アンガス・ディートンのレビュー一覧

  • 絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの

    Posted by ブクログ

    良書と聞いていたが期待通り。データも雄弁。しかし暗澹たる内容で、著者は政策も提案しているが、いまのアメリカ政治がそれを実現できるとも思えず、このままアメリカはどこまで壊れていくのだろうと思ってしまう。

    0
    2025年08月04日
  • 絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの

    Posted by ブクログ

    アメリカと言えば経済超大国、アメリカンドリームの成功への切符のイメージがある。

    しかし現在には後ろ暗い苛烈な人生が横たわっている。
    本書はそのような現象に目を向けた本。

    おそらく経済学の学術書として書かれたものだと思うが、帯に書かれているように「ありとあらゆる市民が読み、議論すべきものだ」だと思う。

    これはアメリカで起きていることだが、資本主義を採用している国々でも起きるかもしれない。。

    本書で議論される内容は以下だ。

    年月を経ると普通、死亡率は低下し平均年齢は上がっていくものだが、大卒未満の白人に関しては死亡率が増えている。
    それもアルコール中毒、薬物過剰摂取、自殺という本書で絶望

    0
    2022年01月20日
  • 絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの

    Posted by ブクログ

    世界的に見ても死亡率が低下する中で、中年白人の死亡率が上がっている。
    医療やその他の生活環境が改善されているはずなのに、何が起きているのか。
    トランプ支持の基盤理解もできる。

    アメリカの低学歴労働者を取り巻く問題の原因を検証しながら絞り込んでいく過程もとてもよい。
    日本でも同じことにならないようにと思うが、すでに始まっているはず。
    企業内で最低賃金と最高の役員報酬の倍率制限など(20倍以内とか)法整備で対応してほしい。

    労働分配率がおかしいこと、社会の富を奪っている社会コストは医療費であること(医療サービスが高額料金を設定して、莫大な利益をあげたり、不当な薬で製薬会社が利益をあげていること

    0
    2021年05月02日
  • 絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの

    Posted by ブクログ

    「アメリカがグレイトであった」と感じる特定の層が確実に存在し、それが懐古幻想でも何でもなく統計的に「実際にグレイトであった」ことを証明し、かつ、そうではない層にとっては同じく統計的に「実際にグレイトでなかった」ことを同時に証明し、アメリカの中に異なる2つの別世界が在ることを論じる一冊。本書と「ジョナサン・ハイト / 社会はなぜ左と右にわかれるのか」の二冊でアメリカの分断については概ね個人的に納得できたので、この問題について読むのはしばらくこれで終わりにしようと思う。大変な良書。

    0
    2021年04月07日
  • 絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの

    Posted by ブクログ

    自分の浅はかな理解では、米国では、労働者階級の白人中高年の死亡率が高くなっている統計データを元に、白人の下流階級がいかに悲惨で、彼らが収入だけでなく自己評価も苛まれている状況を映し出す。
    彼らは自殺率が高いだけでなく、薬物依存、アルコール中毒のような緩慢な死亡も多い。
    つまり、自殺に至るまでの絶望感を麻薬やアルコールで紛らわしている状況らしい。
    さらには、肉体労働に関係する人達が多いので、死亡に至らなくても、中高年になると心身的な痛みも感じているらしい。
    トランプへの熱狂を生み出したのは彼らなわけだ。

    今まで疑問に思っていたことは、日本人で米国留学したり、MBAを取得したり、TOEICの高得

    0
    2021年03月19日
  • 大脱出――健康、お金、格差の起原

    Posted by ブクログ

    「銃・病原菌・鉄」という本が面白かったので、この本も似たような本かなと思って読みました。面白かったです。
    「銃・病原菌・鉄」で残った疑問がこの本に書いてあったように思います。私は疑問が解けて少しすっきりしました。

    (疑問というのは、どうして50代の私が子供の頃から発展してないような国があるのかな、ということです。50年もたったら教育とかインフラとかすごく進んでるはずだと思うのに、何だか50年前とそんなに変わってないと思える国が結構あって不思議だなーと思っていたのです。)

    0
    2016年02月21日
  • 絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの

    Posted by ブクログ

    現代アメリカは超格差社会。
    国内の主要産業が製造業からテクノロジー関連にシフトしたために高給が得られる職業に就くためには学歴(学士以上)が必要とされる社会となった。
    ひと昔前までなら低学歴者は自動車関連をはじめとする製造業で働いて十分暮らしていけるだけの賃金を得られた。しかし企業がコスト削減のため人件費が安い海外へ工場を移転したことで賃金の高い単純労働は国内から失われてしまった。
    仕事を失った低学歴者は以前より賃金が安く、以前より劣悪な職場で働かざるを得なくなった。
    将来を悲観した彼らの間で、アルコールや薬物の過剰摂取で命を落としたり、自殺したりする者が増加の一途をたどっている。
    著者たちはそ

    0
    2025年11月08日
  • 絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの

    Posted by ブクログ

    45〜54歳非ヒスパニック白人の1人当たり平均世帯所得は1990年代は上がり続け、2000年代から減少。死亡率は1990年から1999年にかけては減少し、そこから2016年まで上昇。特に、自殺、薬物の過剰摂取、アルコール性肝疾患が高く、これらを「絶望死」と呼ぶ。低学歴労働階級白人の暮らしが長期にわたり、ゆっくりと崩壊していく中で、絶望死が反映していく。

    0
    2025年04月07日
  • 大脱出――健康、お金、格差の起原

    Posted by ブクログ

    移住や留学を支援して、母国に仕送りというのは貧困脱出の良い方法。
    支援が必ずしも良いものとは限らない。

    0
    2024年10月01日
  • 絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの

    Posted by ブクログ

    アメリカが、ここまでひどく格差がうまれて、苦しんでいることがよくわかった。データもたくさんあって、わかりやすかった。

    0
    2021年12月19日
  • 絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの

    Posted by ブクログ

    高卒と学卒の間で格差が広がっている。
    高卒は(特に白人)、学卒にくらべアルコール依存、薬物依存、自殺する割合が多い。この3つを絶望死という。
    対策として、オピオイド、医療、コーポレートガバナンス、税と給付策反トラスト、賃金政策、レントシーキング、教育がある。
    オピオイド、過剰処方へは、代替医療を検討する。
    医療には、ある程度の強制、支払い能力がない人には補助、そのための改革必要。今はお金がある人だけが高度な治療を受けられる。
    コーポレートガバナンス、労働組合の衰退は従業員から力を奪って、経営者や資本所有者に与えた。非競走条項は全国的にも違法にすることはできるだろう。
    税制と給付政策、UBIの政

    0
    2021年06月26日
  • 絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの

    Posted by ブクログ

    本書で書かれている事柄には、アメリカ特有だと感じさせることも多いが、資本主義の構造的な変化は日米に共通するものだ。
    絶望死へ向かう人々が生み出したのがトランプだとすれば、彼は異端ではなく極めて正統な大統領だったのかも知れない。
    金が上へ上へと流れていく、それは資本主義として当然のことなのかも知れないが、それが歪なまでにバランスを欠き始めている。弱者からの構造的な収奪、そんな傾向は日本にもすでに現れているだろう。日本で絶望死が増加しない可能性はない。それは少し違った形なのかも知れないが、絶望で死に至る、そんな人が増えていく。あるいはすでに増加しており誰も気づいていない、そんな気がした。

    0
    2021年05月10日
  • 絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの

    Posted by ブクログ

     "絶望死"、ショッキングなワードである。
     
     一般的には、社会が裕福になると、平均寿命は伸び、死亡率は低下する。ところが、中年の白人アメリカ人の死亡率が増えていることを著者たちは知る。しかも増加率の高い死因は、自殺、薬物の過剰摂取、そしてアルコール性肝疾患の3つであった。これを著者たちは「絶望死」と名付けた。そして、これら絶望死が増えているのは学位を持たない人々の間であることを、統計的に次々と明らかにしていく。
     

     このような変化の原因は、グローバル化に伴う労働環境の変化、特に製造業労働者の低賃金化、コミュニティの破壊等がある。それでは、他の先進国ではそれほど目立っ

    0
    2021年04月27日
  • 大脱出――健康、お金、格差の起原

    Posted by ブクログ

     世界全体では貧困や健康は改善している。生活水準や健康状態はこの100年で劇的に改善してきた。お金については富裕国はますます豊かになり、一方、貧困国は、中国とインド以外は目立った改善が見られず、富裕国との差が広がっている。しかし、富裕国でさえ発展の速度が停滞している。
     富裕国の貧困国に対する支援は、富裕国の思惑により、必ずしも効率的かつ効果的な支援となっていない。
     著者は多くの文献を引き丁寧に説明している。経済学に限らず国際関係学に興味がある人にも読んでもらいたい。

    0
    2019年05月19日
  • 大脱出――健康、お金、格差の起原

    Posted by ブクログ

    近年の貧困研究についての状況が丁寧に書かれている。
    解決策が明確になってるわけでなく、考える切っ掛けとなる本。

    第一部 生と死、死亡率や病気、身長といったモノがどう変わってきたのか
    第二部 お金、所得格差の状況や変化について
    第三部 助け 様々な格差にどう立ち向かうのか

    様々なデータを紹介しつつ著者の考えが述べられている。

    世界がどう変わってきたのかを多くのデータから推考しながら今後どうあるべきかを考えさせられる。
    よくある国際比較や貧しい国といったことだけでなく、死や病気などからの「大脱出」は先進国でも起きているといった話や、貧困にあえぐ人の中には「知識」が広まると解決するであろう事が

    0
    2016年07月26日
  • 大脱出――健康、お金、格差の起原

    Posted by ブクログ

    主に健康の観点から世界の貧困を観察した本で、本書での分析や既にある政策はとても説得的で、新たな重要な観点の提供はとても価値あるものであり、全体を通じて良書であると言える。唯一玉に瑕なのが、貧困から大脱出するための具体的な案がほとんど書かれていないことだ。なので星4つの評価となった。

    0
    2015年09月19日
  • 絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの

    Posted by ブクログ

    アメリカだけでなく、世界中で起きている新自由主義による経済活動の不公正と民主主義の劣化に対して、一部のものに流れる莫大な富は不当に得られたもので多くの人にチャンスはないとする一方で、資本主義そのものはコントロールすれば素晴らしい制度だという。
    いや、と思う。そもそもこの本でも言及しているように、アメリカ国内で言えばアフリカンアメリカンが、アメリカの資本主義が“うまくいっている“裏で不当に低い階層に押し込まれていたのではないか。国内だけじゃない。資本となる物資はいつだって、周辺国から不当に収奪し、そのうえに中心国の繁栄があったのではないか、と思ってしまう。その矛盾とどう向き合うかが問われているの

    0
    2024年12月20日
  • 絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの

    Posted by ブクログ

    飛ばし読みでさっと読んだ。アメリカの格差の話し。学士号のある無して、人生にすげー差が出るってハッキリとしてるのがすごい。日本国内で語られる分断なんて全然格差じゃないと思った。薬物が蔓延してるとかヤバめの話しが多い。

    0
    2023年05月17日
  • 大脱出――健康、お金、格差の起原

    Posted by ブクログ

    ノーベル経済学賞受賞のアンガスディートンによる著作。所得の成長が健康改善の主たる要因ではなく、制度の違いや知識の差が重要。富裕国では障害が減っているし、知能指数は時代とともに上昇している。平均身長も世界の大半の地域で高くなってきた。貧困国にトリクルダウンさせていく上での課題は何か。

    アンガスディートンは、開発援助は害を及ぼしうると主張。開発援助を受けた被援助国の政府は、自国民よりも援助国に対する説明責任を重んじ、政府と市民との間の社会契約関係が弱まり、公的制度の強化や持続可能な発展に必要な改革を行うインセンティブが低下。大体、政府が機能不全であれば資金援助した所で権力に資金を与えて強化する事

    0
    2023年02月10日
  • 絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの

    Posted by ブクログ

    アメリカの中年の非大卒の白人の現状についての概論。非大卒の白人の平均寿命が下がっている要因は"絶望死"だという。結婚やコミュニティ参加など生活の質も低く、アルコール中毒やドラッグ中毒や自殺も顕著。

    日本は全体的に貧しくなり格差は広がっていない状況で、、、たとえ貧しくなってもアメリカより幸せな国なのではないかなと感じてしまう。

    ただ、他国ごとではないよね。。

    0
    2021年12月30日