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還暦間近の夫婦に、92歳の父と87歳の母を介護する日がやってきた。母の介護は息子夫婦の苛立ちを募らせ、夫は妻に離婚を申し出るが、それは夫婦間の溝を深めるだけだった。やがて母は痴呆を発症し、父に対して殺意に近い攻撃性を見せつつも、絶食し自ら命を絶つ。そして、夫婦には父の介護が残された……。自らの体験から老親介護の実態を抉り出した、凄絶ながらも静謐な佐江文学の結実点。(解説・櫻井よしこ)
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Posted by ブクログ
94歳の父と、87歳の母を抱えて暮らす主人公、トモアキと妻の蕗子。 主人公が小説家であり、仕事場が家であるという点で、他の要介護者を抱える家庭とはすこし環境が違う。 この主人公は、両親と「スープの冷めない距離」というには遠いがそれほど離れていない距離で暮らしている。そして、週に一度は顔を出して...続きを読むいた。 介護が本格的に必要になってからも、通院など自らがやり、「妻にすべて背負わせたくない」と考えているところもある。 サラリーマンであれば、通院の付き添いも難しいだろう。 こういう点においても、介護は女性の仕事とされるのが「当然」であるというのが伺える。 主人公はそれを知っていて、自分は「そういう考え」を否定しながらも、心の奥でかすめてしまうその思いに抗えない。 妻には心から感謝している、けれど自分は古いから口に出していえない、と思う。これは、だいたいの男性にもあてはまるんじゃないかな、と感じた。けれど、実際に介護を代わってやることができない。 印象的なのは、主人公が離婚を切り出す場面。 「俺の嫁だからやらなくちゃいけないんだ、そうだろう」 離婚すれば、介護しなくてすむと言う主人公に 「おばあちゃまのオムツあなたが取り替えなさいよ」 と、一言だけ妻が言う。 介護を「嫁」という立場だからやらなくちゃいけないんだ、と考える主人公。 対して、現実的に「介護が要るひとを介護するのは当然だ」と思う蕗子。 ここで蕗子が欲しかったのは「離婚」じゃなく、「感謝」だったのではないだろうか。そこが主人公にはわからなかった。 いつもすまないな。 ありがとう。 そのすこしみせる気持ちだけで、いい。 蕗子の身に置き換えて、実感してほしかっただけだ。 離婚、が妻のためとするなんて、それこそ卑怯でてひどい、と感じたが、実際にそうする夫婦は少なくないんだろう。 わたしの両親も50代にはいった。 自分の身にかかることとして、この本はとても怖い。そして、わたしも立ち向かわなければならないんだ、とつよく思った。 逃げられないこの「黄落」と。
主人公は還暦間際の夫婦。92歳の父、87歳の母の介護を巡る物語。生活上の様々な問題や人には言えないような心情が、非常に生々しく描かれています。年老いた両親への嫌悪感、介護疲れからうっすらと両親の死を願ってしまう様子など・・・。仮に人からそういった愚痴を聞けば、親に対してそれはひどいと思ってしまってい...続きを読むたかもしれません。でも、単純にそうは思えないリアルさがあります。 自分は主人公の夫婦の子供に当たる年代です。将来自分の身近にも起こるかもしれない、あるいは既に起こり始めている問題として感じてしまい、怖くなりました。
50代後半の老夫婦が、90歳を超えた両親の介護を行う、いわゆる老老介護の物語。 20代のころは、5年後10年後の計画を立てるとき、自分ひとりだけの未来の姿を想像するだけでよかった。しかし30歳になった今は、5年後10年後の両親の年齢・健康状態も、不確定要素として自分の未来に組み込んで計画しなければな...続きを読むらない。この本に書かれている、おそらく真実であろう老人介護の現実は、かなり確度の高い自分の近未来のお話なのだ。あー…暗くなる…。
老人介護文学。 一度読んだらいいと思います。 いまの時代、だれしも、こういう将来が待っているんじゃないかな。
訃報を知り、過去(2007年12月17日)の読書メモ ***** 12月も終わりだというのに、ことしはやっと銀杏が黄葉して散っている。さすが陽に映えるさまは美しいけれど、落ち葉のかさこそ鳴るはもの悲しい。 『黄落』の書き出しの「こんにちでは六十五歳以上を老人というから、わたしはまだ老人の部類で...続きを読むはないが、還暦を間近にしてちかごろ、駅の階段で時折つまずく。」という主人公が「老親老後」をおくるもの悲しさは身にしみる。 私小説かとまごうフィクションは、高齢社会突入現代の普遍性が散りばめられている。主人公といっしょに「どうしたらいいんだろう」と途方に暮れる。 30年くらい前有吉佐和子の『恍惚の人』がベストセラーになった時は、わたしも若いゆえ遠いことのように思っていられた。 介護保険が充実していろいろなサービスを受けられるようになっても、この『黄落』で持ち上がるような当惑や苦労が減るわけではない。
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