笹本稜平のレビュー一覧
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川端祐人の『夏のロケット』の山岳ver.のようなお話。異能の青年達が幾多の困難にぶつかりながらも乗り越えていく姿をちょっとファンタジーっぽく、ややノスタルジックな視点から描くとこなんて本当に川端氏にそっくり。今なお世界最高峰がある種の価値を持っているのは否定できない事実である。しかし夏の北アルプス並みの大渋滞の写真を見ると、前人未到の地にひっそりと佇む6000メートル級の無名峰にノーマルルートから初登頂する方が魅力的に思えてくる。起承の次に転が来ると思わせながらもうひとつ承を繋いで静かに結を置くスタイル。
『実はヒマラヤの風は、空気が希薄なせいで、風速のわりに威力はさほどでもないらしい。』←本当?知らんかった。言われてみれば、そんな気もする。体験した訳じゃないけど。^^; (6月22日) -
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初・笹本さん。
山岳小説の名手と聞いた事があり手を出しました。
サクサク読めましたが、イマイチかな。
かつて薬物に溺れ万引きで会社を辞めた裕也、コミュニケーションに問題を持つアスペルガー症候群のサヤカ、知的障害を持つ慎二。ほぼ素人の三人組が目指すのはヒマラヤの7000m級の未踏峰の最も安全ルートからの初登頂です。そういう設定ですから山のシーンも何か切迫感が無い。
一方で、主人公たちが障害を乗り越える成長物語と見れば、解説には”青さ”を湛えとありますがちょっと青過ぎです。情緒的というか、無駄な心象風景が多すぎる気がします。
もっと骨っぽい小説を期待していたので、ちょっと肩透かしの感じでした。 -
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2002年刊行の本の文庫化。とは言っても、文庫化されたのも2005年なので、結構前ですね。舞台は、エベレスト(チョモランマ)。確かに、“天空への回廊”です。このエベレストの山頂付近にアメリカの軍事衛星が落下し、それの回収作戦が物語りになっています。
いやぁ、中々読ませます。最後の方は、ちょっと冗長になってきた感じもしますが、途中のプロット、仲間なのか、あるいは敵なのかと言う騙しあい。本の帯に夢枕獏氏の言葉として書いてあったんですが、確かに映画化しても面白そうです。でも、エベレストのあの感じを再現するのは難しそうですね。
最初の刊行が2002年と言う事も内容のプロットを考えるのに考慮した方が良いかも。9.11が起きたのは2001年ですが、あれでアメリカの強大な軍事力にも穴が有ると言う事が実証されてしまい、また、世界的なテロも小説の中の話ではないということも明らかになりました。強大な部隊がいるアメリカが脇役になっていたり、人工衛星の奪取を企むのが謎のテロ組織だったりと、9.11の影響を感じました。
最初の刊行から時が経っていますが、まだまだ読ませます。面白いです。 -
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1年半分の季節が巡る間に奥多摩(「秋のトリコロール」のみ北鎌尾根)で起こる事件と人間模様が、時系列で6つの短編としてまとめられている。手にしたとき、「駐在刑事」のタイトルから堅い内容を思い描いたが、あにはからんや、子供やお年寄り、犬が重要な役回りだったりで、ほのぼのさも感じる物語でした。
好きなキャラは真紀とプール。「茶色い放物線」は映像化を希望。「風光る」での江波と遼子のような出会いには憧れる。「秋のトリコロール」は山に登りたくなる。
肝心の主人公・江波の印象が弱く、敵役・加倉井との対立構造の描き方が平板なところに物足りなさを感じた。やっぱり自分は、警察組織の中にいる個人としての刑事や、犯罪者の心理を描く作品が好きなようだ。