「測定基準の改竄はあらゆる分野で起きている。警察で、小中学校や高等教育機関で、医療業界で、非営利組織で、もちろんビジネスでも。…世の中には、測定できるものがある。測定するに値するものもある。だが測定できるものが必ずしも測定に値するものだとは限らない。測定のコストは、そのメリットよりも大きくなるかもしれない。測定されるものは、実際に知りたいこととはなんの関係もないかもしれない。本当に注力するべきことから労力を奪ってしまうかもしれない。そして測定は、ゆがんだ知識を提供するかもしれない――確実に見えるが、実際には不正な知識を」(はじめに)パフォーマンス測定への固執が機能不全に陥る原因と、数値測定の健全な使用方法を明示。巻末にはチェックリストを付す。
Posted by ブクログ 2023年01月11日
組織の目標設定を継続的に考えるにあたり、参考にするため読みました。「計測できないものは制御できない」という思想に偏りがちだったことを自覚できました。定量目標がダメなわけではなく、測定執着がダメ。測定はその対象に影響を及ぼすし、利害関係が生じると歪む。測定自体のコストがそのメリットを上回る。本当に達成...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年01月09日
表紙の「業績評価が組織をダメにする根本原因を分析」という文句に惹かれて購入.
データを集め,分析し,カイゼン,というループは今では当たり前の行為なのだが,その行き過ぎに警鐘を鳴らす.
我が大学も,まさにそうで,学部別の就職率の順位をつけて予算配分したりする.ただそのリストをよく見てみると,みんな進学...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年12月04日
エビデンス至上主義、計測指標至上主義の弊害をわかりやすくまとめた論考。簡単に短期で測れるものへの歪みや対象者選別などは目に浮かぶ。ただ、この本を頼みに成果計測を忌避するのも違う。問題は「至上主義」や人事評価やインセンティブとの連動にあるということをきちんと読み取る必要がある。NPOにおいて自組織の達...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年06月19日
なんでもかんでも分析し管理したくなる。完璧を目指すうちに物足りなくなり、少しでも気になったポイントがあれば、あらゆるデータが欲しくなるし、あらゆる側面から管理したくなる。そうしているうちに、データと管理の沼に足を取られ、本質を見失っていく…
データ分析は繊細な作業なので、没頭してしまうと、いつの間...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年12月31日
成果主義の名の下に成果の測定を求められることが、営利企業はもとより役所や学校・病院など非営利組織でも一般的になっている。しかし、測定するという行為は組織が本来やるべき業務を妨げ、意図せざる副作用をもたらしてしまうことがある。例えば、医師の成績を手術の成功率で測ると、難病の患者は手術してもらえなくなり...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年05月02日
本書で取り上げられている国は、米国や英国などの欧米諸国中心ですが、様々な実績評価が企業だけでなく病院や学校、軍隊など幅広い領域に拡大し、それがある種の機能不全や弊害をもたらしている、という指摘になります。なかでも一番わかりやすい指摘は、実績評価(計測)に費やされる時間とコストがばかにならず、肝心の本...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年09月10日
論文形式で、主張が明確。
数値データを絶対視し、それを用いる事で組織に説明責任を果たす事、更に、そこから能力給や評判、ランキングを得る事を信念とする「測定執着」思想の危うさについて、指摘する。
まず、測定行為自体に限界がある。例えば、簡単に測定できるものしか対象としない。また、数字を良くするため...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年07月28日
測りすぎの背景にある大きな要因は以下の2つのように思います。
・透明性/客観性の問題
・統制性(コントロールの欲望)の問題
透明性/客観性の問題は本書でも論じられていますが(pp.162-167),コントロールの欲望については十分に論じられていません。
そして,実はこの「コントロー...続きを読む