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「調査の過程で、中年の白人アメリカ人の自殺率が急速に増えていることがわかった。…驚いたことに、中年の白人の間で増えていたのは自殺率だけではなかった。すべての死因による死亡率が増えていたのだ。…もっとも増加率の高い死因は三つに絞られた。自殺、薬物の過剰摂取、そしてアルコール性肝疾患だ。私たちは、これらを「絶望死」と呼ぶことにした。…絶望死が増えているのは、ほとんどが大学の学位を持たない人々の間でだった」(はじめに)「私たちが望むのは、死のエピデミックの純然たる恐ろしさ、そしてレントシーキングと上向きの再分配が生み出した極端な不平等に向き合うことで、これまで長く考えられてきた数々の構想が実行に移されることだ。その時はとっくに訪れている」(最終章)アメリカ労働者階級を死に追いやりつつある資本主義の欠陥を冷静に分析し、資本主義の力を取り戻す筋道を提示する。
...続きを読むPosted by ブクログ 2022年01月20日
アメリカと言えば経済超大国、アメリカンドリームの成功への切符のイメージがある。
しかし現在には後ろ暗い苛烈な人生が横たわっている。
本書はそのような現象に目を向けた本。
おそらく経済学の学術書として書かれたものだと思うが、帯に書かれているように「ありとあらゆる市民が読み、議論すべきものだ」だと思...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年05月02日
世界的に見ても死亡率が低下する中で、中年白人の死亡率が上がっている。
医療やその他の生活環境が改善されているはずなのに、何が起きているのか。
トランプ支持の基盤理解もできる。
アメリカの低学歴労働者を取り巻く問題の原因を検証しながら絞り込んでいく過程もとてもよい。
日本でも同じことにならないように...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年04月07日
「アメリカがグレイトであった」と感じる特定の層が確実に存在し、それが懐古幻想でも何でもなく統計的に「実際にグレイトであった」ことを証明し、かつ、そうではない層にとっては同じく統計的に「実際にグレイトでなかった」ことを同時に証明し、アメリカの中に異なる2つの別世界が在ることを論じる一冊。本書と「ジョナ...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年03月19日
自分の浅はかな理解では、米国では、労働者階級の白人中高年の死亡率が高くなっている統計データを元に、白人の下流階級がいかに悲惨で、彼らが収入だけでなく自己評価も苛まれている状況を映し出す。
彼らは自殺率が高いだけでなく、薬物依存、アルコール中毒のような緩慢な死亡も多い。
つまり、自殺に至るまでの絶望感...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年06月21日
21世紀のアメリカ合衆国では平均寿命が短くなっている。その理由の一つにオピオイド(ケシ由来の麻薬性鎮痛薬や同様の作用を示す合成鎮痛薬の総称)の過剰摂取がある。「もっとも増加率の高い死因は三つに絞られた。自殺、薬物の過剰摂取、そしてアルコール性肝疾患だ」(アン・ケース、アンガス・ディートン著、松本裕訳...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年06月26日
高卒と学卒の間で格差が広がっている。
高卒は(特に白人)、学卒にくらべアルコール依存、薬物依存、自殺する割合が多い。この3つを絶望死という。
対策として、オピオイド、医療、コーポレートガバナンス、税と給付策反トラスト、賃金政策、レントシーキング、教育がある。
オピオイド、過剰処方へは、代替医療を検討...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年05月10日
本書で書かれている事柄には、アメリカ特有だと感じさせることも多いが、資本主義の構造的な変化は日米に共通するものだ。
絶望死へ向かう人々が生み出したのがトランプだとすれば、彼は異端ではなく極めて正統な大統領だったのかも知れない。
金が上へ上へと流れていく、それは資本主義として当然のことなのかも知れない...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年04月27日
"絶望死"、ショッキングなワードである。
一般的には、社会が裕福になると、平均寿命は伸び、死亡率は低下する。ところが、中年の白人アメリカ人の死亡率が増えていることを著者たちは知る。しかも増加率の高い死因は、自殺、薬物の過剰摂取、そしてアルコール性肝疾患の3つであった。これ...続きを読む
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