額賀澪のレビュー一覧
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ネタバレ題名とは逆に、
モノクロ写真に急に色が付いてきて、写真の中の人やモノが動き出すイメージ。
中編が4つあって、それぞれが2層構造。
全編、『時をかける色彩』(戦時中のモノクロ写真に色を付けた写真集)で貫かれていて、
全編、現代を生きている人がメインだが、各編の最後にちょっとだけ、戦時中を生きた人と、その心の中を登場させている。
「ある晴れた夏の朝」(小手鞠るいさん)と同じような読後感だが、構造が分かりやすい分、小手鞠さんの作品の方が僕にはよく伝わってきた。戦争を体験していない若い世代の、戦争の是非についての洞察が深いように感じた。もちろん、額賀さんのこの作品もとてもいい。 -
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戦時下の箱根駅伝と令和の箱根駅伝が交錯する。
太平洋戦争真っ只中に陸上を愛した大学生たち。学徒出陣が始まり、それでも箱根を走りたい情熱。その思うがひしひしと伝わる。
一方の令和ではパリオリンピックを決めた現役の大学生アスリート。駅伝なんか、と歯牙にも掛けないのだが、コーチの祖父と箱根駅伝との関係が明らかになるにつれて気持ちが動く。
戦時下の駅伝、令和の駅伝ともになんとなく想像ができる擬名の大学が登場する。ご丁寧に最後に令和の箱根駅伝の記録が記載されているが、実在の大学ではない(名前は似ている)のであまり意味をなさない。
思い切って実在の大学名で書くことはできなかったのか?特に戦時中の部分につい -
Posted by ブクログ
個人的には、SNSで個人を攻撃してしまう人の心理が少しだけわかったのがよかった。
自分がこういう人にならないようにすることが大切だし、世の中で成功とされていることや、経済的な物差し以外の価値基準を少しは持っておかないと、今の自分を肯定することは難しいのだと思った。
というよりも、今の世の中はそういう人が多いのではないか、潜在的にはみんな上を見て不満があるのではないかと思った。
上も見ず、下も見ずに、自分にできることをやっていきたいと思った。
あとは、きっちり調べていいポジションを取ることが大切だ、という趣旨の話をする場面では、メリトクラシーは現代で残っている最大の差別だという話を思い出した。 -
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いまの日本、何か間違ってないか?
「青春をクビになって」を読み
思わず口にしてしまいそうだ。
学部生時代に四年、大学院を修士課程の二年、博士課程の三年
九年を研究室で過ごす。
ポストドクター・博士研究員。
それでも「その多くが非正規雇用」
契約を解除されれば「大学講師」という肩書きを失い
ただの研究者となる。
P179
〈望んで乗り込んで、乗り続けたいと思っていた電車から
降りてしまった事実は拭い去れない〉
誰よりも勉強に励み研究に没頭して。
電車から降りようとも、生きていてほしい。
辛くて切ない。
やはり、何か間違ってないか?
と、ため息を吐きたくなる。