すべての高評価レビュー
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Posted by ブクログ
学生時代に共通で扱ったことのある作品だから尚更、本作も前作に続いてにやけながら、頷きながら読めました。クラムボンは当時もツッコミしかなかったし、山月記に関しては李徴を1人にしてはいけない危機感みたいなものを感じていたなぁ。
かまどさんのあとがきからも少し。わたしも学生の頃、発表した意見がなんとなく先生の求めている回答ではなくてサラッと流される経験を、国語でも道徳でも味わった記憶がある。わたしにどう思うか聞いてるのに、正解とか不正解とかあるんだ???と板書されなかったその言葉を思ったことがありました。
満場一致の感想や答えが出るような結末の本もすきだし、読み手に解釈が委ねられている本もすき。今そう思えているのは、わたしがそれからも読書を辞めずにきたからなのだなと嬉しくなりました。読書って面白い!!! -
Posted by ブクログ
正直、最初の久保田と澄香の章までは、「推し活」「性格判断」「大学生活の人間関係」など、私には若いテーマで読みにくかった。また、最初の段階で久保田の貯金が澄香の推し活に消費される結末が想像できたので、怖いなという気持ちのままページをめくるのがつらかった。
でも読み進めると、推し活の搾取、宗教・スピリチュアル、サラリーマンの孤独、学生のノリ、貧困、色んな要素が絡まっていき、さらに3人の幸福度が入れ替わり上下していくので、読むのをやめられなくなった。
特に、久保田は希望に満ちた感じになっていったと思ったら、急降下して呆気にとられた。(1番マトモだと思ってたのに...!!ま、でも化粧したり、後輩と友達になれた気でいたり、やっぱ客観的にみたら変なやつか。)
3人のうち、1番共感できる人ランキングが私のなかで何度も変わっていって、結局どの人にもなりたくないという結論になった。笑
さらに、3人以外のサブの人間も、こうなりたいと思える人間があまりいなかったのが、上手いなぁと思った。(菜々、ユリちゃん、道哉は割と光の道を進んでるような感じがしたけど、それでも模範的な人間として描かれてない。)
推し活で大金を使う人って、同じく澄香のように自分と同じ所を重ねてみるのかな?動画1つで色々考察できるなんて凄いな、、、とシンプルに推し活界隈の勉強にもなった。(最近、とあるグループの1人が脱退して、残るメンバーが会見しましたが、使われたマイクが脱退したメンバのメインカラーだったそうな。こういうのも、メンバーの意思ではなく戦略的なのかな?なんて穿った見方をするようになりました。)
他者との優しくて健やかな繋がりをどうやって形成するか。「出し切る」に対して、自分の価値観を今一度考えようと思った。
キーワード
・視野を広くもつことの虚無感、狭くもつことの危うさ
・推し活の構造。熱狂させるためには物語。
・何を正解だと信じ、そこにどれだけ時間とお金を費やすか。余白を何で埋めるか。 -
購入済み
慈愛に満ちた物語
世の中にはPC画面だけ見て患者の顔すら見ないベルトコンベアの作業者のような医者がいます。その対極の慈愛に満ちていて医療知識もトップクラスの医者が主人公です。子育て中の女性、インフラ系のSE、漫画のシナリオライターと現実社会によくいる悩み多き患者が登場します。皆、彼と出会って自分を取り戻し元気になってゆく話で心癒されます。少し前に腰痛で、ある外科に行ったのですが30分も話をしてくれて自分も若い頃同じように痛めたことがあった、毎日風呂に入って気温が上がれば何もしなくて直るよということを言って、確かにその通りでした。その先生ちょっと似ているかなと思いました。作者は女性医師でファンタジーではあるが確かな医療知識と経験に裏打ちされたすばらしい小説です。
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Posted by ブクログ
ネタバレ最初は、やたらと説明が多かった。
この道がどうの、あの道と繋がるだの。
正直、今作は微妙かなとも思った。
でも、後半がすごく面白かった。
私の中では結構好きな真壁がよく出てきて。
彼女やその母親とも会って、足を洗う話まで出てきた。
そんなタイミングで弟分が撃たれて、代わりに昔の因縁の相手と仕事をすることになり。。
中国人たちに殺されて終わるかと思った。
でも、それほど命に関わるような怪我にはならず助かった!
鮫島が真壁を助けた。
鮫島に相談をした彼女のお陰でもある。
そして、彼女に「鮫島に相談をするといい」と告げた男。
仙田は何がしたいんだろうか。
これから、少しずつわかってくるのか、いつか鮫島に逮捕される日が来るのか。 -
Posted by ブクログ
盆栽の見どころ・歴史・鑑賞の“楽しみ方”を美しい写真とともに解説した一冊です。
7章構成、敷居の高い文化と見られてしまう盆栽を素直に楽しむための知識が詰まっています。
著者はさいたま市大宮盆栽美術館の開館に学芸員として携わった盆栽の文化面における専門家です。
いまや“BONSAI”として世界で市民権を得ている盆栽。
その魅力や自然観はどこからくるのかを紐解きます。
手入れなど、実際の育成についても少し触れられています。
日本盆栽協会の初代会長が吉田茂であることを本書で知りました。
私のように既に盆栽を楽しんでいる方、これから盆栽をやろうという方、見ているだけで楽しめる方、問わず楽しめる内容でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレレイチェル・カーソンの詩的で美しい文章が、上遠恵子さんの訳を通して鮮やかに伝わってきた。
ある秋の嵐の夜から始まる冒頭の数行で、私はすっかりレイチェル・カーソンの世界に引き込まれてしまった。この本を通して、子ども時代をどう生きるべきか、そして何を大切にすべきかを考えさせられた。
レイチェルが伝えようとしているのは、単なる知識ではなく、全身に響き渡るような経験なのだと思う。
自然に触れ、心を動かされ、驚きや喜びを感じること。そうした経験にこそ、知識を得ること以上の価値があるのではないだろうか。
例えば、草花や生き物の名前を覚えることも、その価値はどれだけ楽しみながら覚えたかによって変わる。ただ名前を知ることだけで終わってしまうのなら、そこにどれほどの意味があるのだろう。大切なのは、何を知っているかではなく、それに触れたときに何を感じたかなのだと思う。
だからこそ、子ども時代には「やった方がいいこと」よりも「やりたいこと」に素直に向き合い、伸び伸びと好奇心を育むことが大切なのだと感じた。
感性は、知識を育む土壌になる。
豊かな感性という土壌があってこそ、そこに根づく知識はより美しく花開く。反対に、どれほど多くの知識を身につけても、それを育む土壌が貧しければ、知識は十分に根を張ることができない。
また、日々見慣れた景色であっても、「もし、この景色を初めて見るとしたら?」「もし、もう二度と見ることができないとしたら?」と問いかけてみる。そうすることで、当たり前だと思っていた景色の中にも、これまで気づかなかった美しさや尊さを見いだせるのかもしれない。
世界がつまらなくなったのではなく、世界に驚くことを忘れてしまっただけなのかもしれない。
センス・オブ・ワンダーは、決して一部の人だけに与えられた特別な才能ではない。誰もが生まれながらに持っている、世界の不思議や美しさに心を動かされる力なのだと思う。
だからこそ、大切なのはそれを新たに身につけることではなく、失わずに育んでいくことなのだろう。
知ることの前に、感じること。
大人になるにつれて知識は増えていくけれど、世界に対する驚きや好奇心まで失ってしまいたくはない。
いつまでも、初めて世界に触れる子どものような眼差しを大切にしていたいと思った。 -
Posted by ブクログ
親父の文藝春秋をひったくって『蛇にピアス』を読んで以来、「この人は俺とは合わない」と決めつけて遠ざけていたことを、今になって全力で悔いている。伝え聞く作者のイメージと異なり予期せぬ読後感の良さに戸惑ったが、期待よりはるかに素晴らしかった。
陰キャ寄りだけど普通of普通の権化たる主人公真野。読む人によって「ここは自分より優れている、ここは劣っている」という感じ方が変わってくるような丁度いいキャラメイク。それをひっくるめて普通を極めたような存在で面白い。
それぞれ個性の塊のような同僚たちも、読んでいるとひとりひとりに愛着が湧く。
真野が普通であることもまた個性として肯定される空間は居心地がいいだろうなぁ。
マナツさんのように教養やボキャブラリーの豊かさが滲み出てしまうような人には主にしょうもないことを語らせて、それほど頭が良くなさそうな人にふと真理を突いたようなことを言わせる金原ひとみさんの天才的なバランス感覚が恐ろしい。
169ページから172ページにかけてのブリュノとマナツさんの会話。カレーの定義から比較文化論、広義の哲学、人生とは何か、自分とは何かまで転がる場面。正直ここだけ切り取って売ってもお金が取れる文章だと思う。
自分は『美味しんぼ』の24巻(まるまる1巻分カレーに費やしている)が好きなのだが、世に出た時代の差こそあれ、この会話だけで当時の美味しんぼのレベルを凌駕しているとしか言いようがない。
で、何が最も凄いかというと、この会話をそっくりカットしても物語上成立しうるということ。もう笑うしかない。
純文学よりの作品で主人公を取り巻くいつもの日常が突如異常な変化を見せる、みたいな展開がたまらなく好きな自分にとっては『フェスティヴィタDEATHシ』の集団ジャンプのシーン、『ウルトラノーマル』の最後の方など、まさに大好物。作者がノリノリでアクセルベタ踏みしている様が見えるようでゾクゾクする。
次はもっとヘビーな方向の作品を読んでみようかな。過去の作品を遡って読みたい作家がまた増えてしまった。ああ困った。
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