黄落(新潮文庫)

黄落(新潮文庫)

小説・文芸
693円 (税込)

3pt

4.0

還暦間近の夫婦に、92歳の父と87歳の母を介護する日がやってきた。母の介護は息子夫婦の苛立ちを募らせ、夫は妻に離婚を申し出るが、それは夫婦間の溝を深めるだけだった。やがて母は痴呆を発症し、父に対して殺意に近い攻撃性を見せつつも、絶食し自ら命を絶つ。そして、夫婦には父の介護が残された……。自らの体験から老親介護の実態を抉り出した、凄絶ながらも静謐な佐江文学の結実点。(解説・櫻井よしこ)

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    黄落(新潮文庫)
  • タイトルID
    :
    648795
  • 電子版発売日
    :
    2019年09月06日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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    Posted by ブクログ

    94歳の父と、87歳の母を抱えて暮らす主人公、トモアキと妻の蕗子。

    主人公が小説家であり、仕事場が家であるという点で、他の要介護者を抱える家庭とはすこし環境が違う。
    この主人公は、両親と「スープの冷めない距離」というには遠いがそれほど離れていない距離で暮らしている。そして、週に一度は顔を出していた。
    介護が本格的に必要になってからも、通院など自らがやり、「妻にすべて背負わせたくない」と考えているところもある。

    サラリーマンであれば、通院の付き添いも難しいだろう。
    こういう点においても、介護は女性の仕事とされるのが「当然」であるというのが伺える。
    主人公はそれを知っていて、自分は「そういう考え」を否定しながらも、心の奥でかすめてしまうその思いに抗えない。

    妻には心から感謝している、けれど自分は古いから口に出していえない、と思う。これは、だいたいの男性にもあてはまるんじゃないかな、と感じた。けれど、実際に介護を代わってやることができない。

    印象的なのは、主人公が離婚を切り出す場面。
    「俺の嫁だからやらなくちゃいけないんだ、そうだろう」
    離婚すれば、介護しなくてすむと言う主人公に
    「おばあちゃまのオムツあなたが取り替えなさいよ」
    と、一言だけ妻が言う。

    介護を「嫁」という立場だからやらなくちゃいけないんだ、と考える主人公。
    対して、現実的に「介護が要るひとを介護するのは当然だ」と思う蕗子。
    ここで蕗子が欲しかったのは「離婚」じゃなく、「感謝」だったのではないだろうか。そこが主人公にはわからなかった。

    いつもすまないな。
    ありがとう。

    そのすこしみせる気持ちだけで、いい。
    蕗子の身に置き換えて、実感してほしかっただけだ。
    離婚、が妻のためとするなんて、それこそ卑怯でてひどい、と感じたが、実際にそうする夫婦は少なくないんだろう。

    わたしの両親も50代にはいった。
    自分の身にかかることとして、この本はとても怖い。そして、わたしも立ち向かわなければならないんだ、とつよく思った。
    逃げられないこの「黄落」と。

    0
    2011年01月27日

    Posted by ブクログ

    考えさせられる本。 親の死を願ってしまうのは悲しい現実かも。迷惑をかけずに死ぬのは難しい。しかし主人公の親父はわがまま過ぎ。
    「母が死ぬまでの辛抱である。父もそう長くはないだろう。今度こそ1年か2年だ。」

    0
    2025年12月18日

    Posted by ブクログ

    主人公は還暦間際の夫婦。92歳の父、87歳の母の介護を巡る物語。生活上の様々な問題や人には言えないような心情が、非常に生々しく描かれています。年老いた両親への嫌悪感、介護疲れからうっすらと両親の死を願ってしまう様子など・・・。仮に人からそういった愚痴を聞けば、親に対してそれはひどいと思ってしまっていたかもしれません。でも、単純にそうは思えないリアルさがあります。

    自分は主人公の夫婦の子供に当たる年代です。将来自分の身近にも起こるかもしれない、あるいは既に起こり始めている問題として感じてしまい、怖くなりました。

    0
    2014年01月05日

    Posted by ブクログ

    50代後半の老夫婦が、90歳を超えた両親の介護を行う、いわゆる老老介護の物語。
    20代のころは、5年後10年後の計画を立てるとき、自分ひとりだけの未来の姿を想像するだけでよかった。しかし30歳になった今は、5年後10年後の両親の年齢・健康状態も、不確定要素として自分の未来に組み込んで計画しなければならない。この本に書かれている、おそらく真実であろう老人介護の現実は、かなり確度の高い自分の近未来のお話なのだ。あー…暗くなる…。

    0
    2009年10月04日

    Posted by ブクログ

    老人介護文学。

    一度読んだらいいと思います。
    いまの時代、だれしも、こういう将来が待っているんじゃないかな。

    0
    2009年10月04日

    Posted by ブクログ

    訃報を知り、過去(2007年12月17日)の読書メモ

    *****

    12月も終わりだというのに、ことしはやっと銀杏が黄葉して散っている。さすが陽に映えるさまは美しいけれど、落ち葉のかさこそ鳴るはもの悲しい。

    『黄落』の書き出しの「こんにちでは六十五歳以上を老人というから、わたしはまだ老人の部類ではないが、還暦を間近にしてちかごろ、駅の階段で時折つまずく。」という主人公が「老親老後」をおくるもの悲しさは身にしみる。

    私小説かとまごうフィクションは、高齢社会突入現代の普遍性が散りばめられている。主人公といっしょに「どうしたらいいんだろう」と途方に暮れる。

    30年くらい前有吉佐和子の『恍惚の人』がベストセラーになった時は、わたしも若いゆえ遠いことのように思っていられた。

    介護保険が充実していろいろなサービスを受けられるようになっても、この『黄落』で持ち上がるような当惑や苦労が減るわけではない。

    0
    2020年11月03日

黄落(新潮文庫) の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    黄落(新潮文庫)
  • タイトルID
    :
    648795
  • 電子版発売日
    :
    2019年09月06日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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