香山リカのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
じっくり読んで考えてもらうような記事を女性雑誌に載せることはもはや出来ない。
女性として今の日本に生まれた、という現状に疑問を抱くことなく、それを追認する雑誌。そのなかでどう振舞うのが自分に得か、という観点だけから関心の対象を決定する。そして、その対象を少しでも越えるものには、一切興味を示さない。
彼女たちが『女の子らしさ』と思い込んでいるものの中には、文化的・社会的に押し付けられた人工的な『女の子らしさ』が多く含まれている。
大胆にピアスの穴を開けたり、電車の中で平気で化粧をしたりするのは、外の環境を変えられないので自分の極めて私的な世界を限りなく拡張しようとの無意識の欲望から出て -
Posted by ブクログ
自分は就職活動の経験もないし、現在のところする予定もない。
だから、この本に登場する若者達の心情をどこまで理解できているのかはわからない。
けれど、そんな自分が読んだ限りでは、彼らの心情の1つひとつに、その都度納得し、共感した。
最後まで読んでみると、今時の若者は随分と複雑な精神構造をしているんだな、と思ってしまうが、1つひとつに納得できているということは、少なからず自分も彼らと同じような精神構造をしているのかもしれない。
一方で、筆者の主張もよくわかる。
鋭くて、痛いところを突かれている気がする。
それでもやっぱり、この本に登場するような若者達がこの本を読んだところで、なかなか筆者の言う -
Posted by ブクログ
こいつはおもしろい!そしてかなり複雑な内容を読みやすく書くことの手本でもある。日本人の劣化、としてある種の思考停止状態をよしとする、寛容への耐性が著しく低下している、妙な平等主義と他への想像力欠落、などについて適切適量の引用で実例を見せながら説明。社会についてはなんと!ヤングの「排除型社会」のわかりやすい入門編になっている(^^)。フェミニズムの衰退についても触れられ、荷宮「フェミニズムはなぜ衰退したか」の「戦略的失敗」的理解を取らず、他と同じく弱者に対する寛容の欠落で説明している(でもそれはフェミにとっては致命的だが^^;)。倫理的な欲求というのは確かに理念で日常世界の外にあるようだが、しか
-
Posted by ブクログ
ネタバレ香山リカ「さよなら、母娘ストレス」
・圧倒的支配力をもつ母親からの支配と従属、あるいは介入と受容の関係性。
☆社会学者 水無田気流 「戦後の日本社会は女性に自立して外で働け、でも家庭はおろそかにするなという矛盾したメッセージを伝えてきた。」「矛盾した教えを説く母親は娘にとって非合理でえたいの知れない存在にもなる」
・境界性パーソナリティ障害について。
特定の人物に対して、私を見捨てないでと依存ししがみつき(見捨てられ不安)と呼ばれる強い執着を見せる一方で、、常に相手に自分のすべてを奪われからっぽにさせられる(のみ込まれ恐怖)という恐怖も感じている。
自分とは何者かという問題になかなか答えを -
Posted by ブクログ
求めればキリがない。
捨てることは、心を楽にする。と言うことはわかっていながら、それが難しい。
大学教授を辞めて、僻地医療に携わる香山リカさんと、IT企業を立ち上げ、時代の寵児から1人の仏僧になった小野流光さんの会話。
小野さんの、仏教という堅苦しい枠に嵌らずユーモアのある励ましや、助言が心を和ませる。香山さんも、一時期よりも、なかり丸くなられた気がします。
人の役に立ちたい。程度は人それぞれだと思うし、誰に会うかで、人はその後の生き方も決まってくる気もします。そういう意味で、人との縁は大切。1人では生きられないことを真っ先に悟って、これまでの人とのご縁や、これからの縁を大切にしていきた -
Posted by ブクログ
ネタバレタイトルに惹かれて手に取った。
わかってほしい、と強く願う人とそうでもない人、わかってもらえっこないとあきらめている人、その違いってなんだろう
わかってもらえてると思ってたのに…というパターンもある
そもそもわかってもらえる、ということは、自分が思い描くパターンがあるという、そんなの無理なんだから期待しないほうがいいに決まってる
158ページが心に残った。
認知症のおばあちゃんが、過去のことはほとんど忘れてるのに、孫のことはかろうじてわかっていて完全に完璧に味方、頭をなでてくれて、お母さんには内緒だよとお菓子までくれる
孫はおばあちゃんが1番の理解者だという、
何もわからなくなって -
-
Posted by ブクログ
「いじめ」というものが、どのような心の動きで始まるのか、そのメカニズムを解説してある。
ヘイトスピーチや、アイヌ民族・水俣病患者への差別等を例としてあげ、それがどういう状況なのか、何故そういう状況になるのか心理学の視点やご自身の経験を通して書かれている。「いじめ」をより広い視点から理解できる。
そして、実際にいじめにあったら、またはいじめや差別にあっている人に気づいたら、どうすれば良いかを示してくれている。
いじめにあっている当事者が闘っていくのは困難すぎるのだということ、だからこそ周りにいる人が助け、解決に向けて行動を起こすことが大切だ、という部分には心が動かされました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ昔は「すみません、全て私の責任です」と自分の非を真っ先に認め、周りが「まあまあそんな自分を責めないで」 となだめる流れが強かった。
しかし最近は「悪いのは私じゃない」「こうなってしまったのはあの人のせい」「仕方なかった」「どうしようもなかった」と他に責任を丸投げする、自省の念に乏しい人が増えている。
SNSの普及で作文の剽窃がはびこっているのも、現代人の責任感の欠如に起因するのではないか。
学校の宿題を早く終わらせ、夏休みを満喫しようというような謳い文句で、夏目漱石や太宰治などの作品な掲載した「コピペが許されているサイト」があるのは驚き。
さらにもし剽窃がバレれた場合に書く反省分までもが掲載さ -
Posted by ブクログ
人はどうしても比べてしまう生き物。
自分がどれだけ恵まれているか、自分よりも不幸な人がどれだけいるかには目を向けず、友人や知り合いからの「結婚しました」「海外に行ってきます」「一軒家に住むことになりました」 という報告に、「幸せそうでいいな、それに比べて自分は…」と悲観する。
具体的にどんな人と結婚するのか 、なぜ海外に行くのかという内容を知る前に、「あの人はきっと素敵な人に恵まれてお金にも困ってなくて…」と短絡的に決めつけ 、羨ましがる。
自分の価値は自分で決める、比べる必要なんてない、と悟り開ける心を持つのが理想だけど、なかなか難しそう。