あらすじ
――「売れる本」は作れる!!――
「松本清張賞」「小学館文庫小説賞」をダブル受賞してデビューした新人作家が見た「出版不況」の現実。それは厳しくも、決して暗闇の中にあるものではなかった――。
「売れる本」はどうやったら作れるのか――小説を書く作家自身が、本が読者の手元に届までを支える編集者やデザイナー、実際に売る書店員、本を売り伸ばす施策を考えるWEBコンサルタントらに取材して見えた答えは?
単行本「風に恋う」発売を前に、刊行された本書は、出版社の壁を越えて、発売前の新作を先取り公開。「売れる本」のために、考え、動き、でた結果とは。
実際に『風に恋う』をヒット作として成功させた著者が、発売から二年半経った現在についてまでを書き上げた異例のノンフィクション。
※この電子書籍は2020年7月刊行の文春文庫を底本としています。
2018年3月にKKベストセラーズから刊行された単行本とは、一部内容が異なります。予めご了承くださいませ。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
2022/5/8
売れる本を作るためには一体どうしたらいいのかという、出版社や本の原作者にとっての永遠の課題となるこの問いを、著者が自らが色々と検証していく、出版業界の裏側や、本が書店に並ぶまでの細かな過程、書店に並んでからの本の扱いについてなど、出版というものの全体について知ることができるものです。
出版業界で使われる用語も丁寧に解説してくれていますし、著者の自らの出版経験がベースとなって実際の資料なども使いながら、どういう形で本が出版されるのか、出版された後重版になるにはどうなったら良いのか、文庫と単行本の違いは何なのか、帯コメントの書店員のコメントなどがどうやって集まるのか、そもそも小説ってどのようにしてできあがっていくのか、ライトノベルと文芸の違いって何?など、言われてみれば確かにどうなってるんだろう?みたいなことが丁寧に解説されています。
業界の流れを詳しく知ることができると思います。
Posted by ブクログ
どうやったら本が売れるのか。本作りに関わる様々な人たちを巻き込んで試行錯誤していく。
読んだことのある本のプロットを見れるのも新鮮で、ここからあの物語に発展していったのかと思うと面白かった。
最後の一文には元気がもらえる。
本が売れ、本屋も残って、これからも面白い物語がたくさん紡がれる世の中であってほしい。
Posted by ブクログ
デビュー間も無い著者が自分の本を売らなければ!!と泥臭く、汗臭く駆けずり回る。
RPGを観ているような感覚でスラスラ読めました。
作者の毒がいいスパイスです。
Posted by ブクログ
本を売るにはどうすればいいのだろう?という疑問から、本に関わる人達にインタビューを試みた本。結局は「面白い小説をつくる」が答えではあったけれど、色々と収穫のある話が聞けた。
ライトノベルというカテゴリは電車の行先表示のようなもの、ものが売れるのは誰かが人に薦めることによって起こる、映像化のボーダーラインは30万部、新潮文庫nexではCMYKにくわえて蛍光ピンクを加えることで人物の肌色を鮮やかにしている、などなど…。
単行本には新作の冒頭が載っていたらしいが文庫版にはなく、代わりにその後の経過も書かれていてこちらも面白かった。この本はかなり売れたらしい。
Posted by ブクログ
「ヒトリコ」「さよならクリームソーダ」の額賀澪さんによる、出版業界と作家を巡るルポルタージュです。
読んでいて感じたのは、「おまけ」で著者自ら述べているのと同じく、「売れたい」という焦りが全面に出ているということ。目を爛々と輝かせ、作家として地に足をつけるべく、目標を立てて取材をする……そういう著者の姿が(見たこともないのに)目に浮かぶようでした。
内容で面白かったのは、装幀のところと書店のくだりでした。
確かに最近の本の装幀ってイラストが多くて鮮やかな、構図も工夫されているものが多いなー、とか、業界に関わった人しか知らない「プルーフ」にまつわる色々な話など、読んでいて楽しかったです。
作家志望もそうでない人も、さらっと読めて軽く楽しめる内容だと思います。
Posted by ブクログ
小説が書店で販売されるまでの流れや小説の販売に携わる人々に著者がインタビューしていく話。
小説はこれまでたくさん読んできたが、どのようにして小説ができるのか、また編集者や書店などがどの様にして本を売ろうとしているのか知らなかったのでとても勉強になった。
Posted by ブクログ
様々な視点から、本を売るために尽力している方々のプロフェッショナルさに感動。
額賀澪さんはこの本で初めて知ったが、大変好感を持った。(その後額賀さんの別の本も買いました)
Posted by ブクログ
本はたしかに売れなくなっているけれど、人が「物語」を欲するのは変わりない。紙の本がなくなっていくのは寂しいけれど、その先を見ている者こそが本の救世主なのだと思いたい。
Posted by ブクログ
小説家と担当編集者が「売れる本」について取材し試行錯誤するルポ。色々な時の人に話を聞いていて興味深かった。当たり前だけどどの本も誰かが一生懸命書いて面白い!って思って世に出してるんですよね。昨今厳しい業界ですが頑張って欲しいです(タスキメシ好きです)
Posted by ブクログ
一冊の本に色々な立場で関わる方がいらっしゃるんだなぁ。「売れる本」を書きたいではなく、「面白い本」を売りたいと改めて決意する著者。エッセイでありつつ彼女が主人公の冒険小説のようで新鮮。
Posted by ブクログ
著者初読み。
そして、完全にお仕事小説だと思っていたのに、エッセイで出鼻を挫かれる・・・
本が売れないと悩む新人作家さん。
編集者、本屋さん、WEBコンサルタント等、様々な職種の人に会いに行き、「売れる本」の真意を探っていく。
裏話的な要素もあり、実際に知っている作家さんなどの名前も出て来るので、それなりに面白い。
でも、「超ゆとり」を盾に取るところは、朝井リョウの二の舞に感じるし、いろいろな賞を受賞しているが、申し訳ないが作者を思い出すことは出来なかった。
ちなみに本屋大好き。新潮文庫nexも説明されなくても知っているし、「文庫X」ももちろん読んだ。
でも、彼女は知らない。
ただただ「ごめんなさい」の一言。
吹奏楽の小説を書いているようだが、巻末の新作の試し読みも、本作を読んでみようとまでは思えず・・・
やっぱり「ごめんなさい」
いつか、本屋で目立つところに置かれて、「あの時、辛口な感想を書いて、ごめんなさい」と思えるような作家さんになれるよう、健闘を祈ります。
ちなみに単行本と文庫の表紙の遊び心はGood!だと思う。
Posted by ブクログ
作家が自著を売るために、どうすればよいのかを出版業界の関係者に聞きに行ったエッセイ
・助言を求めたキーパーソン
三木一馬(元電撃文庫編集長、ストレートエッジ代表取締役社長)
松本大介(さわや書店フェザン店・店長)
大廣直也(Web コンサルタント)
浅野由香(映像プロデューサー)
川谷康久(ブックデザイナー)
目次が全部WEBでも見られるので、多少の知識がある人なら内容は容易に推測できる
「面白い本」であることは必要条件として
対象層に正しく情報を伝える広告戦略が大事という事でしょうか
そもそも、面白い本というのが大前提と言うけれども、何を以て面白い本かの定義が難しいと思うんですけどね
売れる本と面白い本は同義ではないけど、「売れた本」の共通点や売れた要因を分析したら必要条件はわかるのかも
予定調和ではない、ストーリーの差別化が必要なのはわかる
ま、一度売れると似たようなものが量産されるけどね
正しいジャンル名ではないけれど「余命」系の物語って一時期大量に作られてたよなぁー
そして、今も少し違った形で作られ続けているというね
映像化の基準は30万部というのも、ある程度の納得感がある
実写の場合はそれなりに費用がかかるので、ある程度の原作人気が必要ですよね
アニメ化の場合はもっと基準は下がると思う
映像化作品が売れれば、本も売れる
逆の現象はない
らしい……
原作要素をガン無視して作った映像作品で売れたものって、いくつかある気がする
そんなものでも、原作に興味をもつ人はいるって事なんでしょうねぇ
プルーフ戦略に関しては、「新刊の単行本なのに、なぜ帯に感想が書かれているんだろう?」という疑問を持った事がある
プルーフという試みを知ったのは、小説の「書店ガール」だったかと思うんだけど
それなりに影響力のある書店員に事前にゲラを読ませるという営業手法はちょっと違うんじゃないかと思った
書店員はあくまで販売員であって、創作側に影響を与えてはいけないんじゃなかろうか?
まぁ、それを許容する出版社や作家さんがいるというんだから私がケチつけてもしょうがないのでしょうけど
本屋大賞もそうだけど、本を売るための近道は書店員のファンを増やす事なのかもしれない
読者が本を買うには基本的には書店に行くわけだし、そこで手に取ってもらうには書店員に推してもらえばいいわけで……
何がと言葉では説明しにくいけど、違和感を覚えるんですよねぇ
プロダクトライフサイクルにも言及されてたけど
本のプロダクトライフサイクルもどんどん短くなってきていると思う
その原因は、何が売れるかわからないからとりあえず出版点数を増やすという方針の結果、1作あたりのプロモーション労力が低くなってるというね
理屈はわかるんだけど、数撃ちゃ当たるの結果、昔は当たってたものも当たる前に売り場から消え、一つの当たりで得られる利益も減ってるだけなんじゃなかろうか?
だからといってどうすればいいというアイデアはない
そもそも、私は文庫派だし、新刊も発売日をチェックして買うような事はしてないわけで
ここまで初動重視の販売戦略の業界としてはプロモーションの対象外なんでしょうねぇ
本って、賞味期限のないものだし、何十年前の名作も未だに売れるという変わった特性の商品
なので、ロングテールな販売手法が向いてると思う
だからこそ売り場のスペースを拡張しやすい電子書籍というのが今後は重要視されるはずなんだけど
未だに紙の本の売れ行きを気にする風潮はありますよね
カバーデザインは、適した対象層に手に取ってもらうためのツール
単行本と文庫でデザインを変えるのも、対象層を変えるという意味もあるようだ
同じ作品で外見を変えて二段階で売るというのは、まるで二毛作のようだな
さらに、連載を単行本化というパターンなら三毛作ですしね
ま、中には最初から文庫描き下ろしという場合もあるけど、それらの違いって、畑(作家さん)がどこまでその収穫(販売戦略)に耐えられる土壌の力(人気)があるかなんだろうか?
ちなみに、私は額賀澪さんの著作は恥ずかしながらこれが初
お名前自体存じ上げなかったんですよねー
私は読書量としては平均よりは上だし、読書会もよく参加していて自分の趣味趣向とは異なる作品を目にする機会も多いはずなのにね
そんなわけで、「キャラクターが弱い」と言われるような内容なのか興味が湧いたので、この本より前に出版された「屋上のウインドノーツ」と「さよならクリームソーダ」、そしてこの著作のインタビューを活かしたという「風に恋う」を買ってしまった
感想はまたそのうち
Posted by ブクログ
どうすれば「売れる本」が作れるのか?
その答えを探し、著者は旅に出たーー。
答え:面白い本を作ること!
ウン!知ってた!それが出来たら苦労しないよね!
でもそこに全力で向かっていく額賀さん、すごいです。
編集者、書店員、映像プロデューサーなど色んな業種の方に話を聞いていくという流れの本。とても興味深く面白かったです。
1冊読み終えたら、誰かの言葉がささったり、その人なりの「売れる本」の答えが見つかるかもです。
わたしは「どうしたら売れるか?を考え続けること」だとおもいました。
本に限った話ではなく、何かを売るすべての人に当てはまる言葉だし、今後意識していきたい言葉です。
風に恋う、まだ購入してないので近いうちに絶対読みます!!!「拝啓~」に出てきた人達を思い浮かべながら…。
Posted by ブクログ
どうすれば本が売れるか。若手作家が、敏腕編集者、スーパー書店員、Webコンサルタント、映像プロデューサーに取材したルポタージュ。こうすれば確実に売れるなんてそんな魔法みたいな方法はなく、至極、真っ当な結論に至っている。当たり前といえば当たり前だけど、シンプルなことほど実行は難しい。書き手が胸を張って面白いと信じることができ、かつ多くの読み手に届く本を生み出し続けることの大変さがよくわかる一冊。
Posted by ブクログ
鳴り物入りで文壇デビューした所謂ゆとり世代の著者が初版部数下落の危機に陥り、売れる本とは一体何ぞやと各分野の達人へ会いに行くルポタージュ。本が作られる流れは大まかに理解していたものの、校閲者が作中の描写にまで干渉するのを初めて知る。各人が口を揃えて『内容が面白ければ自ずと売れる』と断言するのが実に痛快。諸々のアドバイスに従った著者渾身の一冊が結果を伴ったことを鑑みると、作家志望者一読の価値アリではなかろうか。キャラクターイラストの表紙に食指の動かない私はマーケティングの対象から真っ先に外されるでしょうが。