笹本稜平のレビュー一覧
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感想
遭難や死がつきまとう中で何故、そこまでして山に登るのかという疑問は尽きないが、山を登った後の景色や誰もやったことがないという所に魅了されるのだろうか。
読み進めていくうちに自然に挑む姿勢などに触れて、ギリギリの戦いやはり痺れるなぁと思った。
しかし、クライマーの世界も本当は登っていないとか難癖つける人がいるんだなぁ。
一部のそういう足を引っ張るだけの人には虫唾が走る。
あらすじ
登山家の和志は、ノースリッジ社長の目に留まり、ローツェ南壁の冬季単独登頂で名を上げていた。
今回はヒマラヤの6000m級の山を、ノースリッジ若手の柏田をバディとしてテスト登攀するが、氷の崩落により柏田が -
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仲間の死を乗り越えて、エベレストに次ぐ世界2位の標高のK2へ冬季発登頂を目指す奈良原和志。
作中、和志の成功を喜ばない、ヨーロッパの山岳組織が登場して、仲間の柏田の死が和志の意図的なものであるなどの難癖をつけてくるのには、小説のお話と思ってもムッとしたのは、自分も山に登るせいでしょうか。こんな凄い山ではありませんが。
また磯村が、ガンに冒されて余命いくばくもないという話ですが、ベースキャンプまで登ったり、日本のアルプスも軽々と登ったり。病人とは思えませんが、実際、亡くなった悲しいだろうなと思います。
ソロ登山は、自分との戦いなんて思う人もいますが、生きて帰ることを思えば、待ってくれる人がいる -
購入済み
しゃれた構成のアンソロジー
煙草をテーマに有名作家の有名小説の番外編ばかりを集めたという大変にしゃれた構成のアンソロジー。
もとの小説を読んでいれば読み返したくなるし、読んでいなければ読みたくなるという、出版社 作家の術中にはまってしまうたちの悪い本。
番外編ではあるが元の本の色合い香りを程よく保った佳作が多い。 -
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笹本稜平『グリズリー』徳間文庫。
2007年刊行の長編冒険小説。超弩級の大作である。笹本稜平の冒険小説と山岳小説は殆ど読んでいるが、本作は未読だった。たまたま近所の古本屋で見付けて購入。
物語は、かなり長い時間軸でじっくりと描かれ、予想不可能な展開を見せる。主役は『グリズリー』と呼ばれる元エリート自衛隊員の折本敬一である。普通の冒険小説ならば主役を演じてもおかしくない登場人物のSATの狙撃手・城戸口通彦も、公安の清宮弘樹も、米国副大統領を伯父に持つ東京大学の留学生・フィービ・クロフォードも単なる脇役にしか過ぎない。
冒頭に描かれた消費者金融立て籠り事件の緊迫した描写も物語の触りにしか過ぎ -
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笹本稜平『ソロ ローツェ南壁』祥伝社文庫。
笹本稜平が描く本格山岳小説。山の世界を舞台にした人間ドラマがあり、男の意地があり、ロマンがある。ミステリーとサスペンスの要素もあり、非常に面白い。
無名ながら数々の難壁を単独登攀で制覇してきた新鋭アルパインクライマー奈良原和志が標高世界4位のローツェ最難関の南壁冬期単独登攀に挑む。
ローツェ南壁を単独登攀した伝説の登山家トモ・チェセンはその登攀を疑問視されたことから第一線を退く。奈良原和志はトモの疑惑を晴らすため、さらなる己れの高見を目指すために妨害を受けながらも難攻不落のローツェ南壁の制覇を目指す。
本作はジョージ・マロリーが果たしてエベレ -
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笹本さんの小説は五作目となりますが、間違いなく今までで一番感情移入した作品でした。
もちろんフィクションなのは重々承知の上ですが、あまりに感情移入し過ぎて、最終章では涙をぼろぼろ流しながら読んでました(^^;
自然の素晴らしさに目を向け、その恩恵を頂くことで人間は発展してきたのに、自分達の身勝手によりオオカミの住みかを奪ってしまった。
ドキリとする言葉が節々に出てきます。
『自然や動物は人間がいなくともずっと上手くやってきた。人間がずかずかと入り込んできて自然を壊しておきながら、今度は自然保護だなんだと思い上がる』
私には私の生活があるから自然保護活動などには参加したり出来ません -
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マッキンリー、別名デナリ
あまりに有名な山名はおそらく誰でも聞いたことはあるはず
私としては聞いたことがあるくらいで、あまり詳しいことは知りませんけどね(^^;
マッキンリーを舞台に繰り広げられる重厚な人間ドラマ
少しだけ私が気になった(良い意味で)点を挙げさせていただくと、
物語が進み要救助者を発見した時、低体温症に陥っている
しかも重度の低体温症。
待ちに待った待望の赤ん坊が間もなく生まれるというのに、ひとつ間違えれば植物状態で寝たきりになってしまう恐れのある要救助者を、果たして下ろして良いものか?
下ろさなければ奥さんは生まれてくる赤ん坊と二人、人生をやり直すことも出