西加奈子のレビュー一覧

  • ふる

    Posted by ブクログ

    主人公の花しすら。社交的ではありながらも、相手が望む形で在りたい。自分を余り主張せずに、  受け身であると事が自己も他者も傷付けない、
    それがイコール「良い人」とは決して主人公も感じは居ないのだが、どこか潜在的にモヤモヤとしたものを感じる。最終的には今迄、取り留めてた レコーダー、記憶を通して自分の今の存在は他者との繋がりを通しての自分で在り私は私なのだと 
    確立したのかな。前に読んだ「i」にも何処か似通った作品だと思った。

    0
    2023年03月17日
  • 窓の魚(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    2組の恋人ーナツ、アキオ、ハルナ、トウヤマが温泉へ一泊旅行に出かける。翌朝、一体の死体が残される。それぞれ立場から話は進み、間に四人以外の人間から事件について語られる。それぞれが何かしら暗部を持ち、他人と関わろうとするのだけど、透明なガラスか何かに遮られているようなもどかしさ。読んだ後に、作品を思い返していると、いろんな感覚が押し寄せてくるような不思議な作品でした。

    0
    2023年02月16日
  • サムのこと 猿に会う

    Posted by ブクログ

    「サムのこと」「猿に会う」「泣く女」初期の短編3話が収録。

    表題作は事故で亡くなった友人・サムの通夜へ向かう20代の5人の男女の姿が描かれている。
    そこには深刻さの欠片もなく妙なオカシミさえ感じられるのだが、死は特別な事ではなくただの日常の一コマの様で若干の切なさと共に安堵すら覚える。

    仲良し女子3人組の温泉旅行を描いた「猿に会う」は3人が織りなす会話に親近感を感じ、肩の力が抜けるような味わい。

    夏の思い出に太宰治の生家を訪ねる高校生男子を描いた「泣く女」は情景が目に浮かぶ。

    独特の緩やかな空気感が心地良い短編集。

    0
    2023年02月15日
  • 字のないはがき

    Posted by ブクログ

    向田邦子さん=原作、角田光代さん=文、西加奈子さん=絵と豪華な顔ぶれで制作された絵本。

    絵本の下地となっているのは、戦争時代の向田さんが経験した家族との想い出を綴ったエッセイ『眠る盃』から。

    角田さんの文章はシンプルで小さな子供にも解りやすく書かれている。

    そのシンプルさと対比するかのようにクレヨンで力強く描かれた西さんの絵が目を引く。

    まだ字が書けない小さな妹が疎開する事になり唯一の連絡手段として、たくさんのはがきを持たせた父の心情はどれほど苦しく切なかっただろう。

    娘を抱きしめ号泣する父の深い愛情に涙が溢れる。

    0
    2023年02月14日
  • サムのこと 猿に会う

    Posted by ブクログ

    前に読んだんだけど、覚えているんだけど、記憶し忘れてたみたい。
    何だか不思議な話だったけどなんとなく目に見えるように想像できて楽しかったな。
    あとの2つの小説はほとんど覚えてなかったけど、また聞いてもやっぱりインパクトはなく

    0
    2023年02月07日
  • こどものころにみた夢

    Posted by ブクログ

    作品紹介・あらすじ

    【誰かの夢はときに美しく、ときに恐ろしく、どこか優しさに満ちている――】
    5分で読めて心が癒やされる!
    文:角田光代、石田衣良、島本理生、阿川弘之、辻村深月、西 加奈子、市川拓司、堀江敏幸、柴崎友香、長野まゆみ、穂村弘、高橋源一郎
    絵:網中いづる、松尾たいこ、鯰江光二、木内達朗、吉田尚令、いとう 瞳、中村純司、田雜芳一、望月通陽、ささめやゆき、しりあがり寿
    豪華作家陣が文章と絵で綴るショート・ショートアンソロジー!

    *****

    本の帯には「5分で読めて、暖かな気持ちに」とあるように、1作品は5分前後で読めてしまう。また「寝る前のひと時にぴったりなショートショートアンソ

    0
    2023年01月13日
  • こどものころにみた夢

    Posted by ブクログ

    豪華作家陣による夢にまつわる短篇集。
    石田さん目当てで購入。
    夢がテーマだけにどの作家さんも空想の世界全開の物語ばかりで現実逃避できた。

    0
    2023年01月11日
  • 通天閣

    Posted by ブクログ

    大阪ミナミの街を舞台に、2人の主人公の物語が交互に語られていく構成。年齢も性別も違う2人の語り口をしっかり書き分けられていてすごい。
    女の子の語り手が、アルバイト先のお店の掃除をしながら店の内装を詳述している場面の記述がものすごく印象に残った。店の様子と同時に女の子の機微が事細かに描かれていて、さらにオーナーがいかに変わった人かということが読者に伝えられていた。
    おっさんの語り手は、初めは人付き合いの悪い人物に見えるけど、物語が進むにつれてとても優しい心を持った人であることが明らかになってくる。
    世間や人生の厳しさや切なさを鮮明に描くと同時に、きらきら輝いていなくても、1日をただこなしているだ

    0
    2022年12月25日
  • しずく

    Posted by ブクログ

    六篇いずれも佳作揃いだが、敢えて選ぶと、「灰皿」、「木蓮」、「シャワーキャップ」の三篇がよかった。

    「灰皿」に登場する作中作『わたしがうんこを食べるまで』は、設定が強烈で、身体は拒否反応を示すが、(作中作の)作者の悲しみは想像できるような。。(スカトロ趣味の彼氏から、表題の要求を受けて、好きな余り何とか実行できた喜びをその彼に向けて綴った作品の出来がよかったため、つい世に出してしまい、その彼が怒って別れた、という筋書き。。)

    0
    2022年12月25日
  • こどものころにみた夢

    Posted by ブクログ

    各小説家の夢を覗いているような本。

    夢では、めちゃくちゃな展開や風景が不自然じゃないのよね。

    あの現実と夢の境目が分からないような浮遊感が色々なお話に盛り込まれて、共感しつつ読める部分もあった。

    0
    2022年12月24日
  • ふる

    Posted by ブクログ

    7年くらい前にこの作品は一度読んだことがあったけど、今回再読。
    他人を傷つけないように生きようと必死で、そのことに対して卑怯だという自意識がある主人公の人物像や、「今」という奇跡はもう次の瞬間には失われているというメッセージは、他の西作品にも通じるテーマだった。
    この作品は他の西作品に比べて掴みどころが分かりづらい?というか、ふわふわしている作品であることは否めない。実際西さんも、あとがきでこの作品は書き始めから他の作品と違ったと明かしているし、「書く、というより描くことに近かった」と表現している。
    他の方の感想で、新田人生とはこれまで自分の人生に関わりを持ちつつも強く記憶には残らない人々の総

    0
    2022年12月23日
  • こどものころにみた夢

    Posted by ブクログ

    感想
    夢を物語ることの楽しさ。子供の頃は誰でも行っていたのに今はしなくなってしまった。楽しさと朗らかさを覚えながらもどこか郷愁を感じてしまう。

    0
    2022年12月07日
  • サムのこと 猿に会う

    Posted by ブクログ

    「サムのこと」「猿に会う」「泣く女」の3作が収録された短編集。「サムのこと」は『あおい』で読んでいたので残りの2作のみ読みました。

    どちらも嫌な人が出てこなくて、同性間の友情関係を主軸にした作品。
    「猿に会う」のまこ、さつきちゃん、きよちゃんの3人はそれぞれキャラが立っていて、ゆるーい内容の会話がほっこりする。終盤の日光旅行前日にまこの妹の妊娠が発覚するという事件が起きたり、旅行中にテレビをつけたらデタラメ占い師が殺人容疑で逮捕されてたりとインパクトが大きい出来事が起こるけど、3人の関係や世界はどこに行っても何が起こってもいつも通りで、周囲から壊されることはない。

    太宰治が大好きな堀田とそ

    0
    2022年11月17日
  • ふる

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    新田人生とは私の人生に関わってくれた、今となっては顔も思い出せない人たちの総称なのかもしれない。
    時間軸が行き来する話は好きだし、日付が明確で親切設計だった。
    西加奈子の本は今まで数冊読んでいるが、不思議なことがチラチラ起こり、最後にどわーっと一気にわけわからん感じになるのが好きだ。

    0
    2022年10月13日
  • ご本、出しときますね?

    Posted by ブクログ

    若林さんと人気作家さんとの対談形式の本です

    作家さんって孤高な存在のような気がしていたけど、
    みんなそれぞれ(いい意味で)普通に人間なんだなって思いました。

    創作活動の話も聞いてみたかったですが、
    ゆるい内容だったので1日で読めました。

    ここから興味を持った方の
    著書を読んでいこうと思います!

    0
    2022年09月16日
  • ふる

    Posted by ブクログ

    絶対に忘れたくない、心に留めたい、脳裏に焼きつけておきたい瞬間が、今までたくさんあった。

    誰かを意図せず傷付けたこと、わかっていたけど頭で思い描いていたより相手に傷ついた顔をさせたこと、どん底にいるような気分の、どうしようもない私を誰かが救い出そうとしてくれたこと、寄り添ってくれたこと。
    絶対に忘れない、と思うのに、記憶はするすると抜けていく。薄情な自分。

    この本は難しくてわからなかったけど、上述した私の経験と少しだけ交わるところがあったような気がする。

    主人公の花しすにだけ見える、白くてふわふわで全員にくっついている丸っこいものは、ふわふわしたこの小説そのものだし、ふわふわしてガッと核

    0
    2022年08月26日
  • こうふく みどりの

    Posted by ブクログ

    西さんの初期の方の作品。

    今まで読んできた西加奈子作品のなかでもかなりコテコテの大阪弁だったにも関わらず、さくさく読めた。
    主人公が女系家族で複雑だったり、友達との恋愛をめぐるちょっとした確執だったり、叔父さんが殺されていたり、殺人犯の妻として生きる葛藤だったり、色んな要素を散りばめているのに、読者に本作をさくさく読ませるとはなんたるや…!
    なんでかわからないけど、さくさく読めてしまった。


    緑の目に映る活字が、括弧書きで何の脈略もなく登場するのが、緑の視線そのものを想像出来て面白い。発想が天才。
    中学生の恋愛なんて興味ないのに、私までコジマケンの動向が気になって仕方なかった。

    上沼恵美

    0
    2022年08月26日
  • ふる

    Posted by ブクログ

    ネタバレ



    『今まであなたは、いろんな人と関わって、
    いろんな人に影響を受けて、与えて、
    生きてきて、そしてそのことを忘れてしまって、
    でも尚、生きている』

    『誰かを愛してるって、強い気持ちがあったら、
    その人を傷つけることは、怖くなくなるはず
    なんだ』


    花しすの考え方や生き方共感できる部分もあった。

    忘れてほしくない、けど深く関わって傷つくのも怖い。一方で知らぬ間に自分は誰かを忘れてしまっているし、きっと傷つけてもきたのに。

    だからこそ時に相手の望む自分であることや、場の空気を察知して適した言葉や行動をとったり。

    現代青年の対人関係の特徴である「ヤマ

    0
    2022年08月22日
  • サムのこと 猿に会う

    Posted by ブクログ

    西加奈子初期の短篇集。嫌なひとが出て来ないのがいい。ほっと出来る。

    3篇の中では、泣く女、猿に会う、サムのこと、の順に良い。猿に会う、は、朝井リョウだったら全然違う雰囲気の話になるんだろうなあ、と妄想した。

    0
    2022年07月21日
  • しずく

    Posted by ブクログ

    女性2人の関係性を描く短編集。大家と店子、OLと彼氏の連れ子、偶然再会した幼馴染、等々。女性同士にある(?)微妙な距離感ともやもやした感情を、一人称の視点から忖度なく描く。キレイにさせてないことが、真骨頂。
    短編なのだが、設定がおもしろく、それぞれで長編を読みたくなる。また、短編なので物語の途中で話は切れるのだが、ハッピーな余韻がここちよい。

    0
    2022年06月13日