額賀澪のレビュー一覧
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前作から、10年ぶりの復活となる本書は、創元推理文庫から2020年に発売された、「書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー」の第二弾で、全て1990年代生まれの作家が書かれているのが特徴ですが、どちらかというと、その若さはあまり気にならず、バラエティに富んだ多種多様な作風を、一冊で体感できた喜びが強かったです。
武田綾乃 「その爪先を彩る赤」
演劇部の失くなった靴を捜索する話で、犯人や動機は分かりやすいものの、その後の探偵に絡む、謎解きの細やかな伏線が見事だと思いましたし、そこに潜んでいたのは、探偵と「僕」との間における、稀少な価値観の共有で、こうした自分を認めてくれるような喜びは、学園生活では、やはり大切ですよね。
斜線堂有紀 「東雲高校文芸部の崩壊と殺人」
武田さんの、明るい雰囲気の話の後だけに、余計に衝撃的に思われて、犯人探しや事件の謎以上に、後味の悪さが凄まじく、おそらく、大人の全く介入しない状況もそうさせたのかもと思うと、学生たちの持つ視野の狭さに、思考能力の限界や恐ろしさを感じさせられて、もはや狂気的ですらある。問題作。
辻堂ゆめ 「黒塗り楽譜と転校生」
ミステリの要素に、やや専門性を感じられたが、合唱コンクールを絡めた清々しい物語には、これぞ青春といった気持ちの高まりを覚え、最初まとまらなかったけど、やるときはやるといった、かつての私の中学のクラスの雰囲気を思い出しましたし、謎の答えについても、同様の青春が滲み出ていて、この時しか体験出来ないことの素晴らしさを、実感いたしました。
額賀澪 「願わくば海の底で」
まさか、こうしたアンソロジーで、東日本大震災を題材にしたことに驚き、その筆致も、当時の哀しみだけでは表せないような、複雑で繊細な哀しみを、こと細かく表現しており、『その《潮時》を無理矢理踏み越えてきた』等に感じ入るものもありましたが、ミステリ要素も、最後の最後にどんでん返し的に入っており、しかも、それが見事というのが適切なのかどうか分かりませんが、皮肉にも、震災と絡んでいるからこそ成立するような、叙情感や喪失感に、諦観めいた悲しみ、そして、人として、どうあるべきだったのか? そんな事を考えさせてくれました。
青崎有吾 「あるいは紙の」
最近フォローしている人達の間で盛り上がっているのを、私は素知らぬ振りをしつつ、秘かに気になっていた方で、まずは短編をと、お試し感覚で読んでみたら「裏染天馬」シリーズで、しまったと思ったが、どうやら番外編的な感じでもありそうで、主役は「クラーク・ケント」の彼だったが、「向坂香織」とのやり取りに青春のもどかしい切なさがあったり、天馬とのやり取りの素朴さ等、まず物語としての面白さがあっての、最後の謎解きは渋いながらも効果的だったし、それは、向坂自身の思いの詰まった、彼女自身の存在意義を証明したようでもあって、彼の為したことの大きさを実感させられた終わり方は、とても素敵で、このシリーズにより興味を持ちました。それにしても、青崎さんは時代もの好きなのかな。
以上、五つの短編を読みまして、いくつかの作品で印象的だったのが、この年代特有の、本音を素直に言えなかったり、自分の想定以上の意地を張ってしまうといった、そのもどかしい感情に苦しむ姿であり、これこそ青春に付きものなのかもしれませんが、おそらく実際にどうすれば良いのか、本人自身、分からないのでしょうね。
しかし、そこを試行錯誤して乗り越えていくことが、大人へと成長していく、一つの要素なのかもしれないと思うと、これらの物語には、そうした成長への願いが込められているようにも感じられて、私の中のどこかで、アンソロジーには単行本に掲載しないような実験的なものや、ちょっとした小品を書いているといった、そんなイメージを払拭してくれた、素敵な作品集でした。 -
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熱いです! 吹奏楽が熱い! 夢と希望に満ち溢れ、活力みなぎる若い時代‥そう、アオハルです! 大切な仲間と苦楽の時間を共有し、その初々しさが濃密に描かていて‥。そうです、青春は〝密〟なんです!(何処かで聞いたな)
受験、オーディション、家族‥、生徒も指導者も苦悩し葛藤しながら、進むべき道を自らに問い続ける物語です。こんなに大変でも、一途に困難に立ち向かう姿に感銘を受けます。一人一人の登場人物が生身の人として描かれ、それらの感情と奏でる音楽が絡み合い、共鳴・調和し、その響きが読み手に大きく伝わる描写です。まるで演奏後の拍手喝采のように、胸が打たれる読後感です。ブラボー! ぜひとも多くの中高生に読んでほしい一冊です!
本書のレビューから逸れますが、ここ3年ほどはコロナ禍もあり、中高生の部活動に携わる皆さん、指導者、保護者の方々には、新たな乗り越えるべき多くの壁に直面したことと思います。
少なくとも、部活動に青春を賭けた中高生には、大会のある・なし、結果だけで、3年間の部活動の価値を決めないでほしいと、心から願います。頑張ったことそのものが、必ず活かせる場面がきっとくるはずですから。(あー、なんか偉そう‥。何様?)
吹奏楽コンクールの課題曲は、マーチが多いそうですね。よく考えたらマーチは行進曲だから、前を向くための曲なんですよね。いやー、若いっていいなぁ‥。
全国の中高生諸君、頑張れー! -
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多分「タスキメシ五輪」が発売されたことをきっかけに平台にあった今作。
この前の作品の存在を知らずに、読んでしまったが、今作からでも十分に面白かった。
前作からの引き続きの登場人物であり、紫峰大学の駅伝部の栄養管理士兼コーチアシスタントの眞家早馬と、紫峰大学駅伝部主将の仙波千早の二人の目線で物語が描かれる。
箱根駅伝初出場を目指す千早たちと、怪我で思うようなランナー人生を送れなかった早馬が食事を通じて、本気で箱根駅伝を目指していく。
序盤は千早の早馬への得体の知れない悪意のようなものが理解出来なくて、イマイチかと思ったが、後半100ページ弱で描いた箱根駅伝の様子は圧巻だった。
他の駅伝小説よりも圧倒的にページ数がないのに、10区それぞれの選手の熱い闘い、走りが伝わって来て、涙なしでは読めなかった。
紫峰大学のモデルが筑波大学であることは、地元民であれば、すぐに分かる。
その筑波大学の駅伝部監督が解説を書いているのも、凄いし、内容も読みごたえがある。
箱根駅伝の小説と言うと、どうしても「風が吹いている」のイメージがあるので、駅伝とご飯をかけるのはどうかと、最初は読むのをためらっていたが、ちょうど箱根駅伝を5日後に控えたこの時期に、この作品に出会えたことはすごく良かったと思う。
物語のラストはコロナの世の中に突入。
綺麗ごとだけで終わらないラストが、他の作品も読みたくさせる。 -
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息子が中学から駅伝をしていて、中3の時初めてレギュラーメンバーになり、地方大会で一位になり、コロナで全国大会が中止になった息子父です。
前作から、読んでますが、こんな素晴らしい作品に、コロナな話題を絡めないで欲しかった。
エンターテイメントとして楽しんで読んでいるし、素晴らしく楽しい作品なのに、新型コロナの話を終盤から匂わせ、エピローグで、主張しています。そんな事しなくても良くないですか?コロナでくじけた私達には、厳しすぎます。
エピローグさえなければ、一生大事にする本だと思いました。
作品に自信を持ってもらいたいです。時事問題とか絡めなくても、貴方の作品は素晴らしいと思います。
人生で一番泣いた本です。
ありがとうございます。 -
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一冊の本をもとに,それぞれの登場人物が,戦争について,どう考え,どう行動するかを考える連作小説。
第一話「きみがホロコーストを知った日へ」
第二話「戦略的保健室登校同盟」
第三話「平和教育の落ちこぼれ」
第四話「Remember」
作中作の『時をかける色彩』という,戦前戦時中のモノクロ写真をAIでカラー化するプロジェクトが組まれ,それを写真集化したものが出版された。
第一話では,主にカリスマ書店員の,第二話では保健室登校をする女子中学生二人の,第三話では広島出身のテレビディレクターの,第四話では日本の高校に転入してきた,アメリカ人と日本人のミックスの高校生の,それぞれの視点と立場で,戦争について模索していく小説。
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様々な立場の人物を,それぞれの物語の主人公に据えて展開していく話は,額賀さんの作品には多いが,よくもまあこれだけ多視点で……と驚かされる。
おためごかしのように「戦争はするべきではない」「戦争の悲惨さを次世代に伝えねばならない」というだけではなく,それぞれの人物が戦争についてどう悩み,真摯に向き合って考えたのかを,心情にそって読み進められる作品だった。 -
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箱根駅伝までもう1ヶ月ちょっと!
毎年この時期が来ると三浦しをんさんの「風が強く吹いている」が読みたくなります。
…と今年は本書を見つけ、こんなの見つけちゃったら読まずにはいられないでしょ〜と即購入。
そっかそっか…タスキメシ!というくらいだからメシ主軸?と思わせる前半。
箱根を目指すランナーの熱い青春群像劇を想像していたので、あっ、思っていたのとちょっと違う…走りも料理もどっちつかずな感じが余計そんな思いに拍車をかけてしまったか?
いやいや…後半も後半、走りも料理もいい感じに熱くなってきた!
どっちつかずが一つになってきた!
泣けた!
箱根駅伝…どの大学にも、どのランナーにもそれぞれの背景がある。
走りの裏にある背景を、アナウンサーから語られる背景を勝手に想像して膨らまして彼らが今どんな想いで走っているのか、どんな想いで給水を手にして走ってくる仲間を迎え入れようとしてるのか…考えただけで心がじ〜んとしてしまう。
まさに青春!
いや〜彼らからしてみたらたくさんの犠牲と引き換えに手にした特権でしょうから「青春」の一言で括ってしまうのはいけない気がします。
実際のランナー達はこちらの想像が追い付かないくらい過酷、挫折、苦しみ、痛み、悲しみ、嫉妬…それを全てチャラにしてくれる喜び、たくさんのたくさんの感情を乗り越えて走り続けたり、諦めたりしているのでしょうね。
本書を読む事でそんな彼らに少し寄り添えた気分になっています。
後ひと月の間に是非「タスキメシ箱根」読まなくては!
どんな時も食べるって大事ですね! -
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第二次世界大戦中の写真をAIを使ってカラー写真にした写真集、この写真集から様々な若者が繋がっていく。
日本が戦争していたことなど遠い昔のこととして捉えているであろう若者たち。
そんな若者たちに読んでほしい1冊だ。
モノクロでみている戦前の写真だからか、昭和の前半は暗い時代として捉えてしまっている。しかし、この時代だってちゃんと色があって笑顔ももちろんあったのだ。だからって平和ではなかったけど、人々は懸命に生きていたんだと改めて認識した。
歴史、特に国と国との争いの歴史はそれぞれの国によって見方は変わる。そのことをきちんと認識することが一番大切なのではないかと思う。
そして一方に偏ることのない理解ができる人間にならなければならないと思う。中々難しいけれど。
東日本大震災、LGBT、人種差別等々、様々な現在の問題も盛り込まれていて内容は盛り沢山だ。
だからこそ若者にも、そして色んな世代に読んでほしい。 -
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ネタバレ若いから、知らないから綺麗事で済ませて良いのか?
第二次世界大戦中のモノクロ写真をカラーにした本を中心に、それぞれの人達の視点からの戦争への想いを綴ったオムニバス短編集。
色々刺さりましたが、一番はラストの「remember」。
アメリカと日本のミックスの少年・レオ。親の仕事の都合で日本の高校へ編入したが、日本人は自己主張しすぎるのを嫌うから、おバカなフリをするってのは何となく解る気がしました。そして、原爆についてのアメリカと日本の解釈の違い。歴史はそれぞれの国の視点で大きく変わるってのも痛感させられました。
クラスメイトから浮いていた桜太は福島の原発によって移住した一人。その話もとても刺さるものがありました。
読み終えた後、ふと考えてしまう、そんな一冊でした。 -
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私がずっと大好きな脚本家に坂元裕二がいる。彼のドラマでずっとテーマになっているのは、「血がつながっていれば家族なのか?」ということ。血がつながっていても「家族」とは呼べない関係もあるし、血がつながっていなくても、たとえば一緒にご飯を食べた回数だけ、家族に近づいていくということもある。本著を読んで、改めてそれを考えさせられた。
読み始めはミステリー風味で、完全に癒しを求めて読み始めた私は、あれ、ちょっと違ったかな?と思ってしまったのだけれど、読み終えてみれば、まごうかたなき「家族小説」だったなと。
ちょうど休日のお昼ご飯に、『きのう何食べた?』のケンジの味噌ラーメン(サッ○ロ一番。野菜たっぷり!)を食べたあとに読んだのだが、この本を読むと今度は塩ラーメンが食べたくなる!
『泣いた赤鬼』をほんのり思い出したが、青鬼さんも幸せになれたようで嬉しかった。 -
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天才高校生作家としてデビューした小説家の忍が出会った競歩選手の八千代篤彦。小説家としてデビューしてから徐々に部数を減らし行き詰まっていた忍とオリンピックを目指しながらもタイムが出ない篤彦。お互いのなかに自分を見、共感するようになって協力していく二人。小説家を競歩を続けていく難しさや苦しさを認め合いながら、競歩を題材に小説を描く覚悟を決めた忍とその思いを知った篤彦の二人の気持ちが臨場感たっぷりに描かれている。競歩のルールや難しさ、面白さが忍と篤彦のやりとりから存分に伝わってくる。夢見たものとは違うところで始まったものがいつしかそれが夢そのものになっていて周りの人を巻き込んで大きな力になっていく過程にグッとくる。競歩選手の小林快さんの解説も素晴らしくて解説も含めてひとつの作品になっていると思う。
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「家族から離れる」事のお話
何とも説明がしにくいので、公式のあらすじを貼付
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美大合格を機に上京した友親に、やさしく接する先輩・若菜。しかし、二人はそれぞれに問題を抱えており――みずみずしい青春の日々。
恋をした。とても悲しい恋を。
美大に入学したての友親は、知り合った先輩の若菜と親交を深めるうちに、自らの中にある問題に向き合うことになる。一方、若菜も心に傷と秘密を抱えていて……。友親の前に現れた少女・恭子は何を知っているのか。かつての悲恋、家族との軋轢、才能への渇望と絶望――美大生たちがすごす、瑞々しくも痛切な日々を描いた、額賀澪の青春小説。
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子連れ同士の再婚でできた新しい家族って難しいでしょうねぇ
特に子の立場や新しい親との接し方とかね
新しい家族というイメージを皆が共有できればいいんでしょうけど
どんな年齢であれ、反発する気持ちや家族から距離を置く気持ちはあるだろうし
それを飲み込むかどうかも人それぞれ
私の実体験として
子連れのシングルマザーとの結婚で上手くいくかどうかは、子供がどうやってどこまで新しい環境を受け入れるかなんだと思う
この物語では二組の再婚家族が描かれているけれども
家族を統合しようとする子と離れようとする子どっちもいて
親目線としては自分の連れ子であれ相手のの連れ子であれ、子供の本心をちゃんと理解してあげなきゃいけないのでしょうね
でも、それが中々難しいんですよねぇ……
まぁ、私の場合は娘に助けられましたねぇ
そして今もね
ストーリーの本質は違うけど、設定のところどころに羽海野チカっぽさを感じる
美大、才能があって何故かお金を稼げるバイトをしている不思議な存在の先輩、母の再婚による義理の父親とのあれこれはハチミツとクローバー
義理姉とのあれこれは3月のライオン
あと、終盤の明石小夜子と対峙するところは、戸田誠司のマンガ「説得ゲーム」を思い出した
作中でも友親自信が自覚している通り、言葉が一般的な事ばかりで薄っぺらい
そんなんで説得されるかぁ?と思ってしまう
それに対して、若菜さんの行動がちょっとぞくっとした
この人ならそうするだろうなという感じと、あの言葉をかけるために三宅先生との設定があったんだなぁと思った
主人公の二人は家族との関係で悩み
一人はかけがえのない人に出会って失い、もう一人はそんな経験をした彼に出会う
涼もそんな誰かに出会えればよかったのでしょうけど
まぁ、あそこまでさせたのは友親が原因でもあるんですけどねー -
Posted by ブクログ
高校の吹奏楽部のお話
松本清張賞を受賞したくらいの作品なので、あらすじは割愛
ストーリーとしては、過去の自分からの脱却や失敗した事への悩みながらの再挑戦というのが描かれていて、青春小説としてはよく出来ている
まぁ、結末としてもリアルだしね
若い頃の人間関係の悩み
誰かの庇護下にいるからこその不安感、過去の失敗に囚われて自分の本心を出せない悩み、誰かを庇護することが自分の使命と思い込むとかね
文庫の表紙は明らかにラノベ風だし
読者の対象層としてはそっち向きの方が合ってると思う
吹奏楽ものとしては、上位の大会出場を目指す部活を取り扱った小説として、「吹部!」(赤澤竜也)、「ハルチカシリーズ」(初野晴)、アニメなら「響け! ユーフォニアム 」は履修済み
なので、東日本大会がどんな位置づけなのかとか、A部門とかB部門とかどの程度の難易度なのかという知識はあるつもり
ま、元々の知識がまったくないので何とも信頼性がないのだけれども、奇跡的な事が起こるわけでも偶然性が重なるわけでもなくリアル路線の展開ということでよいのではなかろうか
「あんた経験ないもんね。頑張って頑張って、汗水垂らして練習して、それでも思った通りにいかないなんて」
という言葉を読んではっとした
私自身も、涙がでるほど悔しがった経験ってこの歳まで生きてきてなかったかもと思い知らされる
もしできない事があったとしても、自分には「こんなものだ」とどこか諦めの感情を抱いていたように思える
うーん、私の向上心のなさはこんなところの起因するものなのでしょうねぇ
さて、「拝啓、本が売れません」で触れられていた「キャラが弱い」という件について
特にキャラが特別弱いとは思わなかった
主人公の二人、給前志音、日向寺大志に関しては、女性なのに一人称がおれだったり、人たらしのように思えるけれども気になる過去の失敗とか特徴はあると思う
でも、同じ吹奏楽部を取り扱った作品と比べると弱いかもとも思える
「吹部!」は先生の自由奔放さと独善的なところが面白いし、ハルチカシリーズは主人公どころか周囲のキャラまで特徴的だし、ユーフォニアムもメインの人たちはクセが強いなぁと思えるキャラだしね
それらに比べると、やはり弱いとも思うけど、その辺は作品としてリアリティのチューニングをリアル寄りにしているだけだとも思える
多分、「キャラが弱い」と感じるのは人物描写が少ないからではなかろうか?
名字なのか名前なのかわかりにくく、男女を間違えそうな人名だとか(特に土子先生)
容姿や各キャラクターの性格を想像できる描写が少ないように感じた
なので、追加情報があるたびにイメージしていた人物像がブレブレになっていった気がする
例えば、土子先生は最初はそこそこ若い女性だと思っていたけど、途中で男だとわかり、退職云々のあたりでは結構年上なのか?と疑問に思った
容姿の描写も殆どないので、わかりにくかったですね
本質ではない部分は読者の想像に委ねるという小説のテクニックがあるけど、最初にある程度の想像ができる情報は欲しいですね