笹本稜平のレビュー一覧

  • 特異家出人 ~警視庁捜査一課特殊犯捜査係・堂園晶彦~
    著者の警察小説は、己の信念に従い、果敢に警察組織に立ち向かう主人公が登場し、カタルシスをしばしば喚起してくれる。
    この作品は一味違い、老人の行方不明に事件性を見い出し、その行方を追う特殊犯捜査係の刑事を描いたミステリー。
    そして、その老人と交流のあった少女の存在が、作品にほのぼの感を与える。
    しかし...続きを読む
  • 遺産 THE LEGACY 下
    夏に読みたいトレージャーハンター。
    日本とアメリカ、スペインの利権争いと、水中火山や噴火して突然あらわれる新山などを背景に1620年に沈んだスペイン船を巡る時間を追う争い。
    水中考古学という分野があることを初めて知った。
    主人公と船とともに沈んだ祖先が、深海で邂逅する場面が感動。
    大藪春彦賞受賞作。
  • 遺産 THE LEGACY 上
    夏に読みたいトレージャーハンター。
    日本とアメリカ、スペインの利権争いと、水中火山や噴火して突然あらわれる新山などを背景に1620年に沈んだスペイン船を巡る時間を追う争い。
    水中考古学という分野があることを初めて知った。
    主人公と船とともに沈んだ祖先が、深海で邂逅する場面が感動。
    大藪春彦賞受賞作。
  • 未踏峰
    人生においてそれぞれ負い目を持つ三人が、これまた負い目を持った人生を歩んでいた山小屋の主人との四人で未踏峰登山を計画する。
    実際に登る三人が登りながら、幸せとは何かを問いつつ、自分の出来ることを発揮しながら登頂する。
    山を知らないけれど、登ったような読み心地だった。
  • 突破口 組織犯罪対策部マネロン室
    警視庁に実在するかは確認していないが、組対部マネロン課というユニークな部署が主役の警察小説。
    著者は、『素行調査官』シリーズにしても、『越境捜査』シリーズにしても、警察機構内の巨悪に果敢に挑戦する主人公たちを描いており、読後カタルシス的爽快感を味わえるが、この作品も同系列といえよう。
    組織改革によっ...続きを読む
  • 南極風
    ”光の山”と称されるNZの名峰アスパイアリングで起きた遭難事故。命を賭して悪天候の中ツアー客を救ったガイドの森尾正樹。一躍英雄!一転保険金殺人容疑で逮捕!?冤罪を主張する彼と対峙するのは作為的な検事。心理と真理がぶつかる法廷闘争の先に見えたものは。。特徴は、刻々と変化する雄大なる山の表情と決して諦め...続きを読む
  • 南極風
    山岳ガイドツアー中に起きた遭難事故。
    生き残った山岳ガイドが殺人罪で告訴され法廷での闘争と事故発生の状況がパラレルに進んでいく。
    誰が告訴したのか、謎解きが同時に進んでいく。

    ニュージーランドでのアスパイアリング登山の描写はとても良いです。
  • 天空への回廊
    エベレスト、国家某略と壮大な題材を並べた力作です。分厚かった。登山部分とスパイ物のような部分が同じくらいのボリュームなのでこれだけの量になったのでしょう。お腹いっぱい。

    犯人を捕まえてもすぐ逃げられたりして、各国がまぬけ過ぎないかという気がします。ちょいとご都合主義過ぎる部分も多かった。
  • 所轄魂
    父親と息子が同じ現場で事件を解決するという設定が他の刑事小説にはなくて、面白そうだな。と思って購入。

    結末はどんでん返しがあったり、衝撃の展開があったりと面白くて一気読みした。

    ただ、事件が解決に向かって動き出すのはかなり後半の方なので、それまでが長くややスピードに欠ける(本当の事件のようにリア...続きを読む
  • サイドストーリーズ
    一服ひろばについての、アンソロジー。

    ひとつが30ページ程度なので、読みやすかったです。
    しかし読んだ事がある本が、3冊だけ。
    とはいえ、どれも今現在がどういう状態なのか
    分からないという話はなかったです。

    最後から2番目。
    女って恐ろしい…と思うには十分な話でした。
    確かにこれは恐喝になります...続きを読む
  • 偽りの血
    小説冒頭にラストが暗示されているため、くらーい気持ちで読み始めたけれども、どんどん解決の方向にストーリーは進む。社会派ミステリーの要素が強いかな。お、これはどんでん返しが待ち受けているのかとワクワクしながら読みすすめ…そうか、そうきたか。一人称での語りだったから、ここにトリックがあるのかとおもいきや...続きを読む
  • 駐在刑事
    警視庁捜査一課で活躍していた江波は、取り調べ中に容疑者が服毒自殺をしたことによって、青梅警察署水根駐在所所長へ左遷される。
    奥多摩の自然と、周囲の人たちの協力によって次第に自分自身を見つめ直し、地域の一部として溶け込み始めた。
    ある日彼は非番で鷹ノ巣山を登っていた江波は、女性の悲鳴のような声を聴いた...続きを読む
  • 恋する組長
    最近僕の中で好きな作家さん登録された笹本稜平さんのライトなテイストの探偵物です。
    登場人物がみんなユーモラスで現実離れしているのですが、漫画的な意味でとてもいい味出しています。
    刑事もヤクザもヒロインもみんなどうしようもない奴なのですが、頭の中で3頭身に変換されてしまいそうな可愛らしさが有って、悲壮...続きを読む
  • サイドストーリーズ
    サイドストーリーっていうテーマが面白かった。わたしは本篇を読んだことがあるのが偏食気味なので中田永一さんの百瀬こっちを向いてと、中山千里さんのさよならドピュッシーだけだったのでその二本を読みましたが、ファンにはたまらなく豪華であろうサイドストーリーがたくさんでした。
    大好きなあの小説たちの違う話、も...続きを読む
  • サイドストーリーズ
    【収録作品】「鯨と煙の冒険」中田永一…『百瀬、こっちを向いて。』番外編/「一服ひろばの謎」貴志祐介…「防犯探偵・榎本径」シリーズ番外編/「皇帝の宿」宮木あや子…『校閲ガール』番外編/「街で立ち止まる時」東直己…「ススキノ探偵」シリーズ番外編/「同窓会」垣根涼介…「君たちに明日はない」シリーズ番外編/...続きを読む
  • 春を背負って
    奥秩父の山小屋に関わる人びとの人間模様を、山の厳しさを伝えつつ、さわやかにそして美しい世界を紡ぐ。
    一話一話、ドラマがあり、ちょっとクサイセリフ回しもなんかしんみり入ってくるお話でした。

    映画の立山ではなくて、やはり広葉樹の森が美しい奥秩父が舞台というのが味わい深い。登山のお供にしたいやさしい物語...続きを読む
  • 所轄魂
    連続殺人事件捜査で所轄と本庁がいがみ合う。
    犯人逮捕は手柄の争い合かと思うと虚しくなる。
    真の犯罪を追求し、一般人の平和のために警察があるはずで、それが所轄魂の中にある、という事なのだろう。
    そんな思いに一般人として救われる。
  • グリズリー
    テロリスト対警察機構のアクションスリラーって感じかな。
    アメリカ政府の関係者が出てきたことによって、終盤がだれてしまうのがちょっと残念。
    なんか、無理矢理犯人に対する共感を押しつけられましたっていう感じがね。
    もっとブラックなというか、乾いた感じでも良かったんじゃないかと思うんだけれど。
  • 天空への回廊
    山岳小説、冒険小説と言うより国際謀略の印象が強かったです。
    面白かったのですが、山岳小説として読むと少し物足りない気がします。

    スケールが大きく、いや、そこまでやらなくてもいいでしょう!と思う箇所もチラホラとありましたが、楽しんで読む事が出来ました。


    核の話が沢山出てきます。
    多くの国が核を保...続きを読む
  • 偽りの血
    ミステリと思って読むからいけないのかもしれないが、相変わらず伏線もなにもない、主人公の半妄想でぐいぐい引っ張るハードボイルド?小説。真相はそれまでにすべて明かされているので、意外性を期待すると裏切られる。
    題材は面白いが、展開が都合よすぎる。