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Posted by ブクログ
笹本さんの小説は五作目となりますが、間違いなく今までで一番感情移入した作品でした。
もちろんフィクションなのは重々承知の上ですが、あまりに感情移入し過ぎて、最終章では涙をぼろぼろ流しながら読んでました(^^;
自然の素晴らしさに目を向け、その恩恵を頂くことで人間は発展してきたのに、自分達の身勝手によりオオカミの住みかを奪ってしまった。
ドキリとする言葉が節々に出てきます。
『自然や動物は人間がいなくともずっと上手くやってきた。人間がずかずかと入り込んできて自然を壊しておきながら、今度は自然保護だなんだと思い上がる』
私には私の生活があるから自然保護活動などには参加したり出来ませんが、それでも山に登らせて頂く際にはゴミ拾いなど、自分に出来ることをひとつでも多く実行していこうと改めて思いました。
一人でも多くの方に読んで頂きたい名作です
Posted by ブクログ
大雪山で幻のオオカミを探す男と山岳写真家との出会いから、この物語が始まる。
彼の父とも交流があった男は、殺人罪の刑を終え刑務所を仮出所したばかり。しかし、彼の容疑には冤罪の疑いがあり、その謎の解明と幻のオオカミ探しが同時に進行する。
山岳小説に、警察小説、それに動物小説が融合した贅沢な作品。
オオカミを探し求めての中盤までは、冗長な部分も無きにしも非ずだが、後半は冤罪を画策した犯人との攻防、雪山での遭難と、一転緊迫感を増して一気に読ませる。
ここでオオカミは、自然破壊を繰り返す罪深き人間と対極をなすものとして描かれる。昔は、オオカミがいて豊かな自然が保たれていたのに、文明に毒された人間はその大事なことを忘れていると。
「オオカミは大自然が人間社会に派遣した親善大使のような存在」と、登場人物に言わせる。
山岳小説の泰斗ともいうべき著者の自然観が、如実に表されている作品でもある。
また、写真家の父親の言葉として「奈落の上の綱渡り」が再三語られる。人生を例え、その綱とは何かを信じること、そして信じて渡るか臆して逃げるか、と。
「信じて渡る」爽やかな男たちの物語である。
Posted by ブクログ
笹本稜平『分水嶺』祥伝社文庫。
厳冬の大雪山を舞台にした山岳ミステリー小説。笹本稜平の山岳物だけに十分面白いのだが、少し詰め込み過ぎのように感じた。冬山と殺人ミステリー、幻のオオカミと男のロマンをかき立てる要素はぎっしり詰まり、物語の核となる登場人物も皆、強い志を持つ男ばかり…些か出来過ぎ。
急逝した父親の遺志を継ぎ、山岳写真家として新たな人生を踏み出した風間健介は厳冬の大雪山で亡き父親と親交のあった田沢保と知り合う。絶滅したはずのエゾオオカミの生存を信じる田沢には殺人罪で服役した過去があり、再び田沢の周囲できな臭い事件が起こり始める…
絶滅したはずのオオカミを描いた作品には、柴田哲孝の『WOLF』、熊谷達也の『漂泊の牙』、西村寿行の『魔の牙』など面白い作品が多いが、本作もその中の一作に十分なり得るだろう。
Posted by ブクログ
感想
文章は読みやすく、スッとはいってくる。
自然や山からしたら人間は不要の存在。
しかし、筆者の作品は直接登場しない人物が信じられないくらい悪意を持ってるパターン多いな。
あらすじ
風間は、広告写真の世界から締め出され、父親がやっていた北海道の山岳写真で生計を立てることにする。
ニペソツ山で籠って写真を撮ろうとした際に田沢という男性と出会う。田沢はかつて無罪を主張したが、殺人容疑で捕まり、出所したという。
父親も田沢も1880年代に絶滅したはずのエゾオオカミを探し求めて山に入っていたのだった。
田沢が殺したとされる地元にホテルを誘致しようとした三山。冤罪の疑いがある。田沢は誰かにふっかけられて再び刑務所に入れられそうになるが、風間が身元引受人になり、事なきを得る。
そのお礼に田沢は風間の父親が秘密にしていた山のスポットに連れて行ってくれるという。
その頃、三山から再度リゾート開発の話が持ち上がる。一方、田沢と風間はオオカミの巣と思われる場所と骨を見つけて、北大の研究者へ骨を持ち込む。
教授はほぼオオカミの骨で間違いないと言い、DNA鑑定にうつる。その間、田沢にコンビニ強盗の嫌疑がかけられ、田沢は山に籠るが、吹雪の中、雪崩に巻き込まれて、生死を彷徨う。風間は吹雪の中を助けに出たが、場所の検討がつかない。そんな折、オオカミが案内役となり、田沢の元へ導く。
しかし雪崩に巻き込まれた田沢は息を引き取る。その後、田沢の冤罪も証明される。
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