブクログ
兄 眞家早馬は高校陸上部の長距離走トップ選手だったが、膝の故障のリハビリ中に生物教師の担任の差し金で料理研究部の井坂都と出会う。
怪我を理由に陸上から離れようとする早馬は都に料理を教えてもらうことで心の穴を埋めようとしていた。同じく長距離走選手の早馬の弟の春馬はそんな兄を見て苛立っていた。そして早馬と同級生で陸上部キャプテンの助川亮介も早馬がランナーとして戻ってくることを願っていた。
都との料理を通じて少しずつ自分を受け入れていく早馬。都も早馬と一緒に料理を作ることで自分の心を安定させていた。
早馬が陸上を離れる本当の理由、そして兄の怪我を自分のせいだと思い詰める春馬、仲間として友として早馬の気持ちが痛いほど分かる亮介、そして料理というつながりで早馬の人生に影響を与える都。
高校駅伝、箱根駅伝を舞台にそれぞれの思いが交錯し、陸上へかける情熱やお互いを認め合う気持ちが溢れてくる。
自分の気持ちに正直になれたとき、苦しみも後悔も解き放たれる。 -
Posted by ブクログ
読み終わって、とってもさわやかな気分になった。
後味最高です。
大農家の一人娘、いずれは家業を継ぐように言い聞かせられて育ち、そんな親の考えに反発する深冬。
島の伝統のお祭りで神女になる権利を得るため、島を一歩も出ては行けないという決まりを頑なに守り続ける柑奈。
ある意味似たような環境だけど考え方が全然違う2人は、ケンカばっかり。
島で育った優弥、渚、憲兄ちゃん、どの人物も好感が持てて、その関係性も微笑ましい。
深冬は失恋したけど、素敵な島で素敵な仲間たちと出会い、忘れられない夏になっただろうな。
こんなに色んな意味で強烈な夏を経験したら、『夏なんてもういらない』って思えるのかもなぁ。
キレイな潮見島の風景が目の前に広がるよう。
12年に一度、3日間かけて行われるお祭りも、準備の段階ではあまり興味が持てなかったけど、最後には、ぜひ行って見てみたいと思えた。 -
Posted by ブクログ
もういらないというタイトルと帯に一生に一度の大失恋なんて書いてあるから、ネガティブな話なのかと思ったが、素晴らしい夏だったという話にわたしは感じた。
ただの恋愛小説ではない。
神、伝統、変えられないもどかしさ、逃げ出したい気持ち、変わらない人々、変わる人、人間関係。
正直恋愛は脇役だと思った。昔から受け継がれる伝統を通して、自分はどう受け止め変わっていくのか。はたまた変わらないのか。
深冬の、親への感情や好きな人への気持ち、好きな人が第一で祭りとかどうでもいい、好きな人と一緒にいたい知りたいって思いはめちゃくちゃ理解できました。
恋愛としては成就しなかったけど、みんな一歩前に進めたのでスッキリとした読後でした。
幸せになってほしいな。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ*村山由佳、坂井希久子、千早茜、大崎梢、額賀澪、阿川佐和子、嶋津輝、森絵都―当代きっての人気女性作家8人が「女ともだち」をテーマに豪華競作!「彼女」は敵か味方か…微妙であやうい女性同士の関係を、小説の名手たちが描きだす逸品ぞろいの短編小説集。コワくてせつなくて愛しい物語の世界をぜひご堪能ください*
前半は女同士の執着や束縛が続くありがちな展開でしたが、後半は力量のある作家さんの本領発揮で、一味違う物語を堪能しました。
特に気に入ったのは、森絵都さんの「獣の夜」。最初はハラハラしたものの、パプリカで大笑い出来る、いつでもあの頃に戻っていける、これこそが女の友情の真骨頂ですね。でも、これはひと歳取らないとわからないかも。型に嵌らず反旗を翻す二人がカッコよくて、痛快な物語。 -
Posted by ブクログ
いじめられてから後、一人でいる事を決めてそれを押しとおす。なかなか無い事と思う人もいるでしょうが、僕にはこの気持ち痛い程分かります。いじめの言葉や村八分の空気を全て無視し、実害があるような事が有れば徹底的に抗戦する。彼女とは違いますがそういう風に一人でいる事を主体的に選んだ時、最終的には自分の周りに出来るエアポケットのような孤独です。いじめというのは相手がやり返してこない事を前提にしているので、相手が弱くないと分かった時点で居ない物のように扱われます。気楽ではありますが、心がじくじく血を流すような寂しさがありました。
このような本を書けるという事は額賀さんもあまり楽しくない青春を送って来たのでしょうか。なんとなく親近感。
でもこの「ヒトリコ」ちゃん、絶対美少女でしょう。でないとこういう展開にならないですよね。もてもてじゃないっすか。
すらっとして真っ黒なストレートヘア、多分色白なんでしょう。結局美形には勝てないぜ、けっ!とは思いますが彼女の選択は好きです。潔いし、多数に同調して弱いものを虐げる事に比べたらマイノリティーでいた方が100マシです。