現代には国際的な援助プロジェクトがさまざまに林立していて、それぞれが支援を求めています。ただ、営利団体と違って、こういった団体・プログラムが自らに課している評価や検証は甘いケースが多いので、その援助が実際に貧困層にどのような影響を与えるのか、投資対効果はどうか、持続可能なものなのか、そういったことを
...続きを読む精査し続ける必要性を強く訴えた1冊。
医療の分野でよく使用されているRCT(ランダム化比較実験)の手法を用いて、支援をしたグループと何もしていないグループを比較することで効果測定します。「こうすれば、きっとこういう効果が得られるから投資しよう」という安易な”善意”ではなく、現実世界できちんと実験して効果測定することの大切さをひしひしと感じました。本書は全体を通して、このRCTのさまざまな事例を紹介してくれています。
寄付というのは投票行動でもあるので、われわれも安易に寄付するのではなく、その団体・プログラムがどういうものであるか理解したうえで寄付するという責任があるのだなとも感じました。
開発経済学という今世界で非常に脚光を浴びている学問分野を、とてもわかりやすく、読みやすくまとめてくれている。語り口もとても軽妙で痛快。こういう入門書が他の分野にもあればよいのに、と思うくらいの良書でした。