西加奈子のレビュー一覧
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今日は病院の日。待たされるのは手持ち無沙汰で気が滅入るので、僕はいつも文庫本を持参する。持って行く本はだいたいいつも決まっている。今回もこの本を。持参するたびに読み返しているものの、意外と内容を覚えていない。じつは苦手な本だった。それでも今日もまた、この本を選んだ。苦手だと言いながら手に取る、いま思うと不思議だ。今日という日が訪れる予感だったのだろうか。
椎名林檎との対談で作者は「セックスのカードって、どんだけ強いねん‼︎」と言っていた。前後の話の流れは忘れてしまったけれど、その一言だけ覚えている。否定的な発言かと思っていたけれど、この短編集の最初からそのカードを切っていた。そういえば初めて読んだ時は、だから少々拍子抜けしてしまった記憶がある。
なぜこの本が苦手だったのか。それは僕の未熟さゆえだったのかと思う。僕は昨年末から集中的に読書を再開した。きっかけは松岡茉優、彼女が本好きで、僕も彼女が読んだであろう本を読んでみたいと思ったことだった。このことは、僕が書いた他の本の感想にも何度も書いた。現状では、読書習慣がすっかり身についた。さらに、読書で個人的にかつてない経験をしたことがあり、そのことは、以降、僕の感情や考え方に大きな影響を与えている。
それを踏まえて、今日の、この本である。
病院で採血から結果待ち、診察を終えるまでの3時間強で、ほぼ読み終えてしまった。以前はなかなか物語に入り込めず、壁のようなものを感じ、行きつ戻りつしてなかなか進めなかったけれど、今日は何の抵抗もなく読み進めることができた。たんに最近身についた読書習慣のおかげ?要因としては、それは小さくないけれど、その習慣を得たことで、ひとつ気付いたことがある。僕は共感することができる。奇妙な言い方だけど、僕は何かしら物事に共感することができるということに気付いたのだ。本の中の物語にも、それ以外の日常生活でも、想像力をもって自分の外側で起こりうる事象への共感。いわば共感力とでも?これまで苦手だと思っていたこの本の中の物語でも、作者の想像、言わんとすること、登場人物の言動、ことごとく腑に落ちた。いや、それは少々調子に乗りすぎか。すべてに、とは言わないまでも、やはり共感した、共感できた、という言葉が合うように思う。
今回の件は、自分自身のことながらとても興味深いと思った。きっかけとなったと思われる僕の「読書におけるかつてない経験」について具体的なことは、ここでは触れないけれど、他の本の感想に、そのことは記してあります。もったいぶったわりに、じつは些細なこと。あくまで僕の、個人的な経験ですのでご容赦ください。
繰り返し読むことでの新発見という、読書の愉しみ方に気付くことができた一冊として、特別な本になりそうです。
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ネタバレ鳴木戸定
1月1日生まれ。マルキ・ド・サドから名付けられた。編集者になる。
多恵
定の母親。腎炎が悪化し、定が5歳のときに命を落とした。
栄蔵
定の父親。紀行作家だほとんど家にいない。定が12歳のときに死んだ。
岸田悦子
多恵が嫁いだ時にいたお手伝いの婆や。
之賀さいこ
作家。定が担当編集者。
あにた博
作家。定が担当編集者。
六本木大
作家。定が担当編集者。
小暮しずく
定より1年後に入ってきた編集部員。
篝
男性社員。
米永
40代の男性社員。急に仕事を無断で休み、そのまま会社に来なくなった
守口廃尊
守口譲。プロレスラー。1965年生まれ。米永が書籍の担当していた。
若鍋
『週刊事実』の守口担当。20代後半の男性。
水森康人
定の担当作家。
吉永亜紀
編集部員。バツ3。
武智次郎
新宿で迷子になっているところ、定に助けられる。
真紀
悦子の娘。 -
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ネタバレ「40代の男と20代の女が主人公で交互に視点が切り替わりながら物語は展開していく。男は工場勤めでいつも他人を見下す節があるが、自分の人生のコンプレックスを自覚しているからこその八つ当たり的なものをその行動から感じる。多分自分のことが嫌い。女はマメという彼氏と同棲していたが、彼氏が映像家の夢叶えるとのことで、ニューヨークへと単身で留学してしまう。おいていかれたという事実を受け入れられず悲しみを背負いながら、スナックでアルバイトをしている。最終的に男も女も自分の人生を受け入れ、前に進む決意をする」というのが大まかな内容。ありふれた日常を特別なものに感じさせる書き方のできる西加奈子だからこそかけた作品だと思います。
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ネタバレ私のお気に入りの一人の西さんの作品。
相変わらずぶっ飛んだ感じの作品でした。
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タイトルからして「ふる」ってのは頭の中では「振る」?雪が? あるいはあだ名が「ふる」みたいな(古川とか古田)みたいな人が出てくるのかなと思いきやそうでもない。結局タイトルの所以は分からずじまいでした。
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主人公はAVのモザイク掛けが仕事で、周囲の背後霊?というか後光?みたいな白いふわふわが見れるという池井戸花しす(いけいどかしす)。これまた漫才師の片割れみたいなウケ狙い的名前なのですが、物語では割とスルー気味。
関西弁で、周囲と緩く楽しくやってゆきたい花しす、人生の多くのところで新田人生なる人に出会っている。ある時は少年、ある時はタクシー運転手、ある時は同僚。ホラーかよって思うのですが、花しすに人生の道筋を指し示すかのようなちょっとした一言を残します。
ひょっとしたらこれは不思議ちゃんである花しすの自己暗示、幻影みたいなもの、とみなせるかもしれません。
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ということで、西さんによる、つかみどころのない作品でした(淡泊な書きぶりですが、本当にそうなんですよぉ)。
相変わらず、元気な関西弁のなかに独特な美しい日本語表現が潜むのは西流でした。
今回学んだ表現は「香箱を作る」。 猫ちゃんが前足を折り曲げて停泊した船みたいに座るじゃないですか。あれのことを「香箱を作る」「香箱座りをする」というそうです。主人公花しすと同居する猫二匹のことですが、表紙の猫のイラストにも出ていますね。
美しい日本語、つかみどころのない純文学を味わいたい方にはお勧め。 -
Posted by ブクログ
◆心に刺さったワード◆
⚫一日の中に締切があると、規則正しく進む
⚫中途半端な人こそ自分を天才に見せようとして横柄になる
⚫仕事してる間は、自分の内側のことで悩まなくていい。それに、金銭が発生すると「社会に必要とされてる」と思えて、自分のなかの欠落感が埋まった気になる。その「必要とされてる感」を失う怖さ。今仕事がなくなったときに、その欠落とうまく付き合う 技術や、人間 力への自信がない。そこから来る 強迫観念かもしれませんね。
⚫強い心は強い肉体に宿る
◆読んでみたい本◆
⚫変な恋愛の短編を集めたアンソロジー 岸本佐知子 『恋愛小説集』
⚫肩の力を抜きたい人 森鷗外 高瀬舟
⚫世界の実相をつかみたい人 古井由吉 辻
⚫次から次に変人が出てくる 村上龍 ライン
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