経済 - みすず書房作品一覧

  • 21世紀の資本
    3.9
    ≪資本収益率が産出と所得の成長率を上回るとき、資本主義は自動的に、恣意的で持続不可能な格差を生み出す≫ 経済的格差は長期的にどのように変化してきたのか? 資本の蓄積と分配は何によって決定づけられているのか? 所得の分配と経済成長は、今後どうなるのか? 決定的に重要なこれらの諸問題を、18世紀にまでさかのぼる詳細なデータと、明晰な理論によって解き明かす。格差についての議論に大変革をもたらしつつある、世界的ベストセラー。 「本年で、いや、この10年で、最も重要な経済学書になると言っても過言ではない」ポール・クルーグマン(プリンストン大学教授)、「地球規模の経済的、社会的変化を扱った画期的著作だ」エマニュエル・トッド(フランス国立人口統計学研究所)、「時宜にかなった重要書だ」ジョセフ・スティグリッツ(コロンビア大学教授)、「かれの解決策に賛成するにせよ、しないにせよ、資本主義を資本主義から救おうとする人たちにとって正真正銘の課題だ」ダニ・ロドリック(プリンストン高等研究所教授)、「この事実の確立は、政治的議論を変化させる、ノーベル賞級の貢献だ」ローレンス・サマーズ(ハーヴァード大学教授)、「かれの研究が、スマートな人たちを富と所得格差の研究に惹きつけることを望む」ビル・ゲイツ、「情報の豊かさがすばらしい」ロバート・シラー(イェール大学教授)
  • 資本とイデオロギー
    -
    ベストセラー『21世紀の資本』を発展継承する超大作、ついに邦訳。《財産主義》という視点から、三機能社会、奴隷制社会、フランス革命、植民地支配から現代のハイパー資本主義まで、巨大なスケールで世界史をたどり、イデオロギーと格差の関係を明らかにする。さらには《バラモン左翼》と《商人右翼》の連合に囚われつつある現代民主政治を分析。労働者の企業統治参画と累進年次資産税など、新たな公正な経済システムを提示する。
  • アントフィナンシャル――1匹のアリがつくる新金融エコシステム
    4.3
    急速にキャッシュレス化が進む中国。9億人以上が利用する決済サービス「アリペイ」(支付宝)。1元から資産運用ができるMMF「余額宝」。個人や企業の信用度をスコアリングする「芝麻信用」(ジーマ信用)。一般消費者や零細企業に少額融資を行う、マイクロクレジット専門のインターネット銀行「網商銀行」(マイバンク)。これらすべてを動かすのが、アリババ・グループの金融関連会社「アントフィナンシャル」だ。現在、アントフィナンシャルの業務分野は、決済、融資、資産運用、保険、銀行に及び、テクノロジーによって金融のあり方を大きく変えようとしている。本書では、中国の金融シンクタンク「中国金融40人論壇」(CF40)のメンバーが、2004年の「アリペイ」の誕生から2017年までのアントフィナンシャルの発展史を辿り、その全貌を解明する。アントフィナンシャルが最も重視するのは零細企業や農村、一般消費者へのサービスだ。資金ニーズはあるものの、信用情報がなく、銀行から融資を受けられない人々には、有効な信用情報を蓄積する術を生み出し、適正に与信判断を行うシステムを構築することで融資を実現した(第5章で詳述)。貸付リスクの高さから既存金融機関に見放されてきた農村部でも、実情に即して金融ニーズを腑分けし、インフラを整備して、都市部と同等のサービスを提供しようとしている(第8章で詳述)。この企業の本質は、取引における「信用」の問題を技術力で解決することにある。さらに、その技術を積極的に外部に開放することで、独自の金融エコシステムを世界へ拡げようとしている。KPMG/H2 Venturesが選出する「Fintech100」に3年連続で第1位に選ばれた、世界的フィンテック企業の全貌を解明。金融の最前線を知り、中国の現在を知るための必読書。
  • RCT大全――ランダム化比較試験は世界をどう変えたのか
    4.4
    ・10代少女に赤ちゃん人形を与えて育児を体験させると、早すぎる妊娠を防げる? ・素行の悪い青少年を、刑務所の極悪犯と対面させると矯正できる? ・貧困地域からの引っ越しを補助すれば、家族の経済状況は改善する? ・不況下で職探しのヒントが詰まった冊子を配布すると就業者は増える? ・X線検査で背中の痛みを調べられる? ・『セサミ・ストリート』の1話で教えるのは何文字がいい? ・マイクロクレジットは貧困世帯の所得を上げる? ・デパートの営業時間を短縮すると利益は増える? 被験者を2つのグループにランダムに割り当て、介入の効果を測定するランダム化比較試験(RCT)。この決定的手法は、これらの疑問にどう答えてきたのか? 壊血病の昔から、最先端のウェブビジネスまで、医療、教育、経済、産業といったあらゆる分野でエビデンス革命を起こしつつあるRCTを網羅的に紹介。巻末には「実施の10の掟」を収載する。
  • ウェルス・マネジャー 富裕層の金庫番――世界トップ1%の資産防衛
    4.6
    「法律や政治、巨大な国際的資本フローにウェルス・マネジャーが与える影響を考えれば、彼らがすでに広く認められた研究文献の主題になっていてもおかしくない、と思われるかもしれない。ところが、最近発表された数件の記事と、20年以上前に刊行された書籍の一部で紹介されている以外、この職業は学者の間でほとんど知られていない。関心が持たれなかったからではなく、情報の入手が困難なせいである」(本文)そこで著者は2年間のウェルス・マネジメント研修プログラムに参加し、世界標準規格として認められている資格であるTEPを取得する。「優秀な成績でプログラムを修了したおかげで、この職業に近づきがたくしていた手強い障壁を乗り越えられるほどの内部者になることができた」(本文)そこから明らかになったのは、大富豪の懐に入り、世界規模でマネーを操る、資産管理のプロたちの姿だった。格差拡大の原因ともなっている「富豪の執事」たちの実態を初めて学術的に分析する。
  • エクソダス――移民は世界をどう変えつつあるか
    3.0
    「本書は、もっとも貧しい社会、「最底辺の10億人」に関する私の研究の一環である…欧米諸国の移民政策は不用意で見過ごされがちな影響を彼らにおよぼす…[また]本書はリベラルな人々の主流見解を批判するものでもある…国をまたぐ移住が一般的になり国民的アイデンティティがなくなれば、社会は脱国家的になる。それに問題があるだろうか? 私は大きな問題があると考える…本書の中核を成すメッセージは、「移住が良いか悪か」という質問が間違っているということだ…緩やかな移住は利益をもたらし、大量移住は損失をもたらす。したがって重要なのは「どのくらいが最適か」だ…恥ずべきなのは移住制限の内容が不適切なことだ。転じて、これは真剣な議論を妨げてきたタブーを反映するものでもある。本書は、そのタブーを打ち破ろうとする試みなのだ」(本文より)〈移民自身〉〈受入国の住民〉〈送出国に残された人々〉という三つの立場にバランスよく目配りしつつ、移住のグローバルな経済的、社会的、文化的影響を分析する。
  • 金持ち課税――税の公正をめぐる経済史
    5.0
    「国はいつ、なぜ富裕層に課税するのか。今日、これほどタイムリーかつ意見の対立する問題はない。…20世紀の高課税は民主主義の影響だったのか、不平等への対応だったのか。…本書は、過去へさかのぼり、富裕層課税の歴史が現在の状況に何を教えてくれるかを示していく。…我々の考えでは、社会が富裕層に課税するのは、国民が国家は富裕層に特権を与えていると考え、公正な補償によって富裕層に他の国民より多く課税するよう要求する時だ」「1914年に大規模戦争時代が到来し、富裕層課税を支持する強力な新主張が生まれた。労働者階級が徴兵されるなら、公平に、資本家階級にも同様のことが要求される。…戦争の負担が平等でないなら、富裕層はより重税を課されるべきだ。…しかし、大規模戦争がなくなると、そうした主張は消えていく。代わりに、富裕層への高課税は新たな既存体制となり、富裕層への課税は「公正」だと、何の説明もなしに主張するしかなくなっていった。そのような状況で、富裕層の税が下がっていくのは不可避だった」(本文より)世界的に不平等が拡大するなか、税による解決は可能なのか? 歴史から新たな回答を提示する基本書。
  • 来たれ、新たな社会主義――世界を読む2016-2021
    4.0
    「ハイパー資本主義はあまりにも行きすぎてしまった。いまや私たちは、資本主義を超える新しい体制、すなわち、参加型かつ分散型、連邦主義的かつ民主主義的で、環境にやさしく、多民族共生かつ男女同権といった新しい形の社会主義について考える必要がある。私はそう確信している」(序文より)英国のEU離脱(ブレグジット)、トランプの勝利と敗北、マクロンの諸改革、プーチンの泥棒政治、新型コロナ、気候危機……激動する世界のただ中で、格差と闘うエコノミストは何を訴えたのか? ピケティが構想する「新たな社会主義」とは? 2016年から21年初頭にかけて『ルモンド』紙に寄稿した時評から44本を精選し、新たに「序文」を付す。『21世紀の資本』から進化を続ける思考と格闘の軌跡。
  • 給料はあなたの価値なのか――賃金と経済にまつわる神話を解く
    3.6
    私たちが労働の対価として受けとる給料。では、その額は、あなたの市場価値の反映なのだろうか? 私たちはみずからの生産性と職種によって、給料の額は客観的に決まると考えがちだ。だが、果たしてそれは本当だろうか? ならば、弁護士のほうが教師より価値ある仕事なのか? 警官や大学教授、記者の仕事を公平な基準で正しく評価できるのだろうか? じつは、多くの人が「誰がいくらをなぜもらうのか」を知らないまま、神話にとらわれていると著者は述べる。本書は、アメリカの社会学者がさまざまな企業・業界の実態調査に基づき、常識への反論を試みる書である。給料を決定する4つの要因(「権力」「慣性」「模倣」「公平性」)を手がかりに広く信じられている誤解を解き、給料を上げるための方策と真に公平な賃金制度への道筋を示す。コロナ危機を踏まえた「エピローグ」を収録。
  • グリーン経済学――つながってるけど、混み合いすぎで、対立ばかりの世界を解決する環境思考
    4.0
    「グリーン[とは]個人の行動、企業、政治活動、法に対する新たなアプローチを表す社会的ムーブメントの意味だ。現代の産業社会がもたらす危険な副次的影響と、その影響を解決するか、少なくとも歯止めをかける方法についての、関連し合ったアイデアの集合である。…本書では、社会、経済、政治分野の幅広い問題をグリーンの観点から考察する。…例をあげれば、グリーンエネルギーの税制を変更する、国内生産を表すもっと正確な指標を考え出す、グリーンエネルギーのインセンティブを高める、などだ。これらは[…]法や人びとの態度を変えることで社会を変えていく方法である。…未来を脅かす課題に取り組む能力について、私たちは楽観的にも悲観的にもなれるだろう。その反面、私たちが未知の海域に漕ぎ出しているのも事実だ。…だが、もし私たちが知性に裏づけされた誠実さと先見の明を持って未来と向き合えるなら、グリーンアースという夢を実現できるのだ」(本文より)環境思考で経済的効率性、持続可能性、政治、税制、倫理、金融といった現代社会のあらゆる側面を鳥瞰する。
  • 〈効果的な利他主義〉宣言!――慈善活動への科学的アプローチ
    4.8
    「効果的な利他主義は、自己満足や売名のためではなく、本当の意味で人々の役に立つための活動であり、21世紀最高の発明のひとつといえよう。この刺激的な新しいムーブメントについて学びたいなら、本書を読むしかない」スティーブン・ピンカー(ハーバード大学教授)「効果的な利他主義のもっとも面白い部分は、私が本書で提供している提言そのものではなくて、「どうすればできるかぎりのよいことができるか?」という疑問を探るための方法論だ。…よいことを完璧に行なうことはムリでも、もっと効果的に行なおうと努力することなら、いつだってできるのだ」(あとがき)。世界をよりよい場所にする無数の方法のうち、最善なのはどれか? どの問題に今すぐ取り組み、どの問題を次の機会に先送りするべきなのか? ひとつの行動を別の行動よりも優先するのは、心理的にも現実的にも難しいが、不可能ではない。エビデンス・ベースの寄付、慈善活動をすすめる新たな潮流を紹介。
  • 資本主義だけ残った――世界を制するシステムの未来
    4.3
    二つの資本主義が世界を覆っている。米国に代表されるリベラル能力資本主義と、中国に代表される政治的資本主義だ。この両者がはらむ、不平等の拡大と腐敗の進行という病弊の根本原因を喝破し、欧米の社会科学界を震撼させたベストセラー。「われわれの未来についての、重要な問題をすべて提示している」ゴードン・ブラウン(元英首相)「経済統計の第一人者[による]豊かな議論だ」ジェームズ・K・ガルブレイス(テキサス大学オースティン校教授)「北京に住むのか、ニューヨークに住むのか、決断のときは近づいている」エドワード・ルース(『フィナンシャル・タイムズ』紙)「この二つの資本主義が世界情勢を支配している。両者の共進化が今後数十年の歴史を形成することになるだろう」『エコノミスト』誌「データの収集、評価において、類まれな最高の経済学者だ」ロバート・カトナー(『ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス』誌)「現存する(おそらく)唯一の社会経済システムへの理解を刷新しようとする、あらゆる読者、研究者にお薦めする」ロバート・ラコノ(LSEレビュー・オブ・ブックス)
  • 時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか
    4.6
    資本主義は自らの危機を「時間かせぎ」によって先送りしてきた。70年代、高度成長の終わりとともに、成長を前提とした完全雇用と賃上げは危機を迎えていた。そこで各国はインフレによる時間かせぎ、つまり名目成長が実質成長を肩代わりすることで当面の危機を先送りした。80年代、新自由主義が本格的に始動する。各国は規制緩和と民営化に乗り出した。国の負担は減り、資本の収益は上がる。双方にとって好都合だった。だがそれは巨額の債務となって戻ってきた。債務解消のために増税や緊縮を行えば、景気後退につながりかねない。危機はリーマン・ショックでひとつの頂点を迎えた。いま世界は、銀行危機、国家債務危機、実体経済危機という三重の危機の渦中にある。新たな時間かせぎの鍵を握るのは中央銀行だ。その影響をもっとも蒙ったのがユーロ圏である。ギリシャ危機で表面化したユーロ危機は、各国の格差を危険なまでに際立たせ、政治対立を呼び起こした。EUは、いま最大の危機を迎えている。資本主義は危機の先送りの過程で、民主主義を解体していった。危機はいつまで先送りできるのか。民主主義が資本主義をコントロールすることは可能か。ヨーロッパとアメリカで大きな反響を呼び起こした、現代資本主義論。
  • スミス・マルクス・ケインズ――よみがえる危機の処方箋
    4.7
    経済危機はなぜ起こるのか? 貧富の差はなぜ固定するのか? 豊かさはどこから生まれるのか? お金の役割とは? こうした間いを理解するために、経済学の最重要人物スミス、マルクス、ケインズに立ち返ってみよう。彼らが出した答えから、経済学の核心を見ることができる。資本主義はたえざる流動的なプロセスである。彼らはそれぞれの時代において資本主義の本質をつかみ、経済学を刷新した。スミス『国富論』、マルクス『資本論』、ケインズ『一般理論』のポイントと彼らの生きた時代を記述し、資本主義という逆説に満ちた社会システムを明らかにする。いま新たな段階に進み、危機を孕み持つ資本主義への処方箋。
  • 絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの
    4.0
    「調査の過程で、中年の白人アメリカ人の自殺率が急速に増えていることがわかった。…驚いたことに、中年の白人の間で増えていたのは自殺率だけではなかった。すべての死因による死亡率が増えていたのだ。…もっとも増加率の高い死因は三つに絞られた。自殺、薬物の過剰摂取、そしてアルコール性肝疾患だ。私たちは、これらを「絶望死」と呼ぶことにした。…絶望死が増えているのは、ほとんどが大学の学位を持たない人々の間でだった」(はじめに)「私たちが望むのは、死のエピデミックの純然たる恐ろしさ、そしてレントシーキングと上向きの再分配が生み出した極端な不平等に向き合うことで、これまで長く考えられてきた数々の構想が実行に移されることだ。その時はとっくに訪れている」(最終章)アメリカ労働者階級を死に追いやりつつある資本主義の欠陥を冷静に分析し、資本主義の力を取り戻す筋道を提示する。
  • 善意で貧困はなくせるのか?――貧乏人の行動経済学
    3.8
    マイクロファイナンスのパンフレットにきれいな女性の写真を載せると申し込みは増える? 検査を受けた人にお金を払えばHIV感染率は下がる? 貴重な善意を最大限に活かすためにはどうしたらいいの? ガーナ、ケニア、南アフリカ、インド、フィリピン、ペルー、メキシコ……理論と現実が一致しない途上国の複雑な世界にわけいって、そこから「クール」な答えを、次々と導き出している〈新しい経済学〉のいまを紹介。人間心理が陥りがちな落とし穴をやんわりと回避させるための後押し(=ナッジ)の手法をふんだんに盛り込み、開発経済学の新しい知見を一般向けにやさしく語ります。その新しさの特徴は、開発プロジェクトの「なにがうまくいって、なにがだめなのか」を社会実験ではっきり実証する点、そして人間の非合理性を考慮した新しい発想に基づいている点にあります。
  • 大学なんか行っても意味はない?――教育反対の経済学
    4.0
    人気ブロガー経済学者が、経済学の概念「シグナリング」をキーワードに、現在の教育システムが抱える問題点を実証データで分析する。なぜ学生は楽勝授業を探し、試験が終われば学んだことを平気で忘れてしまうのか? なぜ過去数十年で教育が普及したのに、平均的な労働者が良い仕事に就けず、学歴インフレが起きているのか? なぜ企業は、ほとんど使うあてのない学校教育を受けた労働者に給料を支払うのか? なぜ社会では、学校を卒業することが最大の協調性のシグナルになるのか?その答えのカギはすべて、「教育の最大の役割は学生のスキルを伸ばすことではなく、知力、協調性、仕事への姿勢についてのお墨付きを与えることにある」というシグナリングの考え方にある。本書が示す問題解決への道筋は、高等教育縮小と職業教育拡充だ。最新の社会科学による、教育への根源的かつ挑発的な問いかけ。
  • 第三の支柱――コミュニティ再生の経済学
    3.0
    『フィナンシャル・タイムズ』紙ベストブック。「コミュニティのきわめて重要な役割を軽視し、市場と国家の表面的な効率性ばかりに集中してきたことによる弊害を分析した、すばらしい洞察だ。ラジャンは大胆かつ明晰に、なぜこの不均衡をすぐに修正する必要があるのかを明らかにしている」アマルティア・セン(1998年ノーベル経済学賞受賞者)「私の両親は大恐慌、ファシズムの台頭、第二次世界大戦を生きた。私はそれとは根本的に異なる仕方で組織された世界で生きていると考えてきた。しかし私は間違っていた。私たちはみな、この問題について今すぐに考え始める必要があるのだ。本書はその思考の出発点だ」ジェームズ・ロビンソン(シカゴ大学教授、『国家はなぜ衰退するのか』)「『第三の支柱』はいま最も差し迫った課題について、洞察に満ちた見通しを与えてくれる。本書が提示するのは、私たちすべてが進むべき道だ。経済がどう機能でき、どう機能すべきかに関心のあるあらゆる人の必読書だ」リンダ・ユー(『アダム・スミスはブレグジットを支持するか?』)「政策の世界と学問界を、これほど見事に結びつける経済学者はほとんどいない。世界経済の間違った方向を指摘して、一貫して正しい経済学者はさらに少ない。ラジャンによる大胆かつ独創的な提案によって、今日の民主主義の病弊についての議論は大きく前進し、新たな領域に入るだろう」ダニ・ロドリック(ハーヴァード大学教授、『グローバリゼーション・パラドクス』)「ラジャンがまたやってくれた。新鮮で、洞察に満ち、魅力的な本書は、今日最も重要で、壊滅的になりうる課題について明晰な考察を与えてくれる」モハメド・エラリアン(ケンブリッジ大学クイーンズカレッジ・プレジデント)「私たちが知っている民主主義を守る道を探し求めている、あらゆる人の必読書だ」ジャネット・イエレン(第15代連邦準備制度理事会議長)グローバリゼーションと、その社会的、政治的影響を俯瞰し、《国家》《市場》《コミュニティ》という三者が、その中でどのように相互作用し、バランスを失い、現在の危機につながっているのかを、壮大なスケールで描き、今後歩むべき道を「コミュニティの再生」に見出す、いま最も注目される経済学者のひとりによる提言の書。経済学者は自らの領域を市場と国家の関係と考えるが、それは近視眼的だけではなく、危険ですらあると、ラジャンは主張する。あらゆる経済学は現実の政治経済であり、あらゆる市場は人間関係、価値観、規範の網目に埋め込まれているからだ。著者は市場と市民社会の関係を再考し、社会に満ちつつある現場への絶望への処方箋として、包摂的ローカリズムを訴える。市場と国家からコミュニティへという大転換を、冷静な分析と温かい筆致で語った、もはや古典とも言えるベストセラー。
  • 大脱出――健康、お金、格差の起原
    3.8
    世界はより良くなっている――より豊かになり、より健康になり、平均寿命は延びている。しかしその反面、貧困という収容所から「大脱出」を果たせずに取り残された国や人々がいる。産業革命以来の経済成長は、大きな格差も生んだのだ。経済発展と貧しさの関係について最先端で研究を続けてきた著者が、250年前から現在までを歴史的にたどりながら、成長と健康の関係を丹念に分析することで、格差の背後にあるメカニズムを解き明かす。「本書は、進歩と格差の間の終わりなきダンスについて記している。……単純に考えると、貧困からの脱出は金銭的な問題だと思いがちだ。だがお金と同じくらい、ひょっとするともっと重要なのかもしれないのが健康と、繁栄する機会を手に入れられるだけ長生きする確率の向上だ。……富の歴史について語る本は数多くあるし、格差の歴史について語る本も多い。健康と富がいかに密接な関係にあり、健康の格差が富の格差をいかに鏡のように反映しているかについて語る本もたくさん出ている。私はその両方について一冊で語りたいと思う。」(はじめに)取り残された人々を助ける手立ても示した、健康と豊かさの経済学。
  • 大不平等――エレファントカーブが予測する未来
    4.3
    BREXIT、トランプ現象などの原因を、如実に示した一枚の図がある。『ワシントンポスト』紙が「現代政治のロゼッタ・ストーン」と評したエレファントカーブだ。横軸の100に位置するのがグローバルに見た超富裕層、0に位置するのが最貧困層。縦軸はベルリンの壁崩壊からリーマンショックの間に各層がどのくらい所得を増やしたかを示している。50-60番目の人たち(中国などのグローバル中間層=A)は所得を大きく伸ばし、80-90番目の人たち(先進国の中間層=B)の所得は停滞し、90番目以上の超リッチ(グローバル超富裕層=C)の所得はこれまた大きく伸びていることがわかる。本書は、このグラフの発表者が、新たな理論「クズネッツ波形」で、今世紀の世界的不平等の行方と経済情勢を予測した基本書だ。「各国間と各国内の不平等をこれ以上ないほど明確に語ってくれる。必読書だ」トマ・ピケティ。「これからの世界は、グローバルなトップ1%層に支配されるのだろうか、それとも支配するのは巨大なグローバル中間層だろうか」ジョセフ・スティグリッツ。「斬新かつ挑発的な発想の宝庫だ」アンガス・ディートン。
  • テクノロジーは貧困を救わない
    4.3
    いまだITスキルに大きな格差があるインド。学校では上位カーストの生徒がマウスとキーボードを占領している。「これこそまさに、イノベーションにうってつけのチャンスだ。1台のパソコンに複数のマウスをつないだらどうだろう? …そしてすぐに〈マルチポイント〉と名付けた試作品と、専用の教育ソフトまで作ってしまった」。しかしその結果は… 「ただでさえ生徒を勉強に集中させるのに苦労していた教師たちにとって、パソコンは支援どころか邪魔物以外のなんでもなかった。…テクノロジーは、すぐれた教師や優秀な学長の不在を補うことは決してできなかったのだ」。こうして、技術オタクを自任する著者の、数々の試みは失敗する。その試行錯誤から見えてきたのは、人間開発の重要性だった。ガーナのリベラルアーツ教育機関「アシェシ大学」、インド農民に動画教育をおこなう「デジタル・グリーン」、低カーストの人々のための全寮制学校「シャンティ・バヴァン」などを紹介しながら、社会を前進させるのは、テクノロジーではなく、人間の知恵であることを語りつくす。
  • なぜ近代は繁栄したのか――草の根が生みだすイノベーション
    5.0
    「一九世紀に一部の国で市場経済が発達すると、人類史上初めて天井知らずの賃金上昇と雇用拡大が実現し、仕事から満足を得る人たちのすそ野が広がった。この現象を引き起こしたのは何だったのだろう。ところが、二〇世紀が進むうちに多くの国で、いや、今となってはすべての国で、そのすべてが失われてしまったとしか思えない。その背景には何があったのか。この稀に見る繁栄の盛衰を理解することが本書の目的である」(はじめに)近代の繁栄の源泉は、挑戦、自己表現、人間的成長といった個人主義に裏付けられた価値観の誕生と、そこから湧き出る大衆のイノベーション・プロセスへの参画にあるとする。新たな《近代経済》論。
  • ナチス 破壊の経済 上――1923-1945
    5.0
    ナチスの経済政策が、いかに付け焼き刃に過ぎなかったかを、圧倒的データと史料で描ききり、通俗的理解を覆す決定版、ついに邦訳。「本書の第一目的は、経済をヒトラー体制理解の中心に据え直すことだ…20世紀経済史の決定的な特徴として突出しているのは、ドイツ、あるいは他のヨーロッパ国の特異な優位性ではなく、一連の新経済大国、なかでもアメリカによる「旧大陸」の失墜だ…アメリカは私たちの第三帝国に対する理解の中心軸となる…東部で最後の一大領土掌握を行うことで、ドイツは、国内の豊かさと、来るべきアメリカとの超大国競争に勝つために必要な基盤の両方のための、自給自足基盤を作り上げようとしたのだった…だがヒトラーといえど、根底にある経済力や軍事力の均衡を変えられはしなかった。要するにドイツ経済は、アメリカはおろか、イギリスとソヴィエト連邦両国を含むヨーロッパの隣国すべてを圧倒できる軍事力を作り出せるほど強くはなかったのだ…ヒトラーの内心では、アメリカが第三帝国に与える脅威は、よくある単なる超大国間の対立ではなかった。ヒトラーのユダヤの世界的陰謀に対する不変の恐怖と絡み合っていたのだ」(序文より)上巻では、シュトレーゼマン政権(1923)から、ヒトラーの政権掌握、再軍備と戦争準備、そしてポーランド占領後(1940)までを扱う。雇用創出、アウトバーン建設といったナチ経済政策につきまとう神話の実像を暴きつつ、戦争遂行に向けた、外貨確保を中心とした金融経済政策、および兵器、食糧、労働力、資源の動員体制の確立を、あますところなく詳述する。
  • 測りすぎ――なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?
    4.0
    「測定基準の改竄はあらゆる分野で起きている。警察で、小中学校や高等教育機関で、医療業界で、非営利組織で、もちろんビジネスでも。…世の中には、測定できるものがある。測定するに値するものもある。だが測定できるものが必ずしも測定に値するものだとは限らない。測定のコストは、そのメリットよりも大きくなるかもしれない。測定されるものは、実際に知りたいこととはなんの関係もないかもしれない。本当に注力するべきことから労力を奪ってしまうかもしれない。そして測定は、ゆがんだ知識を提供するかもしれない――確実に見えるが、実際には不正な知識を」(はじめに)パフォーマンス測定への固執が機能不全に陥る原因と、数値測定の健全な使用方法を明示。巻末にはチェックリストを付す。
  • ハッパノミクス――麻薬カルテルの経済学
    4.0
    「ラテンアメリカを訪れた私は、麻薬産業の恐ろしい供給面を目撃することになった。そして、麻薬密売について書けば書くほど、麻薬ビジネスが組織的なグローバル・ビジネスと酷似していることに気づきはじめた…蒸し暑い独房で一味の支配する縄張りの広さを私に自慢したエルサルバドルの極悪ギャングのボスは、まるで合併を発表するCEOのような口ぶりで、抗争中のギャング間の手打ちについて陳腐な台詞を並べた。コカを栽培するボリビアの無骨な農民は、まるで商業園芸家のような自負と専門知識をひけらかしながら、自身の植物について興奮気味に話した。…世界じゅうの麻薬産業を調べるにつけ、麻薬ビジネスを一般企業と同列に論じたらいったいどうなるだろうかと、ますます興味が湧いてきた。その集大成がこの本というわけだ」「麻薬カルテルの運営を理解すれば、麻薬カルテルが繰り出す次の一手を予測し、税金や人命を無駄にすることなく企みを阻止しやすくなる。本書は麻薬王向けのビジネス・マニュアルであると同時に、彼らに勝つための攻略マニュアルでもあるのだ」(本文より)地を這う取材と最新の学術成果を結び付け、麻薬取引を、経済学的、経営学的に分析した初のノンフィクション。「ウェインライトは、楽しくかつ精緻な筆致で、驚くほど儲かる洗練されたビジネス企業という、麻薬カルテルの内情を暴き出している。本書を読めば、麻薬取引をまったく異なる視点から、より現実的に把握できるだろう。必読だ」――モイセス・ナイム(『権力の終焉』)「本書は、麻薬をめぐる暴力が無鉄砲なものではなく、経済的計算が極端に残酷化した結果であることを示している。……麻薬対策法の改革についての、もっとも簡潔かつ説得的な議論だ」――『ニューヨーク・タイムズ』紙「粘り強い取材と学術的研究の調査に基づいた、才気煥発かつ魅力的な本だ」――『ウォールストリート・ジャーナル』紙
  • 貧乏人の経済学――もういちど貧困問題を根っこから考える
    4.2
    貧困研究は、ここまで進んだ! 食糧、医療、教育、家族、マイクロ融資、貯蓄……世界の貧困問題をサイエンスする新・経済学。W・イースタリーやJ・サックスらの図式的な見方(市場 vs 政府)を越えて、ランダム化対照試行(RCT)といわれる、精緻なフィールド実験が、丹念に解決策を明らかにしていきます。
  • 貿易戦争は階級闘争である――格差と対立の隠された構造
    -
    2021年ライオネル・ゲルバー賞受賞。「貿易戦争は国家間の対立として表現されることが多いが、そうではない。これは主に、銀行や金融資産の所有者と一般世帯の対立、すなわち超富裕層とその他大勢の対立である」(まとめ)今日の米中2国間に見られるような対立は、じつは各国の労働者・退職者を犠牲にした数十年来の富裕層優遇策に起因している――。貿易黒字国である中国やドイツの国内所得の不均衡がアメリカの巨額な貿易赤字を生み、衝突へと至る構造をあざやかに解明、解決のための道筋を示す。国内の格差が民主主義を毀損し、グローバル経済の繁栄や国際平和をも脅かすメカニズムは、日本にも重大な問いを突きつけている。中国経済に精通した北京大学ビジネススクール教授と投資金融専門紙「バロンズ」経済論説員が贈る、「グローバル経済にかかわるすべての人が読むべき本」(ダニ・ロドリック)。
  • 暴落 上――金融危機は世界をどう変えたのか
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    「1914年と2008年について、私たちが発する問いは驚くほど似ている。大いなる安定はどのようにして終わりを迎えるのか。理解もできず、制御不能に近い莫大なリスクはどうやって積み上がるのか。世界秩序の大規模な構造転換は、突然の大変動のなかでどのようにして起きるのか。「時刻表に従って次々と到着する列車」のごとく登場する巨大な技術システムは、どのように組み合わさって破滅を引き起こすのか。時代錯誤で旧態依然の枠組みは、いかに私たちが身の回りの出来事を理解する邪魔をしているのか。私たちは、夢遊病者よろしく危機に突入してしまったのか。それとも、闇の勢力が私たちを危機へと押しやったのか。その後に発生した人為的な大惨事は、誰の責任なのか…」(最終章より)上巻ではサブプライム危機の前史から、大西洋を挟んだ欧米間での金融構造の生成、リーマンをはじめとする金融危機の勃発、その救済と世界への波及、オバマ政権による刺激プログラムまでをあつかう。
  • マーシャル・プラン――新世界秩序の誕生
    4.5
    「本書は新たに始まった冷戦の中心にマーシャル・プランを大胆に位置づけ、ソ連が苦労のすえに勝ち取った中欧と東欧の緩衝地帯にこのプランが脅威をおよぼす可能性について、スターリンがいかに真剣に考えていたかに焦点を当てる…プラハでのクーデターやベルリンの封鎖など、冷戦初期の劇的なエピソードのほとんどは、マーシャル・プランを挫折させ、欧州全域におけるアメリカの影響力弱体化を狙うスターリンの強い決意が原動力だった」「マーシャル・プランがアメリカ外交の最大の成果のひとつとして記憶されるのは、先見の明があったからだが、実際に効果を発揮したからでもある…政治的手腕が素晴らしい成果を発揮するためには、高い理想を掲げながらも現実に目を向けなければならない。私たちは、それを教訓として再び学ぶ必要がある」(本文より)この巨額かつ野心的な欧州復興イニシアティブは、いかにして冷戦という世界秩序を形作り、アメリカの戦後の大戦略に資したのか。アメリカ、ロシア、ドイツ、チェコの新資料を駆使して、その全貌を描いた決定版。
  • みんなにお金を配ったら――ベーシックインカムは世界でどう議論されているか?
    3.7
    「想像してみてほしい。銀行口座への入金で、毎月お金が届けられる。それで生活は維持できるが、あくまでぎりぎりという金額だ…[この]シンプルで、ラディカルで、エレガントな提案には名前がある。ユニバーサル・ベーシックインカム(UBI)だ。…ここ数年ほどは、[この提案は]驚くほどの存在感をもち始め、一部ではほぼ現実の話として語られるようになった…わたしはUBIについて知れば知るほど、夢中になる気持ちを抑えられなくなった。UBIは現代の経済と政治について実に興味深い問いを投げかけるからだ。インドの経済学者と、シリコンバレーのテクノロジー企業を牛耳る者が同じことを望むなど、ありえるのだろうか。1日60セントで暮らすケニアの村人たちに適した政策が、スイスで最も裕福な州の市民にも等しく適しているなど、そんなことがあるだろうか。本書は、このような問いに答えを出したいという思いで執筆を決意したものだ」(はじめに)
  • もうダメかも――死ぬ確率の統計学
    3.2
    「危険とは浅瀬のサメ、食器棚の錠剤、グランドピアノが窓からずり落ちかけている下で子供がスキップしている状況だ。クリーム摂りすぎの食生活、ベースジャンプ、密造酒、歩行者対2階建てバス、車でのスピードの出し過ぎ、変な天気もだし、スリル満点の物事もだ。言い換えると、危険はいつどこにでもある。そして…リスクには2つの顔がある。ひとつは一見冷徹な確率計算、もうひとつは、人々とそれぞれの身に起こった物語だ…この2つを一度に見る、というのが本書の普通ではない目的である」「数字と統計情報は揃っている。それらを駆使して、山あり谷ありの人生におけるさまざまな出来事の確率を見ていく…[そのために]手に入るなかでも、あるいは編み出せるなかでも最高の手法を用いる。特に、「マイクロモート」と呼ばれる巧みな仕掛け、そして新しい「マイクロライフ」という、命に関わるリスクを表す親しみやすい2つの単位を用いる…この意味で、本書は人生にまつわるさまざまな確率を取り上げた新しいガイドブックと言えよう」(はじめに)

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