タイトル通り、庭園と庭師をテーマにした本。そして詩学と知恵ともある。こちらは文体を表しているといえる。
庭園と庭師というのは、なかなかニッチなテーマであると思う。
本書で取り上げられるのは京都にある庭園だが、庭園自体は日本中にあるし、観光などで行ったことがある人も多いと思うが、ぼくもちょっとした観
...続きを読む光用の説明を覗くくらいで、くわしくは知らない。
庭師に関しては接することが少ない、というかぼくはまったくないので、どちらにしろ知らないことばかりなので、興味深かった。
とはいえ、それがおもしろいかどうかはまた別の話ではある。庭園や庭師の情報を載せるだけなら観光パンフレットで充分である。
そこで、著者の工夫がなされるのは、詩学と知恵の部分である。
後者の「知恵」は、庭園や庭師についての情報で、それと著者の視点、または感性によって詩学として再構成される。文体にも気を遣って、リリカルな文章として提出される。