地球温暖化を専門とするイェール大学経済学部教授による、温暖化対策の重要性を訴える本。
地球が温暖化をしていることは事実であり、その原因は、温室効果ガスにある可能性が高いことを主張し、採るべき対策は何か、それがいかに難しいかを述べている。地球温暖化の第一人者であり、経済学が専門であるにもかかわらず、
...続きを読む科学や政治にも詳しく、現在の温暖化問題の実態がわかる者としての意見には説得力がある。ただ、科学的分析については、理解が難しかった。
「経済学が教えてくれる一つの重大な教訓は、規制のない市場は負の外部性にうまく対応できないということだ」p10
「すべての経済モデルとすべての気候モデルが完全なる間違いを犯しているのでない限り、地球温暖化は今後数十年で加速し、気候の状況は近年経験したことのない水域にあっという間に達してしまうだろう」p63
「医療はアメリカのGDPの16%を占める、米国最大の経済部門となっている」p93
「地球の平均地表温度そのものは、大した懸念ではない。むしろ憂慮しているのは、気候変動が物理システムや生物システム、さらには人間社会に及ぼす影響だ」p95
「(地球温暖化対策)第一に、市場における二酸化炭素やその他温室効果ガスの価格を引き上げること。第二に、自由市場は二酸化炭素の価格を引き上げてはくれないため、国々がギャップ・アンド・トレードか炭素税制度を使って炭素価格を引き上げること。第三に、ほとんどの国が最初の二つのステップに合意し、国際レベルで互いの政策を協調させること。そして最後に、国際的な気候変動協定が、ただ乗りを抑制するための効果的なメカニズムをもつことだ」p322
「基礎科学、世界中の多くの気候モデル、仮説や根拠の検証をおこなう非常に競争の激しい科学界、そして裏づけとなる証拠の積み重ねから判断すると、地球温暖化論が正しい可能性は非常に高い。われわれは95%の確信しか持てないかもしれない。だが、それが100%になるまで待つことはできない。なぜなら、経験科学の世界では、絶対的な確信に達することは絶対にないからだ。それに、100%の確証を得てからこの問題を食い止めようとしても、そのときはもう手遅れである」p376
「進化論を否定した割合はアメリカで最も高く(54%)、次いでフィリピン、ポーランド、ラトビアという順だった。一方、進化論を否定する割合が最も低かったのは、日本だった(10%)」p383
「調査研究者たちが指摘するのは、大半の人は公共問題に関して非常に限られた知識しか持っていないということだ」p384
「人々がある問題に対して自分の意見を形成する際、自らが信奉する集団のエリートたちの見解を聞き、採用する傾向がある」p385
「自らが認識し、関心を持っている事柄を連想させるような質問の仕方をすれば、それが人々の回答を作り上げる」p385