あらすじ
日々のなかで当たり前のように行き来する駅という場所は、なんでもない日も旅立ちの日も、変わらずそこで私たちを迎えてくれます。旅の始まりと終わりをいつも見届けてくれて、行く場所であり帰る場所となる、駅とは不思議な存在です。浜松、西宮、札幌、唐津、明洞、ポルト──六つの都市へ向かう列車で、あるいは辿り着いた先で、どのような景色が待っているでしょうか。新しい物語への切符は今、あなたの手のなかにあります。六人の作家、六つの駅が旅の非日常へと誘う、文庫オリジナル・アンソロジー。/【目次】砂村かいり「きみは湖」/朝倉宏景「そこに、私はいなかった。」/君嶋彼方「雪花の下」/松崎有理「東京駅、残すべし」/額賀澪「明洞発3時20分、僕は君に撃たれる」/鳥山まこと「辿る街の青い模様」
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Posted by ブクログ
「そこに、私はいなかった。」が胸が張り裂けそうなくらい青春だった。
「東京駅、残すべし」もファンタジー要素があって好きだった。
遠くに行きたくなる短編集。
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松崎有理さん目当てでしたが、他の方々の作品の駅・旅・旅人のどれもひかれるところがあり、思わぬ出会いがありました。
旅モノの作品集として楽しめ、今度はここに行ってみようと旅ガイドになるのと同時に、こんな面白い作品を書いている作者の他の作品はどんなのだろう?と新しい作家と作品への旅立たせてくれる、そんな1冊です。
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タイトル通り、
「駅と旅」をテーマにしたアンソロジー。
外れのなさそうなテーマだったことと
松崎有理さんの作品が読みたくて読んだけれど、
作家陣が合わなかったのか、
このテーマと短編のかみ合わせがよくなかったのか
あまり楽しめなかった。
主目的だった松崎さんの作品は
この本に馴染んでいたかは別として、
個人的には面白かったので
その点で価値は十分あった。
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毎年同じ日に弁天島駅の入場券を購入している恋人が突然いなくなり、その日に弁天島駅へ向かう一話目。
私は自分を高く見せるような嘘を吐く人はものすごい勢いで冷めてしまうだろうな。
東京駅が戦闘ロボットになる突然のSFには危うく振り落とされそうになったけど、段々二人を応援する気持ちがうまれた。私は結構好き。
北海道にある夫の実家へ、義姉妹で乗り込む話も良かった。一緒に過ごすのに心地よい自分になれたらいいなあ。
額賀さんの明洞の話も良かった。おさまるべきところへおさまった。
最後の話でポルトガル行きたくなった。なんだろう、読んでいてイメージするポルトガルの雰囲気がすごく良かったな。
Posted by ブクログ
タイトルの通り、駅と旅をテーマにした6人の作家によるアンソロジー。
と言いつつもテーマの縛りは緩めで、アンソロジーとしての統一感は中途半端な印象。
始めの2編、『きみは湖』と『そこに、私はいなかった。』は、いずれも若い女性を主人公にした青春小説。他愛もないと言ってしまえばそれまでだが、どことなく尖った感性が仄かに感じられて悪くない。
次の『雪花の下』は、自意識過剰で家族との関係を壊しかけている中年女性が正気を取り戻していくお話。よくある話ではあるが、旅に同行する義妹の造形が絶妙でなかなか面白い。
ここまでは連作の雰囲気が保たれていたのだが、次の『東京駅、残すべし』で一変。ぶっ飛んだ世界観と作劇に、若干鼻白らむ。
『明洞発3時20分、僕は君に撃たれる』は、大衆に振れすぎてて読み流す感じ。箸休め的な。
最後、『辿る街の青い模様』は、一転純文学みたいなテイスト。ポルトガルに行ってみたくなる。
Posted by ブクログ
短編集6篇
行方不明の恋人を探す弁天島「きみは湖」砂村かいり
行けなかった甲子園「そこに、私はいなかった」
実家に帰った夫を迎えに行く札幌「雪花の下」君島彼方
付喪神の調伏,唐津「東京駅,残すべし」松崎有理
不倫報道と無差別殺人,韓国から羽田空港,額賀澪
祖父の形見のアズレージョ,ポルト「辿る街の青い模様」鳥山まこと
Posted by ブクログ
旅=いわゆる旅行という話ではなく。
駅が、お話ひとつひとつに登場する彼らの、人生の岐路的役割を果たしている。
旅は、あの時の、まだ整理できていない気持ちに自分なりの決着をつけることであり、自分のこれからのために必要なこをを見つめることであり、心の旅でもある。
アンソロジーになっているので、普段は手を出さないSFものが読めたりしたので、良い経験になった。
自分に身近な駅も登場したりと、楽しかった!