あらすじ
2023年に連続ドラマ化された人気シリーズ最新刊! 「転職の魔王様」の異名を持つ毒舌敏腕な先輩・来栖のもとを離れ、千晴がキャリアアドバイザーとして独り立ちすべく大阪に転勤して一年。彼女は、“便利屋的に異動を繰り返させられる”“会社がホワイトすぎる”“新入社員が優遇されすぎ”といった転職希望者の相談に乗っていた。そんな折、東京の来栖の前に、彼を本気にさせる“因縁の求職者”が現れて――。ビジネスパーソン必読のお仕事小説、第3弾! 文庫書き下ろし。
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Posted by ブクログ
労働観というものについてのクライアントの気づきと再生を描くヒューマンドラマ。
また、サポートする CA を描くお仕事小説としての側面もある。
物語は、3話目までは主に主人公の千晴と各話のクライアントの視点で語られるが、第4話は魔王・来栖とクライアントの視点で、最終話は千晴と来栖の視点で、それぞれ語られていく。シリーズ3作目。
◇
早朝。無人のフロアに杖の音が響く。オフィスに一番乗りした来栖嵐は自席でノートPC を立ち上げた。その日の面談予定について、求職者や面談内容をチェックするのが朝のルーティンだ。
予定確認が終わり、新規登録者リストを開きざっと見ていた来栖の目が、ある求職者のところで止まった。氏名と現在の勤務先に目が釘付けになる。
来栖は思わずPCの蓋を閉じ、無人のオフィスを見回した。そのときエントランスの扉が開く音がした。誰か出勤してきたようだ。足音がオフィスに近づいてくる。
そっとPCを開いた来栖は、速やかに先ほどの求職者情報をデータベース上から削除したのだった。 (「プロローグ」) ※全5話とプロローグおよびエピローグからなる。
* * * * *
これまでの3作品の中で、個人的にはいちばんおもしろかったのが本作です。その理由は3つあります。
1つ目は、プロローグのうまさです。
あの常に冷静沈着な来栖の見せた一瞬の動揺と、その後の謎めいた行動。新規登録してきた人物とは誰なのか。そして来栖はどのように対処していくのか。展開がとても気になって仕方ありません。
そんな不穏さが漂うサスペンス調のスタートにさっそくのめり込みました。
2つ目は、各話ともよくできた短編になっていたことです。
特に第1話。千晴と来栖のコンビネーションが絶妙でした。2人の連携はこれまででもあったのですが、今回は東京 ( 来栖 ) と大阪 ( 千晴 ) に別れての転職支援。( 前巻最後で千晴は大阪支社へ異動したのでした。) 2人はもちろん個別で求職者に当たることになりますが……。
その他にも、パワハラ問題や有能で人のよい社員の便利使い問題、専業主婦の求職活動問題などのほか、姉妹関係の難しさにまでテーマを広げてストーリーが構成されていて、考えさせられる内容になっています。
そして、どのお話もうまい落とし所に収まっていて、よくできたお話が好きな私には、おおいに楽しめる展開でした。
3つ目は、千晴と来栖の関係に決着がついたことです。
2人きりのときの千晴と来栖が何ともおもしろい。
1作目では気弱で頼りなげだった千晴が、2作目3作目と進むに従ってとってもパワフルに。しかも意外にも来栖に対して肉食系の押しの強さを発揮したりします。
一方の来栖。鉄仮面をかぶったような冷徹無比な普段と比べ、千晴に対しては微笑ましいツンデレぶり。随所で千晴に押し切られるような柔らかさも見せます。
ちょっぴりラブコメディ仕立てで描かれる2人の恋。デザートとしてどうぞ。
シリーズ最終巻となるみたいですが、3作セット読みで満足度がアップする作品だと思いました。
Posted by ブクログ
今の時代に働く人誰もが気にしている「ハラスメント」世代によって思うところは違うけど、それが当たり前だった世代、途中で色々変わった世代、堂々と訴えることができる世代。それぞれの思いが描かれていた。登場人物達のその後も描かれていて、前作既読勢必読
Posted by ブクログ
シリーズ3冊目。
今回もシェパード・キャリアにやってくる求職者はそもそも「(何で)転職したいのか」が見当たらない…という転職したい理由が何なのか、肝心な軸がなくて表向きの目線でしか見えてないから辞めたい、10人に1人、そういうタイプがいるんじゃなかろうかと思える。
働き方改革が進んで、自分が20代の頃のような精神論を唱えるような企業は大幅に減ってて。
その中で自分軸を身につけ企業とのコミュニケーションが必要になってくる時代なんですよね。と第三話の『職場がホワイトすぎてぬるい〜』で共感。
転職って人生の通過点。少しでも求職者が理想的な企業に就業できるようサポートするCAのみなさんには感謝しかないと、改めて思いながら読み終えました。
作者の額賀さんは念密にこの業界のことを調べたんだなと素晴らしいです。
まだまだ続きが観たい…。
転職活動をしていた身として、来栖嵐の求職者に対する(猛毒で心を抉る)言葉は突き刺さることばかりなのに終わるのがもったいないなぁ…。
Posted by ブクログ
2025/04/21
このシリーズも3冊目となりました。
大阪に転勤が決まったところで前作は終わっていますが、その後の大阪での転職依頼者の話、来栖と未谷の2人のその後など読みどころとなる話や展開がとても面白いです。
それぞれの短編でやはり転職を考える人たちが出てくるのですが、これまでの転職者のパターンとはまた違った転職動機を持つ人たちについて描かれています。
一風変わった転職エージェントとしてのアドバイスもとても痛感だと思います。
また、転職エージェントの側も転職希望者の状況を聞いてどのようにアドバイスをするのか、どう考えるのかと言ったことも一緒に考えているような気分になれる内容です。
痛快なものもあれば親身になってみたいものもあって読み応えアリだと思います。
Posted by ブクログ
大阪に転勤していた千晴がついに東京へ戻ることに。大阪へ行く時に交わした『東京で待っている』と言う言葉の真意は…
まさか千晴の告白の答えが「付き合うなら結婚前提で」になるとは思いませんでした。千晴が思っている以上に来栖が千晴を好きなのが判るのが、千晴のCAになる前に勤めていた会社のパワハラ上司との面談を水面下で行っていた事に驚きでした。
付き合ってる時も結婚しても、お互い上司と部下みたいな感じが二人らしいけれど、それでも名前で呼び合って欲しいですね。
これで終わりなのか判りませんが、次巻も期待です。
Posted by ブクログ
年はとってるけど自分も考えさせられることが多いです。「それは組織が個人に甘えているだけです」は刺さりました。ほんとそうって思います。未谷さんのかつての上司が登場したの驚き。来栖さんなんだかんだ考えてくれてる?もうこれで終わりかな…。
Posted by ブクログ
※
魔王様が迷える求職者の本音に鋭く
切り込む様子が爽快。
本音と向き合うことは痛みを伴う。
でも、整理できていない感情や本音と
向き合うことで後悔しない転職ができる。
どの話も刺さります。
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第一話
張り合うべきは今の自分と
転職後の自分でしょう
第二話
それは組織が個人に甘えてるだけです
第三話
職場がホワイト過ぎてぬるい?
何をぬるいこと言ってるんですか
第四話
パワハラをしていい免罪符なんて
どこにもないんですよ
第五話
あなたのキャリアは一生あなたに
寄り添ってくれるはずです
Posted by ブクログ
シリーズ3作目。
物語が急展開して面白かった!
ここまで相談者の将来を考えて親身になってくれるエージェントってある?と思う。仕事やその人自身の悩みの本質まで見抜いているところがすごい。
転職エージェントというより、キャリアアドバイザーの方がしっくりくる仕事っぷりだなと思った。
来栖と千晴の関係も動きがあって、ドキドキ、ニヤニヤが止まらなかった。この続きも読みたいなぁ。
Posted by ブクログ
転職することが必ずしもいいことではない
パワハラが発生する原因、パワハラをする人の心理、職場がホワイトでぬるいからと退職する若手の心理、人手確保するために初任給は上がるけど、中堅は据え置きすることが多い今の会社の現状、就職氷河期世代、z世代、どちらでもない世代などについて分かりやすく書いてるのがいい
最近起きている事に対して丁寧に説明してくれてる
Posted by ブクログ
お仕事小説としたら、一巻がいちばん良かった気がする。まぁ、個人の感想ですが‥。
感情の動きとしては3巻がいちばん読んでて楽しかった。
一応丸く治っているけど、続きが出たら読みたい作品。
Posted by ブクログ
「子どもには失敗する権利がある」という言葉が好きで。最初の姉妹のエピソードを読んだ時、ふとその言葉を思い出しました。やるせない気持ちにもなるでしょうけどね。