笹本稜平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
感想
遭難や死がつきまとう中で何故、そこまでして山に登るのかという疑問は尽きないが、山を登った後の景色や誰もやったことがないという所に魅了されるのだろうか。
読み進めていくうちに自然に挑む姿勢などに触れて、ギリギリの戦いやはり痺れるなぁと思った。
しかし、クライマーの世界も本当は登っていないとか難癖つける人がいるんだなぁ。
一部のそういう足を引っ張るだけの人には虫唾が走る。
あらすじ
登山家の和志は、ノースリッジ社長の目に留まり、ローツェ南壁の冬季単独登頂で名を上げていた。
今回はヒマラヤの6000m級の山を、ノースリッジ若手の柏田をバディとしてテスト登攀するが、氷の崩落により柏田が命を落とす。
柏田の家族は一部の批判的なグループの口車に乗せられて、ネパールでの火葬を拒否し、和志や会社と争う姿勢を見せる。
一方の和志も鎖骨の骨折により2ヶ月の休養を余儀なくされる。休み中にK2の冬季単独登攀の目標を立てて、試登をかねて夏のK2へ登ることにする。
到着早々、他のオーストリア隊から救助要請が来て、他の隊が拒否する中、和志は救助に名乗りを挙げる。
無事にオーストリア隊の救助に成功し、世界から称賛を浴びる。柏田の両親もこのニュースに触れ、訴訟を取り下げる。
K2の好天が続く中、和志はアルパインスタイルで南南西陵を短時間で一気に登攀するための登山を開始する。
8100mまで2日で到達したが、ベースキャンプの隊長の磯村の体調が悪化して、一度はすぐに下山しようとするも説得されて、登頂を果たす。
柏田が残した刀と同じ玉鋼をアックスに使うというアイデアが採用され、新しいアックスが開発された。
和志は新しいアックスを持って、冬のK2初登攀に挑む。7000m半ばまでは順調だったものの、その後は天候の悪化や左肩の古傷の問題もあったが、なんとか登頂を果たす。 -
Posted by ブクログ
仲間の死を乗り越えて、エベレストに次ぐ世界2位の標高のK2へ冬季発登頂を目指す奈良原和志。
作中、和志の成功を喜ばない、ヨーロッパの山岳組織が登場して、仲間の柏田の死が和志の意図的なものであるなどの難癖をつけてくるのには、小説のお話と思ってもムッとしたのは、自分も山に登るせいでしょうか。こんな凄い山ではありませんが。
また磯村が、ガンに冒されて余命いくばくもないという話ですが、ベースキャンプまで登ったり、日本のアルプスも軽々と登ったり。病人とは思えませんが、実際、亡くなった悲しいだろうなと思います。
ソロ登山は、自分との戦いなんて思う人もいますが、生きて帰ることを思えば、待ってくれる人がいることは凄く大切なことなのだなと思います。
登山中の描写も鬼気迫るものがありましたが、作者の方が亡くなられているということで、次回作が読めないのは悲しいですね。この続編が出ているようなので、そちらは読みたいです。 -
購入済み
しゃれた構成のアンソロジー
煙草をテーマに有名作家の有名小説の番外編ばかりを集めたという大変にしゃれた構成のアンソロジー。
もとの小説を読んでいれば読み返したくなるし、読んでいなければ読みたくなるという、出版社 作家の術中にはまってしまうたちの悪い本。
番外編ではあるが元の本の色合い香りを程よく保った佳作が多い。 -
Posted by ブクログ
笹本さんの小説は五作目となりますが、間違いなく今までで一番感情移入した作品でした。
もちろんフィクションなのは重々承知の上ですが、あまりに感情移入し過ぎて、最終章では涙をぼろぼろ流しながら読んでました(^^;
自然の素晴らしさに目を向け、その恩恵を頂くことで人間は発展してきたのに、自分達の身勝手によりオオカミの住みかを奪ってしまった。
ドキリとする言葉が節々に出てきます。
『自然や動物は人間がいなくともずっと上手くやってきた。人間がずかずかと入り込んできて自然を壊しておきながら、今度は自然保護だなんだと思い上がる』
私には私の生活があるから自然保護活動などには参加したり出来ませんが、それでも山に登らせて頂く際にはゴミ拾いなど、自分に出来ることをひとつでも多く実行していこうと改めて思いました。
一人でも多くの方に読んで頂きたい名作です -
Posted by ブクログ
マッキンリー、別名デナリ
あまりに有名な山名はおそらく誰でも聞いたことはあるはず
私としては聞いたことがあるくらいで、あまり詳しいことは知りませんけどね(^^;
マッキンリーを舞台に繰り広げられる重厚な人間ドラマ
少しだけ私が気になった(良い意味で)点を挙げさせていただくと、
物語が進み要救助者を発見した時、低体温症に陥っている
しかも重度の低体温症。
待ちに待った待望の赤ん坊が間もなく生まれるというのに、ひとつ間違えれば植物状態で寝たきりになってしまう恐れのある要救助者を、果たして下ろして良いものか?
下ろさなければ奥さんは生まれてくる赤ん坊と二人、人生をやり直すことも出来るのではないか?(もちろん奥さんは無事に下山することを強く望んでいる)
という救助隊に参加している主人公の葛藤(一時的にですが)。
遭難の物語(実話も含む)を読む度に自分の身に置き換えて考えてきましたが…
そうですね。一歩間違えれば『死』
というのは当たり前に思ってましたが、一歩間違えれば『植物状態』。
という発想はなく、もしそんなことに自身がなったとしたら、周りの家族に多大なる迷惑をずっとずっと掛け続けてしまうことになります…
そうすると恐らく『死』よりも多大なる迷惑を掛けてしまうのではないかと…
低体温症に関わらず、山登りには大なり小なりの危険がつきまとっている、ということも改めて認識させてもらいました。
山の専門用語もかなり出てきますので、一般の方が読むのには少し抵抗が感じられるのではないかと思いますが、山好きな方々にはオススメしますよ