動物学者が死ぬほど向き合った「死」の話

動物学者が死ぬほど向き合った「死」の話

2,099円 (税込)

10pt

シュレディンガーの本質的な問いかけ「生命とは何か」から始まっていることに心底しびれた。「死」をエントロピーから捉え直した画期的な論考。
――― 福岡伸一氏(『生物を無生物のあいだ』著者)推薦!

死なないように進化しないのはなぜか?

われわれが住む地球にはじつに多様な生態的地位があふれている。自己を増殖しようとする大きな原動力、自らの遺伝子を残すための生殖行為の発展、生き残る術と再生能力に長けた生き物であふれているのに、なぜ誰も、死を避けて長生きする方向には進化しないのか。著者は、人生における死が、わたしたちの想像を超えて色々な形で存在しており、死が進化に影響を与えている証を示していく。宇宙があなたに、死ぬ可能性を付与したというのだ。死は何か信じがたいかたちで自然界に溶け込み、自然界に力を与え、多様性に拍車をかけている。

人類は古代から、飢餓、かんばつ、震災、戦争などを経て、争いのなか生き残ってきたが、大人としてたった2時間しか生きることができない動物もいれば、決まった時間が来たら自ら命をたつ特性を持つものもいる。一方で、何百年もの間生きる動物もいるかと思えば、他者に取り付いて残酷な死に方をさせる寄生虫もいるし、長く健康な人生を送らせるために取り付く寄生虫もいる。死は、自然や進化に与えている影響を明確にしながら、限りある命と照らし合わせて考えなければ、到底その複雑な糸を解きほぐすことはできないだろう。

人類はおそらく、「死」が生物に等しく起こるという事実を認識している、地球史上最初の動物である。生命の不思議は「神」でしか説明できないかもしれない。しかし、生命の可能性や人生の意味を見つけ、自分で選ぶことができるのは、人間の特権である。われわれはその特権をうまく使うことができているだろうか。

本書を読む体験は読者にとって、生き物たちの終末と再生を見極めようとする、壮大かつ楽しい冒険の旅となるであろう。

...続きを読む

動物学者が死ぬほど向き合った「死」の話 のユーザーレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2022年02月13日

    小説的であって、すごく読みやすかった。
    死の向き合い方は、動物学だとこんなにもあっさりしていて、まぁポジティブでもネガティブでもないのだなと。

    0

    Posted by ブクログ 2020年03月10日

    人間誰しも1度は考えたことのある「死」というテーマ。
    それは様々な謎を我々に与えてくれるものだが、どれも正解に至るのは難しい。
    その「死」というテーマに対し、化学的・物理的、そして生物学的に捉え、多くの専門家たちとの会話の中で研究を進めていくこの本の内容はとても興味深かった。結局結論は明確には出ない...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2018年07月16日

    生物学的な死を考えるというコンセプトのもと、様々な生物の生と死について著者の取材内容をまとめた一冊。読みやすくわかりやすい。ただ、ネタがネタだけにギョッとするところも多少あるので好き嫌いは分かれるかもしれない。

    カラスは仲間の死を弔うのか、ロバはパートナーの死を悲しむのか、腐敗の進む豚の死骸の下で...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2022年09月07日

    生き物に対する考え方が変わった。ただ生物が死ぬことに対して可哀そうと今まで感じていたが、生命の循環の一部、生物の集団として進化していく過程を改めて実感した。人間は考える脳を持ち、自分たちを最良の生き物と考えているフシがあるが、結局ほかの生物の進化の恩恵を受け、今があることを忘れないようにしたい。

    0

    Posted by ブクログ 2019年02月05日

    色々なことを考えさせられた。
    ヒトは我先にと自分の欲望を通そうとする。
    この地球上では高等生物なんだからもっと他の生物に対して遠慮とか思いやりがあってもいいんじゃないかと思う。そして教育が本当に大切だと改めて思った。
    思い込みや自分勝手で他の生物を絶滅に追いやったり。
    話を鵜呑みにする、ヒトに左右さ...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2018年10月30日

    生物とは何だろうか。それは生きているものである。
    「生きている」とは何かといえば、一般には、「自己と外界を分ける境界があること」「エネルギーや物質を代謝すること」「自己複製すること」などの特徴が挙げられる。英語圏では運動(Movement)、呼吸(Respiration)、感覚(Sensitivit...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2018年10月23日

    それなりに面白かった。CSLでの話とのシンクロニシティとかもあったし。(酵母とか)ナウシカにおける腐海というのが死のメタファーであるということが改めて理解できた気がする。海底のクジラとか。そして、周囲と独立して生きているわけではないという生命のベースをもう一度考え直すということもできた。死は無限で生...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2018年10月13日

    旺盛な好奇心でイギリス各地をめぐり歩き、専門家たちの話に耳を傾け、ブタの腐乱を観察し、ヒキガエルを轢死から救い、マスメディア報道の歪曲の真相を突き止め、507歳の生き物と出会う。

    学者の科学的な本かと思いましたが、むしろ文系的、つまり人間にとってどうか。いろいろ訪ね歩いた体験記みたいな感じでした。

    0

    Posted by ブクログ 2018年09月03日

    動物の死について、様々な方向から多角的にエッセイ調で書かれている。ちょっと話題が広すぎて主題部分が伝わりにくい。レミングは自殺しないことを知ってびっくりした。ディズニー映画のやらせらしい。人間の寿命はどこまで延びるのか。脳の老化で今のところ130年が限界といわれているらしいけど、どんどん研究が進んで...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2018年08月16日

    エッセイとしては面白いが、知見は中途半端。浅く広げすぎ。レミングの「地走り」はディズニーのヤラセというのは衝撃的だったが。

    0

動物学者が死ぬほど向き合った「死」の話 の詳細情報

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

この本をチェックした人は、こんな本もチェックしています

無料で読める 学術・語学

学術・語学 ランキング

作者のこれもおすすめ

同じジャンルの本を探す