望月麻衣のレビュー一覧
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ネタバレここはお金のない世界なんだけど夏美が労働の対価としてお金を受け取り、そのことが自分を偽らないことであり、これをきっかけに元の世界に戻ることができる。なんだかんだでやっぱりお金をもらいたいのが本心というのは、人間の”業”ともいうべき一面を見たような気がしますが、そうであってもそれが”自分らしさ”であるというところにこの物語の深さがあるように感じました。
キレイにまとめようと思えば、お金のいらない世界で、みな他人に感謝されることを喜びとして働いている、としておくところなのでしょうけれども、あえてこのような展開も盛り込まれている。やっぱり自分に正直、自分を偽らずに、自分の本心と向き合うのは難しいと感 -
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ネタバレ京都寺町三条のホームズシリーズにハマってしまい同じ著者つながりでこちらの作品も読んでみました。京都~とは一転してファンタジーものですが、物語の中心には深いテーマが設定されているようで侮れない一冊だと思います。
主人公の迷い込んだ世界、そこはお金のいらない、でも自分を偽らず、人から必要とされる状態であることがそこに存在していられる条件、というもの。それゆえ皆、お金がいらない世界であるにも関わらず働こうという意志をもち暮らしてゆく・・・。
この自分を偽らず、というところがなかなか難しいですね。主人公自身も舞妓修行をはじめるも自らが望む仕事ではなかったことから老人化してしまいます。自分では望んだ仕事 -
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ネタバレ少し不思議な、古都の物語。
小春は東京から京都は祇園に住む祖母のところにやってきた。祖母や叔父と一緒に和雑貨店「さくら庵」で過ごす小春には、誰にも打ち明けられない秘密があった。そして、次々と舞い込む不思議な依頼。だんだんと彼らの持つ不思議な力を知った小春は――。
はんなり京男子・澪人というはとこ、祖母の実家は賀茂家、八坂神社など祇園の様子、叔父・宗次朗の作る創作和菓子など、いかにも「京都」らしいアイテムが詰め込まれている。
小春は人の心の声が聞こえてしまうようになり、父母や友人たちの本音が恐ろしくなって不登校、部屋に引きこもるようになった。しかし、京都の家族に関しては、心からそう思ってい -
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ネタバレ探偵事務所での仕事ということで、推理に潜入・囮捜査、体を張ることも多かった話だけど、彼氏バカっぷりも相変わらずの清貴には今回も笑いました。
「葵ハグ貯金」って何だよという。
あの場面は本当に爆笑しました。
今回は円生とタッグを組んでいたこともあり、葵ちゃんとの話は控えめ。
その分、円生の子供っぽい一面、まだ清貴には及ばない一面も垣間見えて、彼の掘り下げ話になっていたように思います。
反抗期の中学生みたいと作中で言われていたけど、まさにそんな感じ。
でもいざ清貴のレクチャーが始まると真剣に聞き入ってるし(寧ろ目を輝かせているほど)
彼を可愛いと思えたのは、もしかして初めてかもしれない。
最後に海 -
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前作を読んでから少し時間が経ってしまいましたが、久しぶりに続巻を読むことができました。
なにか大きな事件が起こって、という展開ではなく、これまでのストーリーの裏側(今まで語られてきた場面を、別の人物(例えば円生)の視点から見ると…といったもの)が描かれていて、作品の持つ世界観にしっかりとひたることができました。
個人的には円生の視点から描かれた『円生の独白』が興味深く読むことができました。なぜ、円生が葵や清貴に絡むのか、というところを練り上げて書かれていたと思います。
シリーズ全体の「甘い」感じや、ほのぼのとした読後感はそのままで、気負いなく読むことができた一方で、清貴と葵の関係などにも大き