笹本稜平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
意外に知られていない世界で2番目に高い山・K2を舞台にしていることから、何も考えずに読み出してしまった、久しぶりの山岳小説。
読み終わってから、気づいたが、どうやらこの作品には先に「ソロ」と言う作品があるらしい。冬のヒマラヤの単独登攀に成功したソロクライマー・奈良原和志と、彼を支援する人々の話。
「ソロ」では彼を支える磯崎との出会い、ノースリッジとスポンサー契約を結ぶ様が描かれているのかもしれないが、別に1作目を読んでなくても、全然気にせず読める。
冬の山でノースリッジの社員でもある柏田を死なせてしまったことから始まり、もう少し、その死を交えながら展開するのかと思ったら、途中でばっさり方向転換 -
Posted by ブクログ
死がテーマの短編6編の連作。当事者はもちろんだが、支援者側のエゴの葛藤がリアルに追随できる作品。自己中心的な考え方を問われ、苦しい場面が多々あるが、自身の思考・姿勢を振り返ることができる良作。
「雨が降ろうが風が吹こうが、自分にあてがわれた人生を死ぬまで生きてみるしかない」
「欲と夢ってどう違うんだろう」「欲しいものを楽して手に入れようとするのが欲だよ。」中略「だったら夢は」「それを手に入れるために労を厭わない、むしろそのための苦労そのものが人生であるようななにかだなー」
「自分というトンネルをいくら奥へ奥へと掘り続けても、出口は決して見つからない、空気もない光もない世界から抜け出すには外に向 -
Posted by ブクログ
警察小説の舞台は警視庁が大概を占めるが、このシリーズは、所轄のノンキャリア刑事が所轄魂を発揮して、警視庁のエリートに先んじ、事件解決を図るのが魅力だ。
父親のノンキャリア刑事に対し、キャリア警察官僚の息子を配して、親子対比の家族小説にも見える。
今回は、息子が捜査二課に配属となり、贈収賄事件を担当。関連のある殺人事件も発生し、所轄と提携しながら事件に取り組む。
黒幕を政府の最高権力者と示唆したり、地方のはぐれ刑事をキーマンとしたり、新味を狙ってはいるようだ。
しかし、頁数をやたら費やすような感があり、4作目となるとマンネリ化はどうしても避けられないのだろうか。