私が「環境問題」と言う言葉に対して感情的にネガティブな反応を示すようになったのは、アルバート・ゴア・ジュニア氏の「不都合な真実」が出回ったことがきっかけでした。
あの書籍や映画など一連のものが、環境問題を胡散臭くして依頼、推進派・反対派それぞれの主張を声高にするだけで、精査の価値もないような書物が溢
...続きを読むれていたことを思い出します。
それ以来、どこかに事実とバランスの取れた主張に基づいた書物はないものか・・・と探していたところに出逢ったのが本書です。
本書は一言で言うと「経済学者の目から温暖化問題を論じたもの(本書 訳者あとがき より)」です。
そのため、単なる学術的な内容ではなく、実際の社会・経済に与える問題と、具体的な対応策についてしっかりと触れられています。そして何よりも、記述内容のバランスが良く、あらゆる可能性を排除せず、自分の考え方や立ち位置も明確にし、一つひとつとても丁寧に論じられています。
さらには、著者ご自身が分かりやすく書こうとされたことはもちろんですが、翻訳者も優秀で、訳書にあるとっつきにくい文書ではなく、するするとこの大作が頭に入ってくる良書です。
本書に出逢ったことで、これまで私の中でモヤモヤしていたものが晴れ、自分の考えをしっかり持つことができました。そして、温暖化問題もまた「今の時代のことを考えるのではなく、常に今の時代の人々がいなくなったあと、100年・200年先を考えて行動する必要がある」という当然だが超えるのが簡単ではないハードルを越えていく必要があることに行き着くのだと、確信しました。
本書に出逢えたことを、心より感謝します。