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空が近い。雲も近い。
当たり前に自分を満たしていた日常が、何もかも遠い。
――登山の最中に受けた、恩人からの無言電話。その後、知らされた恩人の滑落死。
高校時代にスポーツクライミング部で名を馳せた主人公・岳。訳あって大学では競技を続けないと心に決めていたが。変人と噂される登山部部長の梓川穂高につかまり、幾度か一緒に山を登ったある日、岳のスマホを高校時代のコーチ宝田謙介からの着信があったのだが――
全国の書店員が絶賛!
青春小説の妙手、額賀澪がおくる山岳ミステリ!
新直子・装画
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Posted by ブクログ
登山をしたことが無いけど、山に行きたくなる。
筑波岳はスポーツクライミングでインターハイにも出たこともあるが、大学ではスポーツクライミングは続けないと決めていた。しかし、大学の部の勧誘がしつこくてウンザリしていたところ、今度は登山部から勧誘される。登山部は梓川穂高1人しか部員がいない。1回だけと誘われた岳は筑波山に登り、結局、登山部に入る。
2人には人には言えない過去があった。物語が進むにつれて明かされていく秘密。2人とも辛く苦しい気持ちを抱えていたのだ。
そんな苦しみを忘れさせてくれる登山、やってみたくなる。そこまで本格的なのではなくてもいいから。
Posted by ブクログ
クライミングと向き合う男たちを描いた山岳ヒューマンミステリー。全5章とプロローグおよびエピローグからなる。
◇
高校でスポーツクライミングのインターハイ選手だった筑波だが、ある理由から大学入学後は競技活動はせず、先輩とともに趣味程度の登山でお茶を濁す日々を送っていた。
ある日、高校時代のコーチだった宝田が登山中に滑落死したと連絡があった。
だが、まさに宝田が滑落したと推測される時間に、筑波の携帯には宝田からの着信があったのだ。
はたして宝田の死は事故なのか、それとも自殺なのか。
* * * * *
額賀澪さんにしては珍しく、プロローグからミステリーめいた展開。それがなければ、ただの山岳男子青春ストーリーと思って読み始めたと思います。
けれど、筑波の携帯に滑落時のコーチから着信があったときの描写がミステリアスです。筑波が出たものの聞こえてきたのはコーチの声ではなく風の音だけ。なぜ無言電話だったのか?
俄然、展開がおもしろくなりました。おまけにコーチの死に絡んで、筑波は屈託を抱えているらしい。それはいったい何なのか?
重い設定ですが、額賀さん特有の淡々としたタッチのおかげで、スムーズに読み進めることができました。しかも決して浮ついた展開ではなく、緊迫感さえ感じるほどです。
また、当初から用意されていた謎が終盤になって次々と明かされていくのですが、どれも物語を根底で支えられるほどのウエイトを持っており、期待以上の出来映えです。
エンディングはさすが額賀さんらしく未来に希望を感じさせるもので、読後感が非常に爽やかでした。
Posted by ブクログ
さらさらと、とても読みやすかった。
青春山岳小説といった感じ。
アスリートの引退後のセカンドキャリアについてもテーマの一つになっていて、興味深い。
個人的には、元フィギュアスケート選手の町田樹さんが講演されているセカンドキャリア問題の本質の話なども思い出して、考えさせられた。
作品の中の岳と穂高が、それぞれの痛みを抱えながら、良い関係になっていくのが心地良い。
やっぱり山岳小説は好きだなぁ。
「日常から離れることで自分にこびりついている余計なものを引き剥がしていくのが登山」「下山するときに引き剥がした余計なものを全部拾い集めて帰る」「そうやってまた日常に帰って行くんだよ」
この辺りが印象的でした。
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