ウィリアム・ノードハウスのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私が「環境問題」と言う言葉に対して感情的にネガティブな反応を示すようになったのは、アルバート・ゴア・ジュニア氏の「不都合な真実」が出回ったことがきっかけでした。
あの書籍や映画など一連のものが、環境問題を胡散臭くして依頼、推進派・反対派それぞれの主張を声高にするだけで、精査の価値もないような書物が溢れていたことを思い出します。
それ以来、どこかに事実とバランスの取れた主張に基づいた書物はないものか・・・と探していたところに出逢ったのが本書です。
本書は一言で言うと「経済学者の目から温暖化問題を論じたもの(本書 訳者あとがき より)」です。
そのため、単なる学術的な内容ではなく、実際の社会・経済 -
Posted by ブクログ
1900年と2000年を比べると、二酸化炭素排出量は20億tから300億t以上に増え、平均気温が0.8℃上昇した。大気中の二酸化炭素濃度は1960年代の310-20ppmから2010年には390ppmに上がってきている。問題はこの調子で二酸化炭素の排出量が増え続けた場合に2100年には平均気温が何度上がり、その結果としてどんな事態が起こりえるかなのだが色々なシナリオによるとさらに1〜3℃ほど上昇するとみられている。この本では世界の気温上昇を2℃に抑えるためには どういう方法が有効かを経済学的な視点から提案している。
例えば気候変動の影響をもろに受ける農業の場合、二酸化炭素濃度の上昇と1℃程度 -
Posted by ブクログ
・多くの人は、地球温暖化を自然科学の問題として捉えるが、実はその究極の原因も解決策も、社会科学の領域にある。
・人間の活動で二酸化炭素が排出され、気候変動などを引き起こす。問題は、二酸化炭素を排出する人がその対価を支払うことも、排出の被害者がその代償を受けることもない点。
└排出された二酸化炭素によって損失が生じるが、こうしたコストは市場取引の外にあるため「外部性」と呼ばれる。外部性は、第三者に損害を与える、経済活動の副産物。
└二酸化炭素のような負の外部性の場合、市場で生じた歪みを市場が自動的に解決することはないため、政府が介入し、規制や課税などの措置を取らねばならない。
・システムの挙 -
Posted by ブクログ
地球温暖化を専門とするイェール大学経済学部教授による、温暖化対策の重要性を訴える本。
地球が温暖化をしていることは事実であり、その原因は、温室効果ガスにある可能性が高いことを主張し、採るべき対策は何か、それがいかに難しいかを述べている。地球温暖化の第一人者であり、経済学が専門であるにもかかわらず、科学や政治にも詳しく、現在の温暖化問題の実態がわかる者としての意見には説得力がある。ただ、科学的分析については、理解が難しかった。
「経済学が教えてくれる一つの重大な教訓は、規制のない市場は負の外部性にうまく対応できないということだ」p10
「すべての経済モデルとすべての気候モデルが完全なる間違い -
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Posted by ブクログ
地球温暖化が厄介なのは、地球規模の外部性だから。
GDPの増加率に対する炭素排出量の比率は減少している。
人口増加率を下げず、生活水準の上昇率を抑えないで、炭素強度を低下させる=脱炭素化 が可能。
温室効果の強化には収穫逓減の法則が働く。二酸化炭素の増加分は前と同じ割合で温暖化に進むわけではない。
閾値を超えると、一気に崩壊する。温暖化は3度の上昇といわれている。3度の上昇が300年続くと閾値を超える。
今までの変動よりペースが速いことが問題。
人為的に管理されていない資源に頼ることが文明の崩壊の原因となった。
ぼやけた望遠鏡問題=遠い将来はぼやけた望遠鏡で見るしか方法はない。
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