あらすじ
今や世界中に浸透した漫画・アニメ文化の父、手塚治虫。この「漫画の神様」の作品世界の魅力を、4人の識者が専門の知見を駆使し、敬愛をもって読み解く。2016年11月に放送されて好評を得たスペシャル番組「100分de手塚治虫」のムック化。手塚治虫生誕90周年となる2018年、改めて手塚作品に触れる手がかりに!
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Posted by ブクログ
物語創作の先進性、漫画芸術の技術の先進性、性と愛の文化的理解の先進性、宗教的視点から見た哲学、の四つのテーマで熱い賞賛の批評が、作品をある程度限定しながら、繰り広げられます。あまり真剣に手塚作品を読んではいないのですが、改めて色々と鑑賞したくなりました。
本書では、諸々の気づき、学びが得られました。やや高尚な内容もあり、必ずしも100%理解できてはいないですが。
この中で、ブルボンヌさんの「性と愛の章」は名文だと思いました。テーマもわかりやすいためもあるでしょうが、気を使うような微妙な内容を扱いながらも、主張がとても理解しやすい。
Posted by ブクログ
NHKEテレの放送内容を振り返りたくて読んでみたけど、各著者の論が放送よりも掘り下げられた内容になっていて読んで良かった。手塚治虫が日本のマンガに与えた影響を、物語構造論、表現技術論、ジェンダー論、宗教論の切り口でコンパクトにまとめられている。手塚治虫は驚くほどの質を伴った量の作品を残している作家なので、手塚治虫論もまた沢山あるけど、本著はコンパクトに多方面の切り口でそれに触れられるので良いと思う。ここ近年では萌え系ファンの間で、ボクっ娘、ケモナーなどもすでに手塚が何十年も前にやっていたことが発見され話題になったが、新しい読み手の視点があればまだまだ手塚作品の魅力が掘り起こしができるかも知れない。こういう本をきっかけに手塚治虫の新しい若い読み手が増えるといいな、と切に思う。