笹本稜平のレビュー一覧
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芦名検事らがアフガニスタンで殺害されたODA関係者の背後関係を探る物語だが、公安関係者、殺人犯捜査関係者といった混成チームが対処する筋書きで、それぞれの得意分野の力量を発揮して成果を挙げて行く過程が楽しめた.アフガニスタン政府の実力と、ISやタリバーンとの駆け引きの中で、現地の大使館も巻き込んで活動する芦名たちが目を付けたのが、ODA担当で政権与党の竹中代議士.アフガン政府のアミーン司令官と深い繋がりを持っている.ODAの金を還流させて私腹を肥やしていると睨んだ芦名たちは、UFP通信の北島や大使館の町田事務官らの支援を得て、官邸からみの案件の核心を掴んでいくステップはぞくぞくする感じだった.芦名と東京にいる上司の西川とのやりとりは、官僚たちの本音やプライドが見え隠れするので面白かった.最終的にCIAが背後にいて取り仕切っているのを察知した芦名が、北島のジャーナリスト根性を引き出して真相を炙り出したのが、素晴らしいと感じた.
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同じ千葉県人ながら著者のことは亡くなられるまで存じ上げませんでした。
新聞に遺作として本書が紹介されており、千葉県の山の中で私が一番好きな伊予ヶ岳が舞台の山岳&警察小説と知って興味が湧き、積読リストに入れていました。
中盤までは警察組織の腐敗が酷く、犯人の確証はあるのに手も足も出ない感じに嫌気がさしながら読み進めましたが、ラストはそれなりにすっきりしたのでホッとしました。
また、実際に登ったことのある山なので山狩り(捜索)のシーンは必要以上にリアルさを感じてドキドキしました。
低山でも山の難しさはあって、千葉県の気候からくる森草木の濃度とかの描き方がとてもよかったです!
調べたら、著者は本格的な山岳小説も書かれているそうなので、他の作品も読んでいきたいと思いました。
ご冥福をお祈りいたします。 -
Posted by ブクログ
好きな感じの小説。
山登りを趣味としているけど、
ハードな山岳小説はあまり共感できないが、
身近な山小屋、そこを訪れる人たちとのやりとりという題材は身近に感じた。
それぞれの等身大の生き方が気持ちがいい。
自分は何を追ってるんだろう?と思う時がある。
そこから離れた人々の会話にとても癒された。
亨がサラリーマン時代に父の人生を羨んだように、
わたしは亨たちの人生が羨ましい。
そういう気持ちを忘れず、でも焦ることなく、
自分の道をゆっくり歩んでいきたい、そう思った。
欲と夢の違いを問うた亨に、ゴロさんが
欲しいものを楽して手に入れようとするのが欲
手に入れるために労を厭わない、そのための苦労そのものが人生の喜びであるような何かが夢
と説明する。
私には夢はまだないのかもしれない。それがわかっただけでもよかった。
そういうものが現れるといいな。
私のカウンセラーの先生が言ってた。
求める変化は、あちらからやってくる。
その感覚は、私も経験がある。
でも、あっちからやってきたと思うのは主観的な感覚であって、
振り返ってみれば、それまでにもがいて、なんとなく、自分が欲してるものが言語化できて輪郭が見えた時、
それまでもそこにあったものが、浮き上がって認識できるようになったように思う。
あっちからやってくる、土壌を自分の中に育てることが、
大事なんだなぁ。
ゴロさんの言葉はその一つになりそうだ。 -
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ネタバレ感想
今回も政治的な理由で、邪魔するやつが入って、一時はどうなることかと思ったが、登攀を妨げるような行為がなかったので一安心。
最後は気力で登頂といった感じだが、降りについては記されていなかったのでどうするのだろうかと思った。
このシリーズは目が離せない。
あらすじ
奈良原和志は、新進気鋭のクライマーだ。
ノースリッジよりスポンサー契約を受けて、未だかつて誰も登攀したことがないマカルー西壁に挑む計画を立てている。
雪崩の危険が少ない冬季に登攀する予定だ。
師であり、友である磯村を参謀に加えて挑む。磯村は膵臓癌で余命宣告されているが、和志の登山を応援し続けており、宣告期間が過ぎても、なおかくしゃくとしている。
夏季、和志はマカルーの下見に来ていたが、登山中のイタリア隊が8100m付近で岩崩れに合い、瀕死の状態になる。和志は応募を募って、救助に向かう。
救助したイタリア隊のミゲロと一緒に救助に向かったフランス隊の二人とマカルー冬季登攀の話で盛り上がる。
マカルー西壁の攻略の鍵が見出せないでいたが、ミゲロの提案で、イタリアのドロミテで登攀の訓練を開始する。
またもやフランスのマルクから、政府のパーミッションで妨害工作が入る。
マルクは、和志を妨害するため、極地法でマカルー西壁を踏破すると宣言し、チームを連れてやってくる。そこにトップクライマーのアリエフが参加する。
その後、和志のチームは南米のパタゴニアに練習に行くが、磯村の体調が悪化して、日本に引き返す。
マルクは現地に先乗りして金に物を言わせて、大規模なテントを設営するが、雪崩にあい、マルクの指揮が不味く、仲間からの信頼を失う。
アリエフがマルクの代わりに隊を率いて、マカルーの全員登頂を目指す。アリエフは和志とのフェアな戦いを望んでいた。
和志は順調に登攀をするが、高度が上がると同時に磯村の体調も悪化する。
最難関の壁をなんとか攻略して、登頂達成。その時、磯村は息を引き取っていた。和志は磯村との約束を果たし、気持ちを新たにする。 -
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ソロで数々の難壁を初登頂してきた奈良原和志が、伝説的登山家の初登頂に疑惑を持たれた最難関のローツェ南壁に挑む本格山岳小説。
山岳冒険小説や山岳警察小説といった山を舞台にした小説は数多あるが、登攀自体にここまで的を絞った山岳小説は稀であろう。
ローツェ南壁登攀の前哨戦として、先輩アルピニストの磯村とともに挑むローツェ・シャール縦走もリアル感がタップリ迫力のある描写で、著者もこのコースを経験したのだろうかとの思いがよぎる。
「単なる功名心や征服欲のためではなく、素直で謙虚な心で山と戯れる人びとが増えてくれば、人類はそれだけ豊かになるはずだ」との和志の思いは、作者の思いでもあるだろう。
「大事なのは心の中の真実ですよ。・・・必要なのは、自分が信じることができる真実なんだと思います」は、登攀ばかりでなく全ての事柄に当てはまる言葉。
3部作シリーズだそうで、残りもいつか読んでみたい。 -
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ヒマラヤ、バルンツェの氷壁をソロで踏破した奈良原和志は一匹狼のアルピニストだった。仲間であり師である磯村に迎えられ、下山してからヒマラヤの登山記録を編纂しているエリザベス・ホーリーのインタビューを受けた。
大人数でチームを組み、大量の酸素ボンベや器材を活用して登る極地法が一般的な登山のイメージだが近頃は高山病のリスクを避けるため軽装で短時間での登坂と下山を目指すアルパインスタイルが主流と成りつつある。
他人と関わることを苦手とする和志としてはバディのスキルや判断決心の容易さから単独でのアルパインスタイルが性に合っており、合理的だった。
和志の夢である、世界第4位の高さでありながら実質高低差が3200mにも及ぶローツェ南壁の初単独登攀を実現するために、磯村からノースリッジ社の支援を受けることを提案された。1人の方が気が楽、孤独の中での集中力が最もパフォーマンスが発揮できるといった考えは次第に薄まり、周囲の期待を受け、仲間の支援があることが集中のための要素と思うようになってきた。
ノースリッジ社の担当の広川友梨、社長の山際、そしてローツェ南壁単独初登攀を疑惑ながらも打ち立てた先人トモ・チェセンを味方に付けローツェ南壁に和志は挑む。 -
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ネタバレ長野県警山岳遭難救助隊の桑崎祐二と浜村隆は非番を利用し雪残る後立山連峰に登っていた。そんな時、登山者としては不審な3人組がカクネ里にいるのを見つけた。立場上遭難されても困るため気を配っていたところ、下山途中にカクネ里で倒れている人を見つける。その女性遺体を回収するヘリが迎えにくる時に雪崩が発生し、二人は間一髪救出された。
遺体は他殺のおそれがあり事件の匂いがしたが捜査一課の富坂は山の中の事件の捜査に消極的だった。
その後、男2人と女1人のパーティから救難要請があり、遺体について何か知っている可能性があるカクネ里の怪しい3人組と思えたが吹雪の積雪のため男2人は死亡、女も意識不明だった。