検索結果
検索のヒント
検索のヒント
■キーワードの変更・再検索
記号を含むキーワードや略称は適切に検索できない場合があります。 略称は正式名称の一部など、異なるキーワードで再検索してみてください。
■ひらがな検索がおすすめ!
ひらがなで入力するとより検索結果に表示されやすくなります。
おすすめ例
まどうし
つまずきやすい例
魔導士
「魔導師」や「魔道士」など、異なる漢字で検索すると結果に表示されない場合があります。
■並び順の変更
人気順や新着順で並び替えると、お探しの作品がより前に表示される場合があります。
■絞り込み検索もおすすめ!
発売状況の「新刊(1ヶ月以内)」にチェックを入れて検索してみてください。
-
-ある小説の助走のような小説は、そのままひとつの完璧な小説になった 作家自身が「あとがき」に書いたようなひとつの明確なイメージ、明確だが小説としては何年も結実しなかったイメージの定着がここにはある。 この小説では登場人物の誰もが物語を作ろうとしている。 作ろうとしながら、自分自身にも物語を持っているのは女性たちだ。 1人の男性作家によって彼女たち自身のティーンエイジャーの頃の生きた時間が呼び出され、語られ、しかしその語りの一部にはフィクションも含まれている、という微妙なあり方。 誰もが現実を超えた手の届かない存在に向けて大人になった今の時間を生きる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-やってきては去っていく汽車に 手を振ることで輝く一生がある。 サザン・パシフィック鉄道の定期貨物列車で働く男たちは タフで、ユーモアを解し、人に温かく そしてみな、クッキーが大好物だ。 貴重な荷物を運んでくる彼らには、小さな小屋に住む2人の女性から とっておきのクッキーと熱いコーヒーがふるまわれるはずだ。 彼らもまた、彼女たちとは仕事の域を超えた付き合いがある。 去り行く汽車に手を振る、そのシンプルで嘘のないふるまいが 人の一生の長さをそのまま祝福し、手を振る側も振られる側も 等しく幸福の中にある。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-同意なき記念写真 偶然地下鉄に乗り合わせた男女が 久しぶりだからちょっと飲もう、ということになる。 よくある場面だ。そして6軒もハシゴして 女のほうが酔いつぶれそうになっている。 男は女を支えながら部屋まで送っていく。女は寝てしまう。 そこで男はその日、景品で当たったインスタント・カメラを たまたま今、自分が持っていることに思い至る。 酔いつぶれた女が目の前に横たわり、 そこにカメラがある時、男はどうするのか。 片岡義男はそれをどう書いているのか。 さあ、今からそれを読んでみよう。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
-堂々めぐりの言葉の果てに なぜふと、唐突な言葉が出てしまうのか。 浮気。この、凡庸にして普遍的な、 みじめな、疲労感のつのる、男女間の出来事。 言葉は常に行為よりも遅れているから、 言い訳も、釈明も、解決の提示も、嘆願も、 互いの言い分も、堂々めぐりを繰り返す運命にある。 そのような倦んだ言葉のつらなりの中で、 男はふと、あらぬ言葉を口にしてしまう。 何一つ決定的な事柄にはつながらない平凡な、 しかし不思議な言葉を、ふとつぶやいてしまう。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。79年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-17歳の個人教授 17歳。人生で最もまぶしい年齢だ。 高校を卒業する少し手前の時間。そこには 後の人生にはない、その時だけの体験がふさわしい。 17歳の女性であれば、自らの欲求を満たしてくれる相手の男を 見つけ出す時に、好ましい対象であることはもちろんとして それが恋愛であるかどうか、には必ずしも頓着しない、 ということがあるかもしれない。 そして男のほうには、同級生ならざる年齢の女性・・・ そうだ、つまりこういう場合、年上の女性の存在がつきものなのだ。 17歳男子は、こうして1つ、人生のレッスンをこなしていく。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
-彼であり、彼女である存在が至近距離で学んだこと 男でありながら、美しい女性としての外見を備えている。しかし声は、あきらかに男性のそれだ。というような一人の存在が、恋人である男性を深く愛している。ところが突然、その恋人を奪われる日が訪れる。それは二人のいさかいではなく、時間の経過とともに、人の一生にはこのようなこともありうる、という事態での別れだった。「彼」を失った後の日々、その母親とのやり取りなど遺された人間としてのふるまいの、その美しさ。悲しさ。片岡義男らしい、同情を排しながらも深く優しい傑作短篇である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
-今はもう10年前ではない この短篇小説を読み終え、あらためてタイトルを見ると、いかにも的確で、同時に残酷に思えてくる。 10年前の輝きを、その当時の風景を目の当たりにしていくらでも語ることができるのは、現在にその輝きが失われているからだ。 かつて選んだ男が去り、選ばなかった男が新たにやってきた、という単純な話ではない。 あの輝きはもはや、確実に消えてしまったのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-典型的に愚かな男はうつくしさを知っている 自分とはスピードが合わない。 自分はいつも遅れてしまう。 その「遅れ」の自覚から取った行動がとりかえしのつかない結末につながる。 それは2人の女性を不快にする結果にもなったが事態をハッキリと前に進めることにも寄与した。 今、男が持っているのはその「遅れ」と愚かさだ。 そのせいで彼は女性を失ったが、そのせいで彼は彼女と彼女のうつくしさを知った。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-やることは、ただひたすら金を使うことだけ。 どこにも寄りかからない真性の無頼な時間がここにある。 給料日のサラリーマン。懐には20万弱の金がある。 会社帰り、男は地下鉄丸ノ内線で新宿に出る。 ゲーム・センターで金を使い、パチンコで使い、 飲み屋を何軒もハシゴし、誘われるままに風俗店に行き、 一晩で彼はすべての給料を使ってしまう。 憂さを晴らしているわけでもないようだ。自暴自棄でもない。 金があり余っているわけでもない。病的でもないらしい。 男は金を払う。なぜなら金を持っているから。 新宿とはそういう街だから。 感情にも意味にも事件にも寄せず、新宿を描ききった稀有のハードボイルド小説。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-偶然か、必然か。たぶん偶然である。人生にはこのようなことが重なることもある オートバイ雑誌の編集をしている1人の男性。 彼が自分の城である部屋で模様替えなどをしているところに 短時間のうちに3人の女性から誘いの電話がかかってくる。 そのすべての約束に応じ、それぞれの女性とそれぞれの場所で酒を飲んだが 女性たちはいずれもしたたかに酔っ払ってしまう。 これはいったいどういうことか。 そして4人目の女性が彼の部屋に現れる。 この4人目は前の3人とは少し違うようだ。 そしてラスト、彼女が言ったその一言。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
-主人公は、自分の時間を明確に線引きしているが、夫婦でお気に入りのバーに行くのも楽しめるのです。 自分の時間とは、どの時間を指すのでしょう。「今日も海老フライの人」の主人公は、自分の時間がどこからどこまでかを明確に線引きしています。彼によると家と会社には自分の時間はありません。でも、休日に夫婦で過ごす時間も大事にしています。それぞれに家を持つのが理想と言いつつ、夫婦でお気に入りのバーに行くのも、また楽しめるのです。そんな彼のスタイルを否定することなく受け流す奥さんの絶妙な態度は、自分の時間だという会社帰りの夕食で、いつも海老フライを食べているという彼の真実を知っているからこそなのでしょう。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『珈琲が呼ぶ』(光文社)、『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)などがある。
-
-その瞬間はまだやってこない サーフィンを描いた有名な映画に『ビッグ・ウェンズデイ』がある。 この場合の「ビッグ」とは言うまでもなく波のことだ。 この短篇では、待望すべきその「巨大さ」は、 どうやら月曜日にやってきそうだ。確かに台風はやってきた。 しかし、8フィートの波はどうか。 今、海に出て行くのは危険すぎはしないか。 待ち受ける2人の若者の期待と不安、不穏な海・・・ 待つこと、まだ来ないこと、しかしすぐそこにありそうなこと、 それらのざわめきを描いたスリリングな一篇。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-翌年の夏に彼女がしたこと 20歳の夏。自由になる時間は豊富にある。 そして、オートバイがある。 灼熱の日本列島を、自分のペースで走り抜ける。 寄り道は自在だが、目的も、たくらみも、ちゃんとある。 若さゆえの思いつき。約束のない出来事。 そしてそれは忘れられない夏になった。 ところが、物語はそれだけで終わらない。 季節が一巡し、夏がまた巡ってくるように、 今度は彼が、彼女に驚かされる番なのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-引き延ばされる恐怖の時間 『ロンサム・カウボーイ』には、アメリカを移動する様々な人々が描かれているが、中でも巡業は典型的に北米大陸的な行為であり、この小説の主人公であるマイク・シュミッドもまた然り。彼が人々に見せるのは、通常では考えられないような空間をモーターサイクルでジャンプすること。死と隣り合わせの稼業であり、何度も骨折し、入院している。それでも彼は飛ぶ。飛ぶことが自分自身であるから。読者はディズニー・ランドの噴水の上の壮大なジャンプ、引き延ばされた圧倒的なスローモーションに付き合わされることになる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。https://kataokayoshio.com/
-
-【短編小説の航路】これまで片岡義男が書いてきた、東京の私鉄沿線を舞台にした東京の記憶についての物語の集大成のよう 起点・終点の駅から3つ西に行った街に住む27歳のフリーライター、上杉邦彦は、そのまま降りればまっすぐ目的の出口に出られるのにも関わらず、踏切を渡るために跨線橋を渡り、反対側に出て踏切が開くのを待ちます。そこで旧知の女性ライター、関根亜紀子に声を掛けられることから物語が動き出します。踏切のある街をモチーフにした短編集で30歳までに作家デビューを考えている上杉は、亜紀子が今年いっぱいで街を離れるという話を聞きます。その後も出会う女性たちから、環境を変えるという話を聞く上杉。これは街の変化についての物語です。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『コミックス作家 川村リリカ』(中央公論新社)、『彼らを書く』(光文社)などがある。
-
-27歳の雑誌ライターの青年の、天気予報では言わなかった不意の雨が結んだ二つの出会いを、季節の移り変わりとともに描いた短編小説。 27歳の雑誌ライターの青年の、天気予報では言わなかった不意の雨が結んだ二つの出会いを、季節の移り変わりとともに描いた短編小説。雨のベンチの前に立つ男に誘われて、漫画の原作を書くことになるライターの青年は、その出会いをきっかけに二人の女性と出会い、一年前の夏の出来事を思い出す。いつも二人前の餃子を食べる馴染の店。そこには、もう一つの雨の中の出会いがあり、心に掛かる小さな謎があった。 雨が降る街の中で、人は繋がったり、離れたり、意外な行動を取ったり、仕事になったり、この短い物語の中だけでも、様々に交錯する。雨が記憶を呼び覚まし、雨が出会いを演出するけれど、それもまた人生の断片の一つでしかない。読み終わると、一口餃子が食べたくなる、雨が降っていれば、尚更。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『珈琲が呼ぶ』(光文社)、『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)などがある。
-
3.7
-
-二人の女性の持つ膨大な情報量がそのまま物語になる 銀座のガス燈通りにあるグリルで待ち合わせた二人の女性は、「鴛鴦(おしどり)道中」や「裏町人生」といった、演歌以前の昭和歌謡をレパートリーとするデュエット。これからホステスの仕事に出る美江子も、同級生の美容師にヘアメイクを施してもらった由加里も、2019年現在の流行の濃過ぎないメイク姿です。彼女たちは食事をしながら、「祇園小唄」「銀座化粧」などをレパートリーにしようかと打ち合わせをして別れます。同居している彼女らは、夜に四谷三丁目の集合住宅で、会話を再開。彼女たちの持つ膨大な情報量がそのまま物語になる構成を楽しんでください。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)、『窓の外を見てください』(講談社)などがある。
-
-貼らない写真と送らない手紙 2人には、大切な機器がある。 少女は、カメラだ。日々、関心のおもむくままにスナップを撮り、日記帳に貼り付けていく。 少年は、オートバイ。親も知らないうちに入手して、それに乗って旅に出ようとしている。 少年が少女にオートバイを見せたのは、旅立ちの日=別れの日、だった。 その写真は、まだ貼られていない。まだ彼には送られていない。 宙ぶらりんな時間の中に、2人の未来はある。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-京都で再開した兄妹。会話をしながら不思議な物語を書くことを思いつく。 一年以上も小説を書かないでいた男と、多忙で有能な妹。二人は京都で再会し、食事をしながら語り合います。御所南での買い物、四条で食べる葛切りなど、兄妹の会話ははずんでいきます。そのなかで男は、現実と虚構の混じった不思議な物語を書くことを思いつきます。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『珈琲が呼ぶ』(光文社)、『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)などがある。
-
-彼女の2枚の写真について 1人の女性がいる。 親しい男性の写真家に、自分を写したスナップ写真を撮ってほしい、と依頼する。 快諾した彼との待ち合わせの場所は京都。そこが撮影場所だ。 プロフェッショナルによる自分のポートレートを手に入れた彼女には 実はもう1つ、小さなたくらみがあった。 もう1枚の写真を手に入れ、撮ってもらったばかりの写真と一緒に 2枚並べて写真立てに収めてみること。 そのもう1枚の写真とは、どんな写真か? そしてその2枚から、何が見えるのか? 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
-更新すること、所有できないということ 33歳。それなりの過去があり、それ以上に未来のある年齢だ。一人の女性が久々に日本に帰国することになり、かつて親しかった男女6人が再会しようとしている。帰国する女性は6人のうちの一人の男性と結婚をしたいという気持ちをかつて持ったことがあり、今もそうかもしれない、ということをみんなは知っている。しかし彼らはいまや、かつてのような男が3、女が3という対称にはならない。時間の経過と共に、性をも越境した更新が行なわれ、それは常に新鮮である。誰も、誰かを所有したりすることはできない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
-【短編小説の航路】喋ることが中心なら、食べ物はフライドポテトだけで十分。 ライターの西野晴彦は、ビーンという空豆を模したようなカウンターのある、バーのような、しかしそうではない店のオーナーで出版社も持っている米沢光太郎から、小説を書かないかと誘われています。ビーンで彼に付いた吉川久美子もまた、米沢から誘われて、この店で働き、この後は米沢の出版社に勤めることになると言います。西野が久美子に渡す黒いニットのタイに合わせるシャツの色、フライドポテトに付けるソースの色、コーヒーの色、スパムと目玉焼きの色、西野が目にする色彩が、BLTサンドのイメージとなってひとつの物語が生まれます。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『コミックス作家 川村リリカ』(中央公論新社)、『彼らを書く』(光文社)などがある。
-
-彼女たちは偶然、トウキョウで会い、 またそれぞれの人生に分かれた。 東京・銀座四丁目交差点付近。 休日のこのあたりは、歩行者天国だ。 雑多な人々が行きかう路上に この時ばかり出された簡易テーブルがあり、 ハンバーガーを手にした2人の女性がたまたま相席になった。 2人はかつて、それぞれの仕方で自然の脅威を目の当たりにし、 古い自分を脱ぎ捨ててきた存在だ。 それが偶然、自然から最も遠く離れたように見える日曜日の銀座で、 周囲に溶け込まず、しかし浮き上がりもせず ごく控えめに、微笑と共に出会ううつくしい物語。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。84年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
3.3
-
-きみはグッド・デザイン 好きだし、一緒にいたいが、ずっとは困る。なぜか。「良すぎるからだ」というのが彼の答えだ。彼女は良すぎるから、彼女といることだけで人生の全部になってしまう。他人が聞いたら鼻白むもいいところだが、これは小説であり、二人しか出てこない。「良い」とはすなわち、彼女がグッド・デザインだということでありこれ以上、彼にとって明白な事実は他にない。一組の男女が、互いになぜ好きなのか? を突き詰め、半ば議論のような会話を交わす。片岡義男以外の作家にはなかなか書けない短篇である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
-愛になろうがなるまいが、継続を選べ シンプルだが厄介な短篇。男女がいて、付き合いは5年ほどになり、いつも女が男の部屋を訪ねる。ところがある時、女は別の男と結婚すると言い出す。それはしかし、あてつけでも心変わりでもない。そして、二人の関係はこの度の結婚よりも長い継続なのだから今後も続ける、などと女は言う。しかし世間はそれでは許さない。新しい男=旦那も許さない。しかし、「許さない」からそれが何だというのか、というのがこの小説である。無茶と言われようと、継続はかくも図太いものなのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
-あなた専用の女優になること 誰かと付き合いたい、ということと少し違い、誰かの女になりたい、という願望を持った女性がいる。彼女はその願いをあっさりと実現させた。一人の男性の女として。その男性とは、男性が撮る写真を介して出会い、その出会いの瞬間から「この女性は女優だ」と彼は確信する。今では二人はピンク映画の監督と女優だ。二人はプライヴェートで愛し合いながらも、その最中に姉と弟の設定で会話をしたり、カメラの角度やシーンのことを話し合ったりする。彼が監督であれば、彼の女は専属女優なのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
-居酒屋のメニューは、どこも同じようで、でも、そのメニューの中で差が生まれます。うまい居酒屋とそうでもない居酒屋は、そんな風にできあがります。 居酒屋のメニューは、どこも同じようで、でも、そのメニューの中で差が生まれます。うまい居酒屋とそうでもない居酒屋は、そんな風にできあがります。そして、うまい居酒屋には、自ずと人が集まります。お互いに失業し離婚した親友といっても良い二人の男性が飲んでいる時に、その片割れの旧知の女性たちがやってくるのも、うまい居酒屋としての必然でしょう。そのようにして、風景が変わっていく居酒屋の中で、このお話の主役ともなるフライドポテトが登場します。その鮮烈なイメージは、それまでの様々な話題を全て吹き飛ばして、最後に物語が残ります。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『珈琲が呼ぶ』(光文社)、『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)などがある。
-
-祝福の日には、 出席者全員に祝砲を。 高原のスロープに立っている優美なヴァケーション・ハウス。 夫妻の結婚記念日を祝うため、7人が集まっている。 残る1人も、まもなくやってくるだろう。 ハウスについての、そしてふるまわれる料理についての詳細な説明が書き込まれ、また、ラッキー・ストライクの歴史をめぐる いささかスノッブな会話が取り交わされる。 空虚にも思えるきらびやかさが、何か別の物事が着々と進行していることを感じさせる。 そしてほら、8人目がいま、到着した。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。77年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-2人であることは、4人である、ということ 月。ピクニック。焚き火。膝。蜜柑。涙。風鈴。紅茶。霧。窓。 この中篇小説は2部構成になっていて、第1部はもっぱら 2人が過ごした様々なシーンのスケッチにあてられている。 1つひとつはとても短い章(シーン)がミルフィーユのように層をなして 結婚前の2人を表現している。 そして第2部は2人の現在だ。そこには、過去の思い出の反芻とともに 2人であることとは何か、結婚とはどういうことか? という問いが日々更新され、 結果としての結婚ではなく、常に生成されていくものとしての結婚が描かれている。 【目次】 第一部 過去の出来事 第二部 現在のふたり 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
-ヒントに近づくのか、遠ざかるのか 結婚をめぐる座談会が複数行なわれ、それらを収録した書籍が作られようとしている。担当者は独身の女性だ。この小説は二部構成になっていて、一部は全員が独身男性の座談会。二部は全員が男性作家の座談会だ。女性との付き合い、友人知人のエピソードなどを持ち出し、結婚、というものについて彼らは縦横に議論を交わす。一部も二部もたいへん饒舌である。この饒舌は虚無か? 必ずしもそうとは言えないが語るのが全員が男性であり、構成者だけが女性というところにもしかすると作家のシニシズムがあるのかもしれない。 【目次】 第一部 第二部 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
-涙より煙がいい ひどい男、と言ってさしつかえないだろう。 仕事が忙しいことを理由に、約束を反故にし続ける男である。 しかし女に対する同情も微妙だ。 待つ女になりすぎている。惚れた弱み? それでも、女と男は一晩だけ、会うことができた。 倉敷から金沢、金沢から新潟。なんとムダに(?)西から東へ。 大人だから、酒も飲めば煙草もある。 煙草の煙が、目に入る。 もし涙が出たとしても、それは純粋に煙のせいなのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-アメリカの小さな町で生きるとはどのようなことか? 広大なアメリカ大陸。そこで生きるなら、例えば移動には大型バスが不可欠だろう。カントリー・バンドのメンバーたちは、特別にしつらえられたバスと共に暮らしながら、数々のショーをタフにこなしていく。そしてアメリカ大陸の広大さと反比例するように、いや、大陸があまりに広大であるがゆえに、アメリカには無数の小さな町がある。そんな小さな町で生まれ育った男がバンドのリーダーだ。移動中にインディアンと遭遇することだってある。アメリカ的な、あまりにアメリカ的な生の輪郭がここにある。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。https://kataokayoshio.com/
-
-高原の静かなティー・タイムは、 にぎやかな劇を挟んで、再び画面にあらわれる。 小説においては、このような物語も可能なのか? そうだ、むろん、十分に可能だ、とでもいうような一編。 最初と最後に、1つの視点がある。 その視点はフィクスで、テレビ画面を観ている。 紅茶のCMが表れる。秋の高原のティー・タイムだ。 CMが終わったら、番組が始まるだろう。 こちらはうってかわってにぎやかだ。うるさいほど。 番組の背後にあるアクションの積み重ねも、せわしない。 やがて、人によっては「惨劇」と呼びたくなる場面を映したあと テレビは再び、高原のティー・タイムに戻る。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-誰にも冒しがたい、彼女たちの肖像 女も男も、片岡義男の小説の登場人物には 他の作家に例を見ない魅力が備わっているけれども、 「では、男女のどちらがより魅力的か?」という 酔狂かつ、いささか不毛な問いを立てるとすれば やはりどうしたって「女性」と答えることに躊躇はない。 誕生日が同じ週に集中している同年齢のそれぞれに 魅力的な女性たち。口説かれることを楽しむ女性たち。 過去と向き合い、それが現在の自分に及ぼした影響を 冷静に分析する女性。ミステリーのヒントを探し求める女性。 それぞれの女性のあざやかな輪郭が浮かび上がる短篇集。 【目次】 猫を着る 花なら赤く 香水と誕生日 平行線 お腹が痛い 脱いだ服 あの星とこの涙 深夜の防波堤 日曜日の買い物 ある日の夕食 濡れた髪 ミステリーを書く人 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
-彼女が紅茶で男が砂糖。底に沈んでかきまわされよう 再会。これもまた片岡作品の主題の一つである。 同じ人間が、時間と場所と立場を変えると、同じ人間ではなくなる部分と、それでもやはり同じ人間であり続ける部分の絶妙のブレンドとなりストーリーは進展していく。 再会することが自由ならば、再会に至るまでの時間に、空想を膨らませることも自由だ。 再び会った瞬間、1つに溶け合うことさえも。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-真夜中の紅茶の、憐れな運命 いったい何事だろう、この短篇小説は。 クーペが2台。白と黒。真夜中の道路を疾走する。 どうやらそこには、怒りの感情が渦巻いているようだ。 怒りにまかせて前を行くクーペを追い立てているのは どうやら若い女らしい。言葉はいっさいなし。 もしかすると、スピルバーグの処女作『激突』に、ちょっと似ているかもしれない。 言葉の変わりに、スーパー・マーケットで買い求められたモノたちが 奔流のように酷使される。 優雅な紅茶も、そんな災難の渦中から免れることはできない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
-どんなふうに幸せか、わからないことは謎である 極めて端正な、見たところ破綻もないような女性が無味乾燥な、装飾の無いホテルの一室に落ち着いたかと思うとやおら電話をかけ、あるサーヴィスを依頼する。一人の女性が部屋まで派遣されてくる。迎えたほうも、やってきたほうも、相手の魅力を素直に認め二人だけのひとときを過ごす。それは世間的に見ればやや通常から逸脱した行為かもしれないが、そんなことはどうでもいい。大切なのは、二人が幸福であること。そして、それがどんな種類の幸福かわからず、謎のままであることだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
-彼女はそこにいる、いない、いる…… 静かで、淡々と進んでいくが、いささか狂いが見えるような小説。雑誌の仕事で広島を訪れた作家がきまぐれに街を散策し、古びた映画館を見つけ、入ってみる。ある意味では荒廃した、そして別の意味では非常に貴重な昔日の映画館で、まずはそのことに心を奪われるが徐々に、そこで観た映画へ、そして映画に出ていた女優へと関心が移っていく。やがて、その映画は作家としての決定的な方向転換を促し、そこから突き詰めた方向に向かって動いていく。まさに「限界」まで向かう奇妙な作品である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
3.9隠し味のルーツをめぐる「食」の家族小説。 留季子の実家は、江戸時代から続く老舗の料理学校「品川料理学園」。いずれは継ぐものという周囲からの圧迫に耐えられず、大学卒業後はSEとして企業に就職した。しかし、食べることも料理をすることももともと大好きな留希子。SNSでレシピを発信しているうちに、料理研究家としての仕事も舞い込むようになる。アプリ開発会社と組み、大型連休に向けた簡単でおいしい献立レシピの企画を立ち上げるが、留季子の思いと、忙しい女性たちの現状はいつの間にか乖離し、アプリ制作は難航した。一方、昭和二年の品川料理教習所の台所では、女中奉公に来て半年のしずえが西洋野菜の白芹(セロリー)と格闘していた。どのように調理すれば美味しく食べてもらえるのか。しずえは、蕗と同じように小さく切って、少量の油で炒め、醤油と味醂、砂糖で炒りつけた。留希子としずえ、二人をつなぐ一皿の料理の隠し味をめぐる「食」の家族小説。巻末に、著者の原田ひ香さんと料理家・飛田和緒さんの対談を特別収録。 ※この作品は単行本版『口福のレシピ』として配信されていた作品の文庫本版です。
-
4.22007年7月、TOKYO FMでスタートした未来に残したい文学遺産を紹介するラジオ番組『Panasonic Melodious Library』。パーソナリティをつとめるのは、『博士の愛した数式』『猫を抱いて象と泳ぐ』など独特の美しい物語世界をつくりだしてきた、作家の小川洋子さん。小川さんは「この番組は文学的な喜びの共有の場になってくれるのではないだろうか」と考え、出演を決心されました。本書は、このラジオ番組の一年分の放送をもとに再構成したものです。人間が虫になることより、さらに不気味な不条理を描いている『変身』(カフカ)、言葉ではできないことを言葉で書いた『風の歌を聴け』(村上春樹)、生産性のない、無目的な旅が持つ自由を綴る『阿房列車』(内田百けん)、「自分のために詠まれたのでは」と思える歌が必ずある『万葉集』など、計52作を紹介。若い人にとっては最高の文学入門、「本の虫」を自認する方にとっては、新たな発見が必ずある作品論です。
-
-時は過ぎ去るに任せよ、いつでも自分自身であれ 家族がある。親と子がいる。 愛情で結びついてはいるが、縛ってはいない。 だからいつしか自然に解けるよりも自ら解き放つほうがいい、と考えてもおかしくはない。 親を、環境を選べない子供たちも、大人になっていく。 一人ひとりがもっと自由に生きることを始める時、新たな出会いがあり、新たな家族の再編があり、かつて家族が他人に代わったように今度は他人が家族になることもある。 サーフィンが、カヌーが、8ミリフィルムが、音楽が、それぞれ色彩豊かなラインを生み出しタペストリーが生み出されていく。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-心待ちが、ずっと心待ちであるために 心待ち。この美しい言葉を最大限に生かすようにこの短篇は書かれている。 梅雨の東北地方。 オートバイでツーリング中の男は21歳。 ガソリンスタンドで働く女は18歳。 オートバイには2人乗ることができるから、2人は海に向かうことができる。 その時間の輝き、その記憶が失われることのないように、 ちょっとしたやりとりの、ある仕掛けがなされる。 やがて夏が終わり、男が消え、心待ちが残るだろう。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-思い出してみてほしい。 どこかの上に、心をこめてすわったことなんてあっただろうか? サンダンス。アメリカ西部開拓時代に生き、 伝説的な強盗、アウトローとして知られるその男と 同じ名前を付けられてしまった少年はなんとインディアンだ。 彼はガス・ステーションと簡易食堂を兼ねたような店を ほぼ1人で切り盛りしている。 囚人。囚人を護送する刑事。病気の少女。ヒッチハイカー。 てんでばらばらの女たち男たちが店に立ち寄り テキパキとサンダンスは仕事をこなしていく。 ここには、声高なインディアン擁護も社会批判もない。 ただ「心をこめて」カボチャ畑にすわることを 白人たちがしないだけである。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-雑誌とは、リラックスした一つのトーンである 雑誌であり、同時に本でもある稀有の試みだ。前半部は片岡義男に対するインタヴュー、という形式が取られ、インタヴュアーのクレジットはないがどう考えても作家本人である。そして写真がくる。かつて自身が出演していたラジオ番組『気まぐれ飛行船』のスタジオを撮った貴重な1枚があったりする。セルフインタヴューには植草甚一さんの思い出が召還され、そして気が付くと、主題というほど前景化していないが作者の「フェミニズム」に対する深い関心がうかがえる。この雑誌=本には、あきらかな一つのトーンがある。 ※写真:片岡義男 【目次】 長いインタヴュー 『語ることによるエッセイ』1 7枚ずつひと組の、ジャズのLPをながめる 五十年まえの「名画」を二本、観た。そしてぼくは、昔の二枚目男優たちの限界を知った 彼の後輪が滑った あとがき 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
-アメリカと日本の風景を、雑誌として集めてみる TVニュースを通した、アメリカ的光景の観察。愛してやまない東京湾岸の風景を中心とした、日本のさまざまな場所についての考え。アンセル・アダムズの圧倒的な風景写真について寄せた言葉。サーフィンと海についての考察。初雪のあるショート・ストーリー。これら五つの雑誌的なバリエーションに最後は他人(写真家の佐藤秀明氏)の言葉がくる。これは、あえてまとめれば風景についての、そして英語と日本語といずれが母国語かわからない状態で育った人によるアメリカと日本の、極めて「個人的」な思考の記録である。 ※写真:佐藤秀明 【目次】 アメリカ的光景の遠近法 1 軽飛行機の使い方 2 日本がニュースになるとき 3 いつかはかならず失業する 4 ニュースのなかの音楽 5 大統領を鑑賞する 6 国際情勢という対立関係 7 グラフィックであること 8 外観と内容の関係 9 まさにアメリカ さまざまな場所での、いろいろな想い 1 湾 岸 2 首都高速道路 3 謎の核心 4 バス・ルート 5 東京湾岸地帯 6 散歩道 7 下北沢 8 半 島 9 海 岸 10 斜めに交差する川 11 甲州街道と新宿 めぐり逢う風景の物語——アンセル・アダムズと彼の写真 彼らはなぜ海へ来るのか 1 長い海岸線の全域にわたって 2 彼がはじめて太平洋を見たとき 3 薄く立ちあがり、まっすぐに走る 4 聖地への入口としての駐車場 5 完璧にちかい正三角形がひとつ 6 冬のハーモサ・ビーチ、六フィート波 7 霧の海でひとり叫ぶとき 8 桟橋(ピア)で聞いた話 初雪より一日早く——ショート・ストーリー 僕と僕の写真について、すこしだけ語ります ——語りと写真 佐藤秀明 あとがき 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
-名前のよく似た2人の女性 名前を構成する漢字が1文字だけ違っていて、年齢は同じ。 そして何より、2人ともとびきりすばらしい女性、 というのが、1人の男を挟んでてあちらとこちらにいる。 さて男はどうするのか。 片岡義男の小説においては、こうした状況はさして困ったことではない。 むしろ、晴れやかなことである場合が多い。 ラストの成り行きはいささかご愛嬌だろう。 三角関係が美味なサンドイッチになるのもいいが、 雪の日本と南の島に分かれるのも悪くない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
4.1人間が“言葉”を生み出した謎に、科学はどこまで迫れるのか?鳥のさえずり、クジラの鳴き声…言葉の原型をもとめて人類以前に遡り、小説家と気鋭の科学者が、言語誕生の瞬間を探る!
-
-誰も知らないから自分で言う。「おまえ、どうするんだよ」 未来へと目を向けてある決断を下しても、それは現在が見ている風景でしかないからやがてその時がやってきた時点でかつて未来だった幻想から悪戯される、ということはあるだろう。 卒業と結婚を同時にやろう、という青年の性急さと、かつて手を切ったものに再びからめとられる弱さは、矛盾しない。 同時にそれらを抱えたまま彼は人の世の洗礼を受けることになる。 それを優柔不断と呼ぶのは簡単だがそのことよりも今、まさに直面していることの悲しみのほうに粉雪が寄り添っている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-やがてそのくやしさからも解放されるはず シンプル極まりないが、同時に陰影に富んだ短篇である。 片岡義男という作家には、人間の身体(いや、小説の登場人物というべきか) に対する厚い信頼がある。その主人公たちの多くは好ましい身体の所有者だ。 そしてこの小説は、1人の女性が強い意志を持って身体改造に挑む物語。 それは親しい男性から発せられた一言に端を発し、 それを見返すために始まったものだったが、トレーニングはやがて 彼女の心までも別のものに変えてしまうのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
4.0
-
-その海の波を体験することを通して 彼女は彼を理解しようとする。 物語は悲劇から始まる。 道路まで大きく浸入してくる巨大な波に 1人の、17歳のライダーが飲み込まれたのだ。 彼の仲間たち、とりわけ恋人であった彼女は 自らも750CCのオートバイに乗り、 あの日と同じ波を自分もくらうことを強く望む。 そして1年後。その日はやってくる。 そこで彼らと彼女の身に起きたことは? 彼女はかつての恋人に、はたしてどう向き合うのか。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
4.0三十歳の美しいコミックス作家・川村リリカと、同い年の敏腕編集者・野崎百合子。「俺」「お前」と呼び合う可憐な二人が、喫茶店で、イタリアンで、カツカレーの店で、新作の打ち合わせをする。「それはそのままタイトルになるね」「なるね。メモしとこう」。物語はどのように生まれるのか。創作の秘密が垣間見える連作集。 〈挿画〉牛久保雅美 【目次】 きみはミステリーだよ いまのような密会の時間 荒野は誘惑する スクランブルド・エッグス二個をかきこむ 苦手なものはありますか 豆腐とケチャップで微笑する 梨を切ろうとしたとき オーガズムと自分の現在 裸でプッタネスカ 青い色にからめ捕られて フレンチフライドポテト 雨のコカコーラ
-
3.0いつまでも終わらない物語のはじまり 世界を旅してきた写真家が十年の時をまたぎ、 フォークランドと広東省で経験した驚くべき偶然とは…… (「スルメと空豆ご飯」) 職を失ったホステスとバンドマンがバーで出会い、 店長の話をきっかけに、町に団子屋を復活させようと動き出す…… (「これでいくほかないのよ」) ふとした会話と、少しのつながりから生まれる八編。 今なお斬新、最新短編集。 -------------------------------------- 【目次】 ■六十四年インパラ ■人生は野菜スープ ■スルメと空豆ご飯 ■「今日は三月十二日です」 ■エスプレッソ ■銀座化粧 ■夜景が見えます ■これでいくほかないのよ ■あとがき --------------------------------------
-
-【短編小説の航路】まるでドキュメンタリー映画のカメラのような、徹底して三人称で描かれる、東京の私鉄沿線の町の小さなバーを舞台にした物語。 バーの近くのキャバレーが閉店することになって、職を失ったホステスとバンドマン、お互い顔は見知っていても、口をきくことは無かった二人が、バーで出会い、バーの店長の男が話した、この町にあった団子屋のみたらし団子をきっかけに、元ホステスの彼女とバンドマンの男が、この町の団子屋を復活させようと動き出します。団子を作った経験もない男女と、団子が好きなバーの店長の三人の物語が始まるまでが映像のように語られる小説です。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『コミックス作家 川村リリカ』(中央公論新社)、『彼らを書く』(光文社)などがある。
-
-メイキング・イン・新幹線 一人の小説家がいる。44歳。女性。彼女には離婚歴がある。しかしそれは言ってみれば、幸福な離婚だった。なぜなら、小説を書くために生活から離れる、という自由を夫から与えられたのだから。その彼女は今、書くことについても自由に、ストレートに行為に移していく。編集者が新たな短編集を依頼したいと言えば、その日のうちに編集者の出張先まで同行して、新幹線の中でストーリーを作り上げてしまう。そのストーリーはジェンダーの枠をやすやすと超える自由なものだ。彼女は今、怖いほどに幸福である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
-冷めたコーヒー、1人で飲むか、2人で飲むのか このうえなく愚かでバカな男がいて、しかしその男には友人もいれば親しい女性もいて、彼と彼女はまったくもって不本意な行動に駆り立てられる。 この短編小説の主役はその彼と彼女のほうである。 まさか自分がそんな行動を取らなければならなくなるなんてにわかには信じがたい状況が2人を待っている。 いわば2人とも被害者だがその2人のあいだにもまだ信頼が生まれるには至らない。 さて、せっかく買ったコーヒーは、この先、1人で飲むのか、2人で飲むことができるのか。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-20代の片岡義男自身の物語を描いた、著者初の自伝小説。当時の音楽と作家以前の「僕」の物語 片岡義男が学生生活を送りながらライター業を始めた1960年から、作家としてデビューする1973年までの彼自身の物語を、当時のヒット曲と映画を背景にして綴ったショートストーリー集。登場する全ての曲のレコードのスリーブと、一部の映画のパンフレット表紙がカラー写真で掲載され、その当時を音と写真と言葉で感じながら読み進む事ができる一冊。1篇1篇はとても短く、数分で読み終えるものばかり。しかしその数分は、その時代の数分である。それ故か、読んでいるとコーヒーの香りが鼻をくすぐるような感覚になる。 【目次】 目次(44篇中の一部) ・ディーン・マーティンもリッキー・ネルスンも、いまのうちだから ・あのペンネームはどこから来たのか ・大学の四年間は一通の成績証明書となった ・営業の人になりきったら、それ以外の人にはなれないでしょう? ・あなたは、このコーヒーの苦さを忘れないで ・彼は鎖骨の出来ばえを語る。隣の店ではボブ・ディランが語る ・バラッドは彼女の全身に吸いこまれていった ・みなさんのお店ですから、気をつけてください ・ビートルズ来日記者会見の日、僕は神保町で原稿を書いていた ・美しく楽しい本を、まだ僕は一冊も作っていないではないか ・ヘルスセンターで、ジャニスは祈る ・トラヴェリン・バンド。橋を渡る美人。黒いニットのタイ 登場するレコード(121枚中の一部) ・『夏の日の恋』(パーシー・フェイス・オーケストラ) ・『ブルースの真実』(オリバー・ネルソン) ・『霧子のタンゴ』(フランク永井) ・『赤いハンカチ』(石原裕次郎) ・『ビー・マイ・ベイビー』(ザ・ロネッツ) ・『東京ブルース』(西田佐知子) ・『骨まで愛して』(城 卓矢) ・『パープル・ヘイズ』(ジミ・ヘンドリックス) ・『イエロー・サブマリン』(ザ・ビートルズ) 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『珈琲が呼ぶ』(光文社)、『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)などがある。
-
-東京に住む二人の男。京都のスマート珈琲店で落合う。京都に用があるわけではなく、相談事のために。二人はそぞろに京都の町を徘徊しながら、のんびりと様々な話をする。会話はほんの少し、二人の生活を映し出す。 五十三歳の作家と四十一歳のライター、東京に住む二人の男が京都のスマート珈琲店で落ち合うところから物語は始まります。特に京都に用があるわけでもなく、ほんの少しの相談事のために会い、しかし、二人はそぞろに京都の町を徘徊しながら、のんびりと様々な話をします。作家は歩いている京の町の近くに実家のある校閲の女性の話をして、新婚のライターは偶々入った古書店の店主が、かつて取材した相手だったという話をします。二人の会話はほんの少し、二人の生活を映し出し、すっかり京都を堪能した二人は一緒に東京に帰るのです。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『珈琲が呼ぶ』(光文社)、『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)などがある。
-
-ふと地元の銭湯に行ったことから始まる偶然の連鎖。あれよあれよと一つの恋愛物語へと転がっていきます。 翻訳家の橋本哲郎が、ふと地元の銭湯に子供の頃以来行っていないことに気がついて、行ってみることにしたことから始まる偶然の連鎖は、あれよあれよと一つの恋愛物語へと転がっていきます。そこで描かれるストーリー自体は、タイトル通り「ごく普通の」恋愛物語かもしれません。しかし、その急な坂道を転がり落ちるようなスピード感と、無駄のない構成の中で語られる過去のエピソードの説得力は、凡百のラブストーリーとひと括りにできるものではありません。世田谷の片隅で長い時間かけて用意されていた恋愛の種が実を結ぶ瞬間を捉えた小説です。 底本:『ジャックはここで飲んでいる』2016年、文藝春秋 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)、『窓の外を見てください』(講談社)などがある。
-
4.21巻1,650円 (税込)小説家って面白い! 無類の本好き芸人・オードリー若林正恭と、20人の作家たちが“自分のルール”を語りつくす。 大人気番組、ついに書籍化! 西加奈子/朝井リョウ/長嶋有/加藤千恵/村田沙耶香/平野啓一郎/山崎ナオコーラ/佐藤友哉/島本理生/藤沢周/羽田圭介/海猫沢めろん/白岩玄/中村航/中村文則/窪美澄/柴崎友香/角田光代/尾崎世界観/光浦靖子
-
-空に夕陽、脚にジーンズ 1年ほど付き合った男女の仲でも、共有されていないものはいくらでもあるだろう。 それが結婚だった場合、単なる考えの相違に留まらず、2人の未来の時間にはいささか暗雲が立ちこめる。 そんな時だった、目の前にあるこの本当の空があまりに美しいピンク色に染まっているのを見たのは。 それは男にとってどうでもいい空だったから彼女にとって男は決定的にどうでもよくなった。 彼女には夕陽がある。そしてよくなじむジーンズがある。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
4.2野生のゴリラを知ることは、ヒトが何者か、自らを知ること――アフリカの熱帯雨林でゴリラと暮らした霊長類学者と、その言葉なき世界の気配を感じ取ろうとする小説家。京都大学の山極研究室で、野生のサルやシカが生息する屋久島の原生林の中で、現代に生きるヒトの本性をめぐり、二人の深い対話は続けられた。知のジャングルで、ゴリラから人間の姿がいきいきと浮かび上がる稀有な一冊。
-
-誰もいないブルー このごく短い小説は、冒頭とエンディングがブルーで埋め尽くされている。 2つはまるで種類の違うブルーだが、その深さ、途方もなさにおいて共通している。 そして2つのブルーのあいだに、ただ2人だけの登場人物がいる。 他人同士だが、彼女と彼は親しげに言葉を交わす。 2人のあいだには静けさがある。 それは、彼の許から多くの人が去っていったあとの静けさだ。 残された彼は苦心して1つのブルーを生み出し、そして今また、出発しようとしている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-写真は時間であり、小説は時間を生き直すことである 不思議な長篇小説である。一人は写真家、一人は小説家になっている二人の男性がいて、二人は親しい友人同士である。写真家には、少なくとも年に一度はその姿を撮影し、それが何年にも及んでいる女性がいて、小説家には、彼の書くすべての小説のインスピレーションの源になっている女性がいる。しかし彼たち、彼女たちは恋愛関係にはならず、いや、恋愛のもっと向こう側にある、何かもっと痛切なものの中に没入してしまったかのようだ。片岡義男による、異例ともいえる長い「あとがき」にも注目したい。 【目次】 第一部「私は一曲のバラッドです」 第二部 最後の一行を書くために 第三部 八月の午後の一瞬から 第四部 写真についての一通ずつの手紙 あとがき 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
-6人から5人へ。そして4人。 それが即ち、時間が経過する、ということ。 6人の男女がいる。まだ20代だが、30が目前の20代だ。 高校、大学を通じてずっと友人だった6人は 何よりも波乗りを愛することで結ばれていた。 大学を卒業し、それぞれ社会に出て、ハワイで彼らは再会する。 だがその時、彼らは5人になっている。 女3、男3の、いささかおさまりの良すぎる配分は 5人になることによって何かが崩された。 そしてここハワイで、また1人が去っていく。 青春の終わりと時の流れの残酷さ、やさしさ、そのすべてが 圧倒的な海と空と太陽とともにある。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-部屋は一つ、ベッドは二つ、女性が3人 久々に女性4人で会おう、ということになった。しかし、うち一人は若き旅館の女将であり、残りの3人の小旅行を受け入れる立場にある。彼女はこの短篇には登場しない。小旅行の目的地である旅館に行く前にホテルに1泊することになっている。4人ではなく3人という奇数であり、泊まる部屋は一つ。そしてベッドが二つ。つまり、一つのベッドに一人、もう一つのベッドに二人が眠ることになる。そしてその晩、部屋で起きたこと。見たもの。聞いた声。それは「一人」だった側にも、新しい歓びをもたらすものとなった。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
-そうしよう、と思ったら、そうしてしまう。 行き着く先は、やさしい最終夜行寝台。 タイトルが示すように最終夜行寝台が舞台にはなっているが、 おそらく、読む前に想像できるイメージとは違っているはず。 その寝台には、女が1人で乗る。 そして、女が立て続けに酒を飲む、という時の 感情の動きや事の顛末なども、 これまで多くの物語が紡いできたものとは違っているだろう。 最終夜行寝台は、きちんと定刻ごおりに任務を遂行するはずだ。 そして寝台のベッドは、上段ではなく下段で、ほんとうによかった。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。87年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
3.9著者6年ぶり、世界が待ち望んだ長篇小説400枚。 内気な人々が集まって暮らすその土地は、“アカシアの野辺”と名付けられていた。たったひとりの家族であるおばあさんが働いているあいだ、幼いリリカは野辺の老介護人に預けられて育った。野辺の人々は沈黙を愛し、十本の指を駆使した指言葉でつつましく会話した。リリカもまた、言葉を話す前に指言葉を覚えた。たった一つの舌よりも、二つの目と十本の指の方がずっと多くのことを語れるのだ。 やがてリリカは歌うことを覚える。野辺の重要な行事である“羊の毛刈り”で初めて披露された彼女の歌は、どこまでも素直で、これみよがしでなく、いつ始まったかもわからないくらいにもかかわらず、なぜか、鼓膜に深く染み込む生気をたたえていた。この不思議な歌声が、リリカの人生を動かし始める。歌声の力が、さまざまな人と引き合わせ、野辺の外へ連れ出し、そして恋にも巡り合わせる。果たして、リリカの歌はどこへと向かっていくのか? 名手の卓越した筆は、沈黙と歌声を互いに抱き留め合わせる。叙情あふるる静かな傑作。
-
-短い時間だから、ぼんやりした全体ではなく、肩を記憶しよう 見ることができ、触ることのできるもの、 そのような「できる」関係にある男女を描くには、 短編小説という器がまことに好ましい。 努力の成果、としてではなく、生まれつき恵まれた恩恵としての「肩」を 男は愛し、女は愛されることを大切にする。 鎖骨と、そこからつながっている精妙な肩甲骨の動き。 そのうつくしさ、生きていることそのものがもたらす何かを 写真に撮って残しておくことはしない。 失われるまで愛し、あとは記憶と想像が幸福を形成する。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
-苛立ちも、失敗も暴力も、 「さしむかい」の向こう側に消えていく。 出会いの場所は路上。女は唐突に捨てられ、 男は選択の余地もなく、女を拾う。 「スローなブギにしてくれ」にも通じる片岡義男の初期小説のパターンを この短編もまた踏襲している。 若い女と男が一つ屋根の下に過ごせば むろん、静穏な時間は長く続かない。やがて 世間が、さまざまな力=暴力が2人を襲うはずだ。 それぞれの痛手を経由して、2人はようやく手に入れる。 そこにある、「さしむかい」という言葉の体温を。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-さっきまで優しかった人たち 唖然とする展開、といってもいいかもしれない。 しかも2度。この短さの中で2度、唖然とできる。 舞台設定が、サスペンスの効果を高めている。 ここで「本気だ」と言われているセリフは言葉通りに受け止めるべきであり、それを怖ろしいと思うかあるいは微笑ましいと思うことだって、読者の自由である。 もしかするとこれは新手のSMプレイかもしれない。 そう読むのもまた自由である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-待つ女のままで、いてなるものか。 男はロード・ライダー。 夏のあいだ、あちこちの小さな町を気ままに走り抜けている。 一緒に海へ行くはずだった、と言うのは女。 男は毎日公衆電話から電話をかけ、必ず女は自宅にいる。 秋風が吹いたら東京へ帰る、と男が言う言葉は、はたして本当か? 待つことしかできないのか? そうではないだろう。 ラスト、家にいてもできる「待つこと」以外の生き方を、彼女はようやく見つける。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-暑い日に、寒い季節の恋愛小説を考える。小説の舞台裏を描いた物語。 作家の剣持剛は、京都へ向かう新幹線のグリーン車で、かつて自分の本を担当した編集者であり親友の栗原圭介とばったり出会うところから物語は始まります。「寒い季節の恋愛小説」というタイトルの小説を考えているという剣持は、栗原が少しだけ付き合った女性で、相手が広島に引っ越して以来、1年以上会っていないという話を聞いて、彼女とすぐに連絡を取れと言います。それを小説に書くから、また会って話そうということになります。物語は確かに恋愛小説なのですが、実際に描かれるのは50歳を過ぎた2人の男の会話だけなのです。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『コミックス作家 川村リリカ』(中央公論新社)、『彼らを書く』(光文社)などがある。
-
-過去と未来がちょうど均等であるとは、いったいどのような状態か? 誕生日が同じ3人の女性が一堂に会する。 誕生日ばかりではない、年齢まで一緒だ。28歳。 しかも彼女たちが落ち合うのは、世間でクリスマス・イヴと呼ばれる日の 前日にあたっており、そこには爽快なまでに男性は不在である。 やがてクリスマスが終わり、年の瀬が終わり、 年があらたまり、いったいどんな気持ちの中にいるのか。 それは、左右が均等である、という気持ちだ。 どちらかが過去。どちらかが未来で、 つまり、現在は完璧な均衡のうちにある。 そしてそれはたぶん、幸福でも不幸でもないのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
-そして彼女はやりとげた 若い男女がいる。恋人同士ではない。 大切な人を亡くした同士だ。 男にとっては親友。女にとっては恋人。 深い悲しみの中にありながら女性は彼女なりの仕方で追悼を、そして別れを試みる。 それは恋人だった男性を彼女のやり方で理解しようとすることであり、その場所に行ってみることであり、それをやりきったら二度とやらないことでもある。 そのやり方にそっと、親友が寄り添う。 見事なその別れを、彼女は完璧に美しくやりとげる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-男はやじろべえ、または夢のような抽象論 男が一人。女が二人。そこには恋愛感情がある。 このような状態はしばしば「三角関係」と呼ばれ、 著しい憎悪や不均衡を呼び込むが、ここではそうではない。 これは三角ではなく、やじろべえだ。 左右にそれぞれの女性がいて、 男は支点に位置し、ひどく安定している。 1対1の付き合いよりも、そのほうが男は安定するのだ。 しかし、二人の女はどうか。 小説の全編を通じて、冷たい雨が降っている。7月だが冷たい雨だ。 そこで彼女たちは火花を散らし、そして時間の経過とともに 微笑も加わる。 その時、男はそこにいない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
3.6朝は三女・朝日の喫茶店、昼は次女・まひるの讃岐うどん屋、夜は長女・夜月のスナック――志野原家の美人三姉妹が営む「三人屋」は、朝日の就職を機に、朝の店を終了、業態を転換することになった。 朝日が出勤前に焼いたパンを使い、まひるが朝からランチ時まで売る自家製の玉子サンドイッチが、見映えも良くおいしいと大評判に。かたや長女のスナックは、ラプンツェル商店街で働き、暮らす人々のサロンとしてにぎわっている。 ゲイの青年、売れない作家、女泣かせのスーパー店長など、ワケあり常連客たちが夜ごと来店、三姉妹の色恋沙汰を肴に、互いの悩みを打ち明けあったり、くだを巻いたり… 悲喜こもごも、味わい深い人間模様を描く大ヒット小説『三人屋』待望の続編! 心も体もくたくたな日は「三人屋」の新名物「玉子サンド」を召し上がれ!
-
-彼女が経験した出来事の残響について 「私」でも「あなた」でもなく、「彼」もしくは「彼女」。 言うまでもないが、これを「三人称単数」という。 この短い小説におけるそれは「彼女」だ。 ここには、彼女だけが体験した事柄や、そのくっきりとした 輪郭が鮮やかに描かれている。 台風に荒れるプールに身を置くとはどういうことか。 一転して、そのプールの静けさはどんな体験か。 恐怖を覚えるほどの濃密な霧とは、いかなるものか。 文章による肖像画がここにある。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
3.5朝は三女・朝日の喫茶店、昼は次女・まひるの讃岐うどん屋、夜は長女・夜月のスナック――朝・昼・晩で業態がガラリと変わるその店は、通称「三人屋」。やって来るのは、三女にひと目惚れしたサラリーマン、出戻りの幼なじみに恋する鶏肉店主、女泣かせのスーパー店長など、ひと癖ある常連客たち。三姉妹が作るごはんを口にすれば、胃袋だけじゃなく、心もたっぷり満腹に!? 心とお腹にじんわりしみる、美味しい[人情×ごはん]エンタメ!「高いビルの屋上から、道行く人をじっと眺めているような小説である。大所高所から見下ろしているという意味ではない。ちっぽけな人間たちが、時に迷ったり立ち止まったりしながらも、それぞれの目的地を目指して懸命に歩いている姿を目にした時の、あの切ないような尊いような心持ちを思い出させてくれるのだ。」――北大路公子氏「解説」より
-
-1つのサーフボードが記憶していること、彼女に思い出させること 15歳の誕生日に、忽然と現れた赤いサーフボード。 波乗りを知っている人にはなじみの、昔のロングボードだ。 そこに刻まれた傷は時間そのものであり、記憶そのものだ。 今ではもう失われてしまった、海岸に出て行くための お気に入りの道順までも、そのサーフボードと共にある。 そして、父親の禁を破って、夜の海に出た17歳の不思議な体験。 それらを今、37歳になった彼女がもう一度、反芻する。 自分の生きてきた時間が、海のその地点が、いま、ここにある。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
5.0「私の手もとには、現在だけがあるのです」 20歳の夏。彼女は一人でオートバイに乗って日本中を旅する。ひと夏の経験ではなく、少なくとも1年、できれば2年かけて日本の隅々まで経験したいのだ。 そして彼女の両親もまた、それぞれの道を歩もうとしている。家族でありながら、誰もがまぎれもない一人の個人として離れて行き、祝福しあい、時々は連絡を取り合う。 その状態を彼女は「幸せ」と呼ぶ。 今回、故大谷勲氏撮影の文庫版オリジナル写真の一部と未公開写真のあわせて約40枚を、モデルとなった三好礼子さんからお借りし、追加・掲載した改訂版をお届けします。(2018/02) 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。https://kataokayoshio.com/
-
-容赦なき30発。おそらくは、 リベンジの範囲を超えた、怒りの銃弾。 片岡義男の全作品中でも、 おそらく最もストレートで、待ったなしの一編だろう。 沖縄を思わせる場所で、米兵がトラブルを起こす。 現実に歴史の中で起きている出来事を、この短編も引き継いでいる。 やられたら、やりかえす。必要以上に。徹底的に。 タイトルから想像できるとおりの、いや、 それ以上の場面が展開される。 この一編を現在のアメリカ兵が読んだら、 果たしてどんな感想を持つだろうか。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-結婚は死のはじまり? 奇妙な短篇である。 一組の夫婦の会話を通じて、妻のほうの友人が 結婚についてどう考えているか、そして彼女が 食事というものをどう考えているか (それは常人にはなかなか理解しがたいものである)が描かれる。 世の中には常識では考えられない苦しみがあり、 端から見れば観念をこねくりまわした頭でっかちに見えるようなことでも 当人にとっては身体性をしっかり伴うダメージだったりする。 多くの人にとって、平凡だが幸福に近いような物事の中にも 「死」を見てしまう人はいるのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
3.5「またロンダリングをやってくれないか」。事故物件をロンダリングする人達、それに関わる者が次々と相場不動産を去っていく背景に、妨害工作の動きを察知した調査役の仙道は、ある事実を突き止める。市井の不動産屋のために巨大勢力と戦おうと立ち上がった仙道だが――。前作『東京ロンダリング』で注目を浴びた作者が、5年の時を経て新たに大都市・東京の鬼門を突く! 「事故物件を単なる恐ろしいものとしてではなく、現実的な事情も含めて丁寧に描いている」(大島てる・事故物件公示サイト運営)【目次】うちの部屋で人が死んだら/君に栄光を捧げよう/幽霊なんているわけない/女が生活保護を受ける時/地方出身単身女子の人生/失踪、どっと混む/昔の仕事/大東京ロンダリング/あとがき
-
-彼と過ごすこと、撮ること、外出すること 29歳の女性がいる。女優だ。訪ねてきた男性とベッドで過ごし、男性が帰る際はキチンと服を着て見送り、見送った後は自分も外出する。それがルールだが、もう一つ大事な行為がある。撮影だ。彼女は25歳から自分を撮り続け、30歳になったら写真集にまとめようとしている。ところで、彼女が外出して赴く先に、あるバーがある。この短篇のほかに「八月の上半身」「思い出の十二号埠頭」など『人生模様』に収録された短篇はどれも連作短篇としてそのバーと、登場人物の絶妙の重複がある。併読をおすすめしたい。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
-ごく内輪だけの写真展 一人の女性と一人の男性が会うのはいつもホテルの部屋だ。 そして男は「見てほしいものがある」と言いつつ 躊躇もあり、もったいぶって、しかしとうとう「それ」、つまり 写真を見てもらうことになる。 被写体はすべて同じ。明瞭で、かなりの枚数がある。 すべて自分で自分を撮ったものだ。 だが果たして「それ」は自分か? 嫌悪よりも笑いを表す女性だからこそ、こうして見せることもできる。 とても公共の場に晒すことはできないが やがてホテルの部屋が、ごく内輪だけの展覧会場と化すかもしれない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
-二つの過去は、やがて一つの現在になる 外から自分の部屋に一人で帰って来た時、何を感じるか。その感じ方の移ろいが、いわばこの短篇小説の主題かもしれない。37歳。夏休みはむなしく徒労に終わり、ビールも食事もうまくない。40歳。ある1枚の写真と、自分の誕生日をきっかけに、変化が生まれる。男はいささかの興奮と精彩を取り戻す。43歳。3年前のアクションのおかげで、彼は新たな時間を手に入れた。1枚の写真が引き金になってもう1枚の写真が生まれ、そして今、部屋はまったく違う部屋に変わったのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/
-
-偶然は偶然であり、サインではない 27歳の男性。たっぷりの未来があるようでもあるしそれなりの過去の堆積もある年齢だ。 いくらでも眠ることのできる体力もある。 結婚は、してもいいし、しなくてもいい。 女性もいる。1人ではない。とっかえひっかえ、というのでもない。 ある時、連続してある現象に目を止めた。 シャツのボタンが段違い。それが連続して起きたことに意味を見出すことは可能だろうか? それは必要なことだろうか? 目の前に現れた、連続した、シャツのボタンの段違い。 ただ彼はぶっきらぼうにそれを指摘するだけだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
-
-最後のサーフが消えるとき、 彼女に巨大なサーフがやってくる。 美しく、大きな波で知られた島は、変わろうとしている。 火力発電に伴うコンクリート桶の建設が、 景観ばかりでなく、ついにはサーフそのものを消してしまう。 抗いようもなく進行していくその流れは、 誰が善で誰が悪という単純さを許さない過酷さで かつて走っていた蒸気機関車の復活にも火をつける。 島そのものが持つ歴史、そこに暮らす人々の知恵から生まれる そうした一連の動きが、ある時、一人の女性の身心を直撃する。 それは慶賀すべきことであると同時にパニックに近い事態でもあり やはり善悪の向こう側にある荒々しさに満ちている。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。