検索結果
-
3.0「赤い死」が蔓延するなか、千人の友達と僧院に避難したプロスペロ公は壮麗な仮装舞踏会を催した。そこへ現れたひとりの仮装した人物が、人々の間に狼狽と恐怖と嫌悪を呼び起こす――死に至る疫病に怯えおののく人々を描いた表題作のほか、処女作「メッツェンガアシュタイン」など短篇小説十篇と、蔵書の行間に書き込んだ思考の断片「覚書(マルジナリア)」を収録。 巻末に解説「ポォの作品について」を所収。 吉田健一の名訳が愛好した作品が名訳で甦る。
-
-
-
-「薄曇りの夜空のひろがるその下で、はるかかなたイオニア海の水平線に、金属が溶けあうように曙光がさしはじめた。よしと、一杯の紅茶とトーストのかけらを飲みこんだ」。1921年1月、作家は妻“女王蜂”を伴い、居住していたシチリアからサルデーニャに向けて旅立つ。近代化のさなかにあっていまだ野性味を残す島の自然と人々。市場の野菜。山々を行く汽車とバス。だがこの島にも第一次世界大戦後の世情が影を落とし……。作家は確かな直感と観察によって、旅の跡を活き活きと書き綴る。本文庫では原書初版で削除された箇所を復元。ロレンス文学の頂点と評される傑作旅行記を名訳で。
-
4.0なにも絵画や彫刻、音楽だけが文化なのではない。あたりまえの日常にいちばん近い部分を発達させること。それこそが文化なのだ。吉田健一は、エリザベス朝にはすでに水洗トイレがあったことを指摘し、そこに実用性を重んじるイギリス文化の本質を見る。イギリスで他の芸術に比して文学が発達したのも、文化的であろうとしたからではなく、日常の言葉へのこだわりが、自然と、詩や小説というものになっていったからなのだ──。胡瓜のサンドイッチやハムの味、酒の飲み方など、身近な話題を入口に、いつの間にか本質的な部分へと読者をいざなう、名人芸的文化論。
-
4.0
-
3.8
-
3.0
-
4.0※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 “今から思ふと、食べもののことや酒を飲む話を書き始めたのは、かういふものを書いてゐれば誰からも尊敬されたりする心配はないし(中略)誰にも気兼ねしないで本音が吐けると考えてのことだつたやうである” ニューヨークで毎日のように通った酒場、麦の匂いがする英国のトースト、広島の牡蠣、横浜の点心、近畿の松茸……。文士・吉田健一が旨いものへのこだわりと本音を包み隠さず語った幸福な食エッセイ集が、新装版になって帰ってきた!
-
-『電脳コイル』磯光雄監督の新作を小説化。 『電脳コイル」』から15年。 当時誰もが想像しえなかった「ARがある暮らし」を予見した、監督・磯光雄。 彼が次に見通すビジョンはーー「AIがある宇宙での暮らし」だった。 舞台は、インターネットも、コンビニもある「2045年の宇宙」。 日本の商業ステーション「あんしん」で、少年少女たちは大きな災害に見舞われる。 大人とはぐれ、ネットや酸素供給が途絶した「あんしん」から、自力での脱出を目指す子供たち。ときに仲間の、ときにAIの力を借り、生きるための行動を採る彼らは、史上最高知能AIが語った恐るべき予言の「真意」にたどり着く。 絶体絶命の状況下で、子どもたちは何に触れ、何に悩み、何を選択するのかーー。 『電脳コイル』の磯光雄監督、15年ぶりのオリジナルアニメ『地球外少年少女』を、『魔女と猟犬』のカミツキレイニーが、前後編構成で完全ノベライズ! (底本 2022年2月発行作品) ※「ガ報」付き! ※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
-
-大きなコンテナが失敗の原因!? 園芸の世界では大は小を兼ねません! 野菜栽培の基本から、実践に役立つさまざまな知識を、イラストを用いてわかりやすく紹介します。 【目次抜粋】 PART1 ベランダ・玄関では、小さな鉢ほど収穫&栽培を楽しめる ●園芸は飼育と同じ。環境を整えてから苗を購入する ●ストックに小さめに育て、ひょろひょろ「徒長」を避ける ●野菜の種類に合わせて選ぶ。ひと鉢にひと株が鉄則 ●ビギナーは成長スピードの速い野菜を育てるのがおすすめ ほか PART2 赤玉土と腐葉土があれば、野菜が健康に育つ環境がつくれる ●赤玉土はオールマイティ。団粒構造で根が元気になる ●腐葉土で通気・排水性がアップ。ふかふかの土に変えてくれる ●コンテナの用土に有機質肥料は扱いづらい ほか
-
3.0スコットランド中部に領地を持つ男爵・クリフォド・チャタレイの元に嫁いで来たコニイ。だがヨーロッパが戦火に包まれ、たった1ヶ月の蜜月でクリフォドは戦場へ。半身不随の姿になって帰ってきた。それでも貴族の誇りにこだわるクリフォドは、小説や事業に没頭し、妻の労わりさえ寄せ付けない。チャタレイ家の跡継ぎを生むため、貴族階級の恋人を作れとまで言った。身の置き所をなくしたコニイは、屈強な肉体を持つ森番のメラーズに、いつしか惹かれていく…。美し過ぎるポルノ、ヨーロッパ階級社会を鋭く抉った古典的名作をどうぞ。「第一章 コンスタンス・チャタレイ夫人」「第二章 生還」「第三章 孤独の日々」「第四章 看護人ボルトン夫人」「第五章 チャタレイ夫人の恋人」「第六章 希望」「第七章 階級」「第八章 醜聞(スキャンダル)」「終章 再会」を収録。
-
4.2スコットランド中部に領地を持つクリフォド・チャタレイ男爵の元に嫁いで来た上流階級の令嬢コニイ。だが第一次世界大戦によりヨーロッパは戦火に包まれ、たった1カ月の蜜月でクリフォドは戦場へ。戦地で重傷を負ったものの生還したクリフォドだが、その体は半身不随となり男性機能も失われていた…。妻として夫を介護し支えようとしながらも、肉体関係のない夫婦生活にしだいに心から生命力が失われていくのを感じていたコニイ。そんなある日、コニイは森で屈強な肉体を持つ森番のメラーズと出会い、生命力あふれる彼にいつしか惹かれていく…。ヨーロッパの階級社会を鋭く抉り、また発表当時はその過激な性描写で論争となり現在まで何度も映画・ドラマ化された古典的名作小説をコミカライズ。
-
-1巻2,772円 (税込)花やかな文豪達による<新>ハムレット競演。 収録作品は以下の通り。 巻頭8ページ口絵(4色)「ハムレット」をテーマにした銅版画=描き下ろし 巻頭詩 谷川俊太郎「初夏のハムレット」=書き下ろし * 太宰治「新ハムレット」(長篇小説) 芥川比呂志「ハムレット役者」(「タイツ」「三度目の正直」「太宰治とともに」エッセイ三篇) 志賀直哉「クローディアスの日記」(短篇小説) 小林秀雄「おふえりや遺文」(短篇小説) * ランボオ(小林秀雄訳)「オフェリヤ」*詩 (ランボオの同じ詩を二人の訳者で収録) ランボオ(中原中也訳)「オフェリア」*詩 * 大岡昇平「オフィーリアの埋葬」(短篇小説) ラフォルグ(吉田健一訳)「ハムレット――或る親孝行の話」(中篇小説) 福田恆存「ホレイショー日記」(中篇小説) * 小栗虫太郎「オフェリヤ殺し」(最後に異色ミステリ二作=中篇小説) 久生十蘭「ハムレット」 ※この作品はカラーが含まれます。
-
-
-
-主人公のポール、その二人の恋人たち、ポールの母親とのあいだに繰り広げられる愛憎の葛藤を描きつくしたロレンスの代表作のひとつ。母親は希望の星だった長男ウィリアムを亡くし、すべての期待と愛情をポールにそそぐ。ポールにとって母親は絶対だった。ポールの幼馴染の恋人ミリアムは読書が好きで宗教心もあついが、性については消極的だ。一方、もう一人の恋人クララは人妻で肉体的な魅力にあふれ、婦人権運動家でもあった。母親はミリアムに対して敵意さえいだき、クララに対してはむしろ寛容なところをみせる。ポールはミリアムを退けるが、母親が亡くなって絶望的な喪失感をいだく。クララはポールといさかいを起こし別居していた夫のもとに戻る。ポールはミリアムの求婚も振り切って、一人で生きていこうとする。
-
4.0ロレンス畢生の論考にして20世紀の名著。「黙示録」は抑圧が生んだ、歪んだ自尊と復讐の書といわれる。自らを不当に迫害されていると考える弱者の、歪曲された優越意思と劣等感とを示すこの書は、西欧世界で長く人々の支配慾と権力慾を支えてきた。人には純粋な愛を求める個人的側面のほかに、つねに支配し支配される慾望を秘めた集団的側面があり、黙示録は、愛を説く新約聖書に密かに忍びこんでそれにこたえた、と著者は言う。この隠喩に満ちた晦渋な書を読み解き、現代人が他者を愛することの困難とその克服を切実に問う。巻頭に福田恆存「ロレンスの黙示録について」を収録。
-
4.0「ある本が読めるか、読めないかを決めるのに一番確かな方法は、その本が繰り返して読めるかどうか験(ため)して見ることである」──本を読み、文学に親しむ喜びを様々な視点から語りつくす長篇評論「文学の楽しみ」、ヨーロッパという文明が十八世紀に完成し、人間の自由を重んじるその精神が再生したのが十九世紀末だとする記念碑的著作「ヨオロッパの世紀末」の他、酒を愛する男が灘の技師と出会って体験する不思議な一夜を描く小説「酒宴」、若くして別れた母への思いを綴った「母について」、市井の旨(うま)い店と料理をめぐるエッセー「食い倒れの都、大阪」など傑作19篇を厳選。 解説=池澤夏樹 解題=島内裕子 月報=松浦寿輝・柴崎友香
-
-「本書はロレンスの最も美しい散文であり、またロレンスの思想を知るためにも最も重要な中身を含んでいる。《山越えの十字架像》はロレンスがいかにキリスト教的な神秘主義者であったかをよく啓示しているし、《紡ぐ女と修道僧》にはロマン主義的な絶対の世界の認識がよく出ている。また《レモン園》では特にその思想が強調されている」(西脇順三郎)。本書の中身はすべて、ロレンスが1921年の9月から翌年の4月まで恋人のフリーダ夫人とガルダ湖畔に滞在した時代に書かれた。ロレンスは『イタリアの薄明』『海とサルデーニャ』『メキシコの朝』『エトルリア遺跡』の4つの紀行を残した。これらをすべて最初に全訳したのが鈴木新一郎氏で、今回の電子書籍版はその復刊となる。