斎藤環のレビュー一覧
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「ひきこり」問題をクローズアップした著者の新刊。最初の著書の20年ぶりの新装版らしいが、最初の著書と社会の状況も筆者の立ち位置も変わり、20年前、いや10年前でも、には想像すらしない状況になった。以前は「ひきこもり」は若者の問題であったが、今は8050問題にも指摘されているように中高年の問題であり、また、それは若い時から続いているだけでなく、一旦社会に出てから引きこもっている例も増えている状況が明らかになった。著者はラカンへの言及など少しわかりにくい部分もあったが、ODへの関りなど対話を重視する流れとなり、本書も一般向けとはいえ、誰でもわかりやすい内容となり、著者の内容も一般向けになった印象。具体的な対処法も記載され実践的な好著である。この分野に関わる入門書としても使えると思われた。
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Posted by ブクログ
ウイキペディアで斎藤環氏のコメントを目にして氏に興味を覚えたので、手に取った。実際本書を読み進めていくと、その舌鋒の鋭さには舌を巻くという他ない。多少心理学の用語が難解に感じられ、しっかり氏の主張が認識できたか、怪しい面があった。さらには極めて分析的な論調に私の方が心持ちを苦しくしたため、韓非子を読んだ時のように私には受け付けない内容なのかと、怪訝な思いもしていたが、気を取り直して再び読むとスポンジに水がしみ入るように、愉快に読めた。氏の主張は哲学的な見地に立つ時も心理学の観点からも難解になるきらいがあるが、それでも辛抱して読み進めると、至言名言が随所にあり、それは引きこもりに適用可能であることを越えて、一般性を発揮していると言い得る。この著書で私がどれだけ実質的に進歩したかは全然自覚がないが、私の心理の追求という点からも、日本を知るという点からも、様々に有益な本だった。
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著者は引きこもりが専門の臨床医
「うつ病に関して2冊目に読む本」として
<第1章 現代社会とうつ病>
旧来のうつ病
・重症・・・無気力、抑鬱
・性格:責任感強い、執着気質→うつになって180度ひっくり返る
・きれいに治る
新型うつ病
・比較的軽症
・性格:他責的、問題回避的→うつになって強まる
・難治性
99年⇒08年 患者数が2倍以上に増加
生物学的には説明できない。「社会的」な要因
・メディア ルーピング効果
・「生存」の不安から「実存」の不安へ
・世間一般の心理学化
狂気の陳腐化、狂気へのセンサー過敏→軽症化
すれっからし、狂気へのセンサー過敏→難治化
操作主義、再帰性、マクドナルド化
コミュニケーション偏重主義と過剰適応
<第2章〜第4章>
薬物治療、認知行動療法→(対人関係療法)、環境調整
自己愛からレジリアンス(自然治癒力?)へ
プラセボでも治れば結構
自己愛を補強するのが「人薬」
基本の人間関係は家族だが、人薬には家族以外の人間関係が大事
非特異的な人間関係(通りすがり)すら治療効果がある
自己愛「システム」固定的でなくダイナミック
中井久夫「治療文化論」 友人関係の変遷をたどった論文
「治療集団」的側面を持つ小集団
近代精神医学では熟知者による治療は禁忌だが、より原始的な社会ではそうも言っていられなかったはず。
<第5章〜第8章>
周りの人間は、まず何にせよ否定せずに受け止めてやる。
支援者を支援する→企業のラインへの支援
リワークプログラム・・・仕事が薬になる。活動が大事。
ベーシック・インカムには懐疑的。
生活保護はケアがあるので社会復帰するケースが多いが、障害年金を受給するようになると復帰困難。
収入だけでなく「生きる場」、社会とのつながりが必要→アクティベーション
似て非なるもの
気分循環症
境界性人格障害
対人嗜癖、行動化(自傷など)、他人を操作する傾向
→思い当たる人がいる。。。
発達障害
アスペルガーなど
安易に診断される風潮の反面、うつ病との誤診もある
からだが大事・・・声楽療法、認知運動療法 -
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ネタバレ著者のことは「100分de名著」の特番を観て初めて知った。著者の著作を何か読んでみたいと思って読んだ本。精神科医がひきこもりについて書いている本だったので読んだ本。著者の著作の中で初めて読んだ本。ひきこもりについて読んでいて参考になった。この本を読んでひきこもりには他の精神病と同様に家族の理解と協力が大切だと思った。DV対策のところが読んでいて特に参考になった。著者の他の著作も読みたいと思った。ひきこもりの人が身近にいる人に読んで欲しい本。20年近く前の本なので、著者の最近書かれたひきこもりについて書かれた本も読みたいと思った。
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ネタバレ読書途中。20人の講師による。一人90分の講演会の収録である。一気に読めるはずもなく、じわじわと読んだ。
姜尚中の講演のなかで、夏目漱石が奥さんをなぐっていたエピソードがあった。ノイローゼであったらしい。私は夏目漱石になれないけど、夏目漱石よりましだなと少し思った。考えかたとしてまちがっているのかな?どんな偉い人もほんとうにいろいろな苦しみにもがいていきているのだと思い直した。
20名全て役に立つわけでないが、中には、気に入る人もいるかもしれないとのことだろうか?3.11後の話など考えさせられたり。光触媒の話は興味を覚えた。文学、美術に関心を持った。宇宙論や素粒子の話は、わからないので、もういいとの気持ちであった。こんな講演会を聞けるのは、エリートの家の子供だからいいなとひがみたくなるが、本として出版されているので、誰でも接する機会があるのだと思い直す。マスターキートンにあった、「勉強はどこでもできる。便所でも」を思い出す。 -
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映画やドラマに「トラウマもの」があふれ返り「癒し」がブームになっている現在の状況に対する違和感から出発し、「心理学」的な解説が社会のアーキテクチャとして機能してしまっていることの問題性を鋭く指摘している本です。
「猫も杓子もトラウマ」といったような風潮にどこかいかがわしさを感じているというひとはおそらく少なくないでしょうし、わたくし自身も本書で紹介されている小沢牧子の著書にかなり説得されるところがあったのですが、本書ではそうした「心理学化」の傾向と、表層的にはまったく異なるように見える「脳ブーム」とのあいだに共通する問題を見通しているという点で、単なる素朴な違和感の表明とは一線を画しているように思いました。
われわれは、わかりやすく耳に心地よく響く説明を求めてしまいますが、そのことがわれわれの生きるシステムのなかに組み込まれているのだとすれば、単なる個人の決意によって問題の解決を図ることは絶望的なのかもしれない、と思ってしまいます。 -
Posted by ブクログ
終章で女性性の検討をしていて、
それが見事なまでに女性の擬態化、不合理さ、不安定さ、
そして男性の身体性の薄さ…抽象的な概念や思考・空想世界の広さ…を言い当ててました。
ナイス看破。
私は普段から、女性・男性の能力や特性に差は無いことを
主張しているし体現しているつもりでいます。
でもジェンダー…生まれ持った性差…ってなると、
それはまったく違う生き物だ。って知ってる。
椎名林檎さんの歌詞がなんども頭をよぎりました。
「私の名ならば…【女】其れ以上でも以下でも無い」
「イグアナの娘」のストーリーは、
すべての女性が内心、どきっとしたことあるはず。 -
Posted by ブクログ
成熟が不可能になった時代=ポストモダンという永遠に続く思春期=成熟前夜になって顕在化し始めたNet社会・DV・摂食障害・不登校・ひきこもりといった現象と、その至近距離に若者という存在。筆者によれば、不登校やひきこもりというのは、彼ら自身が何か本質的な問題を抱えているというよりも、社会との、あるいは家族との接続に原因がある、間主観的な問題なのである。言わば、病むのは脳でも精神でもない、人間関係である、と。一旦発生したそれらの接続ミスは、本人に過度なプレッシャーを与え、ますます追い詰めていくという悪循環を成る。それが「病因論的ドライブ」なのだ、と。
――2009/08/31 -
Posted by ブクログ
ネタバレひきこもりの数は減少するどころか、より長期化して社会的病理にまでなっている。それはこの「病」が個人的な疾病を超えて、家族や環境にも原因があるからだ。この問題を扱った本は少なくないけれど、「ひきこもり」と「精神疾患」との線引きがどうも明瞭でなく、どういう状態になったら医療を頼るべきなのかがわかりにくい。そのために本人も家族も「次の一歩」を踏み出せないでいる場合が多いように思う。
そして本書では、こういう家族がますます「閉じて」いってしまうことが、何よりも問題の長期化の原因であると指摘している。そして「治療」はまず家族だけでも「精神科」に相談すること、と明示してあるところがわかりやすい。精神科の選び方、本人の診察に行き着くまでの経過などについても、他のこれに類する本に比べればかなり丁寧に示されている。
1998年の時点でこういう内容の本があるにもかかわらず、この問題が未だ進展を見ないでいるのはやはり「家族」が情報に対しても「閉じて」しまっているからなのだろうか。