笹本稜平のレビュー一覧
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同じ千葉県人ながら著者のことは亡くなられるまで存じ上げませんでした。
新聞に遺作として本書が紹介されており、千葉県の山の中で私が一番好きな伊予ヶ岳が舞台の山岳&警察小説と知って興味が湧き、積読リストに入れていました。
中盤までは警察組織の腐敗が酷く、犯人の確証はあるのに手も足も出ない感じに嫌気がさしながら読み進めましたが、ラストはそれなりにすっきりしたのでホッとしました。
また、実際に登ったことのある山なので山狩り(捜索)のシーンは必要以上にリアルさを感じてドキドキしました。
低山でも山の難しさはあって、千葉県の気候からくる森草木の濃度とかの描き方がとてもよかったです!
調べたら、著者は本格的な山岳小説も書かれているそうなので、他の作品も読んでいきたいと思いました。
ご冥福をお祈りいたします。 -
Posted by ブクログ
好きな感じの小説。
山登りを趣味としているけど、
ハードな山岳小説はあまり共感できないが、
身近な山小屋、そこを訪れる人たちとのやりとりという題材は身近に感じた。
それぞれの等身大の生き方が気持ちがいい。
自分は何を追ってるんだろう?と思う時がある。
そこから離れた人々の会話にとても癒された。
亨がサラリーマン時代に父の人生を羨んだように、
わたしは亨たちの人生が羨ましい。
そういう気持ちを忘れず、でも焦ることなく、
自分の道をゆっくり歩んでいきたい、そう思った。
欲と夢の違いを問うた亨に、ゴロさんが
欲しいものを楽して手に入れようとするのが欲
手に入れるために労を厭わない、そのための苦労そのものが人生の喜びであるような何かが夢
と説明する。
私には夢はまだないのかもしれない。それがわかっただけでもよかった。
そういうものが現れるといいな。
私のカウンセラーの先生が言ってた。
求める変化は、あちらからやってくる。
その感覚は、私も経験がある。
でも、あっちからやってきたと思うのは主観的な感覚であって、
振り返ってみれば、それまでにもがいて、なんとなく、自分が欲してるものが言語化できて輪郭が見えた時、
それまでもそこにあったものが、浮き上がって認識できるようになったように思う。
あっちからやってくる、土壌を自分の中に育てることが、
大事なんだなぁ。
ゴロさんの言葉はその一つになりそうだ。 -
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ネタバレ感想
今回も政治的な理由で、邪魔するやつが入って、一時はどうなることかと思ったが、登攀を妨げるような行為がなかったので一安心。
最後は気力で登頂といった感じだが、降りについては記されていなかったのでどうするのだろうかと思った。
このシリーズは目が離せない。
あらすじ
奈良原和志は、新進気鋭のクライマーだ。
ノースリッジよりスポンサー契約を受けて、未だかつて誰も登攀したことがないマカルー西壁に挑む計画を立てている。
雪崩の危険が少ない冬季に登攀する予定だ。
師であり、友である磯村を参謀に加えて挑む。磯村は膵臓癌で余命宣告されているが、和志の登山を応援し続けており、宣告期間が過ぎても、なおかくしゃくとしている。
夏季、和志はマカルーの下見に来ていたが、登山中のイタリア隊が8100m付近で岩崩れに合い、瀕死の状態になる。和志は応募を募って、救助に向かう。
救助したイタリア隊のミゲロと一緒に救助に向かったフランス隊の二人とマカルー冬季登攀の話で盛り上がる。
マカルー西壁の攻略の鍵が見出せないでいたが、ミゲロの提案で、イタリアのドロミテで登攀の訓練を開始する。
またもやフランスのマルクから、政府のパーミッションで妨害工作が入る。
マルクは、和志を妨害するため、極地法でマカルー西壁を踏破すると宣言し、チームを連れてやってくる。そこにトップクライマーのアリエフが参加する。
その後、和志のチームは南米のパタゴニアに練習に行くが、磯村の体調が悪化して、日本に引き返す。
マルクは現地に先乗りして金に物を言わせて、大規模なテントを設営するが、雪崩にあい、マルクの指揮が不味く、仲間からの信頼を失う。
アリエフがマルクの代わりに隊を率いて、マカルーの全員登頂を目指す。アリエフは和志とのフェアな戦いを望んでいた。
和志は順調に登攀をするが、高度が上がると同時に磯村の体調も悪化する。
最難関の壁をなんとか攻略して、登頂達成。その時、磯村は息を引き取っていた。和志は磯村との約束を果たし、気持ちを新たにする。 -
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ソロで数々の難壁を初登頂してきた奈良原和志が、伝説的登山家の初登頂に疑惑を持たれた最難関のローツェ南壁に挑む本格山岳小説。
山岳冒険小説や山岳警察小説といった山を舞台にした小説は数多あるが、登攀自体にここまで的を絞った山岳小説は稀であろう。
ローツェ南壁登攀の前哨戦として、先輩アルピニストの磯村とともに挑むローツェ・シャール縦走もリアル感がタップリ迫力のある描写で、著者もこのコースを経験したのだろうかとの思いがよぎる。
「単なる功名心や征服欲のためではなく、素直で謙虚な心で山と戯れる人びとが増えてくれば、人類はそれだけ豊かになるはずだ」との和志の思いは、作者の思いでもあるだろう。
「大事なのは心の中の真実ですよ。・・・必要なのは、自分が信じることができる真実なんだと思います」は、登攀ばかりでなく全ての事柄に当てはまる言葉。
3部作シリーズだそうで、残りもいつか読んでみたい。 -
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ヒマラヤ、バルンツェの氷壁をソロで踏破した奈良原和志は一匹狼のアルピニストだった。仲間であり師である磯村に迎えられ、下山してからヒマラヤの登山記録を編纂しているエリザベス・ホーリーのインタビューを受けた。
大人数でチームを組み、大量の酸素ボンベや器材を活用して登る極地法が一般的な登山のイメージだが近頃は高山病のリスクを避けるため軽装で短時間での登坂と下山を目指すアルパインスタイルが主流と成りつつある。
他人と関わることを苦手とする和志としてはバディのスキルや判断決心の容易さから単独でのアルパインスタイルが性に合っており、合理的だった。
和志の夢である、世界第4位の高さでありながら実質高低差が3200mにも及ぶローツェ南壁の初単独登攀を実現するために、磯村からノースリッジ社の支援を受けることを提案された。1人の方が気が楽、孤独の中での集中力が最もパフォーマンスが発揮できるといった考えは次第に薄まり、周囲の期待を受け、仲間の支援があることが集中のための要素と思うようになってきた。
ノースリッジ社の担当の広川友梨、社長の山際、そしてローツェ南壁単独初登攀を疑惑ながらも打ち立てた先人トモ・チェセンを味方に付けローツェ南壁に和志は挑む。 -
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ネタバレ長野県警山岳遭難救助隊の桑崎祐二と浜村隆は非番を利用し雪残る後立山連峰に登っていた。そんな時、登山者としては不審な3人組がカクネ里にいるのを見つけた。立場上遭難されても困るため気を配っていたところ、下山途中にカクネ里で倒れている人を見つける。その女性遺体を回収するヘリが迎えにくる時に雪崩が発生し、二人は間一髪救出された。
遺体は他殺のおそれがあり事件の匂いがしたが捜査一課の富坂は山の中の事件の捜査に消極的だった。
その後、男2人と女1人のパーティから救難要請があり、遺体について何か知っている可能性があるカクネ里の怪しい3人組と思えたが吹雪の積雪のため男2人は死亡、女も意識不明だった。 -
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ネタバレ北緯85°の北極圏で資源探査をおこなっているポーラスター85は日本の資源探査会社ジオデータが運営している。隊長は郷田裕斗、若手社員の山浦、女性社員の峰谷、アメリカのパシフィックペトロリアムから2名とカナダ系イヌイットの2名の計8名だった。
そんなポーラスター85が撤収に懸かろうとしていたときロシアがキレイな水爆「ソーヴェスチ」を北極海の水中で起爆させた。地震と共に北極の氷盤には大きな穴があき、海の中には高温の海流が流れた為に北極の氷が溶け出している事がわかった。極度に発達した低気圧の悪気象の為、通常の手段での撤収ができなくなったメンバーは安定した氷を求め移動を開始する。
米国も救助に消極的で大国の思惑に翻弄されるメンバーは氷上のサバイバルに生き残ることができるのか。 -
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恋人を自爆テロの犯人に仕立て上げられた唐澤龍二は、首謀者を捉えるため警視庁公安捜査官となる。
その首謀者が新たなテロを予告する。
上司の高坂や同僚たちとともに、テロの防止と犯人検挙に邁進するが、唐澤の前に立ち塞がり彼を目の仇とする部下の井川巡査部長。彼の行動の裏に何があるのか。
犯人への追及と同時に、井川の思惑を捜査することになる。
あるときは強引な捜査をする唐澤であるが、立てこもり犯を前にした状況での彼の言葉に、警察官としての矜持が表れる。
「たとえ相手がテロリストであれ、他の手段を一切論じず狙撃するのが許されるなら、警察はただの私刑集団です。そのときは、一個人の立場から告発も辞さない覚悟です」
大概の警察小説は、刑事部が主体で、公安部はだいたい敵役にされている。しかし、本書は題名の通り公安が主人公役である希少な警察小説。
公安の人物に「捜査一課は、時間をかけた地道な捜査に慣れていない。特捜本部を立ち上げて短期決戦で犯人を挙げるのが連中の流儀だ。・・・時間をかけた地道な捜査となれば、公安の独壇場ですから」とまで、言わせているが(笑)。