額賀澪のレビュー一覧
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広告代理店での激務に心身を壊し休職した主人公羊谷が、転職エージェントでキャリアアドバイザー「魔王様」こと来栖と出会い、来栖のもとでキャリアアドバイザー見習いをするお話。
主人公の広告代理店での上司が、◯通で過労自殺した東大卒の女性に起こった出来事の引用が多くてね(広告代理店って時点で少し予想はついたけどさ)。
仕事は死んでも離すな!とか、オリジナルで言える人間がそう何人もいてはたまらない。
なので、この本、最初の印象は良くなかった…。
人によってはフラッシュバックするようなセリフを、そのまま引用しちゃうの…?って。私も、あの件を思い出して苦しくなっちゃったし。
でも、読み進めたらなかなか良 -
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ネタバレ「その爪先を彩る赤」は、多重人格を装う必要性がよくわからなかった。さらにはあまりに露骨なヒントでねらいが読めなかったなぁ。総じてキャラ設定の意味を十分に活かせていない気がする。長編だと違うんかな?
「東雲高校文芸部の崩壊と殺人」は、妙に淡々としていたがトリックはよかった。というか、淡々としていたからトリックの良さが際立ったのかもしれない。高校という世界をどのように色づけるかは、世界観だけではなく、トリックの受け取り方まで変えるんだなと改めて思った。
「黒塗り楽譜と転校生」は、転校生って必要?って感じの扱いになっちゃった気がする。タイトルにつけて一定の役割を期待したのだとは思うけど、作品全体 -
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第二次世界大戦、太平洋戦争というものがどんどん遠ざかっていきます。
子供の頃も既に遠い出来事でしたが浅草に行くと傷痍軍人が居たり、おじいさんは大体戦争に行った事ある人だったし、おばあちゃんと言えば戦争体験者であることが当たりまえでした。
ナチスドイツの酷さを色々な映画や本で見ながらも、日本も同盟国であった事はどこか遠い出来事のようだし、被爆国でありながら日本人の多くはアメリカに悪感情は持っていないと思います。僕もその一人。
自分たちが知っている、学んできた事と同じ時間軸で、他方では違った歴史が積みあがっている事実。そんな当たり前の事が思い浮かばないのが人間の愚かしい所だと思います。
被害者の -
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駅伝といえば箱根駅伝ですが、走る選手にはそれぞれにドラマがある。
「ちゃんと走る」って簡単じゃなくて、そのために毎日毎日努力していて。
そんな日々の積み重ねがあって、あの舞台に立っているのですよね。
箱根駅伝が好きで毎年見ているので、コースも頭に浮かぶし、臨場感ある描写に引き込まれました。
そして解説が柏原竜二さん!!
私が箱根駅伝を好きになったきっかけの方です。
どこで襷を受け取っても必ず一位にしてくれる。
そんな期待を背負って走られていた柏原さんの過去とか思いとか、初めて知ったエピソードもあって驚きました。
この小説の兄、弟、親友、すべての要素というか共感できるのが柏原さんだなぁと。 -
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登山をしたことが無いけど、山に行きたくなる。
筑波岳はスポーツクライミングでインターハイにも出たこともあるが、大学ではスポーツクライミングは続けないと決めていた。しかし、大学の部の勧誘がしつこくてウンザリしていたところ、今度は登山部から勧誘される。登山部は梓川穂高1人しか部員がいない。1回だけと誘われた岳は筑波山に登り、結局、登山部に入る。
2人には人には言えない過去があった。物語が進むにつれて明かされていく秘密。2人とも辛く苦しい気持ちを抱えていたのだ。
そんな苦しみを忘れさせてくれる登山、やってみたくなる。そこまで本格的なのではなくてもいいから。 -
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今作を読む前に、「タスキメシ・箱根」から読んでしまったけど、「~箱根」で紫峰大学の食堂を切り盛りする眞家早馬の現役選手に対する熱く、優しい思いの裏側に隠された過去を知れた感じがするので、順番が逆になっても、全然問題がなかった。
今作は早馬がまだ高校生の頃の話。
有力選手だった早馬だったが、駅伝の激走後、膝を故障し、3年の大事な時期をリハビリ生活で過ごしていた。
そんな中出会ったのが、料理研究会の都。
都に料理を教えてもらううちに、母親を亡くし、暴飲暴食だった家族の栄養管理に目覚め、同じく有力選手である弟の春馬の栄養面でのサポートに活路を見つける。
ずっと背中を追い続けていた兄・早馬の姿を複雑な -
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前作から、10年ぶりの復活となる本書は、創元推理文庫から2020年に発売された、「書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー」の第二弾で、全て1990年代生まれの作家が書かれているのが特徴ですが、どちらかというと、その若さはあまり気にならず、バラエティに富んだ多種多様な作風を、一冊で体感できた喜びが強かったです。
武田綾乃 「その爪先を彩る赤」
演劇部の失くなった靴を捜索する話で、犯人や動機は分かりやすいものの、その後の探偵に絡む、謎解きの細やかな伏線が見事だと思いましたし、そこに潜んでいたのは、探偵と「僕」との間における、稀少な価値観の共有で、こうした自分を認めてくれるような喜びは、学園生活で -
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熱いです! 吹奏楽が熱い! 夢と希望に満ち溢れ、活力みなぎる若い時代‥そう、アオハルです! 大切な仲間と苦楽の時間を共有し、その初々しさが濃密に描かていて‥。そうです、青春は〝密〟なんです!(何処かで聞いたな)
受験、オーディション、家族‥、生徒も指導者も苦悩し葛藤しながら、進むべき道を自らに問い続ける物語です。こんなに大変でも、一途に困難に立ち向かう姿に感銘を受けます。一人一人の登場人物が生身の人として描かれ、それらの感情と奏でる音楽が絡み合い、共鳴・調和し、その響きが読み手に大きく伝わる描写です。まるで演奏後の拍手喝采のように、胸が打たれる読後感です。ブラボー! ぜひとも多くの中高生 -
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多分「タスキメシ五輪」が発売されたことをきっかけに平台にあった今作。
この前の作品の存在を知らずに、読んでしまったが、今作からでも十分に面白かった。
前作からの引き続きの登場人物であり、紫峰大学の駅伝部の栄養管理士兼コーチアシスタントの眞家早馬と、紫峰大学駅伝部主将の仙波千早の二人の目線で物語が描かれる。
箱根駅伝初出場を目指す千早たちと、怪我で思うようなランナー人生を送れなかった早馬が食事を通じて、本気で箱根駅伝を目指していく。
序盤は千早の早馬への得体の知れない悪意のようなものが理解出来なくて、イマイチかと思ったが、後半100ページ弱で描いた箱根駅伝の様子は圧巻だった。
他の駅伝小説よりも -
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息子が中学から駅伝をしていて、中3の時初めてレギュラーメンバーになり、地方大会で一位になり、コロナで全国大会が中止になった息子父です。
前作から、読んでますが、こんな素晴らしい作品に、コロナな話題を絡めないで欲しかった。
エンターテイメントとして楽しんで読んでいるし、素晴らしく楽しい作品なのに、新型コロナの話を終盤から匂わせ、エピローグで、主張しています。そんな事しなくても良くないですか?コロナでくじけた私達には、厳しすぎます。
エピローグさえなければ、一生大事にする本だと思いました。
作品に自信を持ってもらいたいです。時事問題とか絡めなくても、貴方の作品は素晴らしいと思います。
人生で一番泣 -
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一冊の本をもとに,それぞれの登場人物が,戦争について,どう考え,どう行動するかを考える連作小説。
第一話「きみがホロコーストを知った日へ」
第二話「戦略的保健室登校同盟」
第三話「平和教育の落ちこぼれ」
第四話「Remember」
作中作の『時をかける色彩』という,戦前戦時中のモノクロ写真をAIでカラー化するプロジェクトが組まれ,それを写真集化したものが出版された。
第一話では,主にカリスマ書店員の,第二話では保健室登校をする女子中学生二人の,第三話では広島出身のテレビディレクターの,第四話では日本の高校に転入してきた,アメリカ人と日本人のミックスの高校生の,それぞれの視点と -
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箱根駅伝までもう1ヶ月ちょっと!
毎年この時期が来ると三浦しをんさんの「風が強く吹いている」が読みたくなります。
…と今年は本書を見つけ、こんなの見つけちゃったら読まずにはいられないでしょ〜と即購入。
そっかそっか…タスキメシ!というくらいだからメシ主軸?と思わせる前半。
箱根を目指すランナーの熱い青春群像劇を想像していたので、あっ、思っていたのとちょっと違う…走りも料理もどっちつかずな感じが余計そんな思いに拍車をかけてしまったか?
いやいや…後半も後半、走りも料理もいい感じに熱くなってきた!
どっちつかずが一つになってきた!
泣けた!
箱根駅伝…どの大学にも、どのランナーにもそれぞれの背