アメリカと言えば経済超大国、アメリカンドリームの成功への切符のイメージがある。
しかし現在には後ろ暗い苛烈な人生が横たわっている。
本書はそのような現象に目を向けた本。
おそらく経済学の学術書として書かれたものだと思うが、帯に書かれているように「ありとあらゆる市民が読み、議論すべきものだ」だと思
...続きを読むう。
これはアメリカで起きていることだが、資本主義を採用している国々でも起きるかもしれない。。
本書で議論される内容は以下だ。
年月を経ると普通、死亡率は低下し平均年齢は上がっていくものだが、大卒未満の白人に関しては死亡率が増えている。
それもアルコール中毒、薬物過剰摂取、自殺という本書で絶望死と呼ばれるものだ。
一体アメリカで今、何が起きているのか?
この質問を皮切りに、統計的にどれだけ大卒未満が悲惨な状況にあるか。
そして、それをもたらす諸要因。
医療業界、薬物、経済、教育をキーワードに何が起きているか解説する。
この本を読んで一番、良かったと思ったのは以下。
この格差社会を是正するには、公的教育を拡充し、高所得者に高税を課し、低所得者に分配するものだと思っていた。
しかしそれだけではうまくいかない。
そもそもこのような悲惨な格差を生み出したのは、不公平な寡占・独占体制そしてそれに伴うサービス提供側・企業の強気な態度がまかり通る事。
そしてその強気な態度は顧客のみでなく、被雇用者である従業員や派遣会社にも及ぶ。
つまり競争を極端に排除した経済システムが極端な格差を生み出す温床となりうる。
そんな事を思った。
ただ、教育の役割と社会的価値についてはまた別途深堀したいと思った。