笹本稜平のレビュー一覧

  • 恋する組長
    東・西及び地場ヤクザに半堅気の私立探偵と電話番の女事務員と言えば、ナニワ・ノワールの怪作『疫病神シリーズ』(黒川博行)を思い出すが、こちらは至ってライトなソフト・ボイルド連作集。タイトルからして大して期待はしていなかったが、可も無く不可もない出来栄え。完全な著者買い。可能な限り虚飾を排した骨太の山岳...続きを読む
  • 未踏峰
    実生活では、海が好きで、海で遊んでばかりなのに、意外に山もの小説を読んでいる。まぁ、山ものと言うより、笹本稜平ファンなのだが。この小説は青さが良い。
  • 駐在刑事
    少し特殊なジャンルではあるが著者の『還るべき場所』は夢枕獏の『神々の山嶺』と共にポスト新田次郎の大傑作!本作は山岳小説ではなく、奥多摩の豊かな自然を背景とした連作ミステリである。ある不祥事の責任を負わされ、花の警視庁から山里の駐在所への移動を余儀なくされた男が主人公。登場人物+1匹の造形は1人を除き...続きを読む
  • 極点飛行
     冒険小説とある。冒険する姿に驚き、困難を克服する姿に感動するという内容ではない。話のスケールが世界に広がり、時代を数世代経ての謎を解き明かすという構成になっている。残念なのは、悪党とのやり取りの場面、その経緯が複雑になりすぎて読むスピードが止まること。少し欲張りすぎたのかな。
  • サハラ
    なんだか筆先三寸でああだこうだと書かれても、読む方にさっぱりイメージが沸かなくて、ついて行くのが馬鹿らしくなって、ページとばしで最後まで開いたが、それだけのこと。

    この人には何かが欠けている。
  • 未踏峰
    この人の山岳小説が好きで購入。ちょっとお話が出来過ぎか。あと少々登場人物が青いというかクサイ。悪くはないが。
    【160907再読】
    同じ感想。ダイバーシティ。みんな違ってみんないい的な。
  • 天空への回廊
    エベレストを舞台にした、山岳小説というよりサスペンス。
    最初は登場人物がやたら出てくるわ、外人だわ、で覚えるのに大変でした〜;でも、人物関係がわかってくるとなかなか面白い。
    誰が敵で誰が味方か?!後半にかけて、ストーリーが展開してくると、おもしろくなって結構一気に読めました。
    にしては結末が意外とあ...続きを読む
  • 未踏峰
    初・笹本さん。
    山岳小説の名手と聞いた事があり手を出しました。
    サクサク読めましたが、イマイチかな。
    かつて薬物に溺れ万引きで会社を辞めた裕也、コミュニケーションに問題を持つアスペルガー症候群のサヤカ、知的障害を持つ慎二。ほぼ素人の三人組が目指すのはヒマラヤの7000m級の未踏峰の最も安全ルートから...続きを読む
  • 素行調査官
    内容が少し複雑だったせいか時間がかかった。結末に近づくにつれ駆け足の印象が残るが読みごたえのある内容だった。真犯人は意外だったが、公安・中国マフィア・隠密捜査・警察官僚と興味深いキーワードの割にあっさりしていたような
  • 天空への回廊
    2002年刊行の本の文庫化。とは言っても、文庫化されたのも2005年なので、結構前ですね。舞台は、エベレスト(チョモランマ)。確かに、“天空への回廊”です。このエベレストの山頂付近にアメリカの軍事衛星が落下し、それの回収作戦が物語りになっています。

    いやぁ、中々読ませます。最後の方は、ちょっと冗長...続きを読む
  • 偽りの血
    せっかく生きていた兄が再度殺害されてしまったのは残念。というか意味が感じられなかった。
    あまりにも偶然が続く展開が多すぎる。
  • 素行調査官
    警察の中の警察、監察係りのstory。
    本当にこんな足の引っ張り合いをやってるの?と思いながら読みつつ、それを正してくれる人もいるんだよねとちょっとホッとする。
    調査官というあまり聞きなれない役職ではあるり、そこに内部ではなく外部から普通の感覚を持つ人が採用されている辺りがとっても皮肉っぽく思える。...続きを読む
  • 素行調査官
    殺人事件と警察トップの大きな悪を暴く、みたいな。
    途中ハラハラしながら読み進めた部分もあったけど、最後駆け足な印象。

    おもしろかったけど、あんまりハマれず、やや単調。
  • 不正侵入
    王道の警察小説。権力者の腐敗と現場で働く者との対決という構図である。
    散らばったパズルのピースが徐々に埋まっていくものの、事件が解決しても寂寥感が漂う。果たして秋川が望んだリベンジだったのか?おそらく、ラストシーンで新幹線のホームで飲んだ缶ビールの味は苦かったに違いない。
  • 駐在刑事
    1年半分の季節が巡る間に奥多摩(「秋のトリコロール」のみ北鎌尾根)で起こる事件と人間模様が、時系列で6つの短編としてまとめられている。手にしたとき、「駐在刑事」のタイトルから堅い内容を思い描いたが、あにはからんや、子供やお年寄り、犬が重要な役回りだったりで、ほのぼのさも感じる物語でした。

    好きなキ...続きを読む
  • 偽りの血
    笹本稜平さんの本が好きでよく読んでいます。元々が大藪春彦を全巻持っているので、大藪春彦賞を取った作者はどんな?というところから始まっています。他の本に比べると、地味な印象ではありますが、小さい頃、秘密基地を真剣に!つくっていた人間にとっては、ああした時代の頃の印象がその後に大きな影響を与えていく、と...続きを読む
  • 素行調査官
    元探偵の警察官という変わった肩書きをもつ主人公。警察官の不祥事を取り締まる監察という部署を舞台に、それらの設定をうまく活かして物語が進んでいきます。いささかキャリアの偉い人たちがなんでもできやしすぎないかとご都合主義な気もしますが、楽しめました。警察系ミステリーの期待通り、といった印象です。
  • 駐在刑事
    上司の失策の責任を取らされ、警視庁の捜査一課から奥多摩の駐在警官に左遷異動させられた江波警部補が主人公の連作短編集。
    後半、少し無理があるかなぁ、と思う展開はあったけれども、全体的にほのぼのして読後感良し。脇キャラの池原親子の存在も良いし、遼子と江波の関係も気になるところ。敵キャラの元上司の存在はお...続きを読む
  • 素行調査官
    書き出しから大当たり!物語の背景となる土地が五反田~目黒~浜松町、そして殺人事件の現場が林試の森公園!もろ自分の活動範囲、ずべて読まずとも鮮明にイメージできるところです。

    ジャンルでいえば警察モノです、ただやはりちょっと異色。警官の不正や犯罪を取り締まる監察という部署、場合によっては取り締まらず...続きを読む
  • 天空への回廊
    山岳+冒険小説。落下物の謎が早めに分かって意外に思ったら、氷山の一角に過ぎず、あとから秘密がどんどん出てくる。