斎藤環のレビュー一覧
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ネタバレ斎藤さんは、ひきこもり問題で検索するとよく出てこられる方で、YouTubeの動画もみていましたので、本書も読んでみたくなり読みました。
ひきこもりの問題は表には出てこないが、秋田県、山梨県、佐賀県での調査から、政府調査の115万人どころか、全体では200万人と考えるのが妥当。
確かに「ひきこもり」の定義によっては、家事手伝いの女性や、中高年・高齢者等を含めますと、相当数の様々な境遇・状況下の「ひきこもり」達が存在していそうです。
アメリカ・イギリスなどでは、日本でひきこもりになるような人たちはホームレスになることが多いことから、社会参加できないひきこもり達を無理矢理外へ出せば、大量のホーム -
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私にとって多くを学べる本でした。
対談形式ということもあってか、色んな話を知ることが出来て、勉強になりました。
「(外交などは)交渉の途中で物理的に遮断できてしまうリモートでは成立しない」(P81)と書いてあり、今の世界情勢を見ても考えることが多くありました。
また、リモートと対面の違いについて斉藤先生は「オーラ」を挙げてらっしゃいましたが、私は「空気(読む方ではなく、存在する方)」の有無もあるのではないかと思いました。例えば怒りながら「この書類は全然ダメじゃないか」と言われ、書類を机にバーンと打ち付けるように置かれたとき、そこから流れ出る、発生する空気の流れはその場にいないと感じない、という -
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「題名」が良い。キャッチ―に引き付ける。コロナ禍は、それが起こる前からあった問題を可視化した。良い意味でも悪い意味でも。この二人の対談というのは異色ではあるが、それぞれの個性が、対話によって、良い意味で咀嚼され、外側に開いている。著者の一人である斎藤氏の著作は以前から多少は読んでいるが、オープンダイアログ前と後でかなり異なる。多様な人たちに満遍なく目が届き、それを外の世界と結び付ける。「ひきこもり」についてはもとより、脳科学と優生思想の親和性は興味深い論考であったし、ミーハー的に面白かったのは「鬼滅の刃」の解釈であった。最後に著者たちも述べているが、今の状況を忘れずにハイブリッドにしていくこと
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いのっちの電話という活動を通して自分と向き合い自愛に満ちた創作活動をしている坂口恭平さんと精神病理学とその啓蒙活動をされている斎藤環さんの往復書簡。
往復書簡のスタンスもそれぞれで、それこそが個々を認めている形でとても心地よい。
躁鬱という気持ちの浮き沈みと共存しながら激しく上がりすぎずにコントロールする坂口さん。
自分を良く俯瞰して見ていらっしゃる。
わかった風で上からでもない、風のような返答ができるあたりとても見習うものがたくさんある。
自分の中に自分がいてそう答えさせているかのような感覚か、人を嫌な気持ちにさせたりせずかと言って過保護にもならず、なかなか出来ない切り返しが出来るのは自 -
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暴力の効能と不可避性
元々好きな二人の対談だったので楽しみに読み勧めていましたが、思った以上に面白かったです。
特に印象に残ったのはこの部分。
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佐藤 もし暴力が完全になくなってしまうと、世界は際限なくエントロピー(不確定)化して、我々自身も消えてしまう。裏を返せば、拡散を防ぐためには、ちょっと無理して耐エントロピー構造を作っていかねばならず、その機能を果たすのが暴力に他ならない―。そんな理解でよろしいでしょうか。
斎藤 おっしゃる通り、社会の根源に暴力があると思うのです。…
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エントロピーという普遍的な概念を使って、暴力の効能・必要性・不可避性がこんな形で表現出来る -
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タイトルにある通り「うつ病患者の処方箋」ではなく「うつ病社会の処方箋」。人間価値を語る上でキーワードは「統合性」と語られる本書と、人間は個々が微妙に異なる出来上がりをしていても所詮部分の集合でしか見られていない上に、ほぼ全ての部分とその統合の仕方も外部的な要因(遺伝・環境・進化心理学)だけで決まっているという残酷な現実があるので、どこの部分分解を理解しているとこの残酷な現実を「ハック」出来るのか考えようという橘玲氏のヒット作シリーズとはかなり対照的な内容に感じた(どちらの思考も必要だとは思う)。書籍全体を通してあまりにも広い範囲に話題が及んでいるので特に興味深かった2点だけを引用。
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Posted by ブクログ
コロナ禍という非常事態において、「ふだん『日常という幻想』が覆い隠している様々な過程や構造が可視化される場面」を丁寧に描き解説されており、納得できるものも多かった。著者は「コロナ禍がそれほど社会や人間を変えるとは思っていない」と諦めに近いことを書いているが、当初は「パンデミックは忘却されやすい災厄だ。だからこそ適切に外傷化される必要があり、望ましい社会的変化という瘢痕を残す必要がある」とも書かれている。最終章で、優生思想について言及し、鬼滅の刃についての論評もあり、興味深く読ませていただいたが、コロナから離れての社会論評と書かれているが、底ではつながっていると思いながら最後まで読み切った。
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自分が適応障害なのでタイトルに惹かれて読んでみました、、が処方箋的な内容ではなかったです。
むしろ色んなシーンで起こる心の問題が、なんで起こってしまうのか社会構造や歴史、人間の特性など色んな角度から語られて説明されている、解説書という感じでした。
1年かけた対談をまとめたものらしいのですが、お二人の知識の幅がすごくて圧倒されました。引用が多いのですが、用語解説が丁寧なので理解しながら読むことができました。巻末の参考文献をお二人がそれぞれあげて解説されている部分も良かったです。さらに知見を深められそうです。
この本で印象に残ったのは、
日本は無宗教と言われているけれど実は、日本教とでも言う -
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NHKEテレの放送内容を振り返りたくて読んでみたけど、各著者の論が放送よりも掘り下げられた内容になっていて読んで良かった。手塚治虫が日本のマンガに与えた影響を、物語構造論、表現技術論、ジェンダー論、宗教論の切り口でコンパクトにまとめている。手塚治虫は驚くほどの質を伴った量の作品を残している作家なので、手塚治虫論もまた沢山あるけど、本著はコンパクトに多方面の切り口でそれに触れられるので良いと思う。ここ近年では萌え系ファンの間で、ボクっ娘、ケモナーなどもすでに手塚が何十年も前にやっていたことが発見され話題になったが、新しい読み手の視点があればまだまだ手塚作品の魅力が掘り起こしできるかも知れない。こ