額賀澪のレビュー一覧
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東日本大震災を題材にしたもの。当事者ではないが、すごく胸に響くお話だった。行方不明の方に対してどこかで区切りを付けないといけない、というのはとても共感する。また、死亡届を出しても99%しか受け入れられていない、本には99%と書かれてあったが、人によっては80%だったりもっと低かったりするのだろうなと思う。私自身は姉を病気で亡くし、姉の亡骸を見て火葬もしたが、同じような感覚でいる。まだどこかで生きているような、生きていてほしいような、真の意味でまだ姉の死を受け入れられていないんだなと、この本を読んで改めて感じた。「願わくば海の底で」読後は胸を締め付けられるが、良い書名だと感じた。いつか震災跡地を
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Posted by ブクログ
「天才」と呼ばれる人たちの輝かしい活躍ではなく、プロとしての人生を終えようとしている、またはこれから挑もうとしている様子を、遠くから眺めているようでした。
「始まり」があれば「終わり」がある。
天才と、側でその軌跡を眺めてきた人たちを描いたストーリー。
スポーツカメラマンから始まり、フィギュアスケーター、棋士、歌のオーディションに挑戦する少年、陸上選手、小説家。
華々しい活躍の裏にある厳しい世界に触れながら、天才と、その活躍と奮闘を側で見守ってきた人たちの胸の内を感じさせてくれました。
お気に入りは、
棋士を描いた「星の盤側」
フィギュアスケーターを描いた「妖精の引き際」
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人が日頃感じている生きづらさ、突然の災害が人に与える苦しみ。これらを背景に、本人以外の周囲が語り手となって、多角的に本人の人物像を浮かび上がらせていきます。明らかにミステリーの範疇を超越し、胸に響く慈しみと祈りの物語でした。
2020年、5人の作家による学園ミステリ・アンソロジー『放課後探偵団2』が10年ぶりに刊行。この中に、額賀澪さんの「願わくば海の底で」が収録されていたとのこと。もともと学園ミステリーだったのですね。
本作は、上記既出作を改稿して第5話とし、印象的な男子生徒を強調して取り上げ、彼とつながりのある人物たちとのエピソードを第1〜4話・最終話として書き下ろして補完されてい -
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「風に恋う」というタイトルに惹かれ、少年がサックスを吹く表紙を見て、購入を即決した本書。作者さんのお名前を拝見して、「タスキメシ」や「さよならクリームソーダ」の方だと気がつき、物語への期待が高まる中読み進めた。
熱い、厚い、篤い。
高校生らしい燃え上がるような青春の物語。吹奏楽というハードな部活に、将来の進路に向けた勉強に。ただ部活だけに向き合うのではなく、未来から振り返っても部活をやっていなかったら…と後悔しないように、真剣に日々向き合っていく。
出てくる人々に血が通っていて、飾り立てない等身大の自分と向き合って、仲間とぶつかりあって重厚な、それでいて爽快な音を奏でている。
そして、様々な -
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額賀さんの本をずっと読んでみたいと思いつつ、
タイミングを逃し続けていましたが、
お盆に行った書店で新刊を見つけ手に取りました。
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戦後80年。
近い将来戦争を経験している人が
いなくなる日本で
若い僕達に何ができるのだろう。
古い1枚の写真が
色づくことで
世界の見え方が変わる
一歩踏み出す勇気を
与えてくれる
感動の青春小説!
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本作はずっと読みかけになっていて、
通勤中に読んでたんですが、なかなか手が進まず。
暑くて電車通勤も辛くて、
本を読める余 -
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“天才”を軸に、その周辺の人々を描いた5篇を収録した連作短篇集。初出は4篇がオール讀物で、最終話は書き下ろしだ。タイトルは駄洒落のようだがちゃんと意味がある。
5篇にはそれぞれ活躍するジャンルの異なる天才が登場するが、彼らは頂点を掴み取った者ばかりではない。挫折した者、上りつめたあと落ちた者、現在進行中の者などそれぞれだ。彼らの心の声を直接書かずに周辺の人々に語らせる。うまいなと唸った。
天才という言葉は好きではない。なんの努力もせずに結果を出していると思わせてしまうからだ。エジソンの名言を思い出す。
額賀さん、デビュー10周年おめでとうございます。 -
Posted by ブクログ
「同じ姿形をしているのに、到底、同じ生き物ではない。そういう人間を凡人と区別するのに、「天才」という言葉がある。天から才を与えられたとしか、言いようがない。」
スポーツカメラマンの多々良 智司(たたら さとし)(30歳)は、陸上男子100メートル決勝を走り切った優勝選手を見ながら思います。
そんな「天才」と言われるスポーツ選手たちの輝く一瞬をカメラに収めて、スポーツ雑誌「ゴールドスピリッツ」の表紙を飾ってきた多々良は、ある日、編集部に呼ばれます。そこには新しく(同誌史上初の女性)編集長になった小倉 香菜(おぐら かな)が待っていました。
彼女は、多々良に新しい仕事を依頼します。
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将棋、フィギュアスケート、歌手、陸上、小説家···それぞれ天才と言われる人がいて、脚光を浴びています。その才能が花開いた後も、しっかりと見ていてくれる人がいることに、色々な想いを感じる連作短編集でした。タイトルの『天才望遠鏡』という言葉が、ぴったりでした。
【星の盤側】
藤井聡太を上回る天才少年と、かつての天才少年の対局を、プロカメラマンの目からみての思いが語られていました。彼が願うことを思う人は、きっと多いと思いました。もう少し長編で読みたいと思わせてくれました。
【妖精の引き際】
オリンピックで金メダルをとったフィギュアスケーターの女の子への幼馴染みの思いが書かれていました。前述のカメ