額賀澪のレビュー一覧
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転職エージェントのお話です。
このお話の中の転職希望者は、心身共に壊れる寸前まで自分を犠牲にして働いている人ばかり。
仕事とは何か?何のために働くのか?他人に評価してもらうために働くのか?誰かに必要としてもらいたいから働くのか?
個人的な話になりますが、体調を崩して2週間程仕事を休んだことがあります。でもどうしても締切日までにやらなけれないけない仕事があり、薬で症状を抑えつつ出勤した日に、夫に『仕事の代わりなんていくらでもいるんだよ。でも家族にとってのお前の代わりは誰もいないんだよ』とめっちゃ怒られました。その時のことを思い出しながらの読書になりました。実は言われた時は『私しか分からない仕事なんだよ!誰も代わってくれないんだよ!』なんて、ちょっとムッとしたりもしてたのですが、本書を読んで、あの時の夫の言葉はめちゃくちゃ真実だなぁと今更ながら実感してます。夫よ、なかなかいいこと言うじゃないか、と思ったのでした。ちょっとタイムラグはありましたが、気付かせてくれた「転職の魔王様」に感謝w -
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ネタバレ女性作家8人による、「女ともだち」がテーマのアンソロジー。
うむむむ、女の友情はもろいというけれど、こんなにすごぉ〜く気持ち悪くて、べとっとするものばかりだろうか…
相手と『同じ』を競うような構図が、いくつもの作品に…あー、たしかに、『おそろい』スキだよなぁ…トイレ一緒に行ったりしてるよなぁ…
いやはや。下手なホラーより怖い。
どれも面白かった。
その中で、「ブータンの歌」は、くすっと笑えて、阿川佐和子さんらしい軽やかさだった。
「ラインのふたり」嶋津輝さんは初読。ちょっと山本文緒さんのような奇妙な迫力。
他の作品も読んでみたい。
「獣の夜」森絵都さん、爽やかな作品しか読んだことがなかったので、ジビエを貪り喰らいながらテンションが上がっていく女二人のパワーに圧倒された。痛快。 -
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ネタバレ元吹奏楽部員ということもあり、すごく楽しめた。
席を変えて、暗闇で、そんな合奏やってみたいな。そこまで打ち込めてはいなかったけど。
単純に熱血部活もの!ではなく、拘束時間、将来、オーディション、大会……。取り巻く環境や問題についても触れているところがよかったです。
基と瑛太郎の二人の主人公、どちらの葛藤もいい。特に、瑛太郎がいい。大切だったあの時間を悔やんでしまうことがないなんて言えない。だからこそ、そうなってほしくない。最後に決めるのは自分だけど、無責任なことを言わず一つ一つ選びながら声を掛けるのがいい。
1年生を部長に大抜擢、その奮闘ぶりがもっと見たかったな。 -
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広告代理店での激務に心身を壊し休職した主人公羊谷が、転職エージェントでキャリアアドバイザー「魔王様」こと来栖と出会い、来栖のもとでキャリアアドバイザー見習いをするお話。
主人公の広告代理店での上司が、◯通で過労自殺した東大卒の女性に起こった出来事の引用が多くてね(広告代理店って時点で少し予想はついたけどさ)。
仕事は死んでも離すな!とか、オリジナルで言える人間がそう何人もいてはたまらない。
なので、この本、最初の印象は良くなかった…。
人によってはフラッシュバックするようなセリフを、そのまま引用しちゃうの…?って。私も、あの件を思い出して苦しくなっちゃったし。
でも、読み進めたらなかなか良いなって思うような、転職というより「学生シューカツ」の真理だなと思えるような、共感できる記述が結構あった。
体育会系の爽やかでやる気のある若者を演じて就職した会社では、そのキャラを演じ続けるのがつらくない。
一箇所に3年も勤められない人間はどこでも通用しないという言葉の呪い。
じゃあ3年勤めたらその先どーなるの。
これらは、若者仕事あるあるなんじゃなかろうか??
シューカツ面接ではなくても、面接で取り繕ってしまった過去は誰しもあるだろう。わたしもある。
そういう人には、響くものがあると思う。
来栖さんの過去にさほど興味をもてなかった私は、後半2作はちょっと蛇足が多く感じてしまったけどな。
装画はおかざきまりさん。
表紙は多分、主人公羊谷。
で、裏表紙の白髪のセクシーイケメンは、魔王様こと来栖?
来栖さんはこんなセクシーイケメンですか?!
読んでる限り、もうちょいクールで神経質なところのある人なのかな?と思ったんだけど。
裏表紙見るたびになんとなく恥ずかしくなってしまう…そんな裏表紙。 -
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ネタバレ「その爪先を彩る赤」は、多重人格を装う必要性がよくわからなかった。さらにはあまりに露骨なヒントでねらいが読めなかったなぁ。総じてキャラ設定の意味を十分に活かせていない気がする。長編だと違うんかな?
「東雲高校文芸部の崩壊と殺人」は、妙に淡々としていたがトリックはよかった。というか、淡々としていたからトリックの良さが際立ったのかもしれない。高校という世界をどのように色づけるかは、世界観だけではなく、トリックの受け取り方まで変えるんだなと改めて思った。
「黒塗り楽譜と転校生」は、転校生って必要?って感じの扱いになっちゃった気がする。タイトルにつけて一定の役割を期待したのだとは思うけど、作品全体としてはむしろマイナス方向ではなかろうか。今回の謎の本質をよりプラスにさせるためのテクニックだったと仮置きしても、それでもなお悲しい存在になっちゃってるなぁと思う。3枚目にもなりきれない的な。
「願わくば海の底で」という作品は、海の底で、もしくは海の底に何を願うのかという、タイトルをどう受け取るかで事件との距離感を変えてしまう難しい作品かもしれないと思った。それがまだまだ誰の記憶にも新しい震災だからということではなく、人の生き死にには、特に残された人にとっては当人にしかわからないことがあるという大前提をミステリーの伏線にしたところだろうと思う。ミステリーは誰にとってもフェアでなければならない。イレギュラーな形で人を失う辛さを、誰しもがもつ感情や意図で隠さなければならない状況を持ち込むことでそのフェアさを担保したという。短編だから表現できたのかもしれないね。長いと震災のイメージがデカくなりすぎるかもしれない。
「あるいは紙の」は、高校というおそらく10代のそれなりに濃密な時期が、こうした日常の謎で彩られていたかもしれないというある種の夢をリアリティをもって見せてくれた(つまりは自分の高校時代は多分もっと平凡だった)。新聞部の矜持とかいうことではなく、おそらくただの若気の至りなんだろうけども、何をするかより、誰とするかみたいなところで主人公の彼は、裏染と向坂にアテられたんだろうな。
ただ、タイトルの意味がわからなかった。向坂が無理をしてる理由もよくわからないままな気がする。今回の事件の前の2つの殺人事件を経て、もしかしたら向坂は裏染の立ち位置が広がってることになんかちょっと焦ったのかもしれないね。 -
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第二次世界大戦、太平洋戦争というものがどんどん遠ざかっていきます。
子供の頃も既に遠い出来事でしたが浅草に行くと傷痍軍人が居たり、おじいさんは大体戦争に行った事ある人だったし、おばあちゃんと言えば戦争体験者であることが当たりまえでした。
ナチスドイツの酷さを色々な映画や本で見ながらも、日本も同盟国であった事はどこか遠い出来事のようだし、被爆国でありながら日本人の多くはアメリカに悪感情は持っていないと思います。僕もその一人。
自分たちが知っている、学んできた事と同じ時間軸で、他方では違った歴史が積みあがっている事実。そんな当たり前の事が思い浮かばないのが人間の愚かしい所だと思います。
被害者の道理、加害者の道理。被害者が加害者に変わる事、加害者が被害者になる事。知っていながら目をつぶる事、被害者を置き去りに罪だけを追求する事。悲しんでいる事を続ける事を暗に求められ続ける事。よろこびを見つける事で悲しみを忘れていると非難される事。
青春小説の形を取っていますが、そういううしろめたさを感じながら、皆知らなければいけないし、知るという事で過去未来の人々とつながっているという事を感じて欲しいというメッセージに感じられました。 -
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駅伝といえば箱根駅伝ですが、走る選手にはそれぞれにドラマがある。
「ちゃんと走る」って簡単じゃなくて、そのために毎日毎日努力していて。
そんな日々の積み重ねがあって、あの舞台に立っているのですよね。
箱根駅伝が好きで毎年見ているので、コースも頭に浮かぶし、臨場感ある描写に引き込まれました。
そして解説が柏原竜二さん!!
私が箱根駅伝を好きになったきっかけの方です。
どこで襷を受け取っても必ず一位にしてくれる。
そんな期待を背負って走られていた柏原さんの過去とか思いとか、初めて知ったエピソードもあって驚きました。
この小説の兄、弟、親友、すべての要素というか共感できるのが柏原さんだなぁと。
ある意味とてもリアル。
また箱根駅伝の前に読み返したくなる作品です。 -
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登山をしたことが無いけど、山に行きたくなる。
筑波岳はスポーツクライミングでインターハイにも出たこともあるが、大学ではスポーツクライミングは続けないと決めていた。しかし、大学の部の勧誘がしつこくてウンザリしていたところ、今度は登山部から勧誘される。登山部は梓川穂高1人しか部員がいない。1回だけと誘われた岳は筑波山に登り、結局、登山部に入る。
2人には人には言えない過去があった。物語が進むにつれて明かされていく秘密。2人とも辛く苦しい気持ちを抱えていたのだ。
そんな苦しみを忘れさせてくれる登山、やってみたくなる。そこまで本格的なのではなくてもいいから。 -
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今作を読む前に、「タスキメシ・箱根」から読んでしまったけど、「~箱根」で紫峰大学の食堂を切り盛りする眞家早馬の現役選手に対する熱く、優しい思いの裏側に隠された過去を知れた感じがするので、順番が逆になっても、全然問題がなかった。
今作は早馬がまだ高校生の頃の話。
有力選手だった早馬だったが、駅伝の激走後、膝を故障し、3年の大事な時期をリハビリ生活で過ごしていた。
そんな中出会ったのが、料理研究会の都。
都に料理を教えてもらううちに、母親を亡くし、暴飲暴食だった家族の栄養管理に目覚め、同じく有力選手である弟の春馬の栄養面でのサポートに活路を見つける。
ずっと背中を追い続けていた兄・早馬の姿を複雑な思いで見守る春馬。ライバルであり、良き理解者であった陸上部キャプテンの助川の葛藤など、当事者である早馬以外の登場人物の心情が手に取るように伝わってくる。
一度は陸上を諦めた早馬が、ラストで大学進学後、再び陸上を始める展開にさらに胸が熱くなった。
もちろん、出て来る料理はどれも美味しそうで、料理初心者の早馬でも作れる料理なので、読んでいて作ってみたくなるのも魅力。
この話を知った上で、もう一度「箱根編」を読んでみたくなった。
「箱根編」では一切出て来ない都のその後も気になる。