あらすじ
「あなたを生んだのは、この私」何かにつけ、印籠を見せるようにそう言い放つ母親たち。かたやその言い分にぐうの音も出ない娘たち……。心底憎らしいのにどうしても嫌いになれない、そんな矛盾に苦しむ女性はあなた1人ではありません。診察室を訪れた8名の娘たちのエピソードと著者の実体験を軸に綴る、母と娘の現実。娘(あなた)が幸せになるための6つの処方箋を収録。『怒り始めた娘たち』改題。
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Posted by ブクログ
香山リカ「さよなら、母娘ストレス」
・圧倒的支配力をもつ母親からの支配と従属、あるいは介入と受容の関係性。
☆社会学者 水無田気流 「戦後の日本社会は女性に自立して外で働け、でも家庭はおろそかにするなという矛盾したメッセージを伝えてきた。」「矛盾した教えを説く母親は娘にとって非合理でえたいの知れない存在にもなる」
・境界性パーソナリティ障害について。
特定の人物に対して、私を見捨てないでと依存ししがみつき(見捨てられ不安)と呼ばれる強い執着を見せる一方で、、常に相手に自分のすべてを奪われからっぽにさせられる(のみ込まれ恐怖)という恐怖も感じている。
自分とは何者かという問題になかなか答えを出すことができず、その内面の不安定さをすべて外界の人間や現象(所帯 世代 性別)に投影して見てしまう。
私にかまわないで、好きにさせてとメッセージを発しながらも、一方でもっとかまって、世話をしてとも望んでおり、自分で自分のその矛盾をどう解決すればよいか、わからなくなっている。
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本心 正論 本音 矛盾に対する怒り の発露 認めてみる
・白雪姫
どうしてお母さんの娘なのに、お母さんの考えに従えないの?
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私はこんなにやってきたのに、あなたはできないのね
自分より器量の良い、同性の娘を持つことは、正気の沙汰ではない。
同類性にそむく 親和的でないこと
自己嫌悪になり、一方的に罪悪感を感じつづけてしまったこと、病んだ心身に対する恨みや憎しみ。
一般的に母親は負かしたり乗り越えたりするのでなく、包み込み、呑み込み、自分と一体化していることを確認しようとする。
いま注目されている母親の分離不安は、子供が幼い段階で起きる。その姿はお母さんが仕事に出かけるのはイヤだとむずかるこどもの姿と重なる。
母親は、娘に対してなんだ私と同じじゃないという気安さを感じる。娘の年齢が上がれば上がるほど、母は娘の成長過程を自分の過去として思い出すことが増え、ますます娘への優位性を高めていく。
☆思想家 内田樹「息子と父親の闘争が娘と母親のあいだのヘゲモニー(主導的地位。指導権。)闘争」にシフトしていること、「かつ戦績も母親の圧勝」であることを早くも指摘している。
☆社会学者 上野千鶴子「娘の母に対する怨嗟の感情は、自責感と自己嫌悪としてあらわれる。母を好きになれない自分を、娘は好きになれない。なぜなら母は娘の分身であり、娘は母の分身だから。」
・娘が、自分の分身なのだという思いをこじらせ、娘を従属させてしまう母親。
娘自身の主体(意欲 情熱)は、ないがしろにしてもいいものなのか。
☆教育実践活動 高浜正伸 「孤母- 核家族化、地縁の希薄化、夫の無理解などによって孤独な子育てを強いられることになった母親」
自己愛的な人というのは実は不安が強すぎてそうなったというタイプが少なくないのだ。
自己愛的だからこそ、娘に対してもライバル意識を持ってしまい、娘が示す愛着行動に拒絶的になる場合がある。その傷つきを回避するため、娘はさらに自己愛の強い自分を作り上げ、母親があなたにはかなわないとひざまずくところを空想することで何とか生きのびていくしかないのである。
☆作家 角田光代「私に言葉を教えたのはこの人なのに、いつのまにかに、私たちの言葉はこんなにも大きく隔たってしまった。」「王国の王としてでもない、母としてでもない、自分とは別人格の人とみなすことができ」、「そうしてはじめて、義務感からでも罪悪感からでもなく、私は母とつきあえるようになった」
・自我状態療法のすすめ
本当の母親はこんなじゃないと自身を尊重してくれる母親を強く、具体的にイメージする。ほら母親はこうだったじゃないと自分の記憶をだますのだ。
自分の中にある母親像を上書きしたり、別の人間をイメージの中の本当の親と思い込んだりすることもできるのでもある。そうすることが自分の心を慰め、励ましてくれるということである。
それが母親でなくとも赤の他人からでも、けなされたり、甘やかされたり、おせっかいされたくない。十分に手をかけてもらいたい、褒めてもらいたい、一人前の人間として扱ってほしいとおもう。
①怒りを持つ、好意を持てないことを「悪い」と思わない。
きちんと自分の気持ちを受け入れ、心に決める。
②根拠のない脅し(呪文)に呆れる。
おびえても、引き戻されない。
③介護や援助のときは割りきって。
同情で胸を痛めたり自分を責めたりせず、乗り切るだけ。
Posted by ブクログ
いろんな母娘ケースを紹介し、
「あなたただけじゃないんだよ」
「結局他人は変えられないので、自身のとらえ方、変えてみようか」
を促す本。
個人的に母と確執・決して埋まらない溝があると思っているので
(本書にある通り、彼女は覚えてすらいないと思う)
ずっと脳裏に過去の恨みがちらつき、
気持ち悪くなるのであまりのめりこんでは読めなかった。
意図的にさらっと読んだ感じ。
そして、結局自分が努力するしかないのか、、と少し落胆。
これらの原因が
・母は娘を自身の分身のように無意識に考えている
・自身と同じ血を分けた存在、
自身の方が先を常に歩んでいる(年齢的に)事から、
常に自分の方が上位だと感じている
という思考からだ、という記述が腑に落ちた。
思えば、今娘がいるが、
なんとなく自分と似ている箇所がみてとれるので
「わかるよ~私も経験したことがある」という感情で
眺めている気がする。
自分が同じ道をたどっていることが恐ろしい。
彼女に対する侮辱だと、強く感じた。
自分とは全く別の存在として、
一個人として尊重してあげたい。
気を付けよう。