額賀澪のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
額賀澪さんの描く、スポーツと料理を組み合わせた、青春小説。
箱根駅伝の花の二区を走る大学三年生の春馬。
彼を追うのは、かつての高校時代の先輩・助川、ライバル校の藤宮。
駅伝のレースが進む傍ら、物語は4年前の過去へ。
主人公は春馬の一つ上の兄、早馬へと移る。
早馬は高校三年生。陸上部の長距離の期待されるランナーだったものの、右膝の怪我により、陸上部のサポートに回る。
担任、稔の導きで、調理実習部の都と出会い、料理に没頭し始める。
その様子を見ていて面白くないのは、弟であり次世代エースの春馬、そして同級生の助川。
早馬はもう走らないのか?
額賀澪さんを読むのは初。
面白かった!イッキ読みして -
Posted by ブクログ
労働観というものについてのクライアントの気づきと再生を描くヒューマンドラマ。
プロローグとエピローグを除き5話からなる連作短編集。
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『君たちに明日はない』 ( 垣根涼介 ) と比較して、テーマは対局にあるのですが、底に流れているものは近い作品でした。
各話のクライアントたちへの転職についての助言を通し、彼らを「大人」としての自立や仕事に対するスタンスの確立へと導いていくとともに、見習い CA の千晴自身が業務を通して自立と再生を図るという二重構造の構成になっていました。
設定がわかりやすく、軽めのタッチで読みやすいこともあって、まずまず楽し -
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クライミングと向き合う男たちを描いた山岳ヒューマンミステリー。全5章とプロローグおよびエピローグからなる。
◇
高校でスポーツクライミングのインターハイ選手だった筑波だが、ある理由から大学入学後は競技活動はせず、先輩とともに趣味程度の登山でお茶を濁す日々を送っていた。
ある日、高校時代のコーチだった宝田が登山中に滑落死したと連絡があった。
だが、まさに宝田が滑落したと推測される時間に、筑波の携帯には宝田からの着信があったのだ。
はたして宝田の死は事故なのか、それとも自殺なのか。
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額賀澪さんにしては珍しく、プロローグからミステ -
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さらさらと、とても読みやすかった。
青春山岳小説といった感じ。
アスリートの引退後のセカンドキャリアについてもテーマの一つになっていて、興味深い。
個人的には、元フィギュアスケート選手の町田樹さんが講演されているセカンドキャリア問題の本質の話なども思い出して、考えさせられた。
作品の中の岳と穂高が、それぞれの痛みを抱えながら、良い関係になっていくのが心地良い。
やっぱり山岳小説は好きだなぁ。
「日常から離れることで自分にこびりついている余計なものを引き剥がしていくのが登山」「下山するときに引き剥がした余計なものを全部拾い集めて帰る」「そうやってまた日常に帰って行くんだよ」
この辺りが印象的で -
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母親は幼い頃に亡くなったということで、父子家庭として育った周作。28歳になり、結婚を目前に控えていたが、突然父親が脳梗塞で倒れた。今も昏睡状態だったが、倒れる前、父親から通帳を託されていた。誰から送金されたのか?不明のまま倒れたので、周作は父親について調べることにした。
すると、25年前の傷害致死事件にたどり着いた。被害者は周作の母。犯人は母の不倫相手⁉︎病気で亡くなっていたと思ったのに母は殺されていた。
衝撃の事実を知ることになった周作はその後も事件の真相を探っていく。そこで見えてくる本当の真実とは?加害者は今どうなっているのか?
内容だけ見ていくと、ミステリー小説なのかなと思いましたが -
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ネタバレ私も母から「裁縫上手ね」と褒められて服飾専門に進んだ。ずっと服づくりしてきたから、この道に進むのが私のためであり親孝行でもあると信じていた。
それが入学してから思い知った、自分にはなにもない、アイディアもないし情熱もない。才能なんか勿論ない。
周りが輝いて見えて、自分なんかここに居ちゃいけない人間だろうと思えて毎日毎日苦しいだけだった。夢や目標ひとつも捻りだせぬまま4年通い卒業。全く関係のない業種に就いた。惨めで情けなくてしょうがない思い出。
この物語の主人公が、そんな当時の私の気持ちを代弁してくれて少しだけ救われた気もする。
正直いまだに引きずっていたし、自分だけが辛いと思っていたから。
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美大で、自分を探す若い人たちの物語。
圧倒的な才能をもち、人当たりもいい柚木若葉。
頭もよく、見た目も整っている。
入学し、彼と同じ寮に入った後輩の寺脇友親は、そんな彼にひきつけられながらも、違和感がぬぐえない。
何か後ろ暗いバイトもしているようだ。
友親も、家族の中で自分の位置を捕えかねている。
母は再婚したばかり。
義父、義姉と、何とかいい家族になろうと努めてきたが、義姉の手ひどい拒絶を受けた過去がある。
若葉がなぜ今のような空虚を抱えることになったのか。
若葉を追い回し、友親に接近してくる恭子は何者か。
油絵科の先輩、明石小夜子は、高校まで輝かしい受賞歴を持つ実力者なのに、描けなく