フィルムアート社作品一覧
-
-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 サスペンスの巨匠、アルフレッド・ヒッチコック。 その秘密の眠る、もうひとつの「映画術」 人々を驚愕させたヒッチコックの名シーンたちは、 いかに構想され、映像化されたのか? 膨大な未公開資料から、 ソール・バス、サルバドール・ダリ、ヘンリー・バムステッドら、 偉大な協力者たちとの共同作業を掘り起こし、 映画史に残る傑作群の舞台裏を解き明かす映画ファン必読の一冊! ストーリーボードとはすなわち、現在における〈プリヴィズ(Pre-Visualization)〉の始原であり、とりわけヒッチコックはストーリーボードを自身の方法として重要視していたことが知られています。ヒッチコック曰く「滅多に自身ではカメラを覗かない、なぜなら前にストーリーボードで作ったのと同じ映像になっているからだ」。 本書では、ヒッチコックの実作における共同制作者たちとのストーリーボード――プロダクション段階における様々なイラストレーション、舞台セットのスケッチ――の役割を探ります。貴重な関連図版を数多く掲載し、『めまい』『サイコ』『鳥』『北北西に進路を取れ』等々9つの傑作の制作過程から、最終的な作品に辿り着くまでの軌跡を辿ります。 アルフレッド・ヒッチコックの想像=創造過程を知るにおいてはもちろん、動画制作者やデザイナー、漫画制作者など、あらゆる視覚的創作の基礎ともいえる思考・方法を学ぶにも役立つ一冊です。
-
5.0記念すべき第1回音楽本大賞の「大賞」&「読者賞」をダブル受賞! 「録音」が開く、聴覚の新たな地平 木々のざわめきに、都市の喧騒に、民族音楽の背後に、固体を伝う振動に、水中の音環境に、私たちは何を聞き取ることができるのか? 実践と鑑賞を通じて、音の可能性を拡張する画期的音響文化論! 2000年代以降、小型軽量で廉価なデジタル・レコーダーの登場、そしてSNSの台頭により、フィールド・レコーディングという言葉を目にする機会がますます増え、「音」や「聴くこと」について人々の関心が高まりつつあります。 フィールド・レコーディングは、現代音楽やサウンド・アートの文脈、60年代末からつづくサウンドスケープと環境音楽、90年代では音響派ブームのなかで取り上げられる機会の多かった音楽ジャンルであると同時に、人類学・民族音楽学などの学術の領域での研究手法として、また電車や野鳥の録音をするような趣味としても広くおこなわれてきたものです。しかし、こうした文脈をまとまった形で取り上げ解説される機会は多くはありませんでした。 フィールド・レコーディングには響きとしての音楽的な面白さだけでなく、その音が生じる場所の歴史や生態環境、録音者の視点といった文脈が深く結びついています。本書は、こうしたフィールド・レコーディングが歩んできた様々な文脈を統合したうえで、その全体像を捉え直し、歴史、理論、実践方法を1冊で知ることができる内容となっています。現在的な視点からフィールド・レコーディングを網羅的に紹介し、そのすべてが理解できる国内で初めての1冊です。 ★フィールド・レコーディングより深く知るためのディスク&ブックガイド付き ★柳沢英輔×佐々木敦(思考家)×角田俊也(サウンド・アーティスト)による鼎談を収録 ブックデザイン:大田高充 カバー写真:エレナ・トゥタッチコワ
-
3.7本書は、体や心の具合が悪いと感じたときに開いて、その対処法を知るために参考にしてほしい。 といっても、いわゆる健康本や医学解説書とはちがう。どこがちがうかというと、まず、取り上げている症状や悩みの種類がバラエティに富んでいる。体の痛みも心の痛みも区別することなく取り上げているので、この本を開けば、「腰が痛いとき」や「歯が痛いとき」と同様に、「恋人と別れたとき」の対処法もみつかる。また「ホームシックのとき」や「飛行機がこわいとき」など、ストレスを感じやすい状況も取り上げているし、「結婚相手をまちがえたとき」や「職を失ったとき」など、人生の深刻な危機も心身の不調をもたらす悩みとして取り上げている。さらに「二日酔いのとき」や「ユーモアがわからないとき」などのささいな症状や悩みも、ケアの必要な疾患とみなしている。 そしてもう一つちがうのは、ここがいちばん肝心なのだが、症状の改善のためにすすめる「薬」が、薬局ではなく書店や図書館にある点だ。場合によっては、ネットショップから手持ちの端末にダウンロードすることもできる。つまり治療に使うのは「本」なのだ。 取り揃えている「薬」は、ヘミングウェイ、トルストイ、メルヴィルはもちろん、古くは2世紀の作家アープレーイユスの『黄金の驢馬』から、現代の強壮剤ともいうべきジョナサン・フランゼンの作品まで、2000年に及ぶ文学史のなかから、最高の優れた知性にあふれ、もっとも心身の回復効果が期待できる小説を集めた。 読者の皆さんは普通の薬と同じように、処方された本は最後まで読み切り、いま以上の健康と、幸福と、より多くの知恵を手に入れてほしい。自分なりの処方箋をもっておくのもいいかもしれない。
-
4.8技巧(クラフト)が芸術(アート)を可能にする 『ゲド戦記』『闇の左手』のアーシュラ・K・ル=グウィンによる小説家のための手引き書 「芸術には運もある。それから資質もある。それは自分の手では得られない。ただし技術なら学べるし、身につけられる。学べば自分の資質に合う技術が身につけられる。」(本書「はじめに」より) ハイファンタジーの傑作『ゲド戦記』や両性具有の世界を描いたフェミニズムSF『闇の左手』などの名作を生み出し、文学史にその名を刻んだアーシュラ・K・ル=グウィン。 本書は、ル=グウィンが「自作の執筆に励んでいる人たち」に向けて、小説執筆の技巧(クラフト)を簡潔にまとめた手引書である。 音、リズム、文法、構文、品詞(特に動詞、副詞、形容詞)、視点など、ライティングの基本的なトピックを全10 章で分かりやすく解説。各章には、ジェイン・オースティンやヴァージニア・ウルフ、マーク・トウェイン、チャールズ・ディケンズなど偉大な作家が生み出した名文が〈実例〉として収録され、ル=グウィン自身がウィットに富んだ〈解説〉を加えている。また章末に収録されている〈練習問題〉を活用することで、物語のコツと様式について、自らの認識をはっきりと強固にすることが可能になる。 小説の執筆は、技芸(アート)であり、技巧(クラフト)でもあり、物作りでもある。執筆の楽しみを満喫することができる一冊。
-
3.1なぜいま、わたしたちは遊びの理論が必要なのか? そもそも、遊びとはいったい何なのか? 現代ゲームスタディーズの第一人者、ミゲル・シカールによる新時代の「遊び」の哲学、待望の翻訳! 新しい切り口でゲームについて考え、そしてゲームという観点から、新しい切り口でゲーム以外の物事について考える、ゲームスタディーズ入門〈Playful Thinking〉シリーズ第1弾! 遊びのひとつの形式にすぎないゲームにのみ焦点をあててきた従来のゲームスタディーズに異議を突きつけ、物、空間、人間、人間関係など多様な事柄が関わる「遊びの生態系」全体の観点から核心をとらえていくことの重要さを提示する著者が、幅広い射程を有するコンピュータ時代の遊びのかたちを描き出す、ゲームスタディーズの新潮流となる必読書を満を持して上梓。ユニークで独創的な事例を膨大に織り込みながら、従来の遊戯論の伝統をアップデートし、ゲームスタディーズにカウンターをかける、遊び心満載の痛快な一冊。 ===== 遊びがわかれば世界もわかる そんなつもりで眺めれば、それこそスマホのデザインも、冗談交じりのおしゃべりも、ゲームやその他の楽しみも、日々の暮らしやビジネスだって、世界は「遊び」で満ちている。昔の人も言うように、遊びは人を映し出す。 それなのに、世界はどんどん変わるのに、遊びの理解は進まない。この本は、そんな理解を大幅に更新かける得がたい本。小さいけれど侮るべからず。山椒は小粒でもぴりりと辛い。ゲームも仕事も日常も、みんなまとめて面倒みよう。遊びの極意をご覧あれ。頭の中を揺るがせば、遊び心も湧いてくる。遊びがわかれば世界もかわる。 ──山本貴光 ===== 前世紀、二度の世界大戦のはざまの時代。 賢い人間(ホモ・サピエンス)を僭称した西洋近代の過信を省みて、 ヨハン・ホイジンガは遊ぶ人間(ホモ・ルーデンス)たる人類の本性を喝破した。 今世紀、ゲームと人工知能が遍く社会の情報化を導く現代。 いまや近代は超克され、この星は自然物と人工物が戯れあう 遊ぶ生命(アニマ・ルーデンス)の共異体へと拡張されつつある。 本書が思索する「遊び心」とは、そんな世界の塗り替えを導く原理の謂だ。 与えられた機能や目的に還元されない、流用と創造のダイナミズムとは? 予定調和な未来像を打ち破る遊戯論の更新が、ここから始まる。 ──中川大地
-
4.5※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 この本は、かつてわたしが探して見つからなかった本であり、わたしが何度も繰り返し立ち返る本である。本書があなたにとっても慰めになることを願っている。(「はじめに」より) レイモンド・チャンドラー、エドワード・ゴーリー、ビリー・ホリデイ、チャールズ・シュルツ、ヘレン・ケラー、バラク・オバマ―― 古今東西の作家、芸術家、音楽家、研究者、医者、政治家、トレーナーたちが、どれほどの愛をもってペットに接し、そしてその別れにどう向き合ってきたか 本書は、100名以上の著名人がのこした、ペットにまつわる152のことばと、24名についてのエッセイを収録した、ペットへの深い愛が詰まった一冊です。手紙や日記、伝記、回顧録、エッセイ、インタビュー等を通して明らかにされるペットとの絆、別れを迎える「そのとき」の心境、その後の喪失感とどう向き合ったかが綴られています。 エッセイでは写真とともにエピソードを紹介しており、『ピーナッツ』作者のチャールズ・シュルツとスパイク(スヌーピーのモデル、雑種犬)、『ピータラビット』作者のビアトリクス・ポターとシャリファ(ネズミ)、レイモンド・チャンドラーと女王タキ(ペルシャ猫)など、犬や猫だけでなく、ウサギや鳥、馬、ネズミ、マングースなどの動物も登場します。 愛するペットを失うその心の痛みについて、ノーベル賞作家のV・S・ナイポールは「大きな悲劇」と表現し、作家のメイ・サートンは「火山が噴きあがるような激しい悲しみ」と称しています。本書は、ペットロスに悩む方、「そのとき」への心構えができない・想像もつかないという方にとって、慰めと将来への展望を与えてくれる、道しるべとなる一冊です。 この数年間、あの子は部屋の隅々を、分刻みの時間を、そしてわたしを、とてもやさしく満たしてくれた。 ――アリス・B・トクラス(芸術家) 探しものの最中に、うちの猫の1匹がもうじき9歳になり、そしてもう1匹がまもなく8歳になるという事実に出くわした。 てっきりまだ5歳か6歳くらいだと思っていたのに。 ――エドワード・ゴーリー(作家・芸術家) 悲しみは長くつづき、もう二度と犬は飼わないと心に決めた。 けれども、誰もが知っているように、そのうちにまた別の犬がやって来るのだ。 ――ヘレン・ケラー(教育家・作家・社会活動家) その駆け抜ける生は、あまりにも短い。犬はあっという間に行ってしまう。 その悲しみの物語なら、わたしにもあるし、きっとあなたにもあるだろう。 老いていくのをただ見守るなんて、意志の敗北、愛の敗北のようにさえ思える。 どんな手を尽くしてでも、ずっとそばにいてほしい、若いままでいてほしい。 ただひとつ、わたしたちが与えられぬ贈り物。 ――メアリー・ウォリバー(詩人)
-
4.4インターネット・カルチャーと法が交錯するなかで、今何が起きているのか? よりよい社会や文化をいかに設計していけるのか?(そして、本当によい社会、豊かな社会とは果たして何なのか?) 本書では、アフターインターネット時代における、法をとりまく環境を考察し、国家が一方的に定めるルールに従うのではなく、自発的にルールメイキングしていくための、「法」×「デザイン思考」=「リーガルデザイン」という新しい考え方を提唱する。 法律や契約などの法は、私たちの自由を規制し、創造性やイノベーションを阻害する、と思いがちだが、果たして本当に法の役割は規制のみだろうか。逆に、創造性やイノベーションを加速するための「潤滑油」のように法を捉え、そのような視点で上手に設計することはできるのではないか。 著者は以下のように説明する。 「大切なことは、ルールは時代とともに変わっていく/変わっていくべきという認識と、ルールを「超えて」いくというマインドである。ルールを超えていくことは、ルールを破ることを意味しない。ルールがどうあるべきかということを主体的に考えて、ルールに関わり続けていくことを意味する。ルールを最大限自分寄りに活かすことは知性の証明に他ならない。」 音楽、出版、アート、写真、ゲーム、ファッション、二次創作から、不動産、金融、家族、政治まで。 本書は、クリエイターの“自由”を守り、表現を加速させる気鋭の弁護士が、インターネット・カルチャーと法が交錯する中で見る現代の社会と文化の風景を素描する、法律を媒介とした社会設計論であり文化論である。
-
4.7※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 調和のとれた心地よい家をつくるために── スウェーデンの人気インテリアデザイナーがスタイリングの基本原則を徹底解説! 黄金比、三分割法、60:30:10+Bの法則…… 豊富な図解で、自分の部屋に合わせて実践できるテクニックが満載! 世界各国語版が刊行されているインテリアの新たなバイブルがついに登場! 松浦弥太郎(エッセイスト)推薦! 「インテリアについて知りたかったのはセンスではなく、〈何をどのように置き、どうやって心地よい空間をつくるのか〉というアイデア、すなわち豊かな暮らしのメソッドでした。本書ははじめてそれを叶えてくれた──。」 インテリアに関する本は数多く刊行されていますが、バランスのとれたプロポーションやカギになる寸法、色の組合わせ方、照明の種類……といった基礎知識について解説された本は少なく、それらの法則は広く一般的には知られていません。 本書では、スウェーデンの人気インテリアデザイナーが、インテリア・スタイリングの秘訣を、図解とともにわかりやすくアドバイス。インテリアにまつわる基本メソッドがこれ1冊で学べます。 「なぜ洗練されて見えるのか」という原理に則した普遍的なメソッドなので、部屋の大きさや個人の趣味に左右されず、誰にでも役立ち、どんな部屋にも応用できます。今あるものに少し手を加えるだけのアイデアばかりなので、新しくものを買う必要や大がかりな改装も必要ありません。 豪華な邸宅のきらびやかな写真を見て直感やセンスを磨くのではなく、具体的で実用的なルールで「何を」だけではなく「どのように」スタイリングするのかを明解に解説しているため、自分に合わせた解決策を見つけ、自分だけの部屋づくりに役立てられます。 家で過ごす時間が増えている今だからこそ、自分の部屋をくつろげる雰囲気で暮らしやすいインテリアにしたいあなたへ、活用できるヒントに満ちた1冊です!
-
4.3ホラー映画を見るとき、私たちの脳・心・身体で何が起こっているのか? モンスター、暴力、トラウマ、音……さまざまな切り口から、脳科学や心理学で〈恐怖〉のしくみを解き明かす もっと眠れなくなること必至の、ホラー映画×科学の世界! 私たちはなぜ、ホラー映画という〝悪夢の燃料〟を求めるのか? 私たちの脳や身体はホラー映画の何に恐怖を感じ、どのように反応するのか? 本書では、科学コミュニケーターとして活動する著者が多彩なホラー映画を例に、人が恐怖を感じ、脅威に対処するメカニズムを紹介。脳科学・心理学・神経科学・生物学の知見から、〈恐怖〉のさまざまな側面を明らかにする。 登場する映画は、『サイコ』『エクソシスト』など古典的名作から、『ヘレディタリー/継承』『アス』『クワイエット・プレイス』など現代のヒット作まで約300本。サイコ、SF、スラッシャー、スプラッター、クリーチャー、オカルトなどのサブジャンルを縦横無尽に扱いながら、ホラー映画の歴史もおさらい。いかに多くの映画における〈恐怖〉が作り出されてきたのか、そして私たち観客はどのようにそれを受け取るのかに迫る。 各章には、ひとつの作品を掘り下げるコラムと、映画の製作者や研究者へのインタビューも収録。尽きることのないホラーの魅力を存分に楽しめること間違いなし! [本書に登場する映画] 『スクリーム』『サイコ』『ハロウィン』『エルム街の悪夢』『ジョーズ』『エクソシスト』『サスペリア』『暗闇にベルが鳴る』『羊たちの沈黙』『悪魔のいけにえ』『エイリアン』『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』『ヘレディタリー/継承』『シャイニング』『アス』『ソウ』『リング』『仄暗い水の底から』『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』『チャイルド・プレイ』『ムカデ人間』……など300作品以上! [本書に登場する用語やトピック] 脅威/闘争・逃走反応/PTSD/ジャンプスケア/嫌悪感/ミラーニューロン/捕食・被食関係/不気味の谷/仮面/クモ恐怖/不協和音/周波数/恐怖記憶/認知発達理論/侵入思考/スポイラー/脱感作/馴化/レーティング/妊娠ホラー/拷問/マンデラ効果/血や眼球にまつわる恐怖/ホラー好きは遺伝するか/刺激追求度/カタルシス説……ほか
-
4.0なぜ、「怖い」のに「見たい」のか? なぜ、存在しないものを怖がるのか? ここから、ホラーの哲学は始まった 分析美学の第一人者であり、映画・大衆芸術(マス・アート)研究の分野でも活躍するノエル・キャロルによる、ホラーの哲学を初めて理論化した革新的かつ体系的著作、待望の翻訳! 『フランケンシュタイン』『ジキル博士とハイド氏』『ドラキュラ』『エクソシスト』『オーメン』『エイリアン』、さらにはH・P・ラヴクラフト、スティーヴン・キング、クライヴ・バーカー、シャーリイ・ジャクスンなどなど…… 本書では、古典的名作から現代のヒット作品、さらには無名のB級作品まで、膨大な作品群を縦横無尽に取り上げながら、ホラーとは何か、その本質や定義、物語構造とプロット分析、ホラーの魅力、さらにはホラーモンスターの作り方についてなどを論じる。 さらに哲学的な観点から、存在しないとわかっているものをなぜ怖がってしまうのか(フィクションのパラドックス)、また、恐怖を与えるホラー作品をなぜわざわざ求めるのか(ホラーのパラドックス)について考察する。 吸血鬼、ゾンビ、人狼、悪魔憑きの子ども、人造人間、スペースモンスター、幽霊、その他の名もなき怪物たちが、なぜわたしたちの心を摑んで離さないのか。 フィクションの哲学、感情の哲学、ポピュラーカルチャー批評を駆使して、その不思議と魅力の解明に挑む!
-
4.5わかりあえない。それでも 『くいもの処 明楽』から『違国日記』まで、ヤマシタトモコ全編語り下ろしインタビュー本 全コミックスを作者自身が振り返るのみならず、幼少期や学生時代、同人活動、デビュー前夜など漫画家へと至る歩みを述懐 変わらないもの/変わっていくもの、社会に向ける眼差し、物語の核にある思い……20時間以上にわたる取材から浮かび上がるヤマシタトモコの現在―― BL誌、青年誌、女性誌とさまざまな媒体で多種多様な人たちの「名前のつけられない」関係を描いてきた漫画家ヤマシタトモコ。全編語り下ろしとなる本書は、幼い頃から「フィクション」に惹かれてきた彼女が、自身の全コミックスについて語るのみならず、幼少期や学生時代、同人活動時代、雑誌への投稿を行っていた時期など、漫画家へと至る歩みも振り返る内容となっています。 20時間以上におよぶ取材では、代表作である『違国日記』や『さんかく窓の外側は夜』はもちろん、商業デビュー作の『くいもの処 明楽』、『このマンガがすごい!2011』オンナ編で1位、2位をそれぞれ獲得した『HER』『ドントクライ、ガール♥』、年に5冊も刊行していたBLコミックスなどを現在の視点から述懐する中で、社会に向ける眼差しや物語の核にある思いなど、作り手としての姿勢が立ち上がってきます。また、影響を受けた作家や作品、作品の発想源となった音楽、そして『違国日記』が完結したあとのことも述べられています。 インタビュアーはBLに造詣が深く、これまでにヤマシタへの取材や登壇イベントの司会を多数行っているライターの山本文子が担当。デビュー単行本刊行時から取材を行ってきた山本の質問によって、ヤマシタの軌跡が生き生きと浮かび上がってきます。 装画はヤマシタの描き下ろし。デザインは『違国日記』でもタッグを組んでいる川名潤が担当しています。
-
4.0「藤津さんならではの明晰でフラットな視点が、『知ってるつもり』だった作品たちの輪郭を、改めてくっきりと浮かび上がらせてゆく! ————この風通しの良さこそ、いま必要とされる『批評』の仕事だと思う。」 <宇多丸(ラッパー/「アフター6ジャンクション」パーソナリティー)推薦!! ぼくらはどうしてアニメを見つづけるのか? 国内外、あらゆるジャンルのアニメを鋭い切り口ながら慈愛に満ちた視線で見守ってきた著者による、2010年代アニメを「言葉でつかまえる」ための壮大なスケッチがここにある。 ☆☆☆発売2週間で重版決定!☆☆☆ 本書では、『君の名は。』『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』『この世界の片隅に』『海獣の子供』などの劇場作品から、 『魔法少女まどか☆マギカ』『おそ松さん』『けものフレンズ』『宇宙よりも遠い場所』などTV放映作品、 『父を探して』『LEGO® ムービー』『スパイダーマン:スパイダーバース』などの海外作品まで、アニメ評論家として活躍し続けてきた著者が人気連載「アニメの門」で展開した時評、雑誌等に掲載された大量の論考を加筆・修正し、この10年間のアニメを改めて見つめなおす。 アニメ制作技術の変化、表現の変化、ビジネス環境の変化著しい2010年代が終わりを迎えようとしている今、その広大な流れを掴むための絶好の一冊である。
-
-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 撮影現場の即戦力として瞬く間に人気を集めた『マスターショット100』に、待望の第二弾「ダイアローグ編」が登場。カメラワーク次第で名作にも駄作にもなるという残酷な事実に恐れおののくなかれ、セリフ以上に雄弁に語るカメラワークの極意を会得するのだ。 本シリーズを読めば、本格的な映像を撮るために予算は関係ないとわかるだろう。力のあるシーンはカメラの位置や設定、俳優の動きや演出から生まれる事実は、特に会話シーンに顕著に現れる。会話シーンを徹底的に研究した本書の撮影テクニックを学べば、会話シーンを最大限に力強く描くことができるので、俳優からベストの演技を引き出しながら、ストーリーのポイント、感情や微妙な意味合いを明確に表現できるようになる。 他の監督とは一味違う演出をしたいと望む監督は数多くいるのに、会話シーンとなると標準的な、月並みな方法に落ち着いてしまうことが多い。観客にとっては文句もないだろうが印象にも残らないだろう。しかし会話シーンをクリエイティブに撮影することができれば、ストーリーに潜在する深い本質を掘り起こすことができるのだ。 本書を読み、自身のアイデアと組み合わせながら果敢にクリエイティブな映像を探求していくことで、素晴らしい作品が誕生すると確信する。
-
-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 映像制作における様々なプロセスのうち、最も現場での「即断力」が求められるのがカメラワークである。本書では、実際の映画シーンをサンプルとしながら、100通りものショットの撮影方法や効果を細かく丁寧に説明する。 実例としてあげている映画はほとんどが潤沢な製作費がつぎこまれ、豊富なクルーや機材を駆使して作られたものばかりだが、本書では準備可能な撮影機材だけで間に合わせることを念頭に置き、低予算で、手持ちカメラだけでも実現できる方法を集めた。 掲載された撮影技法を会得することで、どんなに切迫した現場でも創造性のある撮影展開を考え、複雑でオリジナリティにあふれたショットを撮ることができる。撮影プランを準備するうえで手助けになることはもちろん、読んでおけば、撮影現場で唐突に素晴らしいアイデアが浮かんだ場合にも、どう撮るべきか具体的な方法を容易に導き出すことができるはずだ。 また見落とされがちだが、それぞれのショットにおけるレンズの選択についてアドバイスしていることも見逃せない。あまり興味がないとしても、少なくとも基本だけは会得しておくことを勧めるし、プランを立てるためにも役立つだろう。 映画やテレビの撮影技法としてだけでなく、CG制作、ゲーム、アニメ、YouTuberなど映像で物語表現を生み出す全ての人にとって作品をレベルアップさせることができ、全体のなかでそのショットがどのように機能するかという洞察力を養うこともできる必読書である。
-
3.0現代日本のエクスプロイテーション・フィルムとは何か あなたの知らない映画の世界への誘い 終わりなき日本映画の光を求めて、孤高の映画評論家・柳下毅一郎のライフワークが装い新たに再誕! 「皆殺し映画」というジャンルを築き、数々の迷画を一刀両断し、かつ愛をもって介錯してきた柳下毅一郎が、「映画とは何なのか」という根源的な問いとともに日本映画界の底を解明する。最前線で解き明かされるその深層=真相を目撃せよ! 映画監督・村上賢司との2000年代日本映画をめぐるイベント対談を採録 ▼「おまえらに真のセカイ系を見せてやる!」というタマシイの叫びが聞こえてくる紀里谷和明監督の絶唱作にして、監督引退作 ▼日本一気骨のある映画館がつくった、監督のいない映画……!? ▼ひたすら「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」と謝りつづける2時間。しかも「わたしの幸せな結婚」なんてどこにもない! ▼こいつら現場で手術したがりすぎ。危険な手術をやりすぎて脳から変なものが出ているとしか思えない ▼綾瀬はるかのスローなガン・アクション。女性陣の弾は百発百中、バタバタ倒されていく烏合の衆の帝国陸軍。帝国陸軍と日本映画の未来が心配 ▼その理由は、世界の大富豪はみんな宇宙に行きたがるから。宇宙に行っても、前澤友作から出る言葉は「うっわー!」「すっげー!」だけ ▼「日本が良くなると信じてWinnyを作りました」と言わせてしまうこの映画に、匿名で流通するあらゆるダークなもの抱え込む覚悟があるとは思えないのである ▼映画になりハリウッドにまで行った、スーパースター忠犬ハチ公に続け。石岡タローの名を全国区にしようという一大プロジェクト ▼なんと大川隆法映画の新作が登場。死んだはずだよお富さん。いや、これが総裁直伝のイタコ術による映画作りというものなのか
-
-洋画大不振時代の到来、日本映画大復活(アニメばっかりだけどな)! あなたの知らない映画の世界は、まだまだ続く・・・ スクリーンから洋画が消え、アニメーションが上映ホールを埋め尽くすいま、 日本映画は新たな黄金時代へと向かうのか、それとも大爆発(ビッグバン)が待っているのか。 孤高の映画評論家・柳下毅一郎が、真の「最先端の日本映画」とともに現代を問う。 皆殺し映画評論、見参! ◎日本映画26本メッタ切り! ◎映画評論家・轟夕起夫との現代日本映画の隆盛を分析するイベント対談を採録
-
4.020世紀最大の哲学者、ジル・ドゥルーズが著した芸術と哲学をめぐる伝説的大著『シネマ』がわかる! 思想界に颯爽と現れた26歳の新鋭、衝撃のデビュー作! 映画という特殊な経験のシステムから立ちあがる、イメージがそれ以上でもそれ以下でもなく見たままで現れる地平、「眼がスクリーンになるとき」とはどのようなことか。 「たんに見る」ことの難しさと創造性をめぐって書かれた画期的入門書。 「映画とは何かを考え抜いたジル・ドゥルーズの伝説的著作『シネマ』が、本書によって、ついにわかる。『シネマ』のロジックを一歩一歩解きほぐす、目からウロコの超解読。そして、これは映画だけの話ではない。あらゆる芸術・文化を考えるのに役立つツールがここにある。」 ―――― 千葉雅也 『シネマ』は不幸なすれ違いを被ってきた、と著者は言う。哲学研究者からは「映画の本だから」、映画研究者からは「哲学の本だから」と、読まないでいる理由が用意されていたからだ。本書は「ゼロから読む」という副題のとおり、ジル・ドゥルーズの『シネマ』という書物の入門的な解説書である。したがって本書を読むにあたって、ドゥルーズについても、哲学についても、映画理論についても事前に知っておく必要はない。映画をどれだけ見たことがあるかということもまったく問題にならない。本書では映画作家、作品について可能な限り言及しない。つまり、ただ純粋に『シネマ』を読んでみたい、興味があるというひとにこそ、ぜひ手にとってほしい本である。 本書では、『シネマ』にとって、映画は、哲学の「フッテージ(footage)」、つまり「思考の素材=足場」であると捉えなおすことから議論を開始する。その映画というフッテージに、もうひとりの重要な哲学者アンリ・ベルクソンの哲学が流しこまれることで、映画は、「イメージ=映像による〈思考〉の実践」として立ち現れてくるのだ。『シネマ』と「映画」の関係、ドゥルーズとベルクソンの関係というふたつの問いは、哲学にとって「見る」ことと「読む」ことがいかにして概念の創造へと導かれるかということを指し示している。そのとき観客である私たちはどんな存在へと生成するのか。 本書は、「見る」ことと「読む」ことの復権を同時に実現するだろう。
-
3.7※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 いざ、きらめく現代アートの宇宙へ おさえておきたい基礎知識が、これ一冊でわかる、読んで楽しい現代アート入門! 「現代アート」。その世界には、少々とっつきづらいイメージがあるかもしれません。しかし、見る者の五感を揺さぶり、価値観をひっくり返す作品の数々には、私たちの想像力を豊かにする、無限の可能性が広がっています。 本書は現代アートを誰にでもわかるマンガ形式で、文字と絵が一体となって楽しく解説した入門書です。「アーティスト編」と「キーワード編」の2章立てで、おさえておきたいアーティストやその代表作、現代アートを知る上で役に立つ言葉について楽しく学ぶことができます。作家のことばやエピソードも豊富に収録しており、より理解が深まる内容となっています。 本書の一番の特長はなんといっても鑑賞ポイントの助けとなる著者オリジナルのイラストとキャラクター。現代アートならではの立体や動きのあるインスタレーション、鑑賞者参加型の作品など、一枚の写真では説明しづらい魅力の着眼点を整理し、より直感的に理解できるよう工夫されています。 キーワード編ではトピックや美術史の大きな流れもつかめ、現代アートを学んでみたい若い方や美術館に行くのが趣味の方、教養としてアートを知っておきたい方など、老若男女誰にとっても現代アートとの距離を縮めるきっかけとなる、現物を見に行きたくなるガイドブックです!
-
4.0ムーミンに魅せられた大人たちへ贈る―― 人を、自然を、芸術を愛し、あるがままを生きたトーベが生涯最後に編んだ傑作選、待望の邦訳! 児童文学作家、画家、イラストレーター、漫画家などさまざまな分野で活躍してきたトーベ・ヤンソンは、大人向けの小説を書く「小説家」としての顔ももっています。1968年に発表した自伝的小説『彫刻家の娘』以降、ヤンソンはいくつもの優れた作品を発表してきました。 本書は、1971年から1991年の間に発表された作品の中からヤンソン自身が選定したベストセレクションに未邦訳書き下ろし7篇を加えた傑作選となっており、生前最後に刊行された遺作でもあります。自伝的作品集としての側面ももっており、学識豊かだった叔父たち、彫刻家だった父、母娘の関係、幼い日の冒険、美術学校の仲間たちなど、身近なひとびとが作品に登場します。ヤンソンの芸術観やクリエイティビティに関する洞察が窺えるような要素を含んだ作品も収録されており、日本のヤンソンファン待望の一冊を、ユーモアのある語りを生かした親しみやすい新訳で楽しむことができます。 2021年秋公開された映画『TOVE/トーベ』では多くの観客が彼女の半生に共感し、『ムーミン』の作者としてだけではない魅力を世界中に知らしめました。トーベ・ヤンソンは、読者と信頼関係をつくる天才、100人読者がいたら100通りの読書体験を与えてくれる作家と言われています。トーベ・ヤンソンをムーミンの作者としてしか知らないなんてもったいない! ぜひ読んでみてください。
-
3.5メディア・アートは、なぜそう呼ばれているのか? ポストインターネット状況を経た、21世紀の芸術精神を探る! 現在、メディア・アートという名称は、単にメディア・テクノロジーを使用した美術作品の総称というだけにとどまらず、技術を応用したデモンストレーションなども含めて幅広く使用されています。 そしてメディア・アートは、「ポスト・インターネット・アート」やデジタル・ファブリケーション、デザイン、現代美術などさまざまな領域と接続しており、多くの人の関心を集めています。また、ライゾマティクスをはじめとしたテクノロジー×エンターテイメントの活動にも注目が集まっています。 しかし、メディア・アートを明確に定義することは難しく、メディア・アートをめぐる言説に関しても複数が錯綜している状態です。 本書は、最先端の工学に明るく、創作者としても活躍中の久保田晃弘さんと日本のメディア・アートのメッカ、NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]で20年間メディア・アートの現場に携わってきた畠中実さんという第一人者の二人が、メディア・アートに関する論点をわかりやすく整理・解説した入門書です。 メディア・アートの歴史や重要なキーワードを学ぶにはうってつけの一冊となっています。 芸術表現の可能性を切り開く、メディア・アートの世界へようこそ。
-
3.8特別解説:伊藤亜紗 (東京工業大学科学技術創成研究院 未来の人類研究センター准教授) 「怒りから、そして愛へ。これほどまでに激しく、かつ綿密に練られた本が、他にあるだろうか。それは単に美しいだけではなくて、私たちの目を覚ます重要な指摘を含んでいる。」 「どうしてヘレン・ケラーのようにできないの?」 常にヘレン・ケラーと比較されて育った視覚障害をもつ著者が、「奇跡の人」という偶像へ、怒りと異議申し立ての手紙をつづり、架空の対話を試みる! 「偉人」ではない、一人の盲目の女性としてのヘレンの姿を鮮やかによみがえらせ、抑圧から魂を解き放つ、和解と再生の創造的ノンフィクション 親愛なるヘレン・ケラー、 あなたは本当のことを語っていますか? ヘレン・ケラーについてのあらゆる本、インタビュー、記事、その他の資料にあたってヘレンの実人生を研究しつくしてきた著者が、ときに視覚障害当事者としての自らの境遇や思いと重ね合わせながら、ヘレン・ケラーの人生の様々な局面を浮き彫りにしていく。これまで公に考えられてこなかった一人の女性としてのヘレンの喜び、苦しみ、悩み、挫折、野心、さらにはある「疑惑」や性の問題、秘めた恋愛、恩師サリヴァン先生との関係性などのセンセーショナルな側面、そして誰もが避け得ない喪失と老いと死について……ヘレンと著者が二人でたどる道行きとその果てに見えた光景は、苛烈で痛快、魂ゆさぶる再生の物語であった……。 本書は奇跡の人「ヘレン・ケラー」伝説に切り込み、けっして語られなかった彼女の内心に肉迫しようとする、著者渾身の試みである。著者から休む間もなく語りかけられる読者は、ヘレンになりきったかのような、新しい読書体験をすることだろう。
-
4.5世界は不完全で残酷。 だからせめて、悲しみとうまく付き合おう―― 〈メランコリー〉には、現代社会を生き抜くヒントが満ちている。 哲学者アラン・ド・ボトンが、歴史、アート、宇宙、建築、旅……など35のテーマから探るその効能とは? 幸せの押し付けに疲れたすべての人へ送る、深い悲しみに対するなぐさめの書。 「メランコリー」と聞いて、どのような心の状態を思い浮かべるでしょうか。憂鬱、もの悲しさ、気分の落ち込み、ふさぎ込み、哀愁……。これらは誰もが抱く感情でありながら、目まぐるしい現代社会においては重要でないもの、あるいは治療の対象とされ、その効能は見落とされてきました。しかし著者は「メランコリー」こそが、不完全な世界や思い通りにいかない自分の人生とうまく向き合い、よりよく生きるための最善の方法であると言います。 本書では、哲学、歴史、アート、宇宙、性愛、旅、建築、宗教など多様な35のテーマから、「メランコリー」に生きるヒントやその効能をひもときます。 ・人がたくさん集まるパーティーに出かけるよりも、しんとした宇宙や、いろんな国がたどってきた歴史のことを考えるのが好き。 ・ここではないどこかへ行きたいと願いながら、いざ美しい風景を目にすると途端に物悲しさがおそってくる。 ・毎日やるべきことをいっぱいにして自分を追い立てながら、日曜の夜に「自分にはもっと向いている仕事があるはずなのに」と考え込んでしまう。 ・弱っているとき、自分のなかの「内なる批評家」が人生のあらゆることにけちをつけ、不安を煽ってくる。 ひとつでも共感できることがあれば、ぜひ本書を手にとってみてください。 本書の原書は、著者アラン・ド・ボトンも主宰のひとりであり、ウェルビーイングに関する教育・出版活動を行う「ザ・スクール・オブ・ライフ」から刊行されました。
-
-すべての物語を書きたい人/楽しみたい人に贈る、ストーリーテリングの「虎の巻」。 これまでの脚本術や創作術が教えてくれなかった物語の「なぜ」を探求し、解き明かす。 映画、ドラマ、演劇、小説── 時代を超えて息づく面白さの法則と理由をたどる、新しいストーリーの旅へ。 なぜ子どもの書く物語は、何世紀も昔から語られてきた物語形式をくり返すのでしょうか。 なぜ私たちは過去にあった物語の再発明を続け、それを新鮮で楽しいと感じるのでしょうか。 英国のドラマプロデューサーとして数々の人気作品の物語を仕掛けてきた著者ジョン・ヨークは、物語構造とは何かを探求する旅に出かけました。 これまで何百冊と書かれた脚本術や創作術の本を分析し、仕事をともにした脚本家全員に聞き取り調査を行い、無数の映画やドラマの物語を吟味し……やがてヨークはあらゆるストーリーテリングの真の原型にたどりつきました。それこそが、本書が教えてくれる「森への旅」です。 本書では、物語構造の歴史的な展開をたどり、古今の物語理論が提唱したパターンを徹底的に解明し、その神話のベールを取り去ります。そして、五幕構成を中心とした新しい構造の考え方を提案します。 脚本術の探求はストーリーテリングの歴史的、哲学的、科学的、心理的な旅へと広がりを見せ、私たちがなぜ物語を書き、楽しむのか、その秘密に迫っていきます。 物語構造はどのように機能するのか/主人公はなぜ能動的でなければならないのか/ナレーションはいかにドラマをだいなしにするか/ドラマの最終回直前で、たくさんの登場人物が死ぬのはなぜか/なぜフィクションに出てくる警官や医者は一匹狼ばかりなのか/人物描写がいかに物語の構造そのものに不可欠なものであるか…… 「森への旅」に喩えられるロードマップを通じて、「物語とは何か」そして「人はなぜ物語るのか」を解き明かす、すべての創作者と読者のための「虎の巻」です。 <本書で取り上げるおもな物語理論・脚本術の提唱者・実践者> アリストテレス(『詩学』)、テレンティウス(五つのステージ)、ラヨシュ・エグリ(ドラマティック・ライティング)、ウラジーミル・プロップ(『昔話の形態学』)、シド・フィールド(三幕構成)、デイヴィッド・マメット、ジョーゼフ・キャンベル(英雄の旅)、クリストファー・ボグラー(作家の旅)、クリストファー・ブッカー(七つの基本プロット)、フライターク(フライタークのピラミッド)、ロバート・マッキー(ストーリーテリング)、ブレイク・スナイダー(SAVE THE CATの法則)ほか ストーリーテリングは、人間にとって必須の関心事であり、誰にとってもほとんど呼吸と同じぐらいに大切なことだ。焚き火を囲んで神話を語った時代から、ポスト・テレビ時代の物語の急拡大まで、物語は人々の人生を支配している。それを理解しようとすることは、われわれの務めと言ってもいい。ドラクロワは、知識への恐れを簡潔にこうつっぱねている。「職人になるためにはまず学ぶことだ。学んだからといって、天才になれなくなるということはない」。どの時代の物語においても、必ず登場してくるモチーフがひとつある──人に生命力を与える秘密を隠し持った、暗い森への旅だ。その森に何がひそんでいるか、本書で見つけていこうと思う。すべての物語はここから始まる……。 (本書「はじめに」より)
-
-恐れるな、恐ろしくあれ 竜、サメ、ゾンビ、悪魔、吸血鬼、巨大生物…… 人々はなぜこんなにも「モンスター」に惹かれるのか―― H・P・ラヴクラフト歴史協会推薦! すべての迷える創作者たちに捧ぐ「人ならざるもの」を描くための導きの書 映画、ドラマ、小説、ラノベ、マンガ、ゲーム、TRPGなど、あらゆるジャンル作品に登場する「モンスター」なる異形のものども。本書は、モンスターという「リアルでないもの」を、「もっともらしく」表現するためのガイドブックである。 第一部では「モンスターとは何か」という根源的な問いから、それを恐ろしいと人が感じる要素や理由、悪役(ヴィラン)との違いについて明らかにする。第二部および第三部では、作品におけるモンスターの役割、モンスターを創造する際の実践的な手段、五感に訴えかけるような生き生きとした描写の方法、登場人物だけでなく読者にとっても恐ろしく、意味を持った登場の仕方など、創作活動における実践的な取り入れ方についてレクチャーしている。 また、各章末のコラムでは、既存の作品に登場してきた数々のモンスターをカテゴリごとに紹介。ゾンビや吸血鬼といった原初的なモンスター像から、超有名モンスター、サメや自然などの現実に存在するものをモンスターとして活かす方法、あるいは未確認生物や幽霊船、呪いのアイテムといった細部まで、実例を交えながら解説する。 ファンタジー、SF、ホラーといったジャンルの創作活動への最良のガイドブックであるとともに、H・P・ラヴクラフト歴史協会メンバーの著者の語る卓越したモンスター論としても読める、知的好奇心を駆り立てる一冊である。 ★H・P・ラヴクラフト歴史協会による序文 ★「クトゥルフ(クトゥルー)神話」の生みの親、H・P・ラヴクラフトの短編『名状しがたきもの』を解説つきで収録 ★あなた好みのモンスターを創造するための練習問題付
-
4.0リゾートだけではもったいない、ハワイの神秘的な魅力! 現代まで大切に言い伝えられてきた数々の神話や伝説がわかる、ハワイ初心者からプロのフラダンサーまで、みんな楽しめるハワイ神話入門書。 日本から年間約140万人もの旅行客が訪れるハワイ。リゾート地として圧倒的な人気を誇るこの島は、神秘的な魅力にもあふれています。ハワイの島々が生まれた経緯や言い伝えなど、今も残る文化の起源を知ることで、いつものハワイをいろいろな角度から味わうことができるようになるのではないでしょうか。 本書は、ハワイ在住の作家で、ハワイ政府観光局認定のハワイを学ぶ公式プログラム、アロハプラグラム講師である著者が、ハワイに伝わる神話や伝説の数々をシンプルにわかりやすく紹介。この世の誕生から始まる壮大な物語をひも解いていくことで、ハワイの文化や歴史を楽しく学ぶことができます。 日本だけで約100万人ものフランダンサーがいることはみなさんご存知でしたか。映画『フラガール』で一躍注目されたフラ(ダンス)は、元々神に捧げる神聖な踊りとして始まったと言われますが、唄や踊りの背景にある神話を知ることで、フラのひとつひとつの動きの真の意味を感じ、表現することができるようになることでしょう。ハワイを愛するすべての人に読んでほしい1冊です。 「ハワイアンキルトを作り始めてハワイをもっと知りたくなりました。この本がもっとはやくあったらよかったのに。本当のハワイの神話、知っているのといないのでは大違い。ハワイがもっと好きになりました。」 ―――キャシー中島さん(タレント・キルト作家)推薦! 「物語の背後に潜む意味を探り、ハワイ神話が持つ真の魅力に光をあてた展開にすっかり引きこまれてしまった。」 ―――近藤純夫さん(エッセイスト)推薦!
-
4.0芸人としてトップを走り続け、映画界では「世界のキタノ」となり、「究極の純愛小説」を書き下ろし文学界に殴り込みをかける―― 常に挑戦し続ける巨匠であり、異端児でもあるビートたけしがいま初めて明かす、「志ん生」「落語」という自らの「原点」。 なぜいま志ん生なのか、なぜいま落語なのか。 ビートたけしが最も敬愛する落語家として挙げる五代目古今亭志ん生。戦後の東京落語界を代表し、「天衣無縫」と言われた芸風で愛された落語家は、なぜこんなにも人の心を掴んできたのか。本書では、そんな志ん生の“凄さ”をたけし独自の視点で分析し、いまのお笑い界、落語界を斬りながらとことん語り尽くす。希代の名人への敬愛を込めながらも鋭く説くその芸の真髄は、たけし自身の芸への愛であり矜持である。たけしが芸人人生をかけて志ん生に真っ向勝負を挑む! 「志ん生を今に蘇らすには ビートたけししかいない。 噺家には絶対書けない志ん生。」(笑福亭鶴瓶) 奇しくも2019年NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリンピック噺~』では古今亭志ん生役/ナレーションに決定している、ファン必読の書である。
-
3.7「私は日本のドラマによって作られてきた」 フェミニズム、シスターフッド、エイジング、LGBTQ……稀代のドラマ好き作家・柚木麻子が『東京ラブストーリー』から『虎に翼』まで、時代を彩ってきた作品のエッセンスを縦横無尽に語り尽くす! 2014年から10年以上にわたって続く『anan』の連載が待望の書籍化! ドラマ好きとして知られる作家・柚木麻子が、国内ドラマの軌跡や女性像の変遷、日本社会の変化(と変わらなさ)を時に真摯に、時にコミカルに、時に私的に描き出します。 主に放送中の国内ドラマについて綴る同連載は、柚木ならでは視点によって、テレビドラマを「ななめ」読み! フェミニズム、シスターフッド、エイジングといった柚木の小説に通底する主題から、自己啓発やスクラップブック、はたまた金田明夫という名バイプレイヤーまで多種多様なテーマのもと過去作にも言及し、ドラマ愛に満ちた評が展開されています。 書籍化にともない2024年現在の視点からふり返る新規追加テキストを収録。自身の文章や、取り上げた作品、その出演俳優について、日本のドラマや俳優の魅力、面白さ、その変化や予兆が綴られています。 『anan』の連載以外にも、ファンとして、元脚本家志望者として、そして原作者として、ドラマや俳優について綴ったエッセイを収録。『逃げるは恥だが役に立つ』『エルピス―希望、あるいは災い―』『虎に翼』といった近年話題となった傑作から、『東京ラブストーリー』『ロングバケーション』『すいか』といった記念碑的作品まで、柚木麻子が縦横無尽に語り尽くします!! [本書で扱う主な作品] 『失恋ショコラティエ』『東京ラブストーリー』『アラサーちゃん 無修正』『地獄先生ぬ~べ~』『問題のあるレストラン』『すいか』『ハウス・オブ・カード 野望の階段』『恋仲』『ロングバケーション』『トミーとタペンス―2人で探偵を―』『武道館』『ゆとりですがなにか』『営業部長 吉良奈津子』『逃げるは恥だが役に立つ』『カルテット』『やすらぎの郷』『監獄のお姫さま』『眠れぬ真珠~まだ恋してもいいですか?』『獣になれない私たち』『人生が楽しくなる幸せの法則』『きのう何食べた?』『凪のお暇』『少年寅次郎』『愛の不時着』『その女、ジルバ』『大豆田とわ子と三人の元夫』『彼女はキレイだった』『日本沈没―希望のひと―』『真夜中にハロー!』『メンタル強め美女白川さん』『六本木クラス』『エルピス―希望、あるいは災い―』『作りたい女と食べたい女』『今夜すきやきだよ』『日曜の夜ぐらいは…』『真夏のシンデレラ』『コタツがない家』『セクシー田中さん』『婚活1000本ノック』『推しを召し上がれ~広報ガールのまろやかな日々~』『虎に翼』など
-
-イメージやモノが氾濫し、群島化した世界にふさわしい「オルターモダニティ」とは? 翻訳の思考を通して現代の美術批評を素描するとはどのようなことか? 今日の旅する人(ホモ・ウィアートル)としてのアーティストたち── 時空間のなかを浮遊しながら根を伸ばし張りなおしていくような、その「ラディカント」的実践の分析から、文化や想像力の標準化に抗するしなやかな美学が浮かびあがる。「関係性の美学」を提唱したキュレーター、ニコラ・ブリオーの著書、待望の初邦訳! グローバル化され「大きな物語」「歴史」を失って久しい現代、さまざまな形態、イメージ、モノ、言説が氾濫し、差異が重要性をもつ世界を読み解くのにふさわしい美学とはどのようなものだろうか? ブリオーは、起源としての唯一の「根」を讃えた「ラディカル」なモダニズムとも、多文化主義的なポストモダンや多様で同時的な組織網たるリゾーム(地下茎)とも異なる、前進するにつれて根を伸ばし張りなおしていく「ラディカント(radicant)」的あり方を備えたモダニティ=オルターモダンという視座を提示する。 そこで重要なのは、翻訳の身振りであり、イメージを他のコードに変換し、みずからの根を異質なフォーマットに移植することである。アーティストたちは他の時代や場所の素材を使用・転用し、記号航海士として放浪しながら現代の文化的風景の中に道筋をつくりだしていく。 本書は、1998年『関係性の美学(原題:Esthétique relationnelle)』で美術の新たなパラダイムを切り拓いたブリオーが、21世紀の今日的状況を考察するため、旅人としてのアーティストたちの実践を通して新しい時代のしなやかな美学を描き出した、文化や想像力の標準化に抗するための挑戦的一冊である。
-
3.7ルールはあなたを縛るものではなく、この社会で自由に生きるためのもの? 世界の見え方が変わっていく、「ルール×デザイン」入門 遊び心と創造力に満ちた、新しい「ルール」本の誕生! 法律や規則、マナー、習慣、自然法則……わたしたちはさまざまなルールに囲まれて生きています。 本書では、日常のさまざまな場面で遭遇するルールの存在や影響を取り上げながら、ルールを「つくる」「使う」「見直す」「更新する」ことでわたしたちの社会をアップデートしていくことを目指します。この4つのサイクルに着目し、ルールはデザインによってどのようにかたちづくることができるのか、多角的な視点から探ります。 身の回りにあるルールを意識し、自分のこととして関わり、柔軟にとらえ直すことで、ルールとポジティブに向き合うことの大切さと、ルールは私たちの思考や行動を制限するものではなく、この社会で自由に生きるためのものであることを説く、日常をデザインする創造的実践のガイドとなる一冊です。 「ルールについての展覧会?!」と大反響を呼んだ、21_21 DESIGN SIGHTの企画展「ルール?展」(2021年)。展示期間中、予約の取れない展覧会として話題となり、TikTokやInstagramでZ世代の若者たちにも人気を博したあの「ルール?展」が、「本」になって帰ってきた! 展覧会ディレクターの菅俊一・田中みゆき・水野祐による、「ルール」についてさらに深掘りした全編書き下ろしのテキスト+座談会に、宇野重規(政治哲学者)、清水晶子(フェミニズム/クィア理論研究者)、小田原のどか(彫刻家/評論家)、細馬宏通(人間行動学者)、会田大也(ミュージアム・エデュケーター)、木ノ戸昌幸(元NPO法人スウィング理事長)の豪華執筆者による寄稿を加えて再編集・成書化しました。