中央公論新社作品一覧

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  • アケメネス朝ペルシア― 史上初の世界帝国
    4.6
    2500年前、アジア・アフリカ・ヨーロッパの三大陸にまたがる「史上初の世界帝国」として君臨したアケメネス朝ペルシア。エジプト侵攻やペルシア戦争など征服と領土拡大をくり返し、王はアフラマズダ神の代行者として地上世界の統治に努めた。古代オリエントで栄華を極めるも、アレクサンドロス大王によって滅ぼされ、220年の歴史は儚く幕を閉じた。ダレイオス1世ら9人の王を軸に、大帝国の全貌と内幕を描き出す。
  • 酔人・田辺茂一伝
    -
    若き日の立川談志が「人生の師匠」と慕った紀伊國屋書店創業者・田辺茂一。戦後の新宿文化をつくり上げた実業家、そして「夜の市長」と呼ばれた粋人とのユニークな師弟関係を、芸人・文士らとの華やかな交友関係とともに振り返る。家元流の観察眼が光る昭和人物列伝であり、毒舌のうちに故人への哀惜がにじむ漫談風エッセイ。 目 次 短いプロローグ 現代、何故田辺茂一か 第一章 人生の師 第二章 芸人好き 第三章 文人づき合い 第四章 御大の艶話 長めのエピローグ 最期の捨て台詞 〈対談〉どっちかてえとイロゴトより落語 田辺茂一×立川談志 田辺茂一・立川談志 略年譜 〈解説〉ダジャレ社長 高田文夫
  • 関ケ原合戦 戦国のいちばん長い日
    -
    慶長5年(1600)9月15日、中世から近世へ、豊臣から徳川へ、天下分け目の戦いが行われた。日本列島のすべてを巻き込んだ、この“戦国のいちばん長い日”は、一体どんな一日だったのか。家康の覇権確立への戦略を軸に、武将たちの権力闘争の実態を追究して、さまざまな野望が渦巻く東西両軍の人間模様を描き出す。15万の軍勢の激突を、臨場感を持って再現し、戦国乱世の時代像を24時間に凝縮する、迫真の歴史ドキュメント。
  • 米国キャンパス「拝金」報告 これは日本のモデルなのか
    3.3
    ランキング競争が過熱し、産学連携に踊らされ、アメフト、バスケで学生集め…。米国の大学では、エリートへの道も、大学が名を上げるのも、すべてはお金次第になった。日本の大学は、学長のリーダーシップ、外部評価、法人化など、彼の国を範としてきたが、このままで良いのか。
  • 家康の子
    4.5
    偉大な父をいつか超えてみせる――。徳川家康の子の生まれ、11歳で人質として豊臣秀吉の養子となった於義丸は、天下人と父との狭間で、自らの使命を見いだしていく。新田次郎文学賞・中山義秀文学賞受賞作家による、福井藩祖・結城秀康の波瀾万丈の生涯を描く歴史巨編。
  • 幣原喜重郎 国際協調の外政家から占領期の首相へ
    4.5
    戦前に外相を4度務め、経済重視の国際協調を主導、戦後は占領下、首相として日本国憲法制定に尽力した幣原喜重郎。外交官の中枢を歩み、欧米との関係を重視した「幣原外交」は、軟弱と批判されながらも中国への不干渉を貫き、政党政治を支えた。満洲事変後の軍部台頭に引退を余儀なくされるが敗戦後、昭和天皇に請われ復活。民主化や憲法9条の成立に深く関与する。激動の昭和期、平和を希求し続けた政治家の実像に迫る。
  • どくとるマンボウ医局記 新版
    4.5
    『どくとるマンボウ航海記』前夜。慶應病院神経科に勤める若きマンボウ氏は、愛すべき患者たちとふれあい、変人ぞろいの同僚と安酒をあおりつつ、人間の本質に思いをはせる――。ユーモラスな筆致のうちに、作家・北杜夫の鋭い観察眼と深い内省が窺えるエッセイ。新たに武田泰淳との対談「文学と狂気」を増補。〈解説〉なだいなだ 目次 第1章 大遅刻と教授からしておかしいこと 第2章 医局員のほとんどが変っていること 第3章 フレッシュマンの生活とイカモノ食いのこと 第4章 朝寝坊の万年おじさんのこと 第5章 宇宙精神医学研究室のこと 第6章 精神科医一刀斎のこと 第7章 医局長の子分役のこと 第8章 留学を思いたつこと 第9章 山梨県の病院へ売りとばされたこと 第10章 助人ついに来たる 第11章 愉しい日々と悲惨な夜 第12章 東京へ帰ったことと航海のこと あとがき 解説  なだ いなだ 対談  文学と狂気 武田泰淳・北杜夫
  • 天正伊賀の乱 信長を本気にさせた伊賀衆の意地
    3.8
    三重県西部の伊賀市・名張市エリアはかつて伊賀国と呼ばれた。戦国時代、この小国は統治者がおらず、在地領主たちが割拠していた。一五七九年、織田信長の次男信雄は独断でこの地に侵攻。挙国体制で迎え撃った伊賀衆は地の利を生かして巧みに抗戦し、信雄は惨敗を喫した。信長から厳しく叱責された信雄は翌々年、大軍勢を率いて再び襲いかかる――。文献を博捜した著者が、強大な外敵と伊賀衆が繰り広げた攻防を描く。
  • 「超」メモ革命 個人用クラウドで、仕事と生活を一変させる
    3.4
    紙片に「メモ」をとったらその紙片がなくなって困ってしまった。こんな経験が、誰にもあるだろう。忘れないように書きとめたり、ちょっとしたことを思いついて書いたりする「メモ」。本書は、そんなふつうの「メモ」を、スマートフォンなどのデジタルデバイスを使って、気軽にクラウドにあげ、有能な個人秘書のような存在=「超」アーカイブを手に入れようという提案である。そうすれば、情報洪水のなか、来たるべき技術革新の時代を生き抜くことができる。
  • 愛猿記
    -
    文士、猿を飼う。 愛猿、愛犬、愛鳥をめぐるエッセイ集。動物随筆の名品! 誰にもなつかないと評判の猛猿が不思議と著者にはたちまちなついた。情にほだされ、二代目、三代目と飼いつづけた著者と猿(三ちゃん)との十数年の日々。彰義隊生き残りの武士の孫として生まれ、新選組はじめ幕府に殉じた男たちの物語を書き続けた骨太の作家の、意外な横顔を伝える感動のエッセイ。文体は洒脱な語り口調で読みやすく、そして笑いと涙を呼ばずにはいられない。
  • 密教とはなにか 宇宙と人間
    5.0
    密教学界の最高権威が、インド密教から曼荼羅への変遷と展開、真言密教の原理、弘法大師の知恵、密教神話から、密教の発展、思想と実践について平易な言葉で説き明かす。科学、政治、経済などあらゆる面で混迷する不安な時代を生き抜くためのヒントを密教から見出そう。
  • 英文法再入門 10のハードルの飛び越え方
    4.7
    「英語は苦手、でも得意になりたい」と思っている人に! 英語が難しい原因は次の2つです。1つは英語が日本語と全く別の言語だから、もう1つは中学・高校で正しい方法と順番で学ばなかったからです。この2点を意識しながら、中学・高校の英文法をもう一度学んでみましょう。本書は、名詞の用法から基本の5文型、誰もがつまずく不定詞句や関係詞まで、工夫を凝らした10の講義で解説。これで自信がつくはずです。
  • フランクリン・ローズヴェルト 大恐慌と大戦に挑んだ指導者
    4.4
    フランクリン・D・ローズヴェルトはアメリカ史上唯一4選された大統領である。在任中、大恐慌と第二次世界大戦という未曾有の危機に直面した。内政では大胆なニューディール政策を採用、外交ではチャーチルやスターリンと協力してドイツ・日本など枢軸国と戦い、勝利に導いた。ポリオの後遺症による不自由な身体を抱えつつ、いかにして20世紀を代表する指導者となったか。妻エレノアらとの人間模様も交え、生涯を活写する。
  • ロヒンギャ危機―「民族浄化」の真相
    4.0
    ロヒンギャは、ミャンマー西部に住むイスラーム系民族のひとつだ。軍事政権下、国籍が与えられないなど長く差別されてきた。2017年の国軍による掃討作戦以降、大量の難民が発生し、現在100万人が隣国のキャンプで暮らす。民主化運動の指導者アウンサンスーチーはなぜ「虐殺」を否定するのか。本書は、複雑な歴史的背景やミャンマーをめぐる国内・国際政治を通し、アジア最大の人道・人権問題の全貌を示す。
  • ショパン・コンクール 最高峰の舞台を読み解く
    3.8
    ポーランドのワルシャワで五年に一度開催されるショパン・コンクール。一九二七年の創設以来、紆余曲折を経ながらも多くのスターを生み出してきた。ピアニストをめざす若者の憧れの舞台であり、その結果は人生を大きく左右する。本書では、その歴史を俯瞰しつつ、二〇一五年大会の模様を現地からレポート。客観的な審査基準がない芸術をどう評価するか、日本人優勝者は現れるのか。コンクールを通して音楽界の未来を占う。
  • 受難華
    4.0
    1巻968円 (税込)
    井の頭公園で〈秘密の結婚〉をする照子、道ならぬ恋に胸を焦がす寿美子、結婚後に夫の秘め事を知る桂子。女学校の仲良し三人組の恋愛と結婚に、思いもよらぬ試練が次々とふりかかる――。 「低級でも善良」な夫を愛せるか? 自分を欺いた夫を許せるか? 怒濤の昼ドラ的展開で読者を魅了し絶大な人気を博した、『真珠夫人』をしのぐ大正エンターテインメントの傑作。 〈解説〉酒井順子
  • 自由の限界 世界の知性21人が問う国家と民主主義
    3.6
    エマニュエル・トッド、ジャック・アタリ、マルクス・ガブリエル、マハティール・モハマド、ユヴァル・ハラリ……。世界の知性21人は混迷を深める世界と人類の明日をどう見るのか。民主主義のあり方も、米中の覇権競争の行方も、グローバリズムの帰趨も、いずれも答えは一つではない。そして、一つではないからこそ、耳を傾ける価値があり、考える価値があるのだ。 第1部 「予言者」であることは難しい――エマニュエル・トッド 第2部 それでも欧州に期待する 第3部 「アラブの冬」と「帝国」の再興 第4部 世界の軸はアジアに 第5部 コロナ以後
  • 万葉集講義 最古の歌集の素顔
    4.2
    奈良時代の後期に成立し、短歌・長歌など四五一六首を収める『万葉集』。歴代天皇や皇族、宮廷貴族、律令官僚がおもな作者だ。他方で防人、東国の農民、遊女といった庶民の歌も含む。幅広い階層が詠んだ、きわめて日本的な「国民文学」のイメージで語られるが、それははたして妥当か。古代日本が範を仰いだ中国の詩文の色濃い影響をどう見るべきか。代表的な歌々を紹介・解説しつつ、現存最古の歌集の実像を明らかにする。
  • 立花宗茂 戦国「最強」の武将
    3.7
    九州を舞台に活躍した戦国武将、立花宗茂。直接参加した戦では生涯無敗で秀吉も「日本無双」と賞賛を送った。関ヶ原の戦い後に一度は浪人の身になるも、再び徳川家に取り立てられ、ついには旧領復帰を果たす。その波瀾に満ちた人生から「大河切望NO.1」と名高い宗茂の生涯を歴史家・加来氏が独自の視点で描き出す。混沌たる今こそ、日本史最強武将の生涯に学べ!
  • 翻弄 盛親と秀忠
    3.7
    四国統一を成し遂げた偉大な父・元親に愛され、四男ながらも家督を継いだ長宗我部盛親。一方、豊臣の五大老として実質、天下の実権を握る家康を父に持つ徳川秀忠。二人の命運は関ヶ原における勝敗で分かれるも、互いに戦功を上げられぬ屈辱を味わう。それから十余年、運命が再び二人を戦場に連れ戻す――。 戦国の知られざる真実を描く歴史巨篇。 【目次】 第一章 蚊帳の外 第二章 焦燥の急 第三章 後始末 第四章 命運の差 第五章 流動の先 第六章 栄枯盛衰
  • 桂馬の高跳び 坊っちゃん講釈師一代記
    4.3
    私は心底から講釈が好きなのです――。多彩な趣味と遊興に明け暮れた明治生まれの「若だんな」が、芸の道へと飛び込んだ。貞山・伯鶴・初代山陽ら名人の教えを胸に大戦を生き延び、戦後は講談界再興を目指して柔軟な改革と挑戦を重ねた。講談を愛し、講談に尽くした「革命児」二代目神田山陽の破天荒な一代記。〈解説〉六代目神田伯山/長井好弘
  • 初歩からのシャーロック・ホームズ
    3.7
    1887年、『緋色の研究』にて世に登場して以来、シャーロック・ホームズは、小説、コミック、映像、ゲームなどメディアの変遷に乗り、名探偵として世界中で親しまれてきました。国と世代を越えて、どうしてこれほど人気を保ち続けているのでしょうか? 本書は、日本屈指の研究家がそんなホームズの謎に迫り、魅力を初歩から解説します。マニアも楽しめる読み所とエピソードが満載、資料も入った永久保存版です。これから読む人には最高の入り口となり、正典60篇を読み終えた人にはその後の指針たらんことを!
  • アメリカの政党政治 建国から250年の軌跡
    4.3
    アメリカの民主・共和の二大政党は、世界の中で極めて異質だ。両党は、地域の政党組織の連合体に過ぎず、党首、恒常的な綱領、党議拘束もない。他方で、地方政治家、政府高官、裁判官など隅々にまで浸透し、いずれかの党派であることが当然視される。両党は法によって優遇されてもいる。本書は、支持層・基盤を変えながら二大政党が制度化していく歴史を辿り、大統領を中心に語られてきたアメリカ政治の本質を描く。
  • ヒトラーの脱走兵 裏切りか抵抗か、ドイツ最後のタブー
    4.4
    ナチス・ドイツ国防軍の脱走兵は、捕らえられて死刑判決を受けた者だけでも3万人以上と、英米に比べて際だって多い。その多くは戦闘中の逃亡ではない。民族殲滅に加担したくないという、生命をかけた抵抗であった。戦後、生き延びた脱走兵たちは久しく卑怯者と罵られ、存在までも否定されつづけるが、ついに軍法会議の不当な実態を暴き、名誉回復をなし遂げる。最後の脱走兵の生涯を通じて、人間の勇気と尊厳を見つめる。
  • 北朝の天皇 「室町幕府に翻弄された皇統」の実像
    4.1
    建武三年(一三三六)、京都を制圧した足利尊氏は新天皇を擁して幕府を開いた。後醍醐天皇は吉野に逃れ、二帝が並び立つ時代が始まる。北朝の天皇や院は幕府の傀儡だったと思われがちだが、歴代将軍は概して手厚く遇した。三代義満による南北朝の合一以降、皇統は北朝系が占めた。一見無力な北朝は、いかに将軍の庇護を受け、生き残りに成功したか。両者の交わりをエピソード豊かに描き、室町時代の政治力学を解き明かす。
  • 韓国社会の現在 超少子化、貧困・孤立化、デジタル化
    4.2
    若者の就業率、教育費負担、男女の賃金格差など先進国の中で、“最悪”の数値を示す韓国。特に「圧縮した近代」の結果、1を切った出生率、60%が無年金者という高齢者の貧困率・自殺率は深刻だ。他方で問題解決のため大胆な政策を即実行し、デジタル化などは最先端を行く。本書は、少子高齢化、貧困・孤立化、デジタル化、教育、ジェンダーをテーマに、深刻化した現状と打開への試行錯誤を描く。韓国の苦悩は日本の近未来でもある。
  • 魔王の黒幕 信長と光秀
    3.7
    天正10年6月、明智光秀は1万2000の軍勢を率いて丹波亀山城より出陣した。天下人・織田信長の命で、備中高松城を包囲する羽柴秀吉の後詰をするためだ。波瀾に満ちた我が人生と、亡き妻・煕子の献身に思いを馳せる光秀。思えば、信長に仕えてからの14年余――魔王の如き主の所業の陰には、常に自分がいた。「今は戦国乱世、闇に覆われた世だ。乱世の闇を掃うには、より巨大で濃い闇が求められる」。第六天魔王・信長の先達として駆け抜けた光秀の胸に、今、去来するものは……。 福井新聞好評連載、書籍化。 【目次】 第一章 疑惑 第二章 信長 第三章 魔王 第四章 決別 第五章 惟任 第六章 献身 第七章 決意 最終章 謀反
  • 公家源氏―王権を支えた名族
    4.2
    源氏と聞いてイメージするのは頼朝や義経に代表される武士だろう。だが古代から近世にかけ、源朝臣の姓を賜わった天皇の子孫たちが貴族として活躍する。光源氏のモデルとされる源融、安和の変で失脚した源高明、即位前に源定省と名乗った宇多天皇など、家系は二十一流に及ぶ。久我家、岩倉家、千種家、大原家など中世や幕末維新期に活躍した末裔も数多い。藤原氏とともに王権を支え続けた名族の全貌。
  • 星になれるか
    完結
    3.0
    全1巻968円 (税込)
    『傷痕の街』で作家デビューした越路玄一郎。野坂昭如との出会い、吉行淳之介、長部日出雄とのバンコク旅行、そして直木賞受賞。その後訪れた睡眠薬中毒と小泉喜美子との離婚。自身が再起へ向かう姿と、一九六四年~七八年の綺羅星のような作家たちの活躍を描く、ハードボイルド作家の自伝的長篇小説完結編。 〈解説〉郷原 宏 ■目次 星になれるか/面白き罪/バンコク有情/ドリアンの謎/モンスターの尻尾/独り砂漠を/甘美なる腐敗/回帰への終章
  • 浪漫疾風録
    4.0
    二十三歳の越路玄一郎が入社したのは、個性派揃いの梁山泊のような出版社だった。部長の田村隆一に仕事を叩きこまれ、都筑道夫の後を受けて『EQMM』編集長を務め、そして作家に。一九五六年~六四年の疾風怒濤の編集者時代と戦後ミステリの草創期を活写する、ハードボイルド作家の自伝的長篇小説。 〈巻末エッセイ〉河合 靖/〈解説〉郷原 宏 ■目次 地獄へようこそ/悪戦苦闘/汗みどろの日々/粋で貧乏で/色やら恋やら/走り出す人々/ミステリ戦国時代/さらば編集者/あとがき
  • 東京五輪の残像  1964年、日の丸を背負って消えた天才たち
    -
    1964年・東京オリンピック。日の丸という十字架を背負ったための曲折と波乱に満ちた選手人生の軌跡を追った衝撃のルポルタージュ。 日本が戦後からの復興ぶりを世界に示した1964年の東京オリンピック。戦後日本の一大イベントの大舞台に臨んだ選手たちは、国を背負い、人々の期待を担った輝ける星だった。彼らはその後の半世紀、いかなる行路を歩んできたのか。出場選手の軌跡を追うと東京オリンピックに参加した日本選手357人の中に4人の行方不明者がいた。日の丸という十字架を背負った選手たちは、オリンピック後の人生とどう格闘し、何を得たのだろうか。その後の選手たちを追った迫真のルポルタージュ。新たな最新取材の書下ろしを加えた一冊。解説/為末大 (『五輪の十字架』を加筆・改題)
  • 内戦と和平 現代戦争をどう終わらせるか
    3.0
    人類の不治の病と言われる戦争。そのほとんどが国家間の紛争ではなく凄惨な内戦である。本書ではシリア、イラク、アフガニスタン、南スーダンなど二十一世紀以降の内戦を例に、発生から拡大、国連や周辺国の介入の失敗、苦難の末に結ばれたはずの和平合意の破綻といった過程を分析。テレビ局の報道ディレクター、国連日本政府代表部公使参事官、そして研究者として一貫して和平調停に関わる著者が、戦争克服の処方箋を探る。
  • 大暴落 ガラ 内閣総理大臣・三崎皓子
    4.5
    与党・明正党の総裁選で惜敗しながら、野党議員の投票により日本初の女性総理大臣となった三崎皓子。党の重鎮議員の反対で組閣もままならない。そんななか、危機管理官より、「秩父に大雨が降っており、このままでは荒川が決壊、都心が水に沈む可能性がある」との情報が入る。さらに追い打ちをかけるように、台風八号と九号が発生。皓子は日本では例がない「緊急事態宣言」を提案するが、経済の停滞を理由に閣内で反対の声が上がり――。 荒川河川事務所の所長・里見はその頃、隅田川流域への被害を回避すべく奮闘していた。刻々と上がる水位、そしていよいよ、水門を閉める決断をするときが来た――。 あかね銀行のディーリングルームではその頃、「なんだこれは!」絶叫が響いていた。一瞬でドル円相場が20円も飛び、159円をつけたのだ。「ガラだ! 大暴落だ!」――。 東京都心を直撃する大規模な自然災害、ゼロ金利政策を続ける日銀への信用不安。いつ現実のものとなってもおかしくない二つの危機に襲われた日本を、皓子はどのように救うのか?
  • 冷たい檻
    3.8
    北陸地方にある村の駐在所から、警官が失踪した。県警本部から派遣された調査官・樋口藤吾は、後任の駐在・島崎巡査部長と共に失踪の謎を追う。そして、過去に発生した事件や事故が、村に存在する大型複合医療施設に関係していることに気づいた。だが、さらに凄惨で、不可解な殺人事件が発生してしまう……。慟哭の警察小説。〈解説〉大矢博子
  • 古関裕而―流行作曲家と激動の昭和
    4.3
    古関裕而(一九〇九~八九)は忘れられた名作曲家である。日中戦争中、軍歌「露営の歌」で一世を風靡、アジア・太平洋戦争下のニュース歌謡や戦時歌謡を多く手がけ、慰問先でも作曲に勤しんだ。戦後は鎮魂歌「長崎の鐘」、東京五輪行進曲「オリンピック・マーチ」、映画「モスラ」劇伴音楽と、流行歌からスポーツ音楽まで数々の名曲を残す。戦争、そしてテレビの普及まで、昭和史を彩った彼の生涯をたどる。
  • 血

    4.0
    死んだほうがいい人って、こんなにいるんだよ。 15年を経て漆黒の闇から這い出る赤い悪魔……。 高校1年生の少女の行く先々で起こる不審死と殺人事件!! 新堂冬樹の真骨頂! 長編ハード・サスペンス 15歳の女子高生・本庄沙耶の父は自己中心で小狡く、母はまるで父の奴隷だ。その両親が突然家に侵入してきた男に刃物で惨殺された。さらに、一人になった沙耶が身を寄せた親戚――10年前に幼い弟を不注意で溺死させた祖父母、沙耶をレイプしようとした従兄、それを見て見ぬふりする叔父も次々と死亡する。ネット上では沙耶を励ますスレッドも立つが次第に「疫病神」「死神」と揶揄する声も囁かれる。不可解な死の連鎖の中心に身を置く沙耶。果たして彼女は〈悲劇の天使〉か〈美しき死神〉か? それとも……。わたしは、この体に流れる血を赦さない。
  • 太閤検地 秀吉が目指した国のかたち
    5.0
    豊臣(羽柴)秀吉が実施した政策、太閤検地。その革新性はどこにあるのか――。秀吉は、各地を征服するたび奉行を派遣し、検地を断行。全国の石高を数値で把握し、加増や減封、国替えを容易にすることで、統治権力を天下人に集約した。中央集権の成果は、のちに江戸幕府の支配基盤ともなる。本書は、太閤検地の実態を描き、単なる土地制度上の政策にとどまらず、日本の社会構造を大きく変えた意義を示す。
  • 歴史に残る外交三賢人 ビスマルク、タレーラン、ドゴール
    4.2
    冷戦後のアメリカ政府の一極覇権戦略は破綻した。日本周囲の三独裁国(中国・ロシア・北朝鮮)は核ミサイルを増産し、インド、イラン、サウジアラビア、トルコが勢力を拡大している。歴史上、多極構造の世界を安定させるため、諸国はバランス・オブ・パワーの維持に努めてきた。19世紀後半の欧州外交を支配したビスマルク、俊英外相タレーラン、哲人政治家ドゴール。聡明な頭脳とパワーをもち合わせた三賢人が実践した「リアリズム外交」は、国際政治学で最も賢明な戦略論であり、日本が冷酷な世界を生き抜く鍵となる。
  • 養生訓
    3.0
    八十すぎまで長年実践してきた健康法を万人のために丹念に書きとめた「養生訓」は、益軒の身体的自叙伝ともいうべきものである。東洋医学の叡智を結集し、自然治療の思想を基本とした、この自主的健康管理法は、現在でもなお実践的価値が高い。 〈解説〉松田道雄/〈巻末エッセイ〉玄侑宗久
  • スマホの中身も「遺品」です デジタル相続入門
    4.7
    文字通りパソコンやスマートフォンなどのデジタル機器のなかに遺された、故人の情報を意味する「デジタル遺品」。そこには個人情報が満載されているほか、実際に金銭的価値を持つものが増えた一方で、IDやパスワードが分からないと詳細が判明しないものが多いため、相続の場などを通じて問題化し始めた。その現状や対応策について長年調査しているのが筆者だ。銀行・証券のネット化や各種Payサービスによるキャッシュレス、定額サブスクリプションサービスの浸透などを前に、問題は急速に多様化・複雑化していくと警鐘を鳴らす。いざというとき、私たちはデジタル遺品にどう対応すべき? 契約者以外がログインするのは違法? 隠したい情報はどう扱えばいい? 最新事情と具体的なエピソードを絡めつつ、相続する・される側の視点に立って解説していく。あなたはそのスマホを放置したままで、死ねますか?
  • 幸福とは何か ソクラテスからアラン、ラッセルまで
    4.2
    幸福とは何か――。この問いに哲学者たちはどう向き合ってきたのか。共同体の秩序と個人の衝突に直面した古代ギリシャのソクラテス、アリストテレスに始まり、道徳と幸福の対立を見据えたイギリス経験論のヒューム、アダム・スミス。さらに人類が世界大戦へと行きついた二〇世紀のアラン、ラッセルまで。ヘーゲル研究で知られる在野の哲学者が、日常の地平から西洋哲学史を捉えなおし、幸福のかたちを描き出す。
  • 日本史の論点 邪馬台国から象徴天皇制まで
    3.7
    鎌倉時代は「いい国つくろう」の1192年に始まる、という時代区分はもはや主流ではない。日本史の研究は日々蓄積され、塗り替えられている。今注目されている日本史の論点は何か、どこまで解明されたのか。「邪馬台国はどこにあったか」「応仁の乱は画期なのか」「江戸時代は「鎖国」だったのか」「明治維新は革命なのか」「田中角栄は名宰相か」など、古代・中世・近世・近代・現代の29の謎に豪華執筆陣が迫る。
  • 灰と日本人
    4.5
    発火、料理、消毒、肥料、発酵、製紙、染料、陶芸のほか香道や茶道にも道具や材料として、灰は日本人の生活を支えてきた。また童話の中には「灰かぶり姫(シンデレラ姫)」に似た話が世界にあることを見出す。食生活、社会、風俗、宗教、芸術に分け入り、身近な生活必需品=灰の科学と神秘性を解き明かす。灰の負のイメージを払拭する画期的な作品。 目次 Ⅰ 灰の生いたち 灰の誕生と埋火(うずみび)のこと 灰の成分と用途、そして灰屋のこと Ⅱ 灰と食 食べものと灰 酒と灰 醤油・味噌と木灰 海藻と灰 料理と灰汁(あく) Ⅲ 灰の恵み 和紙・織物と木灰 染料・染色と木灰 やきものと灰 Ⅳ 灰の効能 薬と灰 「秘術伝書」と灰 Ⅴ 灰の恐怖 火山と灰 死の灰 Ⅵ 灰と高貴 茶道・香道と木灰 習俗・宗教と灰 文学と灰
  • ダイエット物語……ただし猫
    4.0
    夫と愛猫が糖尿病予備軍? 何とかダイエットは成功するが、今度はまさかのリバウンド?? 「ダイエット物語……ただし猫」「ダイエット物語……こんどはヒト」に加え、自身の体験を書いた「大腸ポリープ物語」を収録。文庫化にあたり書き下ろした「リバウンド物語」、夫婦対談「素子さんの野望」をプラスした、新井素子ファン必読の一冊。
  • 日本型資本主義 その精神の源
    4.5
    長期にわたって停滞を続ける日本経済。混迷から抜け出せないのはなぜなのか。本書では、その解明を歴史に求め、経済システムを支える日本人の「資本主義の精神」を探究する。強欲な金儲け主義への嫌悪感、ものづくりへの敬意や高品質の追求、個人主義ではなく集団行動の重視など、欧米はもとより、中韓など東アジア諸国とも異なる特質を明らかにする。そのうえで現代日本の経済システム改革への指針を示す。
  • 海外で研究者になる 就活と仕事事情
    3.9
    日本人の研究リーダーたちが世界の大学で活躍している。どうすれば海外で研究者になれるのか。応募書類の書き方から、面接の実際、待遇交渉まで、イギリスの大学に就職した著者が詳説。昇進は自己申告制、会議は家庭の用事で欠席可能、公費でティータイム、意外と親身な学生指導など、異文化での研究生活をリアルに描写。各国で活躍する研究者17人へのインタビューも収録。研究職だけでなく、海外で働こうとする日本人必読。
  • ヒトラー演説 熱狂の真実
    4.1
    ナチスが権力を掌握するにあたっては、ヒトラーの演説力が大きな役割を果たした。ヒトラーの演説といえば、声を張り上げ、大きな身振りで聴衆を煽り立てるイメージが強いが、実際はどうだったのか。聴衆は演説にいつも熱狂したのか。本書では、ヒトラーの政界登場からドイツ敗戦までの二五年間、一五〇万語に及ぶ演説データを分析。レトリックや表現などの面から煽動政治家の実像を明らかにする。
  • 「地方国立大学」の時代 2020年に何が起こるのか
    3.3
    平成の30年を経て、大きく変わった国立大学。国による「法人化」や「国立大3分類」などの改革、共通一次からセンター試験への受験方法の変化、さらに加速化し始めた少子化や地方の過疎化に加えて2020年に行われる入試改革を通じ、さらなる激変が予想される。そこで教育ジャーナリストである著者が各地を支える地方国立大のこれまでと、その未来を探る新書を整理。生き残りをかけたその未来を提言する。特に12の学部を要する広島大学、通称“広大”は旧官立大の一つでブランド力“1位”に何度も輝く、正に“地方”を代表する大学のひとつだが、“世界100大学”に入ることを目指し、各種改革やイメージ戦略を実施。近年、その成果が出始めている。そこで前半では国立大を取り巻く事情の整理を、後半では復活の成功例として“広大”を中心に据え、正しい大学改革の姿に迫ると共に、この先、大学が生き残るための方策を探っていく。地方消滅の危機を目前とする今、地方国立大学による大逆転劇が始まる!
  • 温泉の日本史 記紀の古湯、武将の隠し湯、温泉番付
    3.0
    日本人と温泉の関わりは古く、三古湯と称される道後・有馬・白浜温泉は『日本書紀』にも出てくる。中世には箱根・熱海・草津・別府などの名湯が歴史の表舞台に現れた。武田信玄ら戦国大名が直轄した領国内の温泉地は「隠し湯」として知られる。江戸時代に入ると大名や藩士、幕臣らはこぞって湯治旅を楽しむようになり、旅行案内書や温泉番付が登場。初の秘湯ブームも到来した――。多彩なエピソードでつづる通史。
  • 漢帝国―400年の興亡
    3.7
    漢字、漢民族という表現が示すように、漢は中国を象徴する「古典」である。秦を滅亡させ、項羽を破った劉邦が紀元前202年に中国を統一(前漢)。武帝の時代に最盛期を迎える。王莽による簒奪を経て、紀元後25年に光武帝が再統一(後漢)。220年に魏に滅ぼされるまで計400年余り続いた。中国史上最長の統一帝国にして、中国を規定し続けた「儒教国家」はいかに形成されたのか。その興亡の歴史をたどる。
  • ドナ・ビボラの爪 (上) 帰蝶純愛 篇
    4.7
    1~2巻968円 (税込)
    美濃の斎藤道三の娘・帰蝶。親譲りの胆力と才覚を備え、父に愛されて育った彼女は、尾張の織田信長の元へ嫁ぐ。お互いの器の大きさと夢を認め、愛し合う二人は、共に尾張平定に乗り出した。だが、道三の息子・義龍が叛旗を翻す。信長は美濃へ援軍を送るが間に合わなかった。道三の死は、帰蝶と信長の関係にも影を落とすことに。
  • 天皇の装束 即位式、日常生活、退位後
    3.5
    装束とは、天皇・公家・武家・高僧などの上流階級が着用した歴史的着衣をいう。歴代の天皇は、皇太子から即位式を経て天皇になり、譲位後は上皇、さらには出家して法皇となる場合もあった。そうした人生の節目ごとに装束は変化したが、個人の意思で選ぶことはなく、奈良・平安時代以来の厳格な規定に従っていた。本書は、主として中世の天皇の生涯を辿りながら、個々の装束を詳細に解説し、それらが持つ意味を明らかにする。
  • 古代日中関係史 倭の五王から遣唐使以降まで
    4.0
    607年、日本は隋の煬帝に「日出ずる処の天子」で名高い書状を送る。以後、対等の関係を築き、中国を大国とみなすことはなかった――。こうした通説は事実なのか。日本はアジア情勢を横目に、いかなる手段・方針・目的をもって中国と交渉したのか。本書は、倭の五王の時代から、5回の遣隋使、15回の遣唐使、さらには派遣後まで、500年間に及ぶ日中間の交渉の軌跡を実証的に、「常識」に疑問を呈しながら描く。
  • 玉藻の前
    3.5
    「お前はそれほどにわたしが恋しいか。人間を捨てゝもわたしと一緒に棲みたいか」 金毛九尾の狐の物語「殺生石伝説」を下敷きにした、綺堂の長篇伝奇小説。平安朝、妖狐に憑かれ国を惑わす美女になった娘と幼なじみの若き陰陽師の悲恋を軸に、権力闘争にあけくれる殿上人や怪僧らが暗躍する。附録として短篇「狐武者」を収載。カバーは山本タカトによる描き下ろし。本文には初版刊行当時の井川洗厓による挿絵を再録。〈解題〉千葉俊二
  • 宣教のヨーロッパ 大航海時代のイエズス会と托鉢修道会
    4.4
    ルターに端を発する十六世紀ヨーロッパの宗教的動揺は、イエズス会というまったく新しい組織を生んだ。霊操と教育を重視し、異教徒への宣教を実践するイエズス会は、ポルトガル・スペインの植民地開拓と軌を一にして、新大陸やアジアへと進出した。かれらの思想や布教方法はどのようなものだったか。いかなる経済的基盤に支えられていたのか。現地社会に与えた影響や「キリスト教の世界化」のプロセスを詳細に検証する。
  • 剣と清貧のヨーロッパ 中世の騎士修道会と托鉢修道会
    -
    俗世間を離れ、自らの心の内を見つめる修道院。だが12世紀、突如その伝統から大きく離れた修道会が生まれた。騎士修道会と托鉢修道会である。かたや十字軍となって聖地エルサレムやイベリア半島、北方で異教徒と戦い、かたや聖フランチェスコらが都市のただ中で民衆の信仰のあり方をラディカルに変革した。これら〝鬼子〟ともいうべき修道会の由来と変遷を、各修道会の戒律や所領経営などにも注目しながら通観する。
  • 戦国武将に学ぶ究極のマネジメント
    3.0
    日本中世史研究40年、学校経営15年と、研究・経営の両面に携わってきた著者。校長・理事長の任にあった豊島岡女子学園では、戦国武将の領国経営や生き方を拠り所に、学校運営にあたり、女子御三家(桜蔭・雙葉・女子学院)と肩を並べる難関大合格実績(最多の年で東大41名)を挙げている。 戦国時代は、つねに戦争と死という極限状況にあったという点で、史上最も過酷な時代であった。武将たちは、その判断を誤れば自分だけでなく、家臣とその家族をも破滅に追い込む。それだけに、彼らの活躍や言葉の中に、現代人の困難や挫折を乗り越えるヒントがある。 本書では、著者の専門の中世・戦国武家社会研究やNHK大河ドラマの監修、女子校経営での経験から、人材育成やマネジメントなど、現代の組織において実際に役立つ、戦国武将の知恵・発想・戦術、ひいては人間力を探ろうとするものである。 目次 第1章  時代を拓いた天下取り三人の頭脳 第2章  将たる器 第3章  戦国大名の人材登用と育成 第4章  名将の人を動かす極意 第5章  働き方の知恵
  • 自民党―「一強」の実像
    4.4
    自民党は結党以来38年間にわたり政権を担い、2度「下野」したが、2012年に政権に復帰。一強状態にある。その間、自民党は大きな変貌を遂げた。本書は、関係者へのインタビューや数量的なデータなどを駆使し、派閥、総裁選挙、ポスト配分、政策決定プロセス、国政選挙、友好団体、地方組織、個人後援会、理念といった多様な視角から、包括的に分析。政権復帰後の自民党の特異な強さと脆さを徹底的に明らかにする。
  • 外国人が見た日本 「誤解」と「再発見」の観光150年史
    4.0
    外国人は何を見たいのか。日本人は何を見せたいのか。明治初期、欧米の案内書では、「古き良き」文明の象徴として箱根の夜道が激賞される一方、日本側のガイドには、近代的な工場や官庁が掲載される。外国人による見どころランキングの変遷や、日本人による観光客誘致をめぐる賛否両様の議論を紹介し、日本の魅力はいったいどこにあるのか、誰がどう発見し、アピールするのかを追う。めまぐるしく変転する観光の近現代史。
  • 日本ノンフィクション史 ルポルタージュからアカデミック・ジャーナリズムまで
    3.9
    「非」フィクションとして出発したノンフィクション。本書は戦中の記録文学から、戦後の社会派ルポルタージュ、週刊誌ジャーナリズム、『世界ノンフィクション全集』を経て、七〇年代に沢木耕太郎の登場で自立した日本のノンフィクション史を通観。八〇年代以降、全盛期の雑誌ジャーナリズムを支えた職業ライターに代わるアカデミシャンの活躍をも追って、「物語るジャーナリズム」のゆくえと可能性をさぐる。
  • 正義とは何か 現代政治哲学の6つの視点
    4.2
    「公正な社会」とはどういったものか。権利や財の分配で可能になるのか。米国の政治哲学者ロールズは、一九七〇年代以降、社会のあり方を根底から問い直し、世界に新たな地平を切り開いた。本書は、ロールズの考えを起点にリバタリアニズム(自由至上主義)やコミュニタリアニズム(共同体主義)など六つの思想潮流から正義とは何かを問う。格差や貧困など現実課題との接点に、個人の幸福を支える平等な社会の可能性を探る。
  • 現代経済学 ゲーム理論・行動経済学・制度論
    4.0
    二〇世紀半ば以降、経済学は急速に多様化していき、学問としてはわかりにくさを増した。本書は、ミクロ及びマクロ経済学はもとより、ゲーム理論、行動経済学や神経経済学などの大きな潮流を捉え、実験や制度、経済史といった重要な領域についても解説。多様化した経済学の見取り図を示す。かつて“社会科学の女王”と呼ばれた経済学の現在地を提示し、その未来と果たすべき役割を明らかにする。入門にも最適。
  • フランス現代思想史 構造主義からデリダ以後へ
    3.8
    一九六〇年代初め、サルトルの実存主義に代わり、西洋近代を自己批判的に解明する構造主義が世界を席捲した。レヴィ=ストロースをはじめ、ラカン、バルト、アルチュセールの活躍。六八年の五月革命と前後するフーコー、ドゥルーズ=ガタリ、デリダによるポスト構造主義への展開。さらには九〇年代の管理社会論と脱構築の政治化へ。構造主義の成立から巨匠たち亡き後の現在までを一望する、ダイナミックな思想史の試み。
  • バビロンの秘文字(上)
    3.9
    4500年前の謎を解き、愛する人を救い出せ――。 恋人の里香に会いにストックホルムを訪れたカメラマン・鷹見。その眼前で、彼女の勤務先である国際言語研究所が爆破された。現場から姿を消した里香は、未解読の粘土板“バビロン文書”を持ち出していた。行方を追ううちに、古代アッシリアのシュメル人の末裔と称する、亡国の民ラガーンの存在を知る。そして鷹見自身にも、襲撃者の手が迫り来る――。 “バビロン文書”に記された、世界を揺るがす秘密とは?  圧倒的なスケールで描く新時代のエンターテインメント、待望の文庫化!
  • 特捜検事 新編集版
    4.5
    一般市民からの告訴や告発を受け付ける東京地検特捜部の直告係から、今日も立花検事に事件が回ってくる。小さな傷害や名誉毀損・詐欺・贈収賄・強制わいせつ事件として処理されるはずの案件が、なぜ殺人事件にまで変貌してしまうのか。立花検事の調書が今、紐解かれる! 直木賞作家が見つめた人生の黒い果実とは!? 昭和末期の名推理〈特捜検事〉シリーズから7編を再編集! 人生の真実に時代は関係ない。今野敏さんお勧め「さすが三好さん、熟練の筆の冴えだ。捜査小説ブームの今こそ、実直な立花検事の活躍を味わってほしい」。
  • 中国経済講義 統計の信頼性から成長のゆくえまで
    4.2
    世界第2位のGDPを誇る経済大国、中国。だが実態はつかみづらい。その経済力が世界秩序を揺るがすと見る「脅威論」から、正反対の「崩壊論」まで、論者によって振れ幅が大きい。本書では、「中国の経済統計は信頼できるか」「不動産バブルを止められるか」「共産党体制の下で持続的な成長は可能か」など、中国経済が直面する根本的な課題について分析。表面的な変化の奥にある、中国経済の本質を明らかにする。
  • 新装版 役人道入門 組織人のためのメソッド
    4.3
    中央官庁で不祥事が相次ぎ、「官」への信用が失墜している。あるべき役人の姿、成熟した政と官のあり方、役人とは何か? 答えはすべてここにある。「官僚組織のリーダーが判断を誤ればその影響は広く国民に及ぶ」。34年間奉職した財務官僚による渾身の書を緊急復刊! 著者の経験がふんだんに盛り込まれた具体的なノウハウは、指導者の地位にある人やリーダーとなるべく努力をしている若手など、組織に身を置くあらゆる人に有効な方策となる。
  • 人口減少と社会保障 孤立と縮小を乗り越える
    4.2
    国民皆年金・皆保険と社会保険方式を特徴とする日本の社会保障。雇用の安定と人口増加のもと発展してきたが、1990年代以降の経済低迷により、家族と雇用のあり方は激変。社会的孤立などの問題が浮上した。加えて、人口減少が社会保障の土台を揺るがしている。「ミスター介護保険」と呼ばれ、地方創生総括官も務めた著者が現状の問題点を指摘し、孤立を防ぐ方法、高齢者偏重から全世代型への転換など新しい方策を示す。
  • 雨の鎮魂歌
    3.3
    北の小さな田舎町。中学校の生徒会長・一村が遺体で見つかった。警察の捜査が難航する中、同級生の徹也は友人の古館の様子がおかしいことに気づく。やがて異常な事件が続発。徹也と仲間たちは隠された真実を探す。喪失と絶望、疑心と対立、目眩と希望――。激しい雨に降られた十五歳の夏。少年少女はただ一度の季節を走り抜ける。 重松清氏、松浦理英子氏、栗澤順一氏(さわや書店)の各氏大絶賛! 累計18万部突破の「クラン」シリーズ著者が放つ傑作青春ミステリー。
  • 上皇の日本史
    4.0
    外国では、退位した王・皇帝に特別な呼称はない。それは、王・皇帝という地位に権威・権力が付随し、いったん退位すれば、その権威・権力はすべて次の王・皇帝に引き継がれるからである。ところが日本では、退位した天皇は「上皇」と呼ばれ、ときに政治の実権を掌握してきた。上皇による政治=「院政」という言葉は、引退しても権力を手放さない実力者のあり方を指す表現にもなっている。では「上皇」とは、どのような存在だったのか? 200年ぶりの天皇譲位を前に、上皇の歴史を辿り、現代における天皇・皇室、そして日本と日本人を考えるための視座を提示する。
  • AIと日本企業 日本人はロボットに勝てるか
    3.7
    人工知能(AI)、IoT、ビッグデータ技術の活用で、人々の仕事が奪われていく。時代は大転換期に入った。あなたの仕事は大丈夫か。日本を動かしてきた3人が、大混乱期のニッポン経済を大胆予測。言いたい放題、炎上必死。でも、日本経済が2時間でわかる! ▼日本の大企業が、自滅するのはなぜか。 ▼メガバンクが大量リストラするのはなぜか。 ▼仮想通貨の正体とは。 ▼中国アリババの急成長の真相は。 ▼あなたの仕事は大丈夫か……。 ▼大転換期に生き残る秘策とは。 ◎内容例 榊原 デフレ克服なんていうことを、まだスローガンにしていること自体が 田原 危ない? 榊原 おかしい!(笑) 田原 日銀の黒田はそういっている。 榊原 本気でそういっているのかな。   (本文より)
  • 日本の公教育 学力・コスト・民主主義
    4.0
    教育無償化、学力低下、待機児童など、近年の教育の論点は多岐にわたる。だが、公費で一部もしくは全体が運営される学校教育=公教育とはそもそも何のためにあるのか。実際に先進国の中で公教育費が少ない日本には、多くの課題が山積している。本書は、学校とそれを取り巻く環境を歴史的背景や統計などのエビデンスを通して、論じる。そこからは、公教育の経済的意義や社会的役割が見えてくるだろう。
  • 光明皇后 平城京にかけた夢と祈り
    3.7
    大宝元年(七〇一)、藤原不比等の子として生まれ、同い年の聖武天皇と同じ邸宅で育った光明子。やがて皇后となり、天武―文武―聖武と続く皇統の維持が最大の使命となる。だが、長屋王の変、相次ぐ遷都、身近な人々の死など、動乱の荒波は彼女にひとときの安らぎも与えることはなかった。「稀代の女傑」か、慈悲深い篤信の女性か。毀誉褒貶半ばする光明皇后の心奥まで光を当て、天平のヒロインの実像にダイナミックに迫る。
  • 中国の世界遺産を旅する 響き合う歴史と文化
    3.0
    悠久の歴史を誇る中国には、文化や思想の精華である世界遺産が数多く存在する。本書ではそのうち七件を精選し、歴史的背景をふまえながら、それぞれの史跡をたどってみたい。兵馬俑の真の価値とは。殷墟から出た甲骨は何を語るのか。敦煌文書に記された古代の思想とは。歴史を書き換えた新発見の衝撃や、建造物に施された工夫の意味を知れば、世界遺産はもっと面白い。中国古典に精通した著者ならではの案内で、旅に出かけよう。 第一章 殷墟――漢字と思想の源流 第二章 孔子廟――儒教と孔子のふるさと 第三章 兵馬俑と始皇帝陵――始皇帝の野望 第四章 万里の長城――国防意識の体現 第五章 泰山――聖なる山 第六章 敦煌――シルクロードの夢 第七章 明の十三陵――発見された地下宮殿
  • イスラム10のなぞ 世界史への招待
    4.0
    今世紀末までに世界最大の宗教人口に達することが予想されるイスラム――。しかし、複雑怪奇な中東情勢は理解しにくく、世界16億人の心を捉えて離さないイスラムの本質はよく知られていない。そもそもなぜ、イスラムはこんにち世界宗教としての地位を獲得することができたのか。なぜ、アラブ諸国とイスラエルの和解は進まないのか――。「10のなぞ」を解き明かすことで歴史の真実と意外な事実が見えてくる。イスラム入門に最適な書。
  • 英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱
    4.5
    中世から現代までの千年に渡る膨大な歴史資料を網羅する英国国立公文書館。ここには米国独立宣言のポスター、シェイクスピアの遺言書、欧州分割を決定づけたチャーチルの手書きメモから、夏目漱石の名前が残る下宿記録、ホームズや切り裂きジャックの手紙、タイタニック号の最後のSOS、ビートルズの来日報告書まで、幅広い分野の一次資料が保管されている。この宝石箱に潜む「財宝」たちは、圧巻の存在感で私たちを惹きつけ、歴史の世界へといざなう。
  • 京都の神社と祭り 千年都市における歴史と空間
    4.3
    京都の歴史は、千二百年を超える都市のなかで育まれた、神々への信仰と祭礼文化の歴史でもある。本書は、市内約三百の神社から、京都を代表する下鴨・上賀茂神社、松尾大社、伏見稲荷大社、八坂神社、北野天満宮、上・下御霊神社、今宮神社、平安神宮とその祭礼などを紹介。祭神はどのような性格をもち、なぜ祀られたのか。どのような氏子たちが支えてきたか。祭礼に込められた意味とは何か。秘められた歴史と特徴を解読する。
  • ミルクと日本人 近代社会の「元気の源」
    3.0
    「こんな強烈な匂いと味なのに、お茶に入れて飲むなんて!」牛乳を飲む英国人を見た日本人の言葉である。だが明治二年、築地で牛乳が売り出され、日本人はその味に慣れていった。芥川龍之介の実家も牧場を経営し、渋沢栄一はそこから牛乳を取っていた。大正期には牛乳を加工したキャラメルが大流行した。関東大震災で緊急配布が行われ、敗戦後に児童の栄養を案ずる人々により学校給食への導入が進む。飲み物が語る近代史。
  • 現代日本外交史 冷戦後の模索、首相たちの決断
    4.4
    米ソ冷戦が終わり、日本は経済大国として平和を謳歌すると思われた。だが、1991年の湾岸戦争で状況は一変する。「非自民」の細川政権を皮切りに連立政権の時代に入った日本を、北朝鮮核危機、テロとの戦い、中国台頭による緊張の高まりといった安全保障問題が揺さぶる。さらに経済危機、歴史認識、沖縄米軍基地、北方領土など、冷戦後の25年は危機の連続だった。16政権の苦闘をたどり、日本外交の課題に迫る。
  • 医療危機―高齢社会とイノベーション
    4.5
    国民皆保険制度のもと、日本の医療は「費用」「受診しやすさ」「治療の質」の点で、世界でも高い水準にあった。しかし高齢者の増加に加え、技術の高度化・一般化によって国民医療費は年間四〇兆円以上に及び、対GDP比で世界第三位となっている。本書では、参考にしうる諸外国の医療改革を概観し、患者と医療者の取り組みを紹介。技術面にとどまらない医療サービス全般のイノベーションにより、医療崩壊を防ぐ方策を示す。
  • 入門! 進化生物学 ダーウィンからDNAが拓く新世界へ
    4.0
    生物はなぜこんなに多様なかたちをしているのか? 餌の種類に応じてくちばしの形を変えた鳥、雄が交尾後の雌に貞操帯でフタをするトンボなど、多様な姿や驚きの行動が、どのようにして生起したのかを解説。さらに中立進化説、分子遺伝学や行動生物学といった最新の知見を紹介し、「挑戦する雄」が新たな種を生み出すとの新説や、過剰な適応は絶滅への道であることを提唱する。知的興奮に満ちた生き物好き必読の書。
  • 禁欲のヨーロッパ 修道院の起源
    3.5
    多くの宗教で、性欲・金銭欲などの自らの欲求を断ち切り、克服することが求められる。キリスト教も同様だが、それではヨーロッパにおける「禁欲の思想」はいつ生まれ、どのように変化していったのか。身体を鍛錬する古代ギリシアから、法に縛られたローマ時代を経て、キリスト教の広がりとともに修道制が生まれ、修道院が誕生するまで――。千年に及ぶヨーロッパ古代の思想史を「禁欲」という視点から照らし出す意欲作。
  • SRO7 ブラックナイト
    4.0
    新宿の闇金業者殺しの現場から、亀戸で遺体となって発見された少年の指紋が見つかった。SRO室長・山根新九郎は、法歯学の調査により少年の発育に遅れがあったことを知る。同じ頃、東京拘置所特別病棟に入院している近藤房子が動き出す。担当看護師を殺人鬼へと調教し、ある指令を出した。そのターゲットとは――。 大人気シリーズ最新刊!
  • 元老―近代日本の真の指導者たち
    4.5
    明治憲法成立後の1890年代以降、天皇の特別な補佐として、首相選出を始め、内閣の存廃、戦争、条約改正など重要国務を取り仕切った元老。近代日本は、伊藤博文、山県有朋、西園寺公望ら元老8人の指導下にあった。非公式な組織のため、当初は政治の黒幕として批判されたが、昭和初期の軍部台頭下では未成熟な立憲国家を補う存在として期待が高まる。本書は、半世紀にわたり権力中枢にいた元老から描く近代日本の軌跡である。
  • 酒場天国イギリス 英国文化を味わい尽くす
    3.5
    酒場から英国の光と陰を照らし出す。エール、シングルモルトといった酒文化の蘊蓄から、ロック、ミステリーなど「大人の趣味」までを肴に、パブやバーで、ピーター・バラカン、『レモン・ハート』の古谷三敏ら「通」たちのとっておきの話を聞く。世界一ぜいたくな「酒都」めぐり。
  • 財務省と政治 「最強官庁」の虚像と実像
    4.1
    国家の財政を担い、「官庁の中の官庁」「最強官庁」と称される財務省(旧大蔵省)。55年体制下では自民党と蜜月関係を築いた。だが90年代以降、政治改革などの統治構造改革が、首相の指導力強化と大蔵省「解体」を推進。2001年には財務省へ衣替えした。小泉政権、民主党政権、第二次安倍政権と政治が変動するなか、経済停滞と少子高齢化により財政赤字の拡大は続く。20年以上の取材をもとに「最強官庁」の実態を追う。
  • ヒトラーに抵抗した人々 反ナチ市民の勇気とは何か
    4.2
    「いつでも人には親切にしなさい。助けたり与えたりする必要のある人たちにそうすることが、人生でいちばん大事なことです。だんだん自分が強くなり、楽しいこともどんどん増えてきて、いっぱい勉強するようになると、それだけ人びとを助けることができるようになるのです。これから頑張ってね、さようなら。お父さんより」(反ナチ市民グループ《クライザウ・サークル》のメンバーが処刑前に十一歳の娘に宛てた手紙)
  • 言語の社会心理学 伝えたいことは伝わるのか
    3.6
    「わたしの孫はおじいさんですよ」「わたしの孫はおばあさんですよ」。この会話は、一見すると不自然である。だが、当人たちは何の問題もなく意思疎通ができている(第2章参照)。私たちは、ことばを「文字どおり」に使っているわけではない。話していないのに伝わることもあれば、丁寧に説明していても誤解されることがあるのはなぜか。社会心理学の視点から、敬意表現や皮肉など、対人関係のことばの謎に迫る。
  • 特別支援教育 多様なニーズへの挑戦
    3.8
    小中学校の通常学級で六%、全国で六〇万人を超えると思われる「知的障害のない発達障害児」。彼らを含む、すべての障害のある幼児・児童・生徒の自立や社会参加に向けた取り組みが、教育の場で始まっている。一人ひとりの教育上のニーズを把握し、学習面や生活面の問題を解決するための指導と支援を行う。これが特別支援教育だ。すべての親や教師、そして子どもたち自身が知っておくべきことを収めた現代の新基準の書。
  • 竹島―もうひとつの日韓関係史
    3.9
    日本と韓国などが領有権をめぐって対立する竹島。日韓それぞれが正当性を主張するものの議論は噛み合わず、韓国による占拠が続いている。本書は一六世紀から説き起こし、幕府の領有権放棄、一九〇五年の日本領編入、サンフランシスコ平和条約での領土画定、李承晩ラインの設定を経て現在までの竹島をめぐる歴史をたどり、両国の主張を逐一検証。誰が分析しても同一の結論に至らざるをえない、歴史学の到達点を示す。
  • 吉田松陰とその家族 兄を信じた妹たち
    3.5
    読書好きの家庭に生まれた吉田松陰は、おおらかな母滝や教育熱心な父百合之助、弟思いの兄梅太郎、個性豊かな妹弟や叔父に囲まれ育った。明治維新の立役者となる多くの若者たちを育てた松陰の生涯は、常に捨て身で革新的な思想を主張し、脱藩や二度の投獄、処刑へと至る壮絶なものであったが、周りにはいつも家族や同志の支えがあったのだ。松陰と彼を愛した人々、彼の「志」を受け継いだ者たちを描く幕末群像。
  • 日本ミステリー小説史 黒岩涙香から松本清張へ
    3.5
    1巻968円 (税込)
    江戸後期、大岡越前の裁判小説が人気だったように、日本人は元来、謎解きが大好きだった。だが、ポーの「モルグ街の殺人」にはじまるミステリーが受容され、国産の推理小説が定着するためには長い茨の道が必要だった。黒岩涙香による本邦初のミステリー、探偵小説でデビューした泉鏡花、『新青年』と横溝正史、社会派という新ジャンルを切り開いた松本清張や「日本のクリスティー」仁木悦子まで、オールスターで描く通史。
  • 生物多様性 「私」から考える進化・遺伝・生態系
    3.8
    地球上には、わかっているだけで一九〇万種、実際は数千万種もの生物がいると言われる。しかし、その大半は人間と直接の関わりを持たない。しかし私たちは多様なこの生物を守らなければならない。それはなぜなのか――。熾烈な「軍拡競争」が繰り広げられる熱帯雨林や、栄養のない海に繁栄するサンゴ礁。地球まるごとの生態系システムを平易に解説しながら、リンネ、ダーウィン、メンデルの足跡も辿り直す、異色の生命讃歌。
  • 核と日本人 ヒロシマ・ゴジラ・フクシマ
    4.0
    唯一の戦争被爆国である日本。戦後、米国の「核の傘」の下にありながら、一貫して「軍事利用」には批判的だ。だが原子力発電を始めとする「平和利用」についてはイデオロギーと関わりなく広範な支持を得てきた。東日本大震災後もなお支持は強い。それはなぜか――。本書は、報道、世論、知識人、さらにはマンガ、映画などのポピュラー文化に注目、戦後日本人の核エネルギーへの嫌悪と歓迎に揺れる複雑な意識と、その軌跡を追う。
  • 殷 ―中国史最古の王朝
    4.2
    殷王朝は中国史最古の王朝である。紀元前一七世紀頃から紀元前一〇四六年まで、約六〇〇年続いたとされる。酒池肉林に耽る紂王の伝説が知られているが、この王朝にまつわる多くの逸話は、史記のような後世に編まれた史書の創作である。殷王朝の実像を知るには、同時代資料である甲骨文字を読み解かねばならない。本書は、膨大な数の甲骨文字から、殷王朝の軍事から祭祀、王の系譜、支配体制を再現する。
  • 重金属のはなし 鉄、水銀、レアメタル
    4.0
    重金属と人類とのつきあいは古くて新しい。IT産業にはレアメタルが欠かせず、私たちの体にも釘一本分の鉄が含まれている。一方で、調味料として鉛が利用されたローマ時代には中毒が多発し、水銀やカドミウムの汚染は今や全世界を覆っている。ビッグバンに始まる重金属の歴史、その特徴、利用法を解説。さらに、メリットとリスクを同時にもたらす重金属と人間の関係を水俣病などの事例に学び、つきあい方を再考する。
  • 入門 医療政策 誰が決めるか、何を目指すのか
    3.2
    高齢者医療費の増大、TPP参加と皆保険制度等、日本の医療は嵐のなかにある。また、医療者・政府・患者等、関係者の利害対立も激しさを増している。これまでは“カンと度胸”で決定されてきた医療政策も、いまやデータの裏付け・検証や理論に基づく施策が求められている。本書は、医療政策の課題、学問的裏付け、決定過程の実態、諸外国の例、今後の展望について解説し、新たな学問としての医療政策学の必要性を説く。
  • 本のなかの旅
    -
    宮本常一、吉田健一、開高健、ヘミングウェイ、中島敦……。旅をすることにより、生き、書いた人々。文学者のみならず、登山家、冒険家、釣り人たち18人が遺した旅の記憶を読み解くエッセイ集。
  • 肉弾 旅順実戦記
    5.0
    日露戦争の激戦から瀕死の重傷を負いながら生還した一将兵による実戦記。戦場の有様と兵士たちの心情を描いた本作品は世界的に評価され、各国で翻訳された。だが、ここから生まれた「肉弾」という造語はやがて精神主義の標語として悲惨な戦争に迎えられていく。稀代の問題作を、百余年を経て新字新仮名にて初文庫化、初電子書籍化した。 〈解説〉長山靖生
  • 23区格差
    3.3
    一人勝ちとも揶揄される東京都。そのパワーの源は「格差」にあった! 少子化せず、区によっては高齢化も進まない理由とは何か。子育てしやすい区、暮らしやすい区、安心・安全な区、学歴・年収・職業の高い区はどこか。そして山の手ブランドに迫りつつある危機とは? 23区がうねり、力強く成長を続ける、その理由を東京23区研究所所長がデータで解析。成長のヒントはここに隠れている! 区別通信簿付き。

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