笹本稜平のレビュー一覧
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シリーズ第2弾。
いや〜、普段は2日で1冊のペースで本を読んでいるのに、1週間近くかかった…決して、作品が悪かった訳ではなく、ただ単に時間がなくて、先になかなか進めないもどかしさが残る一冊になってしまった。
7年前の事件を調べるうちに、またしても、神奈川県警の宮野とタッグを組むことになった鷺沼。
今回の敵は、警察の上層部にも強力な影響力を持つパチンコ業界のドン・飛田。飛田の悪事に迫りつつも、後手後手に回り、なかなか尻尾が掴めないまま、ラストへ。
前作がハードな感じのラストだったので、今回は何となく敗北感が漂う中、何とか飛田の逮捕まで辿り着く展開に、少々物足りなさを感じた。
でも、鷺沼や宮野以外 -
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亡き父の残した山小屋の経営を引き継いだ亨が、父の愛した奥秩父の山の自然の中で、山と父を愛した人々と出会い、さまざまな思いを受け止めながら成長していく、連作短篇集。
心をすり減らし脱サラした亨を支えるのは、父の後輩だったという半ホームレスのゴロさんと、亡父の残した写真に惹かれて山小屋にやってきた、元自殺志願者のOL美由紀。
山小屋を訪れる登山客との触れ合いの中で、3人それぞれがゆっくりと変わっていく様は、自然の移り変わりのようにゆっくりと優しい。
読後、爽やか。
山岳小説というほどの厳しさはないけれど、山小屋小説?
天候が変わった時に逃げ込める小屋のように、下界の暮らしに疲れて遭難しかか -
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退職間もないひとりの元刑事が自殺をした。
特別にゆかりの土地でもなさそうな場所で命を絶った刑事のお骨は、引き取り手のないまま宙に浮いている。
入江に命じられ北本とともにお骨の引き取りに向かった本郷は、はからずもしばらくの間寮の自室でお骨と同居を余儀なくされる。
薬物捜査のエキスパートと呼ばれた男はなぜ死んだのか。
調査を進めていくと、過去にも似たような事件が起きていたことがわかり・・・・。
「この仕事を選んだ理由は?」
誰しも仕事を選ぶときには、何かしらの理由があると思う。
経済的な理由、やりがいを感じられるから、単純にその仕事が好きだから。
いろいろな理由はあるだろう。
たぶん警察官だって -
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主人公である本郷は元探偵である。
ドラマや小説の中に登場する探偵とは違い実際の探偵は法に許された範囲でしか活動することができない。
しかも勤めていた探偵事務所が解散となり失業中の身ともなれば、せっかくの口利きは無駄にしたくない。
警察官の素行を調査する監察の仕事を得た本郷は、警察官にしか使えない調査方法に驚きながらも戸惑いを隠せない。
何故なら、監察の仕事とは犯罪を摘発することや犯人を逮捕することではないからだ。
悪事の証拠を揃えても、諸事情から闇から闇へと葬らなければならないこともあるらしい。
本郷にはそのあたりがどうにも納得できない。
ひとりの女性が殺害された。
本郷たちは監察の対象とな -
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短編集。
「死人の逆恨み」感想
何の嫌がらせでおれの事務所で自殺を・・・と死体の様子を観察すると、喉の周りに「吉川線」があるじゃないか。
冗談じゃない。自殺に見せかけた殺しか?
面倒を怖れたおれは、さっさと知らん顔を決め込んだが・・・。
保険金目当ての殺人は現実社会でもよくあるが、どうにも胡散臭いやつばかりが登場してくる。
ゴリラにそっくりな刑事・門倉は、難癖をつけておれを犯罪者に仕立てようとするし、死体になったコマシの再婚相手はやけに良い人ぶるところが怪しい。
少しだけ哀れな男の結末は、結局死ぬまで運のなかった男の人生と相まって哀しくもある。
常に変わらないのは、土下座をしようが紆余曲折しよ -
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ネタバレコメディタッチのノアール風ハードボイルド連作短編集。
笹本作品だから読んでみた。さすがの笹本ブランド、どの作品も落とし所しっかり踏んで読ませる。
ただ、スゲーわがままだと分かった上で書くんだけど、笹本ブランドにこれ必要かなぁとも思う。先発完投型のピッチャーにワンポイント投げさせてる試合を見たような気分。
「確かに大谷君のワンポイントはぜいたくやけど、俺が観たいのはもっと長いイニングを投げ抜く姿やねんなぁ」って感じ。
作者が書きたかったんだろうし、掲載元・出版元もニーズがあると見込んだから注文したんだろうけど、笹本さんはここのステージ似合わんのちゃうかなぁ、長編が読みたくなった。 -
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著者の作品は、大まかに、(海洋)冒険(謀略)小説、山岳小説、警察小説に分類できると思う。
本作は、そのうちの山岳と警察との二つを融合した贅沢な小説。そして、山岳小説の舞台は大概外国の山が多いが、この作品は、奥多摩を舞台にしている。
主人公は、事情聴取中に被疑者(冤罪の疑い)を死なせてしまった責任を取って、刑事を辞め、駐在所勤務となった警部補。
事件の都度、主人公たちは奥多摩の山々を登攀する。著者が、実際に踏破した経験から書いたと思われる描写が溢れていて、山の魅力を存分に伝えている。
事件そのものよりも、奥多摩の魅力とそこで暮らす人々との交流の方が印象に残る作品。 -
Posted by ブクログ
警視庁に実在するかは確認していないが、組対部マネロン課というユニークな部署が主役の警察小説。
著者は、『素行調査官』シリーズにしても、『越境捜査』シリーズにしても、警察機構内の巨悪に果敢に挑戦する主人公たちを描いており、読後カタルシス的爽快感を味わえるが、この作品も同系列といえよう。
組織改革によって誕生した、寄り集まりの組対部内の軋轢や、巨大な利権ネットワークに君臨する巨悪を余すところなく描き出す。
事実が小説よりも奇なり、でないことを祈りたい。
主人公が最終章で思い出す先輩の言葉。
「刑事の仕事は犯罪を摘発することだけじゃない。それを通じて人の心を救えたら、それこそおれの本望だ。」
そんな -
Posted by ブクログ
父親と息子が同じ現場で事件を解決するという設定が他の刑事小説にはなくて、面白そうだな。と思って購入。
結末はどんでん返しがあったり、衝撃の展開があったりと面白くて一気読みした。
ただ、事件が解決に向かって動き出すのはかなり後半の方なので、それまでが長くややスピードに欠ける(本当の事件のようにリアルさを追求した結果、こうなったのかもしれないが。。。)し、息子が現場の指揮を執るのが初めてなのだがそう思えないほど仕切っているので多少、出来過ぎなんじゃ?と感じてしまった。
著者の山岳作品がすごく面白かっただけに、こちらの小説はちょっと物足りないなあ〜。といった読後感だった。 -